石田衣良のレビュー一覧

  • 傷つきやすくなった世界で

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    石田衣良さんの日々のエッセイ。ほんとうにここ数年で格差社会とか、分断するような言葉がいつの間にか出て来て。誰が決めたんだろう。息苦しくなるような表現に心が溺れないようしなやかに過ごしていきたいなと改めて思い出させてくれたエッセイです。疲れた時に読み返したい1冊です。

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    2023年03月29日
  • シューカツ!

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     自分の就活の頃とほぼ近い時期に書かれているので、とてもリアルに感じられ当時の苦しみや焦りが蘇った。マスコミ就職を目指す同じ大学の男女7人が就活プロジェクトチームを立ち上げ奮闘する物語。主人公の千晴が普通かつ笑顔が取り柄というだけでぐんぐん面接を勝ち進んでいくが、人間性が光る描写があれば納得できたかな。面接官との相性や運というのもわかるが、最難関という割に順調過ぎるのが腑に落ちない。そしてもう少し他のメンバーにもスポットが当たると良かった。自分を飾らずにありのままで、と言うけれど、難しいよな。

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    2023年03月28日
  • 骨音 池袋ウエストゲートパークIII

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    本シリーズ積読3冊目。

    骨音はドラマスペシャルの原作をシンプルにした感じでしょうか。

    4話目は友人のエディを救えなかったマコトが、自身への無念に駆られている様子もありますが、どこかその無念がエディへの憐れみにシフトしていった感じがあり、少しばかりマコトが切り替えの速い大人になったようにも感じました。

    成長を一端を見せられた気がします。

    個人的には2話目でマコトの母親がついにセリフ付きで活躍する話が印象的でした。

    ドラマでもアニメでも、強い女性でしたが、原作もそのまま。

    子どもを救うため、ヤクザだろうがたじろぐことなく面と向かう姿勢。マコトの母親って感じが言葉でも態度でも示されていました。

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    2023年03月25日
  • 約束

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     苦しみから立ち直り再び前を向いて歩き出そうとする人々を描いた短編集。左足を事故で失った息子がダイビングを始める『青いエグジット』、不登校の中学生と廃品回収のおじいさんとの友情描く『夕日へ続く道』に心を揺さぶられた。『天国のベル』も良かった。いかにもフィクションな展開だが、遺された家族が幸せに暮らせるのならこんな奇跡が起きても良いと思う。傷ついたり心が疲れている時に読むのがオススメ。

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    2023年03月25日
  • 少年計数機 池袋ウエストゲートパークII

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    ネタバレ

    振り返り読みです。

    改めて読み返すとこの頃の本シリーズはかなり刺激的な内容だったと思い返されました。

    1,2話はドラマの内容(登場人物に違いはあれど)とニアリーイコールです。
    3話目の銀十字は最近のストーリーに近い疾走感のある内容であっという間に読めました。

    そして締めの4話目。
    昨今ではあまりない、マコトの身近な人の命が失われるセンシティブな内容でした。

    登場人物それぞれに闇があるのもI.W.G.Pの特徴。

    それが色濃く表現されたストーリーに感じました。

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    2023年03月21日
  • 波のうえの魔術師

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    自分が若かった頃読んだ本の再読ブームが来ている。
    当然ながら昔と受ける印象はかなり違うと感じた。

    最初に読んだときはくすぶっている若者の成長譚、あるいは悪事を働いた巨大な銀行を知恵とスキルで手玉にとるクライムサスペンスとして楽しんだものだった。

    同じ小説でも時を経て読んでみると依然面白いのだが、なんともやりきれない感じが残った。
    「罪と罰の非対称性」とでも云うべきか。

    確かこの小説が原作のドラマ「ビッグマネー」では融資つき変額保険を作った張本人(確か原田泰造さんが演じてた気がする)が罰を受けた記憶がある。それがテレビの大衆性ってことなんだろうが、現実はそうは行かない。

    大体罪を犯す者と罰せられる人間は別である。
    白戸もその辺りは理解していて、今の行員に同情はしているが、まつば銀行をはめるディールの手を緩めることはしない。
    またディールの成果を得るのも一部の人間であるし、失われた命が戻ることもない。

    資本主義が続く限り我々に逃げ場はなく、否応なくプレイヤーにさせられる。

    せめて我が身と、手の届く範囲の人位は守れるようにしたいものだ。

    これ聴きながら読んだ
    ELLEGARDEN『Fire Cracker』

    併せて読みたい
    伊坂幸太郎『SOSの猿』

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    2023年03月19日
  • 初めて彼を買った日

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    “性の理想と現実と+α”

