石田衣良のレビュー一覧
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10代で熱狂して、20代半ばでこんなものは子供騙しだったと悟った気になる。
池袋シリーズは子供騙しの3コードパンクみたいなものだ。
そして30代になり、それを作り続ける大人がどれほど素晴らしく、また、羨ましい事だということに気付かされる。
シンプルで、誰もの胸を打つ作品というのは、受け手に「これなら自分にも作れる」という気にさせる力がある。当然、勘違いなんだけど。
この小説の魅力は登場人物と時代の描かれ方。
シリーズを通して、改めて読み返していると失いかけていた10代から20代の記憶が鮮明に蘇ってきて、不思議となんだか活力も漲ってきた。
ここ数年、同じ様なことばかり書いてある、ビジネス書と呼ばれるものばかり読んでいて一度は離れてしまった池袋。(というより小説全般)
空想に耽る時間が無駄だと考えたのは間違いだった。クソみたいな啓発本を何冊も読むより、(例えフィクションでも)誰かの人生に深く触れる事の方がよっぽど有意義だ。
ああ、戻って来れて良かった。
私は、たまたまマコトと同世代として存在出来た事に感謝している。 -
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ネタバレ石田衣良の「娼年」シリーズは、とにかく買いづらい本。
だが、素晴らしい比喩表現とリアルな感情が渦巻く本である。
それは、1作目でも言った。
2作目でも、普通とは何かを考えさせられた。
今作では、GIDでFTMのアユムが登場する。まさに、今 社会の課題として取り上げられていることだ。性には様々な種類があることは理解していても、ここで更に多くのことを知ることができた。
そして、永遠の別れについても考えさせられた。
「人は死なない。ただ消え去るだけだ。」
この言葉に、多くの感情が込められているように感じた。死を乗り越えて、それでも人は生き続ける。肉体がなくなっても魂はここにあるんだと、リョウに言われた気がした。
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無料版購入済み
この作品は…
この作品は、かつて映画化もされましたが…
個人的には、映画版よりも好きです(⋈◍>◡<◍)。✧♡
先ず、主人公がセクシーだし、娼夫に対する考え方が斬新だった…
この作品によって、行っている事の結果は同じでも、考え方ひとつによって全く印象が変わってくることを教えてもらいました。
色々と考えさせられる作品ですね… -
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タカシが何故絶対王者になったのか、マコトが何故友達なのか、すごく良い作品。
個人的には巻末の辻村深月さんの解説も良かった。確かにこのシリーズはマコト目線で、軽やかで、痛快に描かれることが多い。シリアスで、怖くて、重い表現は極力減らされて(今回で言うと「おれは震えながら言った」とか。状況的に思うこと多そうだけど、それを1行で済ませてる。こういうの本当多い)、明るくて、くだらなくて、フワフワしてる部分に焦点を多く当ててる。マコトのキャラ設定のせいだと思ってたけど、やっぱり作者さんが描きたいことがあって、このキャラ設定にしたんだなぁと改めて納得しました。
物語+解説含めて満点です。 -
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「一冊に4篇」というのは、シリーズの最初から確立されていて、最近の作品にも受継がれている。
この一冊には…ネットで女性の居る部屋の様子の画を配信する商売を巡るトラブルを何とかしようとする一件…計数機を手に何でも数えているという不思議な少年と出くわして、その少年が巻き込まれた事件を何とかしようとする一件…続発していたオートバイを使うひったくりの被害に遭った老女が思わぬ大怪我を負ったことに憤慨している、同じ老人ホームに居る男性に協力する一件…、「女子高生監禁暴行」という凶悪な事件を起こした経過の在るグループが、ストリートギャングを襲撃、更に方々で強盗ということを仕出かしていて、その正体を探るという一件…という4篇が収められている。
比較的近年の作品から、この初期の作品までドンドン読み進めた。主人公であるマコトの、一人称の語りで綴られている本文の感じ、何処となく老成しているかもしれない眼で自身の周辺や社会を眺めるような調子は変わらないのだが、初期作品のマコトは「より瑞々しい」というような感は受ける。
表題作で、テレビドラマの原案にもなった『少年計数機』は、「はみ出した」という感じの独特な少年に、飽くまでも対等な個人同士として向き合おうとするような、マコトの温かさのようなモノが非常に好い。そしてそのことが事件の解決への鍵を掴むことに繋がるのだ…
凶悪な事件を起こした経過の在るグループの事件と向き合う『水のなかの目』は、なかなかにスリリングな“探偵モノ”である。アクションや、思わぬからくりを解き明かす展開が面白い。
