石田衣良のレビュー一覧
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シリーズ19作目。
ウィスキーバブル、アイドル個人情報流出、老人強盗、宗教二世問題。
池袋ウエストゲートパークシリーズ二期を迎えてから、より身近な社会問題を取り上げるようになって久しい。
本作を読み終え、一期の頃を思い返すと、近年の社会問題がスケールが小さいという表現が適切かは怪しいが、それ故により身近でぬるっと蔓延侵食し、自分自身が麻痺しているような感覚を覚える。
多様性が叫ばれる一方、全ては自己責任の名の下に「護る」という社会の目が機能しなくなってきている。
いつの世も弱者は存在し、セーフティネットから溢れ生きるものがいる。
2025年現在、7人に1人が貧困であるという。
本 -
Posted by ブクログ
幼稚園のママ友からの誘いで 年上女性と若い男性が参加する マダム芹沢のお茶会 で出会った事で不倫に発展してしまう 大人の恋愛。
きっとそういう世界もあるんだろうな。
一般的にキレイな男女が集まる会など自分自身には全く縁は無いが、やはり羨ましいと感じる。
大人の恋愛は危険であるのはアタマでは分かっていても止められない魅力がある。
文美子夫婦はお互い不倫がバレてしまったが、男はオロオロ、女はドッシリ そんな風に感じ、実際にもきっとそうなんだろうと思う。離婚にまでなってしまったが、文美子(女性)の強さを感じた。
そんな文美子目線での作品なのでサッパリと爽やかな感じに終わっていると思う。 -
Posted by ブクログ
不倫がテーマであるものの、誰かを好きになる気持ちの尊さみたいなものがしっかり描かれていて、やっていることはドロドロの不倫だけど恋愛小説のような爽やかさがあって良かった。
しかし不倫をするリスクもこれでもかというくらい書かれていて、主人公がどんどん窮地に陥っていくシーンはハラハラしながら読むことができた。
また不倫相手の男性(俳優志望で20代半ば)が本気で結婚まで考えている一方で、主人公の女性は「この状態もいつか終わるんだろうな」と冷静なところもリアルでよかった。
不倫を推奨するでもなく、かといって卑下するわけでもない、石田衣良さんならではの切り口がとても面白かった。
というわけで⭐︎四 -
Posted by ブクログ
ネタバレ夜の桃は、一粒が書いた夢小説って感じだったが、これは大人で、核心を突くような台詞もあって、桃より百倍よかった
以下自分用↓
俊也…この世界が年を追うごとに息苦しくなるのはなぜだろう。この調子ではこの国に生きる全ての人がお互いを敵として憎み合うようになる日は近いのかもしれない。
ナギ…「なんかわかりやすすぎて嫌になる。男は地位と金、女は若さと処女性。私たち、だんだんビンボーになってきたんだね。生きていくのに、何が重要なのか、その価値観が全部むきだし」
俊也…この国は根本から改革するには、まだまだ快適すぎるのだ。南欧の国々のように失業率が高いわけでもなく、苦しくなったという給与所得者の暮らし