あらすじ
誰もが憧れる高層マンション。そこに住む愛子は、幸せな結婚生活を送るはずだった。しかし、ある日「愛」は暴力に変わり――(表題作)。セックスレスの夫婦生活に疲れた、うらら。彼女はマッサージ店で働く15歳年下の青年に想いを寄せるようになる。だが、突然彼にホテルへ誘われて…(「指の楽園」)。切なくて苦しい恋に悩みながらも、前を向いて歩いていく女性の姿を描いた10のラブストーリー。
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Posted by ブクログ
神楽坂の高層マンションに絡む人たちのラブストーリー。十人十色の恋愛は当たり前なのだけど、それぞれのストーリーを読むと、その振り幅に改めてう〜んと考えてしまう。
表題作「愛のいない部屋」での咲さんの言葉で、自分の幸せは自分の納得する方向に自分で切り拓いていくものなのだと…響いた。
ウクライナの避難される方々の報道を毎日見るから余計に響いたのかもしれない。
Posted by ブクログ
いろんな夫婦がいて、いろんな愛のカタチがあって、でも冷めているような感覚。それでも忘れられないのが愛。愛とはなんだろうかと改めて考えさせられた。
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10代の時に買った本ですが、30代も後半になって改めてこの小説を読み返すことで違った視点で内容を感じることが出来ました。今改めて思ったことは同じマンション内での話とか日常の中にもそれぞれ違った人生の歩みがあること感じました。
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「IWGP」で有名な石田衣良氏の恋愛短編小説集。わたしはこれが初めて手に取った作品だったが、どうやら三作目らしいということを著者のあとがきで知る。率直に感想を言えば、とても好みの一冊だった。ぜひ次の機会に他の二作も読んでみたいと思う。
神楽坂に建つ三十三階建ての高層マンション「メゾン・リベルテ」を舞台に展開される十篇の物語。日本語で「自由の家」と名付けられたマンションで暮らす人々の実情は、鬱屈とした不自由さに満ちている。経済的に豊かで、誰よりも空に近い場所で開放的な生活を送っているように見えるのに、そうではない。なんとも皮肉である。ごく一般的な庶民のわたしは、時折都心に聳え立つタワーマンションを見るとそこで暮らす人々の華やかな生活を勝手に想像して憧れたりしているが、「メゾン・リベルテ」の住民たちのように、実際は彼らにも彼らなりの不自由が存在するのかもしれないなどとも思う。
表題作「愛のいない部屋」は、DVを働く夫に悩む妻・愛子の物語。八歳になる娘は、父親が母親に暴力を振るうたびに泣きながら止めに入るが、当然のことながら彼女の力は及ばない。翌朝、昨夜の暴力の痕が顔に生々しく残る母親に、彼女はこう呟いて登校に向かう。「ママ、がんばってね。いってきます」。このシーンで描かれる、赤いランドセルを背負った娘を見送る母親の心情描写はひどく重たい。夫のDVは物理的なものばかりでなく、鋭い言葉でも愛子を責め立てる。「お前を生かすも殺すも自分次第だ。専業主婦のお前が、子供を抱えて一人で生きていけないだろう。誰のおかげでこんな家に住めると思っている。」……。物語の大半がそうした愛子の苦痛の日々の描写に割かれているからか、読んでいる最中はかなり胸が詰まる思いがした。
だからこそ、心身ともに疲労しきった愛子が、マンション内のロビーで出会った小粋な老女・咲との出会いによって希望を取り戻す展開に”救われた”気がする。「愛子さん、あなたは終わったと思っているけれど、まだ何も終わっちゃいないのよ。だってあなたは自分のことをかわいそうだと思っているだけで、何も自分で始めていないんだから。自分の力で生きる。女にはみんなその力があると思うんだけどね。」そう話す咲という女の人生もなかなかに波乱万丈だ。初婚でDV夫を引き当てて離婚した後、不倫関係にあった男との子供を出産し、一人で育て上げている。そのうえで再婚。連れ添った夫に先立たれ、今はリベルテで気ままな独居暮らしを謳歌している。”先人”の言葉ほど説得力のあるものはないだろう。
