あらすじ
人生で最も大切な「仕事」と「お金」の話。
人気漫画家ヤマザキマリが本音で語る「仕事」と「お金」の話。
現在は漫画家の著者ですが、経験した仕事は、チリ紙交換のアルバイトに始まって、絵描き、露天商、大学教師、料理講師、テレビリポーター、美術イベントのキュレーター、普通の勤め人など、数知れず。
当然、良いことばかりでなく、さまざまなトラブルや苦労を経験してきました。
海外で借金返済に追われ、家を追い出されたり、ダブルワークならぬ「10足のわらじ」を経験したり、仕事で活躍すれば、上司から妬まれたり。
トラブルなどがあるたびに、著者は働くことについて考え、働き方を変えてきました。
「好きな仕事か、向いている仕事か」
「お金にならない仕事をいつまで続けるべきか」
「嫌な上司がいたらどうすべきか」
「望んだ仕事なら、限界まで働くべきなのか」
そんなことについて考えるヒントが豊富な体験的仕事論です。
母から学んだお金の話や、自らが経験した借金の怖さなどについても言及。
「仕事」と「お金」についての本音が満載です!
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Posted by ブクログ
ヤマザキマリさんだからこそ伝えられるお金と働き方と生き方。ヤマザキマリってこんな経験をしていたんだ、、その壮絶でドラマチックな人生は、面白く、ページを捲る手が止まらなかった。その中で、「働くとは」「幸せ」とは、ヤマザキマリさんが感じたことが書かれている。人生の参考書のような本だと思った。また読み返したい。
Posted by ブクログ
仕事ってなんだろう。お金ってなんだろう。
幼少期から凄まじい経験をしているだけあってすごくたくましい生き方をしている人だと知った。
全て失ったとしてもまたゼロからやり直せる、という実体験に基づいた自信を持っている人は強い。
もっとこの人みたいな価値観が日本に広まればみんな生きやすくなるんじゃないか、と思ったり。
Posted by ブクログ
大笑いしたというか、泣き笑いしたというか、傑作でした。
ヤマザキ マリ なぜ、カナなのかなとおもいましたが、けっこう雰囲気ありましたね。
「今回、私なりに試行錯誤してきた仕事遍歴を、あらためて振り返ってみました。」
本人はかなりきてたんでしょうけれども、外野から見ていると、大笑いしてしまう、失礼な気持ちになりました。
本人が貧乏と思い切りよい猛者であるなら、母は、さらにその上をいく猛者なのです。
さらにマリは、人の考えもしないようなすさまじい、仕事をくりかえしていきます。
気になったのは、以下です。
・仕事とは何か、本気でやりたいことなら、思う存分やればいい。ただ、誰にも認めらえず、貧しいまま、野垂れ死んでしまうかもしれない。「マリ、あなたにその覚悟あるの?」という母の問いかけは、私の心の中でずっと残りました。
・音楽で生きていけるのなら、音楽を続けていけるであれば、どこにでも行く。そう覚悟は決めたものの、母にしたら、それこそ最果ての地に来たくらいの気持ちです。
・「現代の日本には、食べることに困っている家庭などない」と公言してはばからない政治家がいますが、いったいどこを見ているのかとあきれてしまいます。
・「自己責任」という言葉ほど、都合よく使われている言葉はない気がします。
・うちの母にとっては、「みんなと同じ」というのは、まったく魅力的な価値観ではなかったようで、私によくこういっていました。「周りと違うからって、別に気にすることはないのよ。誰かを自分の鏡にして、そこに映る自分を、自分だと思う必要なんてないの。私は私。それでいいのよ」
・情報をうのみにするのではなく、とことん疑うことも必要
・いずれにせよ「欲しい」という気持ちに一度火がついたら、鎮火するのは大人でも難しい。「大人買い」という言葉があるくらいですから。
・母の場合、止めたって無駄なのです。「買いたい」と言い出した時には、たいてい、これぞというものの目星はすでについている。普段はあれほど、慎重な母が、どうして身の程知らずの買い物を繰り返すのか。娘の私にも、さっぱり理解できませんでした。
・世の中には、どうしてそれでお金が稼げるのか、よくわからないものもありますね。そういうのは、なんかもやもやするというか、気持ちが悪い。
・FXや仮想通貨みたいなハイリスク、ハイリターンの投資なんて、ほとんどばくちみたいな感じで、自分でやっているようで、自分ではコントロールできない感じがする