これも非常に面白かった!! -
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第3作でも、最近作まで受け継がれている一冊に4篇を収める体裁は変わっていない。
ホームレスを襲うという事件が続発する中、明らかになって行く意外な真相という一件…マコトが知り合った小学生の少女の水商売に携わる母親がトラブルに巻き込まれ、小学生の少女に危害を加えようとする者が現れて激怒し、対決するという一件…“地域通貨”というモノを創る地域運動のNPOが注目されるのだが、その背後で不穏なモノが蠢いている状況を何とかしようとする一件…“レイヴ”(狂乱)というムーブメントの他方で蠢く新種のドラッグを巡る一件…という4篇だ。
この第3作の中では、2篇目の『西一番街テイクアウト』と4篇目の『西口ミッドサマー狂乱』が秀逸だった…
『西一番街テイクアウト』は、本が好きで少しませている小学生の少女とマコトが出会い、水商売の母とも知り合うのだが、その母が街でのトラブルに巻き込まれ、マコトの“おふくろ”が街の人達の先頭に立って立ち上がる。そんな辺りが痛快だ。やがて敵対する側が小学生の少女に危害を加えるような挙に出て、怒りに燃えたマコトが仲間達と立ち上がるのだ…
『西口ミッドサマー狂乱』は、マコトの弟分的な感じの年少の友人であるエディーが少し哀しいのだが、美しいモデル兼シンガーのトワコとマコトとの出会いが酷く印象深い物語だ…その後の作品でトワコへの言及は全然無いので、一寸気になってしまうのだが…
とにかくも、このシリーズは愉しい!! -
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例によって一冊に4篇が収まっているが、各篇各々に面白い。
ラーメン店の一件の物語は、シリーズを原案に制作されたテレビドラマが好評であったことから、少し経って続篇特番的なモノが登場した時に原案にされたということが在ったらしい。
そして「傑作選」で読んだ時に「味わい深い…」というように思ったが、他界した男を巡り、その死に纏わることを調べるという物語の『ワルツ・フォー・ベビー』は、好い意味での「古典的ハードボイルド」という味わいが好かった。これは最近制作されているアニメ版で原案になったらしい…
残る2篇…弱い立場の者を脅かしているような卑劣な振る舞いを許す訳にも行かないと、身体を張ってでも何とかしようと奮戦する辺りが凄く面白い。そして、「どうでも構わないが、卑怯に過ぎるのは許せん!」というような辺りに共感もしてしまう。
偶々、近所の書店に積まれていた「傑作選」を介して出会ったシリーズだが、出会えて善かった! -
Posted by ブクログ
本作も例によって一冊に4篇を収めた体裁である。
“スカウト”という仕事に携わる若者が巻き込まれたトラブルをどうにかしようとする物語…往年の大人気シンガーが関わってしまった一件を巡る物語…大人気の玩具の製造工程の裏に在る問題を告発しようとする物語…ネットの掲示板で人を募って集団自殺をすることを仕掛けている謎の人物の正体を暴いて阻止しようとする若者達の物語…そういう4篇である。
本作は、発表された時代の新しい風俗、新奇に見える事象を採り入れるようにしている。そういう意味で、年月を経てから作品に触れると、発表当時に新奇であったモノが古い感じに視える場合がないでもない。が、発表年次と無関係に、このシリーズの新旧作品をドンドン読んでいるが、そういう辺りは然程気にならない。劇中人物達が使うモノに言及が在った際に、「XX年頃だな…」と気付くというだけのことだ。
本作は、発表された時代毎の新奇に見える事象等を巧みに採り入れてはいるのだが、「時代を超える魅力」を有していると思う。市井の、特別な地位や立場という程でもない若者が、何やらのトラブルをどうにかすべく奔走してみるという様子を介して、「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺り、「面倒な時代かもしれない。それでも生きる俺達…」という「人生の価値」を問うような感じが魅力のように思う。
この第5作の中、秀逸だったのは4つ目の篇である、表題作ともなっている『反自殺クラブ』だった。
少し前、何時であったか読んだ週刊誌に在った、何方かのエッセイ、またはインタビューの口述筆記に在ったのだが「感染症で命を落とす人よりも、自殺者の方が余程多いのでは?」という事実が間違いなく在ると思う。それはこの小説が発表された頃の前も後も、そして極最近も残念ながら余り変わっていないのかもしれない。だから、この作品が少し考えさせられたのだ。
主人公のマコトを訪ねて若者達が現れた。マコトは彼らの活動への協力を依頼された。
その活動というのは…ネットの掲示板で人を募って集団自殺をすることを仕掛けている謎の人物の正体を暴いて阻止しようということであった。そして若者達は、親が自殺してしまった経過が在る“自殺遺児”という共通項を持っていた。