「由梨絵はこれからなにがあっても、ママと一緒にいてくれる?」と問う愛子に、賢い八歳の女の子はすました顔で言う。「なにいってるの。わたしがいなくちゃママはダメじゃん。」愛子と夫と娘の由梨絵、この三人が暮らす部屋には確かに「愛がいない」のかもしれない。けれど、これから新たな一歩を歩もうとする愛子と娘の帰る場所はきっと「愛がいる」部屋になるはずだ。そう思いたい。
以下、印象的だった話のメモ書き。
「空を分ける」
友人の紹介で知り合ったちょっとイケてる男性とルームシェアを始めることになった主人公。一昔前の月9のドラマみたいな設定だが、話自体もそんな感じで進む。悪く思っていない男性とひとつ屋根の下で過ごしているうちに好きになっちゃう。今まで男性側に恋人がいたせいで踏みとどまっていた一線を、酒に酔った彼が漏らした破局の知らせで踏み越えようとしてしまう……みたいな。ふたりが住まう十九階のベランダから見える空が主人公のお気に入りという設定があるのだが、それを受けて綴られる失恋の描写が綺麗なのでここで引用しておきたい。「この空をふたりで分けることは結局出来なかった。明日からはほんとうにただのルームメイトに戻るのだ。」
「いばらの城」
毒親(母親)から自立し、バリキャリウーマンになってもなお囚われている主人公・美広の話。女性一人で内見に行くと不動産屋にナメられるって聞いたことあるけどあれってマジなのかなあ。終生住まう”城”(マンション)の購入を決意した美広。理想の住まいを求め、恋人を引き連れて候補の物件の内見に向かうが、恋人は終始浮かない顔。一通り内見を終えた美広は、最後に見学した「メゾン・リベルテ」の奇妙な魅力に取りつかれてしまう。購入への気が逸る美広に、恋人は言う。「美広、ぼくと結婚しないか。ぼくたちは付き合って二年になるし、二人ともいい歳だ。共働きならもっといいマンションが買えるよ。」思いがけないプロポーズに心が打ち震えるものの、「女王」である母親の呪縛から逃れられない美広は、やはり恋人との結婚を選べず、独身でのマンション購入を選択するというもの。母親から「価値がない」と言われ続けて育ったせいで、好調な製薬会社で役職を持ち、人が羨む裕福な暮らしをしていてもなお、美広は自分を認めることができない。誰かを愛し、愛されることへの実感がない。それがとても切なく感じた。生育環境ってやっぱり大事だよ。
「ホームシアター」
出世街道からすっかり外されて窓際社員となり、定年までのカウントダウンを細々と過ごしている五十代の父親と、十七歳で高校を中退し、四年間ニートになっている息子。互いに場所は違えど、閉塞感に満ちた現状を過ごしている。父親はさておき、息子の描写を見ている限りは心の病っぽくて、ホームケアの限界を感じた。正直なところ、一度福祉に繋げたほうがいいような気がしてしまった。
「興味のあることならまじめに集中できる。無理してでもやり遂げる気持ちもある。でも、誰か他人とうまく調子をあわせることが僕にはできないんだよ。人から見たらどうでもいいことで引っかかったりして、全然先に進めなくなったりする。誰にどんなふうに見られているかって想像するだけで、胸が苦しくてたまらなくなるんだよ。」健常者からしたら何を甘えたことを、とぐずついているように聞こえるかもしれないが、これが多分本人の包み隠しのない本心なのだ。先行きのない子供の将来に親が苦しむように、子ども自身もきっと自分のにっちもさっちもいかない現状に苦しんでいる。
