石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間の倫理観が揺らぐ瞬間を容赦なく照らし出す一冊だった。不倫が“ダメ”と分かっていても踏み込んでしまうのは、当事者の弱さだけでなく、家庭や夫婦という制度そのものの綻びが原因なのかもしれない。登場人物の誰もがどこか倫理が欠けていて、その欠落ゆえに破滅へ滑り落ちていくさまは痛烈で、若さのエネルギーや美しささえ毒のように作用する。
友情とは何か、人間関係とは何か。信頼すればするほど、裏切られた時の傷は深い。そんな残酷さが物語全体に静かに満ちている。
クライマックスの怒涛の展開は圧巻。ページを繰るたびに鼓動が速まり、読む手が止まらなかった。
物語の世界に没頭し、余韻の濃い読書体験だった。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い!!
ドラマのIWGPが大好きで、今回やっと原作である本作を読みました。
ドラマとは少し登場人物のイメージが異なる所に少し驚きましたが、さすがの原作、めちゃくちゃお話が面白かったです。
本の厚さは特別厚いものではありませんが、一つ一つのお話がとても濃く、一冊読み終える頃には長編のドラマ一本を観終わった時のような感覚になりました。満足感がすごい。
ただ刺激的なお話なのではなく、登場人物たちの人間臭さ、不完全さがとても魅力的です。
なんといっても主人公のマコトがかっこいい。
クールなようで人情深く、凄まじい時代の流れのど真ん中に立ちながらも客観的に全体を捉えています。
流されて -
Posted by ブクログ
石田衣良のマコトシリーズの2冊目。短編が3つ。
裏風俗に押し入る目出し帽の少年たち。彼らの特定にあたり、マコトは少年院からでてきたばかりのアツシと接触する。アツシの姉はアキラという柔道に長けた少年らに拉致監禁された過去があり、アキラらが怪しいと踏んで調べていくのだが、風俗強盗だけでなくマコトの仲間のアジトへ火が放たれるなど、様相は激化していく…。
一作目(一冊目)では「ちょっと価値観が古いな」と感想を書いていたが、この作品では2作目から、急に臨場感と勢いを伴った作風に少しずつ変わっていった感じがあり、推理小説と言うかノワール小説として楽しめる作品になっている。
目を合わせたらいきなり喧嘩 -
Posted by ブクログ
【2025年132冊目】
摘発された男娼クラブをもう一度復活させる――リョウはクラブのオーナーとして、売れっ子のアズマ、元オーナーの静香の娘である咲良と共に男娼クラブを再スタートさせる。問題は男娼のスカウトだったが、徐々に軌道に乗り始め、ついには元オーナーの静香も刑務所から戻ってくることに。だが、静香とは別れが近づいていて――「娼年」続編。
まさかの続編を見つけてしまったので速攻で手に取りました。「これは創作、これは創作」と言い聞かせながら読みましたが、やっぱりsexを題材にした話って面白いんですよね。めちゃくちゃ人の感情が乗ってくる、しかも男娼クラブがテーマなので、未知過ぎる世界で、これ