石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
例によって4篇が一冊に収められている体裁になっている。そして4篇各々が面白い。
「スキャンダル」と「バッシング」というような問題…異常な欲望を発散させる人物を懲らしめる一件…「怪現象?」と思われた事柄に向き合って明かされた意外な事実…そして「ネット上」の「賞賛」という何か訳の判らないことのために無理をする事象を食い止めようとする一件…そんな4篇である。
「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺りが、酷く気に入っているシリーズだが、そういう味わいは本作でも変わらない。殊に最初の篇と最後の篇は、酷くそういうことを考えた。
眼に留まったモノから順にドンドン読み進めているが、本作の主人公であるマコトとの付き合いは更に続きそうだ… -
Posted by ブクログ
例によって4篇を収めた一冊で、4篇各々が面白い。
今般の4篇…離婚せざるを得なくなってしまった男と、その息子や元妻が再婚しようとしていた男に関する顛末…母子家庭の中学3年生の娘が母親の行動に不信を抱いたことから起こる顛末…主人公の知り合いの妙な話しから起こった“霊能者”というような顛末…街の若者を巻き込む「不審な依頼」を巡る顛末…というような具合だ。
このシリーズでは、所謂「ハッピーエンド」と言い切れるのか、否かが微妙な感じがしないでもない篇が幾つも見受けられるような気がする。今般は、そうした「所謂“ハッピーエンド”と言い切れるのか、否か?」という感の篇が目立っているような気がする。が、同時に「無条件に愛する」とか「無条件に信じる」というような、「家族であるが故に」という以上でも以下でもない、或いは非常に尊い人と人との繋がりのようなことが感じられるような物語が在る…
市井の、特別な地位や立場という程でもない若者が、何やらのトラブルをどうにかすべく奔走してみるという様子を介して、「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺りが、酷く気に入っているシリーズだ。本書に所収の各篇でもそういう感じは変わらない。
偶々眼に留めた「傑作選」を契機に、実に好いシリーズに出会えたと思う。 -
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このシリーズについては、市井の、特別な地位や立場という程でもない若者が、何やらのトラブルをどうにかすべく奔走してみるという様子を介して、「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺りが、酷く気に入っている。本書に所収の各篇もそういう感じだ。或いは「何処となくモヤモヤしている…」に「一定の形」を与えてくれているというような気がしないでもない…
主人公のマコト達が通っていた小学校が閉校となった跡に開設されているアート活動スペースのギャラリーでのトラブル…「ユーチューバー」という人達の活動を巡る一件…容貌に妙なコンプレックスを持つ女性や、整形を巡る一件…そして表題作の「ブラックバイト」と4篇各々に面白い。
「ブラックバイト」というのは、語の定義としては、「時間を作ることが出来る時に一寸働く」という学生のバイトに関して、「学校に行けない程度のバイトになってしまって抜けられず、過酷な仕事を強いられてしまう」という状況を指すということだ。本作で登場するのは、寧ろ所謂「ブラック企業」で働く人達に主人公達が出くわして、色々と起こった騒動を何とかしようと奔走するという物語である。
「自分がどうでもいい…」と飛び降り自殺を図る若者が現れ、「そんな筈が無い!」と必死に助けようとする仲間が在り、その仲間達を何とか助けようと奔走する主人公のマコト…
人を磨り潰すかのようなやり口…そんなモノが起こる社会…「どうしてこういう時代になった?」という中で展開する物語に、強く引き込まれてしまう…そして、このシリーズの作品では関連するような題材が存外に眼に留まるような気もする。或いは「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」が増えている時世なのかもしれない… -
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「小説が上梓されたような頃の“話題”」が巧みに容れられ、“街の探偵”的な動きもしている市井の若者の目線で様々な出来事が展開する、シリーズの読者には馴染みのスタイルの作品である。
市井の、特別な地位や立場という程でもない若者が、何やらのトラブルをどうにかすべく奔走してみるという様子を介して、「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺りが、酷く気に入っている。
本作では「脱法ドラッグ」を巡る一件、「ギャンブル依存症」に陥ってしまっている男と出会う一件、「ノマドワーカー」なる人達と出会うことから“ネズミ講”的な金儲けに纏わるトラブルに出会う一件、「ヘイトスピーチ」という問題の中で別な悪事が蠢いていたという一件と4篇各々の出来事が展開する。
「ヘイトスピーチ」という問題の中での出来事が、この一冊のタイトルにも採られている『憎悪のパレード』という篇で描かれている。この篇は「どうしてこういう時代になった?」と、本当に考えさせられるような内容だった。
池袋には“チャイナタウン”と俗称されている一画が形成されているということだが、この辺りで「ヘイトスピーチ」という問題が見受けられて酷かったというのだ。
作中、「ヘイトスピーチ」と呼ばれるスローガンを叫んでデモ行進をするグループが登場する。その有様が、主人公のマコトの目線で活写される。「出来過ぎた創作!?」と思ったが…どうやら実際に見受けられた事象を、作者自身が多分目撃しているということであるらしく、少し驚いた。
何やら「満たされない…」が積み重ねられる、積み重ねられ続けているかの状況の中、「人の普通な繋がり」が何処となく軋んでいて、様々な問題が顕在化してしまっている?或いは、作者自身の問題意識を反映しているであろう、主人公のマコトの目線が向いているのはそういう状況なのかもしれないとも思った。
