ヤマザキマリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ以下が一番心に残った。
妊娠を機に離婚し、その決断を周りの人には、子どものために離婚は我慢すべき、と言われた。
という話を実母にしたところ、あなたは周りの人のために生きているのではない。自分の人生でしょう。という答えだった。
というエピソード。
結婚に反対していた母は、あなたの決めたことだから、と気持ちを受け入れてくれ、次の決断でもあなたの人生だ、と言い切ることができる人だった。
こう伝えられる母親からヤマザキマリが生まれ、このような回答になるのだと痛感する。
模範解答ではなく、自分がしてきたからこそ出せる回答ばかり。
他にも
努力は美徳ではない
遠くから親に見守られることほど心強いことは -
Posted by ブクログ
ふと手に取った一冊から筆者のエッセー集に恋してしまった。網羅して読むべく。。。
この作品も素晴らしい味わいと感動を受けた中身ばかり。
個人的に「リスボンの隣人」「マッちゃんの筆入れ」「ハルさんの葉書」「象の灰皿」そして装丁にもなっている「アレッシオとリー」は胸中に疼きを覚えた。
私より一回りしtの筆者が生きた時間と世界の彩は数百倍も広がりを見せる。
そこから抱かされた多々の経験則と場面から受けるインパクトがかように筆者の内面をゆたやかなものにしている事は当然。
文の、チョイスする語彙の豊かさにも繋がることで読み手に更なる広がりへの誘いをしてくれる。
挿入されているデッサンの素晴らしさにも -
Posted by ブクログ
大きなものに飲み込まれてしまいそうな時は、あらゆる電源を一旦オフにすること。携帯を置いてSNSを忘れてパソコンからも離れる。仕事や人間関係からも、一切離れて、自分を見つめ直す時間を取り戻す。時間に追われていると、人は端楽的な思考から離れることができません。
プリニウスを読んでみたいと思いました。
私たちは、機械でもなければ、ネジでもない。お金が全てでない価値観と無数の選択肢、ありとあらゆる可能性について考えることを薦めている。
内容が濃い。濃すぎる人生談から考えさせられることがあります。
これを読んでいて、私も大都会は神経をすり減らしそうで向かないかなぁと思いました。逆にリスボン、今は -
Posted by ブクログ
コロナ禍を機に書かれたようだが、小康状態の今読んでもなかなか興味深い話題がいくつかあった。
欧米人の倫理観は「聖書」が土台となっているが、日本人のそれは「社会」と「世間体」。「聖書」は変わらないが、「社会」と「世間体」は変化していくな…と自分の中で納得。
ヨーロッパが長い年月をかけて培ってきた「民主主義」を日本がそのまま取り入れても浸透するのはなかなか難しい、というのも、「民主主義」はそもそも一人一人が参加することで成り立っているのに、日本人にはむしろ「待ち」の姿勢で生きているからだ、との指摘。
自分自身、政治のみならず、さまざまな人間関係においても「待つ」だけになっていないだろうか?今からで -
Posted by ブクログ
「テルマエ・ロマエ」や「プリニウス」でお馴染みの漫画家ヤマザキマリが選ぶ水木しげる作品のアンソロジーで、60年台末から70年台に描かれた社会批判色が強めのものがセレクトされてる。扱われている題材も格差社会やルッキズムなどで水木しげるの先見性に驚くというべきか、日本社会は60・70年台から変わったようでその実態はちっとも変わっとらんのではないかというある種の諦念を抱くべきか・・・
割とシリアスなテーマの作品が集められた中で「のんのんばあ」の「狐の座布団の巻」のような化け狸の金玉袋の話や、「河童の三平」の「屁道」のようなナンセンスな下ネタ話を入れ込んでくるのも良い。