・生命の危機を感じると普段の自分から考えられない力を発揮することがあるんですね。
・「頼むよ自分」今、ここでたよりにできるのは、他の誰でもない、自分しかいない。
・「助けてよ、自分」人には、神さま!と祈る代わりに、そう祈るしかない時があるのかもしれない。
・何があろうと、どこかで私のことをじっとみている、もう一人の自分がいる。自分は自分を見放さない
・人はいつどうなるかわからないのです。昨日はありあまるほどの富を手にしていた人が、明日は路頭に迷うかもしれない。そのことを、そこにいるみんながよくわかっていました。
・10足のわらじを履く
・人と人との出会いというものは、本当に不思議なものです。まずは、なんの先入観もなく、相手と向き合って、腹を割って話をすること。そこから芽がでることもあれば、出ないこともあるけど、それはもう、そういうものだと思うのです。
・あんなにも、集中して、たくさんの漫画を読みふけったことは、あとにも、先にも、あの時期しかないと思います。
・今も昔も、人類は、知性でなんとかしようとして、それに行き詰まると、今度は力によってそれを破壊して、その先に行くことを選んできた。
・母の楽天性も、生来の気質もありますが、「あの時、一度死んだと思えば、怖いものなんか何もありゃしない」と思っていたからに違いないのです。
・転ばないと人間って学ばないですから。要するに失敗して何がいちばんよかったかって、単に自分自身の経験値が上がるというだけじゃなくて、痛い思いをしたぶん、自分以外の人間のことを、簡単に見くびったり、バカにしたリ馬鹿できなくなるってことだと思うんです
・欧米人の基本は、疑うことです。どこかで信頼を裏切られる可能性がある。と推し量りながら生きていく、ということです
・自分で乗り越えるしかない。本人があとあと納得するためにも、自分で乗り越えるしかないですから。
・好き嫌いより、まずはやってみる。
・自分のやり方で精一杯生きてみる。世の中は大きなシステムで回っていて、とても太刀打ちできないような無力感に襲われることもあるけれど、だからこそ、その人がどれだけ本気かが試される。
・やりたいことをやろうとすると「好きなことをやっているのだから、報酬は安くても構わないだろう」と言われることもあります。
・人間は、欲望や孤独がもたらす深い闇を、持てる叡智を総動員して考え抜くことで、御してきた。歴史は繰り返すというのなら、人類は、困難な時代を、そうやって何度も生き延びたのです。先人達がやってのけてきたことを、私達ができないわけはありません。
目次
はじめに
序章 やりたいことで生きていく―母・量子の場合
第1章 働くこと、自立すること―ジュゼッペとの日々
第2章 持てる力をすべて使って―テルマエ前夜
第3章 風呂か、それとも戦争か―先人達が教えてくれること
第4章 私の働き方改革―トラブルから学んだこと
第5章 仕事とお金にしばられない生き方
あとがき
ISBN:9784098253241
出版社:小学館
判型:新書
ページ数:320ページ
定価:880円(本体)
発売日:2018年10月08日初版第1刷発行
Posted by ブクログ
今の仕事を辞めようか、悩んでいた。
仕事内容は自分に合っていないと思うけれど、周りの人たちが良い人たちだから、なんとなく辞めるのは悪いんじゃないかと思っていたけれど、、、
そんな自分の背中を押すような言葉が文中にあり、「そうだよね、自分に合う場所はきっとある。」と思えた。
Posted by ブクログ
ここしかないと思い詰めるから、
嵐が来ようが、どしゃぶりになろうが、
我慢するしか選択肢がなくなって、
つらくなるのであって、なんか違うなと思ったら
パッと離れたっていい
義理堅い人だと
お世話になった人たちを裏切るみたいで、自分だけ離れるなんて申し訳ないと思うかもしれない。でも、あなた自身が生き生きとやりたいことをやっていたら、周りも納得するはず。そうなったら、また、改めてご縁ができるかもしれない。
人間というものは、自分の価値観が全てだと思い込んでいるうちは、それ以外の価値観は間違っていると思うから、とにかく偉そうになるし、下手すると、自分が傲慢になってることさえ気づけません
人生なんて本当にあっという間ですから、
やるべきことを優先して、どんどんやっていかないと、やりたいと思った時には時間切れになってしまいます。どんなにお金持ちだろうと、人生の残りの時間は買えません。
