ヤマザキマリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白いなあ、としみじみ思うのは幽霊についてプリニウスとフェリクスが押し問答をする所。
単純に「見える人」と「見えない人」の構図であるし、「科学」対「迷信」でもあるし、「前進する意思」と「後悔の念」でもある。ヴェスヴィオスの大地震の甚大な被害の後で語られるから、もちろん震災後の日本人にも重ねられているのだと思う。
揺れ続ける最中も常に明日への一手を考え行動する彼らが心強い。
さてあと半分はポッパエアが舞台の中央に躍り出てきた。セネカもブッルスも彼女を見くびっていたのだろうか?類い稀な理性や頭脳が駆逐されてしまった原因がわからない。
幼稚な自己愛がふりかざす狂気!それを利する策謀家も登場して、ダ -
Posted by ブクログ
ネタバレポッパエアの妄執が虚ろなネロに注ぎ込まれてゆくのを黙って見ているローマの政治家たち。寒々しい。一人の暴君が悪政を行ったという短絡的な寓話から跳躍して、陰影のある物語が展開してゆく。2巻の娼婦への虐待も、悲劇に感動し妄想を膨らませたという背景を見せて説得力がある。小さな悪が次第に加速してゆく様を見せて鳥肌を誘う。
アトレウスの若さゆえの懊悩が主観でなく客観的に描かれているのも好ましく思う。人間のドラマもこの広大な世界の一つの事象に過ぎない。重大だが些細である。
ローマを離れて快復する憂鬱にハイジを彷彿。またはラスコーリニコフを蝕むサンクトペテルブルクを思い出す。
「自分」に囚われる若者特有の気 -
Posted by ブクログ
ネタバレうぉぅ!ますます面白い!高度に発達した都市ローマの描写がまず面白い。インスラ(アパート)の三階より上に住みたく無い!とか。パニス(パン)の種類とか。
そしてネロ!ネロに対するプリニウスの評価が、物言わぬ周囲の人間たちの思いを表している。混迷する政治。繊細なネロはその空気を感じてますます捻れていく。助けて!ネロは心中でプリニウスに訴えていたのではないか。
水道管の技師の出てくるくだりも面白い。本作では珍しいアクションシーンと、ローマの下水道技術の話。のみならず文明論にも発展。フェリクスの嫁も10年前は技師の孫娘みたいに可愛いかったのかなあ…。
それにしても、ここまで画面の描き込みが濃厚なマ -
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ネタバレ参考になったぞ。読んで良かった。
学歴思考NO
子供は親の創作品ではない。子供の学歴が親の点数ではない。教育虐待しない。
幸せになる方法は一つじゃないと思える視野の広さを与える。
目の前の社会の中で多様性を発見出来なければ、地球の裏側に行っても発見出来ない。
自分の常識を相手にもあてはめる思考を外す。
誰の話にも耳を傾ける。
自分の気持ちや意見を誰に対しても言っていい。
意見の相違はある。どうしたらケンカせずにお互いの事を理解出来るか、工夫して答える。
自分に理解出来なかったり、意思の疎通が出来ないからといって、排除しない!
子供から「生きるっていろいろあるけど、楽しいね」って言われたら -
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借りたもの。
「Ⅰ」では古代ローマの公衆浴場と日本の銭湯文化や水回りの比較に重点が置かれていた気がするが、風呂というか、温泉の効能にも言及していた。
冒頭のエピソードでは多産豊穣の願いとしての性を示唆。
異文化の人達に入浴の作法を伝えるツールとなり得るイラストの解説(東京オリンピックからピクトグラムが採用された話を思い出した)、ウォータースライダー、銭湯振興のためのスタンプラリーにバナナワニ園の話まで、平たい顔族(日本)独自の風呂・温泉文化をルシウスを通して面白おかしく学べる、見直せる。
フィクションとはいえ、人物描写が素晴らしい。
格好良いハドリアヌス帝、聡明な少年・マルクス(後の五賢帝最 -
Posted by ブクログ
母親業に
「とらわれ感」はつきものである。
なにしろ、ほっといたら死んでしまう小さな命を
預かっているのだから。
しかし、命を守る事へのプレッシャー以上に大きく感じてしまいがちなのが、
良い母親にならねば、
理想的な母親に、
そして、子供を世の中の役に立てる大人にしなきゃ…
と、いう『評価A』を目指しての頑張り、なのではないだろうか。
これまで私も子育てに関する育児書や、
素敵ママのお洒落な毎日(なんというタイトル!(笑)
的な本をたくさん読んできたが、
最終的にどこを目指していたのか、さっぱりわからなくなっていた。
結局、
ヤマザキさんの本を読んで思った事は
>子は親の背を見て育つ、ん -