石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み終わった直後は反発を覚えるものの、時の経過とともにじんわり沁みてくる母の優しさのような小説である。物語の終盤に主人公2人がそれぞれ決断をするのだけど、読みながら「いやいやいや、なんでやねん」と盛大にツッこんだ。
お金を稼ぐとこが卑しいという考え方はあまり好きではないが、お金を使わずに精神的に豊かな生活を送っている人がいることも知っている。ただ、後者の場合は清貧生活を自分で選択しているか、選択の余地なく強いられているかで随分幸福度は変わってくる。
雇われの身としては、もっと給料上げてほしいな〜とか、もっと優秀な人たちと働きたいな〜とか、日々思うことはあるけど、今より給料が高くて、意識高い人が溢れる職場に転職したとして、それで私は幸せなんだっけ?
人生で何をして、どう生きていきたいか、考えさせてくれる良き本。 -
Posted by ブクログ
恋愛小説です。 貧しい同棲をしているカップルのお話。 明確に彼女が浮気をしているシーンは辛かったな。 衣良さんがこの程度は浮気の内に入らないと考えていそうだけど、好意を持ってしまっていたから読んでいてしんどかった。
彼らは一緒にはなれない。 現代が彼らを一緒にさせない。
人が幸せを求める時、必ず邪魔をする他者がいる。
読み終えてから妻と手を繋いで近所を散歩しました。
僕は誰にも邪魔をされずに妻と幸せな日を送っている。気が付いていないだけで本当は違うのかもしれない。
気が付かないままでたくさん本を読んでたくさん音楽を聴いて過ごしていきます。 -
Posted by ブクログ
久々にいい作品に出会えた気がした。
自分を消費していくことと、自分が消費されていくことは違う。
幼少期から決められたレールに乗って生きていける人が私は心底羨ましいと思う反面、つまらないと思っていたこともあった。
自分が何に対してキラキラワクワクできるのかは、人それぞれ違うなんて当たり前なのに忘れる。
最後まで通して私が日頃から考えていることの具現化のようで読んでいて惹き込まれた。
「普通の幸せ」とはなにか。
考えても考えても答えが出ないのは、人類皆共通の幸せなんてこの世に一つも存在しないからだということを再認識させられた。
人生に何を求めるか。
私も、日菜子や堅志のように「やりがい」や「生きがい」を求めてるのだと思う。
豊かな国に生まれて自分の人生をいくらでも選べる今に生きているからこそ
消費される立場が故に付いてくる価値ではなく、自分が自分自身を消費していく上で生じる価値を重んじて生きていくのも悪くないと思う。 -
Posted by ブクログ
たまたま古本屋で出会って手に取ったエッセイ。一つ目の文章を読んだ瞬間に、涙が流れそうになったのを覚えている。社会人三年目も終わりかけの今の自分に、心から響くエッセイ集だった。
正直好きな言葉が多すぎて選びきれないので、あえて印象に残ったフレーズは今回はまとめない。フレーズだけ切り取るとチープに感じてしまうのが嫌だから。
そして私は今まで、正直自分のことは自分しかわからない、と言って、壁を作りかけていることが多々あった。だけどそんな寂しいこと言わないで、孤独を感じてばかりいないで、その人にはなれなくても、その人の気持ちを想像することはできるって、ただの希望でもいいから、そう思おうって改めて感じた。
人生の意味とか、生き方とか迷ったときに、手に取ってほしい、読んでみて欲しいエッセイです。おすすめです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ北斗、読むのに半年以上かかってしまった。理由は虐待シーンが過酷で、手が進まなかったから。至高の怖さに一緒になって怯えてしまい、気持ちに余裕のある時じゃないと読み進められなかった。それくらい描写がリアリティのあるものだった。
北斗の半生は過酷極まりない。さらに様々な偶然が重なり、殺人へと至る道を思うと、人生はなんて不平等なんだと憤りを感じる。実際、殺人事件は幸福な人が犯すものではないし、北斗のように様々な不幸が重なった人によって引き起こされる。そこを思うと、人間社会の歪さや、人生の不条理を見せつけられる思いがする。
北斗は、素直な人間だと思う。自分のしたことを反省する心があるし、被害者やその遺族に対する謝罪の気持ちがある。北斗の境遇は本当に恵まれないものであったけれども、北斗の人間としての良さは確実にあったし、綾子に対する愛情もあるごく普通の人だと感じた。
虐待通報は年々増加している。それは軽微なものであっても通報されることが増えた訳でもあるが、やはり、北斗のような酷い事例ももちろんある。北斗のような被虐待児が人生で躓かないように、里親になったり、その子を見守る大人が深く関われたりする必要性がよく分かる本だった。北斗も綾子や、明日実、高井弁護士など、北斗のことを本当に想ってくれる人との出会いで生きている。
北斗は綾子に出会ったことで、心の平穏を見つけたし、救われた。人間には出会うべき人というのがいるのだなと思った。北斗の過酷な人生は続くけれど、大切な人との思い出と支えてくれる人を頼りに、生きていってほしいと思った。
実際の被虐待児の子の人生も過酷であるとは思うが、自分を本当に想ってくれる出会うべき人に出会い、平穏を見つけ出せることを祈る。