部屋の外で嘆く母親を他所にして、父親が最後「働かなくても、学校に行かなくても、仕事を探さなくても別にいいじゃないか。なにがニートだ。要するに全部、経済のものさしで人を計っているだけだろ」と開き直ったのが清々しい。「おまえはゆっくりと自分の生き方に悩めばいい。五年でも十年でも、とうさんが元気なうちはいくらでも迷って苦しんでいい。おまえがくうくらいならどうにかなる。日本の経済に役立つ人間になんかならなくてもいい。すすむ道が決まったら、金にならなくていいから、自分が満足できるだけ働くといい。おれはいつだっておまえのそばにいてやるからな。」問題の解決には何一つ至っていないけれど、くよくよ悩み続けるよりはいい。少なくとも、行き詰った子供にとってはこれほどない救いの言葉であったと思う。
「落ち葉焚き」
お互いにパートナーに先立たれた高年齢の男性と女性の恋愛の話。男性の娘(既婚・子あり)が主人公の家に押しかけてきて「ふたりともいい歳してみっともない!お父さんはお母さん一筋の真面目でいい人だったのに、あなたのせいで狂ってしまった!」と泣きながらまくしたてるシーンは「おお……」となってしまった。ちなみにわたしも数年前までは高齢の男女の色恋についてはちょっと否定的な見方をしていたが、今は別にいいんじゃないか、とどちらかというと肯定派に立ち返っている。とにかく人生は長い。(むしろ長すぎるくらいに思う。)なので、他人に迷惑をかけない範囲であれば、どのように過ごそうと各々の自由なのではないかと思う。しかも今回のように夫や妻と死に別れ、子どもも既に独立しているようなパターンだったら、よりしがらみなく第二の人生を歩める気がするのだが、どうだろうか。
「本のある部屋」
スナックで出会った高給取りのおじさんの愛人をやっている主人公。メゾン・リベルテの一室を与えられているが、そこは不義に満ちた愛の部屋……なんて色っぽいことは全くなく、借主の趣味の本に囲まれた一室だ。主人公がここですることは一つだけ。帰宅してきた家主をスーツで出迎え、そして、彼が選んだ本「モンテーニュ随想録」を朗読する。彼女の声質は癒し効果があるようで、おじさんは彼女の朗読を聞くと日々の苦痛を忘れ、リラックスできるとのこと。斬新な関係である。こんなアルバイトだったらちょっとやってみたいかも。
余談だが、名越康文氏の文末の解説も良かった。日本人は明治期以降、外国から飛来した「愛」という言葉や概念にひどく毒されているのではないか、という問題提起が含まれている。「愛」というものが輸入される前の日本人は、そうではない言葉で自身の気持ちを伝えようと、そして他人と心を通わせようとする努力を怠らなかった。しかしその中身をよく考えようとしないまま、今では「愛してる」というセリフ一言でインスタントに語ろうとする。また、その「愛」そのものだって、いつも正しく清純で素晴らしいものだとは限らない。それは時に支配であったり、不安であったり、呪縛であったりといかようにも変容する。ただ、日本人は「愛」をいつも正しいものであろうと信じようとする。それこそが「愛」という言葉に考えを支配されていることにも気づかずに。……そうした鋭い指摘が続くが、中でも『「愛」を免罪符のように振りかざし、自身の未熟さをごまかし、相手との関係を編みなおそうとする努力を放棄している。』これがかなり痛烈な一文であり、痺れてしまった。
「愛のいない部屋」とは言うけれど、そもそもその「愛」の中身ってなんなのか?考える余地がまだありそうだと思う。
短編集
10篇の短編が収められていて、それぞれが読み応えのあるストーリーで、人間にとって充たされるとは何かを考えさせられた。
どの作品も決してハッピーエンドでは無いのも考えさせられた要因かも知れない。
Posted by ブクログ
夫のDV、セックスレス、不倫、妥協の結婚、などなど。全く違うようで似ている人間たちが同じ神楽坂の高層マンションに住んでいる。
250ページと読み易く、時間が無い人にもオススメです。
Posted by ブクログ
サラッと読める短編集、共感できるところの沢山ある作品でした。
[落ち葉焚き]は63才、夫を亡くした女性の恋愛は切なくて、[指の楽園]は15才も年下の男性への淡い恋、10話入っていますが、どれも良かった!