若者達は、自分達のグループのことを“反自殺クラブ”と称していて、それが物語の題名にもなっている。この若者達とマコトの行動、事態がどういう具合になるのかに関しては、是非とも本作を紐解いて頂きたい。意外な展開にも少し驚く。
それにしても…命は命を有する者自身のモノであるが、同時に周辺の多くの人達が、殊に身近な家族のモノでもある。そんな「命?その価値?」というようなことを深く強く考えさせられた。
何れにしても広く御勧めしたいシリーズだ! -
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これも4篇が一冊に収まるという体裁で纏まっている…
“訳アリ”な小学5年生が、一部に悪名高い凶悪な男に強請られている一件の解決を目指す物語…通り魔的に強盗傷害の罪を犯してしまった若者と、被害者の青年、その妹を巡る物語…夜の街で働く女性に向けた無認可の保育所でアルバイトをする若者に向けられた、幼児性愛者による事件に関する疑いを晴らそうとする一件の物語…ホストクラブにハマって借金をしたことから、半ば監禁で風俗の仕事をする羽目になっている姉を助けてという依頼から拡がる、街で進んでいた動きを巡る一件の物語…というような4篇だ。
今般は各篇、何れも「このシリーズらしい!」という感で、なかなかに面白い。殊に2篇が気に入った。
通り魔的な強盗傷害の被害で、完治が望めない怪我を負った青年の妹が主人公のマコトを訪ねるという辺りから物語が動く『野獣とリユニオン』は、何か心動かされる挿話だと思った。
「街の浄化」というような活動が起こっている最中、「何かおかしい?」を探りながら、依頼人の姉の問題をどうにかしようとする『池袋フェニックス計画』は、状況が二転三転して「どうなる?!」と少し続きが気になって、力が入った…
話しを持ち込む人、関係者からとにかく話しを聴き、各々の立場の人達に可能なように寄り添いながら奔走するマコトの姿が、「どうしてこういう時代になっている?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」と問うような感で、更に「人生の価値」のようなモノを問うているように感じる。
とにかく、このシリーズを酷く愉しんでいる昨今である… -
Posted by ブクログ
例によって4篇が収まった一冊となっている。
電話による特殊詐欺に関わった若者の物語…絵画販売の詐欺に関する物語…自宅の放火という事件に関わってしまった少年を巡る物語…池袋のストリートギャングの世界に巻き起こった騒動に関する物語…という4篇である。
今般は「事件の“加害者”の立場に在った人物」が、犯してしまった罪を罪として受け止め、それを乗り越えた先へ進むという様子に、主人公のマコトが寄り添うような、そういう感じの物語が2篇在った。過去は、何をどうやっても変わらないが、未来は自身の考えと行動次第で如何様にもなるという訳だ…
という感じなのだが、最初に収められた篇、『要町テレフォンマン』に登場する、電話による特殊詐欺に関わった若者の人物造形、作中での動き、変化が何となく面白かった…
このシリーズ…未だ未読は多く在る訳で、当分は楽しめそうだ… -
Posted by ブクログ
実を言えば、本書には「傑作選」で読んだ篇が2つ在り、それは再読になったが、それぞれに愉しんだ。
シングルマザーの物語…街のゴミ拾いをしようという運動を起こした青年を巡る物語…交際相手の男が撮った性行為の写真で強請られている女性を巡る物語…非正規雇用、「派遣」の若者達を巡る物語…こういう4篇だ。
4篇の何れも「最近、問題ではないのか?」という小説が発表された時期の事象を取り込んだ物語で、その顛末を介して「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」と問うような感で、更に人生の価値」のようなモノを問う内容でもあると思う。
主人公のマコトは、母親と2人という家庭で育ち、一緒に暮らし続け、母親が営む果物店を手伝っている。このマコトの母の若かった頃と似た境涯である、3歳の幼い男児を抱えた若い女性が登場する篇、そして別な篇では母親が逝去してしまった後に警察官の父親と2人という家庭で育ったという若い女性が登場する。これらの篇は、時代状況を超えた「家族の絆?」、「人の基礎?」を問うような内容だ。
今般、強請られている問題でマコトが問題解決に奔走することとなった女性が登場しているが、この父親は警視庁で課長職に在るという幹部である。この父親の元部下で、公私に亘って親しいという警察OBの男性が登場する篇が在る。この“おじさん”が一寸好かった…
表題作の『非正規レジスタンス』は「傑作選」で読んだ時に心揺さぶられる何かを感じたが、秀逸だと思う。「どうしてこういう時代になった?」という中、酷い境涯に必死に耐えて懸命に生きる若者と、“潜入捜査”か何かのように奔走するマコトと、一寸意外な問題解決…或いはこの篇の作中人物達の「何年か後」というのは読みたいような気もする。
ということで、このシリーズとの付き合いは続きそうだ…