石田衣良のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
水は器によって形を変えるし、手でつかもうとすればこぼれてしまう。
つかめそうでつかめない、だけど確かに“そこにある”もの。
俊也がナギに感じた想いもそう。
それは「恋」なのか、「憧れ」なのか、「依存」なのか…はっきりわからない。
でもたしかに彼は惹かれ、心を動かされていく。
水=「ラベルでは定義できない愛や欲望」の象徴。
水は抱えようとした途端にこぼれてしまう。
でも人は、手に入らないもの、形のないものでも、それでも「抱こうとする」。
ナギへの想い、自分を見つめ直す苦しさ、愛することの儚さ……
そういう全部が、まさに「水を抱こうとする行為」なんだと思う。
水=「叶わない、でも捨てられな -
-
Posted by ブクログ
久しぶりの石田衣良さん。
ウェストゲートパークよろしく、主人公は頭が良くて情にあつい声優志望の若者。(石田衣良さん作品はこの手の主人公が多い。作者さんの性格がこんな感じなのだろう)
高校を卒業し、声優学校に入学した主人公。そこで中国からきた留学生「心心」と出会う。そんな心心は中国有数のIT企業の社長令嬢で、主人公たちはそのゴタゴタにまきこまれる、というお話。
第一章が声優めざすぞパートで、第二章は中国・上海で心心のために尽力するぞパート。
声優パートがメインのいわゆるお仕事系の小説かなと思っていたら、実は二章の上海パートの方に重きが置かれており、全体としてみればエンタメ色の強い作品だった。 -
Posted by ブクログ
書店に行った際、たまたま目に入ったので読んでみることにした。石田衣良さん自体は「娼年」の作家として知っていたが、一度も読んだことがなかった。アラサーの恋愛模様を描いた物語だが、男性が書いたとは思えないリアリティに驚いた。社会人になり、年を重ねるに連れ、結婚相手に対しては皆経済的に安定した男性を求める。学生時代は盲目的に相手を求めるが、いつの間にかそのような恋愛はなくなっていくのだろうかと思いながら最後まで楽しく読めた。私は共感できる場面がとても多く、大人の恋愛について少し知ることができたような気がしたのでとても面白かったが、恋愛の胸キュン要素を求めている人には全くと言っていいほど響かない小説だ