ヤマザキマリのレビュー一覧
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二人の会話を読んでいるうちに、美術館に行きたくなる。
講義や細かい解説の形ではなく、この本で教養が深まるというよりは、自分であれこれ妄想を広げながら楽しみを見出すきっかけをくれる本だった。
作品自体についての妄想に留まらず、画家同士が実はこのタイミングで出会っていたかも、こんな話をして、影響をうけていたのかも?という妄想、自分が美術館をつくるなら、、? そうやって好奇心を次々と刺激されて新しい知識も増えていくんだろうなと思った。
メジャーな作品や巨匠にも、有名になるまでの物語があるし、日本ではあまり知られていないアーティストの中にも素晴らしい人がいる。知識があってもなくても、あなたの目で -
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イタリアの家庭菜園でトマトがなりすぎ、食べても食べてもなくならない、と。トマトが大好きなのでうらやましくて…毎日おなかいっぱいのトマト食べたい。なのにヤマザキさんはトマトがあまりお好きでない、とのこと。
貧乏時代に食べたもの、というのがどれもおいしそう。豆とパスタを煮込んだもの、夏に食べる茹でた米のサラダ、そしてペペロンチーノ。
お母さんのブームが去るまで同じメニューを作り続ける、ロールパン、アップルパイなどそれほど手間のかかるものを忙しい中作っていた、その気持ちはまさに親の愛だなあ。暮しの手帖が教科書だった、というエピソードも。
『貧乏だからといって、まずいものしか食べられない、ということは -
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原田マハさんの作品はいくつも読んでいるし、ヤマザキマリさんは講演を聴きに行ってほんとに面白かった記憶があり、大好きな2人の対談のため購入。
2人とも美術マニアなんだけど、着眼点が違うというか、「そういうモノの見方をするのか」というのが面白かった。
例えばヤマザキマリさんのウッチェロの話で、「遠近法や理系で物を考えすぎて幾何学模様を絵に入れてしまう」みたいな彼の人となりから美術に反映される考察とか、原田マハさんの風神雷神図屏風で「作者の俵屋宗達はルネサンスを見たに違いない!」という仮説の妄想から歴史を調べて小説ストーリーを作るみたいなのは自分にはできない思考。
作品だけを見るのではなく、そ -
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面白そうな話をしそうな人が実際に面白い話をしている。
それを喫茶店なり飲み屋なりで、ごく近い席で聞き耳立て楽しませてもらってる。
対談集を手に取ると、いつも大体そんな感じ。そして紹介される著書が興味深いのでエア積読が増える。
昆虫好きな二人が、昆虫について、昆虫から広がる話について、しばらく話し続けます。虫があまり得意でないなら少し辛抱が要るかも。でも中盤からはほとんど虫は出てきません。
他の動物について、人間の歴史、文化、知性、民族性、死生観、政治経済、環境問題について。それはもう多岐に渡って話してます。
どのトピックも、うんうん、なるほどと頷けるところだらけ。とりわけ、
『だって自分は -
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17歳のとき単身でイタリア留学。ピラニアがいるかも知れない川で泳ぐなど、破天荒な行動で、人生を謳歌しているヤマザキさん。彼女を題材にして、余裕で一冊の小説が書けるような、波瀾万丈の生き方をしています。私にはとても真似できません(笑)。しかし、旅には出たいなとは思いました。
【心に刺さった言葉】
・私はよく「それって、もし宇宙人が見たら、どう思うか」って考えることがあるのですが、そうすると私たちって、みんな「地球人」だし、生物学的に見たら、誰もが「人間」という生き物になる。「それって地球人として、どうなのよ」という感覚は、どこかに持っていたいと思うのです。
・人間に愛されることも大事だけれど -
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序盤、お2人のハイソサエティな経歴や、紹介されるのが海外の美術館ばかりなのに、世界が違うかも…と少し引きそうになってしまったが、アーティストや作品紹介が始まったら楽しめた。
ヤマザキマリさんが大好きだという『書斎の聖ヒエロニムス』、示唆的で詩的で、色も美しく、シュールレアリズムのような雰囲気もあり、わたしもすごく惹かれた!この絵1枚から、いろいろな物語が生まれそう。
そしてこれまた知らなかった画家、ウッチェロ。『聖母子像』の幼児キリストの顔、これは思わず笑ってしまう。人物よりもボタンを描くことに執着しているのも面白い。この人の絵をもっと見てみたい。
ルソーの『幸福な四重奏』も愛おしい。ルソー作 -
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暫く積ん読になっていた。NHKの放送後に纏められたテキストらしい。
子供の頃、サイボーグ009は映画やテレビアニメで観ていた。最初のモノクロ版。サラサラっと描いたような描線が好きだった。
小学生の時に読んだ「漫画の描き方」の竜神沼の解説で、暗い森の中のカブトムシの背光で少年の孤独感、白い百合で不思議な少女の気高さを現わしているとあり、マンガの表現手法にビックリしたことを覚えている。
さるとびエっちゃんの編で、主人公の内面が見えない、善悪を等価に俯瞰しているの記述に納得。サイボーグ009の編でも善悪を混然一体としているとの記述もある。
サイボーグ009が神との戦いの前で長い休載となり、その