石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
IWGPシリーズ、18巻目。
いつもの通りに世相を切り取る話だが、3話までは、祖母を介護するヤングケアラー、技能実習生制度に翻弄される外国人労働者、マッチングアプリを利用した美人局、といった話題。
相変わらずとサクサク読めるが、これらの話ではタカシ&Gボーイズを頼んで事を収める場面がいつもより少なめ。その代わりに、ちょっとほっこりする場面がいつも以上に楽しめる。
高校生の頃におごってもらったラーメンの借りを返すという展開やその対価は手づくりコロッケという結末(神様のポケット)が微笑ましく、ヤングケアラーの女子高生のギリギリの心情(常盤台ヤングケアラー)やゼロワンが出会った少女の天真爛漫な反応(魂マッチング)にうろたえながらも寄り添うマコトの姿も気持ち良い。
四話目、少し長めの表題作がまた良かった。急成長するペットチェーンの極悪非道な実態を暴き叩き潰すお話。
近所にできたホームセンターの中にペットコーナーがあって、私は犬や猫が好きなわけではないのでなんとなくかわいいもんだ程度に思って眺めてはいるが、ケージの大きさが法律で決められていたり、そもそもああした店頭ディスプレイ販売する生体展示が多くの国で禁止されているなんてことは知らなんだ。言われてみれば確かに、あの子らにはなかなかストレスなことではあろう。
悪質ペットチェーンに抗う動物愛護NPOと同じ目的ながらそこから分派した動物愛護のテロリスト、それら両方からの依頼を受けて二股かけるマコトの動きにちょっとドキドキ。
裏の世界のオーディションというのもなかなかだが、それらを相手にしてもタカシはいつも通り。タッグを組んだレスリング馬鹿に花を持たせるところもまたかっこ良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ正統派の学生による就職活動を題材とした小説として、面白かった。
主人公の千晴含め、シューカツプロジェクトのチームは皆、マスコミ志望のためその辺りの就活事情が主だったストーリーではあるものの「働く」ということがどういうものか、就活の流れなどという原点に立ち返って話が進んでいくためリアリティがあってとても良い。
ただ、千晴がどこを合格し、どこを不合格になるかみたいな部分が透けて見える感じの文体なのでワクワク感はあまりないかも…。
プロパーをまだまだ大事にする日本社会の構図の中で新卒採用をゴールデンチケットと称するところもすごく地に足がついていて現実的な物語だった。 -
Posted by ブクログ
【2025年9冊目】
ヤングケアラーと売春アプリ、外国人アルバイトと賽銭泥棒、凄腕ハッカーとマッチングサイト、命を金と見るペットショップビジネス――池袋ウエストゲートパーク第18弾。
本屋さんに行ったら、18弾目が文庫化してたので、やったーと思いながら購入し、速攻読みました。解決が早くなってる気もしますが、トラブルシューターとしての腕が上がってるからなのかもしれません。それにしても、表題作といい、酷い話が多い。現実にはない話、ではないので池袋を舞台にしていながらもどこかで実際に起こっていることなんだと思うと、単純なエンタメとして楽しむには些か重い気もします。
そんな中でキャラクターの魅力には救われますね。相変わらずかっこいいキングに、ちょっと人間味を見せてくれたゼロワン。腐れ縁の吉岡刑事も好きですし、以前の話に出てきたキャラクターが再登場するのもいい。
しかし、人が人を、人が人以外を食い物にする、自分本位な人間性って、どうにかならないもんなんでしょうか。人は支えあっているだけじゃなくて、犠牲にし合ってる生き物でもあるんだなと思ったりもしつつ。
次作の文庫化も心待ちにしています。 -
Posted by ブクログ
リクルート社発行のフリーマガジン「R25」にて連載されていた直木賞作家、石田衣良さんのエッセイ『空は、今日も、青いか』の単行本化第3作目になります。2008~2010年当時の世相が分かって面白いです。
この本はフリーマガジン「R25」に連載されていたエッセイ「空は、今日も、青いか」を単行本化したもので、これで三冊目になるのだそうですね。