本当に、気軽に手軽に愉しめる一冊で広く御奨めしてみたい… -
Posted by ブクログ
この本を初めて読んだ時のわたしは中学生で、「へえ就活って大変そうだなあ〜」くらいの感想しか持たなかった気がする。覚えてないだけかもしれないけど。
実際に就活を齧ってからこの本を思い出して、今読むのは自殺行為かもなと思いつつも気になっちゃって読んでみた。
端的に言えば、ぜんっぜん違う作品に見えた。
一つ一つの場面で揺れ動く登場人物の心に、理解する以上に共感してしまう。
自分の将来が不確実で、しかもそれは努力でなんとかなるものでもなかったりして、そんな日々への不安とかプレッシャーとか、いろんな立場の人間のそれぞれの葛藤が手に取るようにわかる。
本を読むのは自分の生きられない世界や人生を体験することだというのはよく言うことだけど、やっぱり自分で体験したからこそ感じとれることってたくさんあるのね。当たり前のようでそれを実感する機会は今までなかった気がするので、これまで読んだ本も自分が人生経験を積んでいったら見え方変わるのか、と思うとワクワクする。人生は経験するだけの価値があるらしい。
例えば私が就活を無事終えてからもう一度読み返したら、きっと今以上に思うことがあるんだろうなあ。
就活を通して自分の心も感性も成長するといいな、なんて思ったり。
この本は単純に誰かの人生の「就活」というイベントをめぐる出来事をあれこれなぞっているだけではない。良く出来た本だなあって心の底から思ってしまった、、作家さんってすごい。
こんなに就活わかった風に書いてるけどまだスタートしたとこ -
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すごく良かった。
ラスト泣きました。
私の年齢が、作品にぴったり当てはまっていたからかもしれない。
シリーズ物の作品というのは、映画でも小説でも、1番目は続編の「前提」であり、続編にはそれを上回るテーマが入り込んでくる。
なので、シリーズは続編から益々面白くなってきますよね。
冒頭は、前作のようにクラブを再建し、お客様を取って若いスタッフで運営して行く、少し「IWGP」を思い出すような軽いスタートだったのだけれども、スカウトした相手がGDI(ジェンダー・アイデンティティ・ディスオーダー)性同一性障害で、FTM(フィーメイル・トゥ・メィル)心が男性なのに、肉体が女性である状態の人であり、彼が娼夫という仕事をするという事と、親との和解、性転換、彼女との結婚など、重めの問題が扱われています。
さらに増して、元オーナー御堂静香のエイズ発症という、この世界にはついて回る病気の問題。
そして、最も身近でいて、捉える人によって違う響きをもたらす「死」に対する問題です。
御堂静香の友人、ヨーコの言葉に共感しました。
「苦しみも欲望も、簡単に乗り越えられたりはできないものよ。悟ったりなんて、誰もしないの。みんなが傷つきながら、今を生きている。こたえはどこにもなくて、ただそうやって今日を見送るだけ。それが人間にできることなの」
そして、御堂静香の再期のセックス後の言葉、
「生きているって、自分の身体をとおして誰かを感じて、なにかを分けあうってことだったんだね」と。
「生きてる」って、生きてていいって思える事のひとつの心の代弁をされました。 -
購入済み
とにかく面白い!
何気に、フォーティーンを読んでみて、石田衣良氏にはまってしまい、池袋WSPも全部読みました。
どの作品も面白い。でも、アキハバラ@DEEPはミッション-インポッシブルとマトリクスの世界が一緒になったような作品で、一番面白かったです!
でも、活字より映像の方が向いてるように感じました。映像化されてるようなので、探してみようと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ重い。
こんなにも衝撃的な内容とは思ってもいなかった。
両親から虐待を受け育った北斗の視点で描かれた作品は幼少期からの虐待をリアルに描き、その中で自分の生存本能と親子関係の中で生きるために重ねた重い鎧。
そんな鎧を着た北斗に人としての温もりと、家族としての温もりを与え、短くも北斗が人として過ごす時間と場所を与えてくれた里親である綾子。
ようやく1人の人間として生きる機会を与えられた北斗の幸せは綾子の死と、気がつけば綾子の為に関わってしまった医療詐欺によって再び奈落の底へと突き落とされる。
負の連鎖によって引き起こされてしまった殺人(理由がどうであれ、人を殺める事を肯定してはいけない)と、殺人犯となった北斗に寄り添う綾子の元で里子として育った血縁関係のない姉の明日実、国選弁護人の高井。
物語の後半は自ら初めて己の心に向き合い、鎧を脱ぐ北斗の心情と裁判という緊迫感を加害者の視点で見事に描ききられていた。
そこには単なる殺人事件ではなく、殺人を犯した加害者のみならず、徹底的に北斗の心の中をリアルに感じることが出来た。
リアルに伝わったが故に衝撃も大きく、非常に重たい一冊でした。
ここまで心の中を描ききる事が出来る著者の作品は今後も読み進めていこうと思う。
説明
内容紹介
両親から壮絶な虐待を受けて育った少年、北斗。初めて出会った信頼できる大人を喪ったとき、彼の暴走が始まる……。孤独の果てに殺人を犯した若者の心に切り込む、衝撃の長編小説。(解説/黒川祥子)
内容(「BOOK」データベースより)
両親から激しい虐待を受けて育った少年、北斗。誰にも愛されず、愛することも知らない彼は、高校生の時、父親の死をきっかけに里親の綾子に引き取られ、人生で初めて安らぎを得る。しかし、ほどなく綾子が癌に侵され、医療詐欺にあい失意のうちに亡くなってしまう。心の支えを失った北斗は、暴走を始め―。孤独の果てに殺人を犯した若者の魂の叫びを描く傑作長編。第8回中央公論文芸賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
石田/衣良
1960年東京都生まれ。97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞を、06年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞を、13年『北斗―ある殺人者の回心』で第8回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)