石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間の倫理観が揺らぐ瞬間を容赦なく照らし出す一冊だった。不倫が“ダメ”と分かっていても踏み込んでしまうのは、当事者の弱さだけでなく、家庭や夫婦という制度そのものの綻びが原因なのかもしれない。登場人物の誰もがどこか倫理が欠けていて、その欠落ゆえに破滅へ滑り落ちていくさまは痛烈で、若さのエネルギーや美しささえ毒のように作用する。
友情とは何か、人間関係とは何か。信頼すればするほど、裏切られた時の傷は深い。そんな残酷さが物語全体に静かに満ちている。
クライマックスの怒涛の展開は圧巻。ページを繰るたびに鼓動が速まり、読む手が止まらなかった。
物語の世界に没頭し、余韻の濃い読書体験だった。