    「セックス」。この言葉に、あなたはどんなイメージがあるでしょう。快感、恐怖、理想、羨望、見栄、羞恥、、、。世の中には童貞の男がいて、忘れられない相手を持つ人がいて、特殊な癖を持った人がいて、欲望を満たしたことがない人がいて、、、。そんな人たちを集めた短編集。セックスにまつわる八つの物語。


    ここだから綴れるけど、
    共感することがいっぱいあった。

    セックスに対する恐怖感に近い気持ち。
    経験が少ない人が思うこと。
    逆に経験が豊富でもさらに高みがあること。

    私は、俊介の恐怖心に共感し、
    和也のシチュエーションに憧れ、
    瑞穂の行為をゴールにして進みたいと思った。

    経験が少ない人、距離がある人に読んでほしい。
    きっと何かプラスに変わることがある。

    最初から最後まで、親近感がわくというか、
    身近に感じることが多かった。
    その中にも夢物語があって楽しかった。

    寝る前に読むには、刺激が強すぎたみたいだ。。

    『恋には始まりも終わりも、ひとつとして同じパターンはないし、パソコンのように再起動もできない』
    『わたしを、よろしくね』
    『大人になるって淋しいことだね』

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    2023年02月23日
  • 電子の星 池袋ウエストゲートパークIV

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    ラーメンの話から始まって人体損壊の話で終わる本ってなかなか無い。
    扱っている話題は暗くて粘性のあるものばかりだけど、それでもコミック感覚で読めるのがこのシリーズのいい所。とはいえ、最後の電子の星の重さはそれでは片付けられない程度だった。まだ負けてもいない奴は負け犬以下だっていうの、とても良い。

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    2023年02月22日
  • 美丘

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     人物描写がとても魅力的な本だった。美丘以外は主人公も含め凡庸で、特に直美なんて空気レベルで数合わせのようで可哀想だが、美丘は確かにいきいきとしており頁を進めるごとに彼女に惹かれていく太一に共感できる。
     あらすじは、美丘に太一が惹かれていき交際を始めるも、彼女は不治の病に侵されているというありきたりなもの。しかし、ありきたりな設定でこそ著者の力量が試されるもの。結末は予想できても涙が溢れた。戸田恵梨香が出てた若年性アルツハイマーのドラマを観ていた時も感じたが、どんどん自分が自分でなくなっていく恐怖は計り知れない。ちゃんと約束を果たした太一の深い愛情に胸を打たれた。

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    2023年02月17日
  • 6TEEN

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     大人にとってはたったの2年間で大きな変化が起こることは滅多にないが、子どもにとっての2年は大きい。ダイが並の大人でもできない立派な生活を送っているが、父親の死を背負い前向きに生きている様子がとても眩しくかっこいい。テツローは自分では普通と言っているが、ジュンが4人の中では1番普通っぽいと思う。ホームレスのトクさんの話が1番好きだった。人との距離の取り方は死ぬまで一生模索し続けながら生きていくんだろうな。大人になった4人も見てみたいけれど、きっと勝手に幻滅してしまいそうなのでここで我慢しておかなければ。

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    2023年02月11日
  • 清く貧しく美しく(新潮文庫)

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    一気に読みました。心情がとても丁寧に描写されており、登場人物の行動、考え方がよく見て取れました。
    ただ、個人的にはメインの登場人物の生き方にあまり共感できず、、、でした

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    2023年02月07日
  • 逝年

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    ネタバレ

    コールボーイ2作目。
    新しいクラブの発足とオーナーの他界。
    この仕事の深さ、意味合い、生きることをの意義を肌のふれあいの中から感じる作品。素晴らしい。

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    2023年02月02日
  • 清く貧しく美しく(新潮文庫)

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    アラサーのカップルの日常生活を描いた話。世の中に劣等感を2人とも感じており、お互い貶さず褒め合おうとルールを決めていた。僕も年代が近く引け目を感じながら生活しているので、とても勇気づけられた本だった。経済力や年収で人を判断するのではなく、その人自身の正確や人柄を見るべきだと感じた小説であった。

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    2023年01月30日
  • 不死鳥少年 アンディ・タケシの東京大空襲

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    戦争中のお話だと思って読んでいた。大東亜戦争の時代の中学生、時田武。

    家族と空襲から逃げる頃になって、ただの悲惨なお話ではない、と気づいた。
    命を懸けて、大切な家族を守り抜いた少年の勇気は、尊敬に値する、と感じた。

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    2023年01月27日
  • sex

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    ネタバレ

     余り読んでない作家の石田衣良さん。「SEX」、2012.9発行(文庫)。いろいろなセックスの形態を描いた12の短編集。死を間近に控えた50歳の男性の希望に応え、病室でヌードを晒す元妻、クラブのママ、モデルたち「蝶をつかむ」。結婚10年、未だ妻に触れることができない夫は性嫌悪症。カウンセリングと懸命な努力が2年後実を結ぶ「絹婚式」。妻と15年セックスレスの56歳男性と彼と別れ半年ぶりのセックスの26歳女性。この二人のセックスの顛末は「落葉焚」。

