石田衣良のレビュー一覧
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久しぶりの石田衣良さん。
ウェストゲートパークよろしく、主人公は頭が良くて情にあつい声優志望の若者。(石田衣良さん作品はこの手の主人公が多い。作者さんの性格がこんな感じなのだろう)
高校を卒業し、声優学校に入学した主人公。そこで中国からきた留学生「心心」と出会う。そんな心心は中国有数のIT企業の社長令嬢で、主人公たちはそのゴタゴタにまきこまれる、というお話。
第一章が声優めざすぞパートで、第二章は中国・上海で心心のために尽力するぞパート。
声優パートがメインのいわゆるお仕事系の小説かなと思っていたら、実は二章の上海パートの方に重きが置かれており、全体としてみればエンタメ色の強い作品だった。 -
Posted by ブクログ
書店に行った際、たまたま目に入ったので読んでみることにした。石田衣良さん自体は「娼年」の作家として知っていたが、一度も読んだことがなかった。アラサーの恋愛模様を描いた物語だが、男性が書いたとは思えないリアリティに驚いた。社会人になり、年を重ねるに連れ、結婚相手に対しては皆経済的に安定した男性を求める。学生時代は盲目的に相手を求めるが、いつの間にかそのような恋愛はなくなっていくのだろうかと思いながら最後まで楽しく読めた。私は共感できる場面がとても多く、大人の恋愛について少し知ることができたような気がしたのでとても面白かったが、恋愛の胸キュン要素を求めている人には全くと言っていいほど響かない小説だ
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Posted by ブクログ
今年はじめて読んだ本でした。
言い方はよくないが、どちらかというと貧しい方が多くでてくる作品だなと感じました。ケチケチしたところや人を憎むなどの感情の表現もあり、人の嫌な部分が全くない作品ではない(逆に多いのかも)が、あまり読んでいて嫌な感情に引っ張られず、逆に美しいと感じる部分が多くありました。
人は自分だけ繊細で他の人は鈍感だと思っている、という一文が印象に残りました。確かに思ってしまうなぁと思い、気をつけたいと思いました。
日菜子さんは自分は弱い弱いと思っているけれどいざとなったときに強いのはケンジさんではなく日菜子さんなんじゃないかなと思いました。
日菜子さんは、ケンちゃんは私と同 -
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シリーズの最初からずっと読んでいるが、なんと20作目。実に感慨深い。
池袋シリーズのおもしろさは、その時代ごとのホットなトピック(時事ネタとでもいえばいいだろうか)をテーマにしてエピソードが書かれていることだ。今回の20作目では、自転車のバッテリー盗難ビジネスや、フェミニストへのアシッドアタックが描かれている。
石田衣良のよさは、決して難しい言葉を使わずに、軽快なリズムで書かれているところだ。漢字をひらく割合も絶妙にちょうどよく、とにかく読みやすい。まあ、僕が20年以上も石田衣良を読み続けてきて、目が慣れているせいもあるかもしれないけど。