Posted by ブクログ
神楽坂の高層マンションを舞台に紡がれる人生のかたち。ハッピーでないはなしがほとんどの、苦かったり虚しかったり。『いばらの城』と『愛のいない部屋』がよかったかな。
Posted by ブクログ
どの話もスッキリとはしない。ドロドロしていても妙に透き通っているので、やっぱり男性の描く女性だよなぁ、という気がした。石田さんから見て、女性はなんだかんだ言っても、強くてしたたかに見えているんだろうなぁ(いい意味で。
せっかく舞台が同じマンションなのだから、ほかの話とリンクさせるような話があってもよかったのじゃないかな。
Posted by ブクログ
神楽坂にある高層マンションを舞台に繰り広げられる人間模様。恋を中心に、そこに住む人のいろいろな顔や感情を見ることができる。決して他人ごとではなく。
近くにあるのに、遠い相手の感情。
悩むは尽きることはないね。
Posted by ブクログ
神楽坂の高層マンションを舞台にした短編集。
婚約破棄をされ、ルームシェアを決めた女性、夫婦間にもやもやを抱えた専業主婦、DVに悩む主婦…etcと皆、大証の問題を抱え悩んでいる。
―どうして愛はいつも、悲しみに変わるんだろう。
帯のキャッチコピーにあるとおり、どの話も愛についての話でありながら悲しい。
愛が深ければ深いほど、そのバランスが崩れた時の悲しさは深いのだということを一つ一つの作品から感じます。
愛ってなんだろう、と苦い気持ちの残るお話でした。
Posted by ブクログ
ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、それぞれこ主人公たちの日常が短編で詰め込まれています。初めは、え!これで終わり?と思ったものの、読み進めるにつれ病みつきになりました。世の中には色んな"部屋"があり、それぞれに色んなストーリーがあることを感じました。恋愛小説や恋愛映画など色んなストーリーがあるけれど、私たち自身にも、周りにもたくさんのストーリーがあるんだろうなぁと思いました。
Posted by ブクログ
どの話も読みやすく想像しやすく、愛を感じやすかったです。切ない愛、悲しい愛も分かりやすく表現してあり、楽しい短編集でした。
あと二冊ある恋愛短編集も読むのが楽しみです。
Posted by ブクログ
フリーマーケットで見つけ、石田衣良さんの本を読んだことがなかったので買うことにしました。
最近読んだ短編小説は、最後まで読むと実はすべてつながっていて…というものに多くふれていたので、今回のようなそれぞれ独立した作品を読むのもよいなと思いました。(舞台は神楽坂の高層マンションで共通。)
それぞれの主人公に共感できることがあったり、なかったりして、愛ってなんだろうと考えさせられる作品でした。
Posted by ブクログ
10個の短編集でとても読みやすく読後感も良い。
色んな人間の色んな人生を生々しくもとても正直に描かれている。
感じ方は色々あると思うが主人公が己の善悪全てを受け入れて生きていく力強さが感じられる。
兎に角とても読みやすい。
Posted by ブクログ
高層マンションに住む、愛のいなくなった恋人たちをテーマにした短編集。何かが始まったり終わったりする予感がするところでどの話も終わってしまうから、なにか大きな感情を感じたい人にとっては物足りないかもしれないけど、停滞した淀みが流れ出す瞬間はちょっと気持ち良い。
Posted by ブクログ
初めは物語が始まりそうな予感で短編が終わるの繰り返しで少しモヤモヤしていたのですが
途中から、これは色んなストーリーの始まりのワクワクや、ここからどうなるんだろうの詰め合わせなんだと感じ
そこからは、どんなストーリーを覗かせてくれるんだろうと期待して読んでいました。
読後は、あぁ、これが石田衣良の世界なんだよなと妙に納得してしまう一冊でした。
Posted by ブクログ
自然と、物語の主人公を自分に置き換えて深く考えてしまうことが、読んでいて何度もありました。
「自分もいつかこうなるのかなぁ、もしもこういう状態になったらどうするかなぁ。」と考えずにはいられませんでした。
そういう風に考えて心が暗くなりましたが、登場人物の言葉に救われたり希望をもらえたりして、この作品を読む前よりも元気に前向きになることができました。
頑張ろうと思える、力をもらえる作品です。
Posted by ブクログ
『スローグッドバイ』『1ポンドの悲しみ』(ともに集英社文庫)につづく、著者の短編集です。今回は「リベルテ・メゾン神楽坂」という高層マンションを舞台にした、10編のショート・ストーリーにまとめられています。