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    2023年01月24日
  • 東京DOLL

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    ネタバレ

    登場人物が、非常にくっきり想像できる作品でした。
    どっかで読んだことがある...訳ではないと思うんだけど。
    ゲームクリエイターて、実際こんな感じなんかな?もしそうだとすれば、お仕事小説的でもあるのかも。

    かなり重い事態を示唆する表現がところどころ出てくるのでハラハラしたが、読み終わってみれば、どれもまろやかな感じで終わっていて、あれ?ていう感じは否めません(笑)。仲良しこよしー?
    ゃ、お陰で読みやすかったので、別にいんだけどね。

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    2023年01月24日
  • 非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークVIII

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    ネカフェ難民、シングルマザー。
    資本主義の名のもとで自己責任論を振りかざし、弱者を切り捨てる世の中にあって、彼らがマコトと出会えた事は何よりの幸運。
    自己責任などという言葉を安易に使えなくなる。

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    2023年01月15日
  • こどものころにみた夢

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    怖い夢、儚い夢、おもらしの夢…? 角田光代、石田衣良、島本理生、市川拓司、長野まゆみといった豪華作家らが美しい絵と共に綴る「夢物語」。『小説現代』連載に書き下ろしを加えて書籍化。

    実際に読んだのは文庫本ではなく古いほう。

    石田衣良や穂村弘のお話が印象的でした。そんな私は永遠の肛門期…。

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    2023年01月13日
  • LAST

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    ネタバレ

     どの作品もラストは続きが気になる終わり方。「この後の主人公の行動や人生はどうなるんだ!?」と想像を掻き立てられた。
     主人公たちに共通してるのは、多額の借金を抱えていること。人間どん底まで追い込まれたら、なんでも出来るのだと勇気を与えてくれる。
     売春、テレクラ、障害者の性、ホームレスなど、ふつうに生活してたらなかなか接触することのない人間の生活を見れたのも新鮮だった。
     印象に残った作品は、『ラストジョブ』『ラストシュート』『ラストバトル』の3つだ。

    【ラストジョブ】
     官能小説みたいでドキドキした。歳上女性好きの私からしたらたまりませんなぁ。歳下男歳上女性の人妻ってシチュエーションだけで燃える。
     援交をラストジョブって言うだけでカッコよく聞こえる不思議。よくよく考えたら、援交=仕事って認識も間違ってないもんね。身体売ってキモい男とヤるわけだから、ある意味ふつうの仕事よりもキツいかも。

    【ラストシュート】
     とにかく不快で気持ち悪い。不快さで言えば今まで読んできた小説の中でも上位に入るレベル。
     おっさんと幼女が交わるだけでもキツいのに、5歳の男の子の穴に指出し入れするシーンでトドメを刺してくる。
    最後グッドボーイ君が反撃してくれずに終わってたらトラウマになってたかも。

    【ラストバトル】
     看板持ちを主人公にした着眼点がすごい。底辺のおっさん同士の交流にほっこりする。トントロと酎ハイで1杯やりたくなった。
     ナカさんの息子が最後助けに来たのが熱かった。口ではボロクソ言うけど、やっぱクズ親父でも血の繋がった親子なんだね。全編の中で唯一決着がつくスッキリした終わり方。この話をラストに持って来たのは良かった。

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    2023年01月07日
  • 美丘

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    主人公のぼくは大学2年生の橋本太一、ある日峰岸美丘という自由奔放な女性に出逢う。太一は麻理という誰が見ても素敵だと思うであろう女性とつきあってみて、はじめて美丘へ抱く恋心に気づく…。太一は麻理に別れを告げ美丘と結ばれるが、子供のころ交通事故で移植手術を受けたことにより、クロイツフェルト・ヤコブ病を発症する可能性がある…もし発症した場合は脳がスポンジのようになり歩行障害からはじまり記憶障害、日常生活が送れなくなり、最期には食事もとれず息もすることもできなくなるという…。どうあろうとも2人でこれからも過ごしていこうと決意したが、不幸にも美丘が発症してしまう…。

    「…生きていることは奇跡で永遠に続くものではない。…命には終わりがあるって頭ではわかっている。でも心と身体の底から限界を感じているのはわたしだけ。…この世界ってきれいだね。」この美丘の言葉…美丘だからこその感じ方なんでしょうね!

    美丘を支える太一が健気で献身的…美丘も当たり前なんだけれど発症前と発症後では全く違う印象が異なる…ラストが切なすぎて、心が震えました(泣けはしなかったけど)…。

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    2022年12月16日