Posted by ブクログ
この本は「仕事にしばられない生き方」というタイトルから仕事に関する本だと思って読みましたが、マリさんのあとがきによると
「私がお金とどのようなつき合いを今までしてきたかという内容」だそうです。
マリさんの仕事遍歴ももちろん書いてありますが、内容としてはお金とのつき合い方だったようです。
仕事は十六歳でチリ紙交換のアルバイトを始め、十七歳で留学したフィレンツェでは、似顔絵描きのアルバイト露天商の売り子、観光客相手の店で日本人相手の通訳。
二十九歳で未婚でデルス君を出産されてからは日本に帰国してイタリア語の講師、イタリア料理の紹介など十足のわらじ。そして十二歳年下のベッピーノと結婚されてエジプトのシリアへ。漫画家としてデビューし『テルマエ・ロマエ』の映画が大ヒットし興行収入59億円でも、原作料は100万円のみだったとか。
それから漫画の仕事をやりすぎて倒れられたことも。
これでは、普通の人がやろうと思ってもなかなか難しいことばかりで、体験談としてはすごく面白いけど、全然参考にはならないと思いましたが、最終章の「仕事とお金にしばられない生き方」にはわかりやすく参考になる言葉がいくつかありました。
・好き嫌いよりまずはやってみる。
・必要なのは、潮目を読む力。「自分にはこれしかない」とあまり思いすぎると、せっかくいい波が来ているのに見逃してしまうこともある。
・やってみたけど「あ、違うよ」「これじゃなかったな」ってことだってあるかもしれない。そうなったら我慢ばっかりするんじゃなくて、また次に行けばいい。「きっとどこかに自分に合っている場所がある」って諦めないで、手足を動かしていればなんとかなるもの。
・病気になることもあれば、突然事故に遭うことだってあるかもしれない。本人の意志とか頑張りでは、どうにもならないことがあるのが生きていくということ。
・大きなものに飲み込まれてしまいそうな時は、あらゆる電源をいったんオフにすることをお勧めします。携帯を置いて、SNSを忘れて、パソコンからも離れましょう。仕事や人間関係からも一切離れて、自分を見つめ直す時間を取り戻すこと。時間に追われていると、人は短絡的な思考から離れることができません。物事を大きく俯瞰して見つめ直すためには、周りに左右されず、自分でプロデュースできる時間が必要なのだと思います。その時間があれば、仕事やお金とのつき合い方もきっと変わってくるはず。
ヤマザキマリ先生の本にはハッとさせられる事が多いです。
波乱万丈な人生を歩みながら、考え方が自由で縛られていない。
凝り固まった世間の常識では無い、個人の生き方を見れてとても面白いです。
Posted by ブクログ
とても勇敢なストーリーだった。
仕事に縛られない、ということ以上に、お金にとらわれない、生き方についての考えが力説されていて、
自身のお金との付き合い方についての悩みや迷いに直球を投げられているようで最後まで真剣に読んだ。
Posted by ブクログ
強いエピソードだらけの人生。すごい。人によっては心が折れて立ち直れなくなる可能性もあるような出来事を経験をしてこそ、この価値観なのだなとある意味羨ましくなる。
Posted by ブクログ
NHKの「最後の授業」のヤマザキマリさんの回を観て。番組でも語っていた生い立ち、イタリアでの生活、漫画家になってから、それぞれの時期において、お金と仕事についてどう考えてきたかを綴っている。グローバルな生き方を体現するマリさんだが、その根本にあるのは幼少期から育まれた客観的思考と自立心、そして「なんとかなる」と思って軽やかに生きること。小さなことに悩まずに、自分らしく前に進む勇気をもらった。
Posted by ブクログ
大きなものに飲み込まれてしまいそうな時は、あらゆる電源を一旦オフにすること。携帯を置いてSNSを忘れてパソコンからも離れる。仕事や人間関係からも、一切離れて、自分を見つめ直す時間を取り戻す。時間に追われていると、人は端楽的な思考から離れることができません。
プリニウスを読んでみたいと思いました。
私たちは、機械でもなければ、ネジでもない。お金が全てでない価値観と無数の選択肢、ありとあらゆる可能性について考えることを薦めている。
内容が濃い。濃すぎる人生談から考えさせられることがあります。