表題作の「愛がいない部屋」は、夫のDVに苦しむ女性が、小学生の娘と同じマンションに住む老婦人によって心を癒される話。すこし盛りすぎの感じもありますが、締めくくりの文章の技巧で、なんとかうまくまとめあげているという印象を受けました。
「空を分ける」は、一人の男性とルーム・シェアをすることになった女性の心をえがきます。「魔法の寝室」は、夫との生活に不満はないもののどこか味気なさを感じていた妻が、寝室の壁紙を貼り換えたことがきっかけでニ人の生活を余裕を持って見ることができるようになる話。「いばらの城」は、自分が結婚することがどうしても想像できない35歳の女性が、マンションの部屋を購入するためにボーイ・フレンドとモデル・ルームを回る話。「ホームシアター」は、会社で閑職に甘んじている父親とニートの息子の物語。「落ち葉焚き」は、63歳の未亡人の恋を描いています。
「本のある部屋」は、愛人に本を朗読して聞かせるためにマンションの一室をあたえられている女性の話。彼女にとって本の一節が、男とのつながりの強さを確かめるきずなになっているのではなく、自分の生き方を確かめるためのよすがになっているというところが落とし所になっています。
「夢の中の男」は、ネット上で知りあった多くの男性と不倫をくり返す女性の話で、奔放に振る舞う女性の心に兆す淡い哀しみを、うまくすくい取っています。「十七か月」は、未熟児で生まれた子どもと人性を歩んでいくことをたしかめる女性がえがかれます。「指の楽園」は、マッサージ店で働く若い男性の誘いに心が揺らぐ40歳の女性のストーリー。
今回は、前作、前々作のようなすっきりしたストーリーだけでなく、もう少し重みのあるストーリーも含まれています。「指の楽園」などは、ストーリー・ラインに多少の泥臭さを感じますが、これも著者のねらい通りなのではないかという気がします。
Posted by ブクログ
端的に言うと良かった。
全ての作品に女性への優しさ、リスペクトがあるから好き。
中には共感出来ない作品もあったけれど今後の人生を色々考える時間になったな。
特に好きな作品は『落ち葉焚き』。世代でもないのに泣きそうになった。娘さんと同じ立場になったら絶対受け入れようと思った。
『魔法の寝室』も好き。
1冊の中で一番刺さった言葉は『愛がいない部屋』の「あなたはずっとわがままなんていってないんでしょう。女はそれじゃあ、ダメよ。」本当にそう思う。そう思っていた中でこの一文を見つけてやっぱりな、と寂しくも嬉しくなった。私も変わらなきゃな、と思えた。
Posted by ブクログ
神楽坂の高層マンションの住人を舞台にした恋愛短編集。恋愛の形、家族の形は、本当に様々。上辺だけでは、誰もが幸せに見えるのに。心はあちこちと揺れていたり、苦しんでいたりもする。高層マンションに住むというのは憧れでありながらも、実のところ、中身は憧れの世界でもないお話がちりばめられています。短編なので、サラリと読めます。ただし、残るものは少ないかもしれません。
【愛】をテーマにした物語。それぞれの生き方で【愛の形】は違うということでしょう。
「落ち葉焚き」では、老後の生き方、恋はいつまでするのかを考えさせられる。不倫を繰り返す主婦の話「夢の中の男」は、奥深いものがあります。女性の心の闇が見え隠れする。
一番好きなのは「ホームシアター」ニートの息子と父親の繋がり。ホロリとくるセリフも。
Posted by ブクログ
どうせお洒落な酒飲んでお洒落でウィットに富んだ会話をしてセックスするんだろーとガンガン色眼鏡かけて読みましたが(すみません)、そうじゃありませんでした。
大人のちょっとビターな恋愛短編集。こういう方が好き。
Posted by ブクログ
一見サラサラとした感じの短編集。
やってんけど、最後の解説でタイトルに繋がって
うまいなぁー!って感じた☆
のに、あまり内容思い出せない。悲しい。
Posted by ブクログ
久々の石田衣良さん〜。
一番最初「空を分ける」を読んだ途端に
ちょっと絶望した。
「恋人でも男と女がルームシェア?しかも男には彼女がいてって、そりゃないぜ石平さん!」みたいな。笑
現実味が無いからあまり体に染みてこずそれを乗り越え、次からはやっぱり嫌いなようで惹かれてしまう石田衣良節が続いた。
前も書いたけど、この人、なんでこんなにリアルな女心を書き出せるんだ?性的描写もドキドキするくらい女性目線。こんなことに気付きながらこの人は青春を謳歌してきたのか?
怖すぎる!!笑
でもやっぱ気になる!
Posted by ブクログ
なんとなく切ないが少しだけわかる気がする夫婦生活。いろんな夫婦の形があるとは思うが、どれが正解で自分の幸せの形がどんなものか?
なんて、それぞれの夫婦によるわけで。。。
なんとも言えない複雑な一冊でした。
全編同じマンションに住む夫婦の一コマで成り立ち、出来たらそのそれぞれがシンクロしつつ交わって欲しかったな。
と、思う私でした。