石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ずっと気になっていて、やっと読めた本。
分厚く濃厚な内容、そしてひたすら重い。
果てしなく重い。
家は安らげる場所ではなく、愛を与えられず、抱き締めてもらう事もなく、父からも母からも激しい虐待を受け続けた彼の壮絶な人生は、目を背けたくなり、胸を締めつけられる。
でも、知らないでいる事が一番罪だとも思った。
知らないといけない、知ろうとしなければならないと思った。
人の不幸を目の当たりにして自分を振り返り、なんて幸福なのかとおこがましく思う自分が恥ずかしい。
無条件に受け入れ認めてもらえる事が、誰かに愛された記憶が、その後の人生をいかに豊かにするのか。
不幸の連鎖が取り返しのつかない所までい -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・約束
・青いエグジット
・天国のベル
・冬のライダー
・夕日へ続く道
・ひとり桜
・ハートストーン
どの短編も誰かとの約束がテーマになっている。
それは事故や病気で亡くなった人との約束だったり、けがや病気で歩くにも事欠くような人との約束だったり。
つまり、下手な人が書けば、ベタなお涙ちょうだい小説になるものばかり。
ところが悔しいことに石田衣良は上手いんだな。
池田小事件のニュースを見て、理不尽に巻き込まれた事件の被害者たちが、苦しみから立ち上がり人生に帰ってくるために、何事かを救い出すことができればと書かれた『約束』は、設定を読むだけでも胸がふさがってしまうほどの苦しみが押し寄 -
Posted by ブクログ
中学2年のジャガことミキオには、CMタレントで小学生の妹ミズハと、引きこもりで中学生のカズシがいる。そんな中、ミズハの同級生の女の子が山の中で殺され、そこには「夜の王子」というメッセージが残されていた…。
ジュブナイルチックな設定に、子供視点では柔らかめの表現ではあるものの、序盤からハードな展開になるため、子供向けとは言い難いストーリーである。
「ぼく」という一人称視点のミキオのストーリーと、三人称視点の新聞記者の山崎のストーリーを交互に進めていくのだが、途中でほぼミキオの話だけになる。山崎に何かをやらせたかったのだろうが、少々そのあたりは企画倒れであったか。
ミキオの周辺は、弟に妹だけ