これを読んでいて、私も大都会は神経をすり減らしそうで向かないかなぁと思いました。逆にリスボン、今はどうかわからないけれど、ゆったりしていて、世間て見られ方を気にしなくていいような生活に憧れます
Posted by ブクログ
ヤマザキマリさんの人生は、面白いなぁ。
自叙伝は、自慢話やら独白やらで、つまらないものも多い中(すいません)彼女は俯瞰して見て、他人事のように振り返り、言葉にするのが上手い。
そして、後半の、テルマエロマエ事件(と言って良いのかな?)の真相。
実写化って、色々あるよね…
セクシー田中さんの事件を思い出して、ちょっと悲しくなっちゃった。
Posted by ブクログ
再読であるが、新鮮な気分で楽しめた。
内容を忘れていたわけではなく、むしろ他の本でも読んだ記憶のあるエピソードもあったくらいだ。ただ、それを踏まえても読んでいて楽しかったんだよね。たまに読み返したくなるのは、だからだと思う。
テルマエ・ロマエで売れて、マンガの注文が来るようになり、必死でそれにこたえていく中で体調を崩したり、家族との関係がぎくしゃくしたりという時期が出てくる。そのあたり、今の、コロナ禍以降の停滞、変化の激しい日本のきしみを、先取されているような気がした。
今まで、そういうものじゃない?で終わっていたことが、世界では通用しない。あるいは、それはどこででも通用しないものだったのだ。ただ強いもの、言い換えれば世間とか慣習と呼ばれるものに、個が押しつぶされて、がまんして成立していたシステムだったんだろうね。
日本の、というとおおげさだけど、自分の仕事まわりですら感じられるキシミが感じられるような気がして考えさせられる。ただ、そこで刺激された思考というのは、決してネガティブなものじゃなくてさ。相手は巨大な世間という思い込みのかたまりなんだけど、そこに対しても、なにかやっていく道はあるんだよ、と元気をもらえた気がするんだよね。そこがヤマザキ氏の本を読む魅力だと思う。
Posted by ブクログ
ヤマザキマリの肝の据わり具合の理由が伺える一冊。
俯瞰という言葉がキーワードかと思う。
今の彼女(この本は2018年初版だが)にたどりつくまでに経験したいろんなことの質と量に、ただ圧倒される。それはとても「もし自分だったら」とかいうありがちな仮定すらさせないほどの人生。そういう道を通ってきた人の言葉は、本当に信頼できる気がする。
勝手に正解を決めるな。道を外れることを恐れるな。
Posted by ブクログ
よく聴いているラジオに著者がゲストで出ていて、話の内容も話し方も面白かったので、読んでみた。
自分の人生を綴りながら、お金や仕事について書いている。
一見、破天荒な人生である。14歳で1ヶ月も海外1人旅とか、17歳で絵画を学びに渡伊とかは、普通の親の元に生まれていたらできなかったことだろう。そこで多様な価値観を受け入れる人生観ができて、語学が身について人生の幅が広がって現在に至るのだから、良くも悪くも親ガチャはある。
組織に雇われて働いたことしかない者からしたら、働き方の考え方についてはそのまま同意できる訳でもないが、広い視野を持つことは必要である。
Posted by ブクログ
ヤマザキマリ氏による、お金と仕事にまつわるエッセイ。
ヴィオラ奏者である母のこと、貧しかったこども時代、イタリア留学、恋人の借金返済地獄、鬱、妊娠と出産、別れと再婚、タレント的な活動、漫画家デビュー、テルマエロマエの大ヒット、映画化原作料と炎上、過労による休止、最新作プリニウスのこと、夫と息子のこと、などなど。
もともとパンクが好きだったという著者。人と同じが嫌だという考えもあり、とにかく波瀾万丈の生き方である。それだけで、まずおもしろく読める。
また、どん底を経験したからこそ言える力強い励ましと、俯瞰的で楽観的な見方。恥ずかしい思いや惨めな思いをしなければ人は学ばないという話も、実感がこもっていて読ませる。
3時間くらいで読める文量。
Posted by ブクログ
漫画家として身を立てるまで、イタリアで絵の修行をしたり、札幌でTVのレポーター含め何でも屋をしていたり、こんな波乱万丈の人生を送られていたとは。夢を追い続けたくても、生きるためにはお金が必要で、他の仕事をすると夢のための時間が奪われて…という芸術家として生きていくことの難しさ、ジレンマみたいなものを垣間見た気がする。作品に人気が出たら出たで、難しさはあって、私の好きなテルマエ・ロマエのヒットの裏にもたくさんの苦悩があったのだな…。