僕は前の2作もすべて読んでいるのですが、いつものことでこの本から紹介させていただくことをお許しください。今は「R25」をリアルタイムで読むことができないのですが、東京に暮らしていたときは「R25」の発売日になると毎週、コンビニに行ってもらってきては熱心に読んでいたことを思い出しました。
ここに収録されているのは2008年の2月~2010年の7月に書かれたものを加筆・修正したもので、政治・経済はもちろんのこと、恋愛やコンカツ。中にはオーディオに関するエッセイもあって、改めて石田衣良さんの作家としての幅の広さを再確認させるような本でございました。
しかも、一見硬くなりそうなテーマをあくまでさらりと読ませるところに持ち味があるような気がするのは、きっと僕だけではないと思います。
その中でも僕が特に「おっ」と感じた箇所は『市場は悪か?』というタイトルのエッセイで
『世界のマネーゲームに日本の実体経済にまで影響を受けるとは、断じて許しがたい。こつこつと働いて、モノづくりをする。労働こそ尊いのだ。市場はギャンブルで、市場は悪だ。』
という世の中の風潮に
『半分には同意できるが、半分は反対だ』
と独自の論旨を展開して行く様子はかつて、自身で投資家として株を運用して生活をし、『波のうえの魔術師』(文春文庫)というマーケットを題材にした小説を書いた筆者ならではの見方だな、と感じました。
僕も、かつて20代の最初のほうを市場の世界に身をおいていたので、そういうところは皮膚感覚でわかるし、何でもかんでも市場は悪だ、という考えには首をひねらざるを得ないです。
これを読んでいると、またR25を手にとって読んでみたくなりますが、なにぶん都市圏しかおいていないので、そこまで僕が足を運ばなくてはならんのかと、少し気が重くなります。
※追記
「R25」ならびに「L25」は紙での発行を取りやめ、電子版に完全移行しました。少し寂しいです…。本書は2014年1月17日、集英社より『坂の下の湖 (集英社文庫)』として文庫化されました。 -
Posted by ブクログ
私にも14歳の頃があった。鋭意、引きこもり真っ最中という多感な少年であった。
そんなおり、祖母がこの本を買ってきてくれた。おそらく、『4TEEN』という題と「直木賞受賞」という文句が、祖母をしてこの本を買わしめたのであろう。
私は当時、この本をきちんと読まなかった。最初の章でやめてしまったのだ。
本を読むほどの余裕がなく、また大人から勧められた本を読んでられるか、といった思春期の反抗が私の中にもあったのかもしれない。
ともあれ、10年の歳月を経て、私はこの本を読み終えた。
やはり、14歳の頃に読んでおいたらよかったなぁと思った。多分、感動の度合いがもっとストレートだったと思う。
14歳の男子中学生4人組、エッチなことには興味津々で、でもそれぞれの悩みが時おり顔を見せる。
この本の各章には、セックスやジェンダー、親からのDV、病気など、重いテーマもある。でも、それらに向き合っていくこの4人組の言葉とか態度とか、それらをひっくるめた友情が素敵なのだ。
大人になって小難しく考えるようになっても、14歳の頃の純粋でストレートな感じを忘れないでいたい。この本を読んで感じたのは、色んなことを高度に考えられるようになって、言葉も増えた大人より、実は14歳の頃の私たちの方が「近い」のではないかということだ。何に近いのかは、人生の真理かもしれないし、悩みの本質かもしれないし、幸せかもしれない。幾分か大人になってしまった今は、あの頃の近い気持ちは、もう感じとれないと思う。
なればこそ、この本は14歳に読んでおきたかった。いい本だった。
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「ぼくが怖いのは、変わることだ。みんなが変わってしまって、今日ここにこうして四人でいるときの気もちを、いつか忘れてしまうことなんだ。ぼくたちはみんな歳を取り、大人になっていくだろう。世のなかにでて、あれこれねじ曲げられて、こうしていることをバカにするときがくるかもしれない。あれは中学生の遊びだった。なにも知らないガキだった。でも、そんなときこそ、今の気もちを思いだそう。変わっていいことがあれば、変わらないほうがいいことだってある」