石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ産まれてからずっと壮絶な虐待を受けてきた主人公。奇跡的に大人になれた。 彼は初めて愛してくれる人に出会えたが、詐欺によりその人の金を奪われ病気で亡くしてしまう。 詐欺の相手に復讐しようと試みる彼は殺人者になる。 ここから逮捕、裁判という流れで彼も知らなかった過去を知ったり、もはや求めていない人の優しさに触れる。
終始辛いお話でした。 子どもを虐待する話は文字でもしんどいですが、裁判中の証言で乳児の頃からと知りおかしくなりそうでした。 サイコパスと言えばそうなのでしょうが、精神病院に行ったほどなので至高はずっと病んでいたのかもしれません。彼に付き合い続けた母親は最低ですね。 子と一緒に逃げる選 -
Posted by ブクログ
水は器によって形を変えるし、手でつかもうとすればこぼれてしまう。
つかめそうでつかめない、だけど確かに“そこにある”もの。
俊也がナギに感じた想いもそう。
それは「恋」なのか、「憧れ」なのか、「依存」なのか…はっきりわからない。
でもたしかに彼は惹かれ、心を動かされていく。
水=「ラベルでは定義できない愛や欲望」の象徴。
水は抱えようとした途端にこぼれてしまう。
でも人は、手に入らないもの、形のないものでも、それでも「抱こうとする」。
ナギへの想い、自分を見つめ直す苦しさ、愛することの儚さ……
そういう全部が、まさに「水を抱こうとする行為」なんだと思う。
水=「叶わない、でも捨てられな -