ヤマザキさんの様に、経済的な安定だけじゃなく、自分の人生で大切にしたいものを守って図太く生きていきたいと思った。
Posted by ブクログ
ヤマザキマリさんの仕事やお金に対する考え方があふれていて、勉強になった。疲れたら風呂に入ってゆっくり休もうという呼びかけがいいなと思い、ヤマザキマリさんの代表作「テルマエ・ロマエ」を読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
ヤマザキマリさんの著書は4冊目。
「働くこと」「働き方」について読みながら改めて考えました。
著者の生き方や考え方に気づきや刺激をもらえたし、共感することも多かった。
かなりハードな働き方をしてきた実体験をもとに語られる文章が響いてくる。
「テルマエ・ロマエ」が生まれた裏話、作品が大ヒットしてマリさんに何が起こっていたか…。
自身のこと、家族のこと、その苦悩や異常な状況についても綴られています。
いつものことだけどマリさんの本を読むと付箋だらけになってしまう。
本作でもいっぱい刺激をもらいました。
『もっと俯瞰して、考えよう。人生にはこういう時代もある。そしてそれはきっと無駄にならない』
『人生なんて本当にあっという間ですから、やるべきことを優先して、どんどんやっていかないと、やりたいと思った時には、時間切れになってしまいます』
Posted by ブクログ
ヤマザキさんのエッセイ漫画では、詩人の彼氏とのことはさらっとしか描かれてなかったけど、文章にして詳しく見ると結構大変だったんだなと。
「仕事」に関する話というよりは、ヤマザキマリさんの人生についての本かな。
Posted by ブクログ
漫画家ヤマザキマリさんの仕事やお金や生き方に関するエッセイ。彼女の漫画は読んだことがないのだが、波乱万丈の人生を送ってきたことは前回読んだ「貧乏ピッツア」というエッセイで知った。
本書にも彼女の子供時代、青春時代、仕事を始めてからの様々な苦労や喜びが詰まっている。
彼女はスゴいお母様に育てられ、それが彼女の人生観に大きく影響している。シングルマザーの母は、オーケストラでのビオラ奏者で、収入は安定しているとは言えない。そんな母はお金に無頓着で、14歳だったマリさんを一人で欧州旅行に行かせ、17歳でイタリアに美術の留学に行かせるのだ。
イタリア時代は食べることすらままならないほど貧乏で、さらにヒモのような彼と暮らしていたので(当時はヒッピー文化がもてはやされていたのだろう)、お金には苦労したそうだ。その後、いろいろな国を転々としながら漫画を描き続けヒットする。そこからは超多忙な漫画家生活なのだという。
どんな境遇でも生き抜くエネルギーが彼女にはあり、タフさに圧倒される。そして経験に裏打ちされた、「なんとかなる」という考え方を持つに至ったようだ。「やってみる」ことが推奨されているが、一般の人はなかなかそこまでリスクをとることができないだろう。
最後の章は生きていくこととお金に関して彼女の意見が述べられている。お金は一番大事なものではない、ないならないなりに生きられる、という言葉は彼女がいうと説得力がある気もするが、私個人の見解とは違うところもありやや押しつけがましく思えてしまった。
Posted by ブクログ
「国境のない生き方」と内容が似通っているものの、後半以降で仕事に関する視点へとシフトされる。
働けない程の困窮状態から働きすぎて倒れてしまうところまでの振り幅で人生を歩んできた作家が、苦境に対して、粘り強く生きた証を書いている。
仕事に対して悩んでいる人が読む指南書ではない。ヤマザキマリさんがどんなふうに生き抜き、今だからこそ世の中をどう見ているのかが分かる本。
Posted by ブクログ
言語化できないようなグレーゾーンが
日本にはたくさん存在していて
そのグレーゾーンにおける心情が
すごく鮮明に書かれていた。
人間味溢れる文章から、
なんでも白黒はっきりつければ
言いわけではないと感じた。
Posted by ブクログ
自分を俯瞰で客観視することが、何においても必要なのかなと思った。心に残ったのは、キューバの人達がお金はなくても明るく月明かりの下で踊る美しい光景の話。
Posted by ブクログ
『テルマエ・ロマエ』で有名なヤマザキマリの半生記。
内容は前作『国境のない生き方』とほとんど変わらなかったが、改めて彼女の反省を振り返ることができた。