石田衣良のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
石田さんの作品は初めてだったが、文章は読みやすく、筋も面白いので先が気になってどんどん読み進めた。
冷め切った夫婦の関係。
そこに現れる、魅力的な異性。
禁断の恋の果実と、代償。
結婚して子どもが生まれたら、夫婦間の性関係が無くなっていく場合も多い。
しかし、人間の性欲はなくならない。
単なる性欲なら風俗で事足りるが、それでは心は満たされない。
だから不倫が生まれるのだろう。
この本では、マンネリ化した夫婦の関係性と、不倫相手との情熱的な関係性の対比がとてもリアルに描かれている。
こんな恋愛をしてみたい。
そう思いながら読み進めるが、終盤には「やはり不倫には幸せな終わりは無い」という諦 -
繊細さと透明感のある作品
リョウはコールボーイ。たとえ彼がVIPクラスの相手をする「特別な男の子」になったとしても、やっていることが売春であることには変わりありません。
売春という行為は、私には考えるだけでもとても抵抗がありますし、それをする人を認める気も全くないのですが、それでもこの作品を読んでいると、その価値観を人に押し付けるのも、どうなのだろうと考えさせらました。
リョウに仕事を辞めさせたがった彼女の気持ちはとても良く分かりますし、その行動もきっと間違ってはいなかったと思います。
それでも、彼女の正義感の押し付けが、まるで言葉の暴力のように感じられてしまったのです。
何が「普通」で、何が「混線している」かなどと -
Posted by ブクログ
ネタバレ産まれてからずっと壮絶な虐待を受けてきた主人公。奇跡的に大人になれた。 彼は初めて愛してくれる人に出会えたが、詐欺によりその人の金を奪われ病気で亡くしてしまう。 詐欺の相手に復讐しようと試みる彼は殺人者になる。 ここから逮捕、裁判という流れで彼も知らなかった過去を知ったり、もはや求めていない人の優しさに触れる。
終始辛いお話でした。 子どもを虐待する話は文字でもしんどいですが、裁判中の証言で乳児の頃からと知りおかしくなりそうでした。 サイコパスと言えばそうなのでしょうが、精神病院に行ったほどなので至高はずっと病んでいたのかもしれません。彼に付き合い続けた母親は最低ですね。 子と一緒に逃げる選 -
Posted by ブクログ
水は器によって形を変えるし、手でつかもうとすればこぼれてしまう。
つかめそうでつかめない、だけど確かに“そこにある”もの。
俊也がナギに感じた想いもそう。
それは「恋」なのか、「憧れ」なのか、「依存」なのか…はっきりわからない。
でもたしかに彼は惹かれ、心を動かされていく。
水=「ラベルでは定義できない愛や欲望」の象徴。
水は抱えようとした途端にこぼれてしまう。
でも人は、手に入らないもの、形のないものでも、それでも「抱こうとする」。
ナギへの想い、自分を見つめ直す苦しさ、愛することの儚さ……
そういう全部が、まさに「水を抱こうとする行為」なんだと思う。
水=「叶わない、でも捨てられな