石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は、主人公「北斗」の生い立ち部分、殺人に至る過程、スリリングな裁判劇と、サブタイトルにある「回心」が見事に書かれています。
主人公の北斗は、幼少期に両親から虐待を受けながら育ち、人の愛情を知らない少年に成長します。そんな中で児童相談所から里親を紹介され、一緒に暮らすようになり、ひと時の幸せを手に入れます。
しかし、北斗を引き取ってくれた里親は末期癌とわかり、北斗は知らず知らず医療詐欺にお金を使ってしまいます。
ついに里親は死亡したところで、北斗は自身を殺人者へと駆り立てていきます。しかし不運なことに、医療詐欺の首謀者を直接殺害することができず、無抵抗な人を2人も殺しています。
北斗は、警 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ9作目。段々と角が取れて丸くなっている感じです。平たく言えば私の苦手な暴力描写が少なくなっている気がします。それが良いのか悪いのかは人それぞれでしょうけれど、私は読みやすくて安心します。
さて、今回も社会問題満載でした。そしてその被害者はやはり弱者で、これらの話が書かれてから数年経っているけれど、未だ過去の話になっていない現実を思うと、やりきれなくなります・・。
どの話も考えさせられましたが一番は表題作『ドラゴン・ティアーズ』です。登場人物の言葉に自分が知らなかった現実を思い知らされました。
“フェアトレード”という言葉が頭の中でグルグルと回っていました。でも 同じものなら安いもの