たちどまって考える

たちどまって考える

小説・文芸
924円 (税込)

4pt

パンデミックを前にあらゆるものが停滞し、動きを止めた世界。17歳でイタリアに渡り、キューバ、ブラジル、アメリカと、世界を渡り歩いてきた漫画家・ヤマザキマリさんにとって、これほど長い期間、家に閉じこもって自分や社会と向き合った経験はありませんでした。でもそこで深く深く考えた結果、「今たちどまることが、実は私たちには必要だったのかもしれない」という想いにたどり着いています。この先世界は、日本はどう変わる? 黒死病からルネサンスが開花したように、また新しい何かが生まれるのか? 混とんとする毎日のなか、それでも力強く生きていくために必要なものとは? 自分の頭で考え、自分の足でボーダーを超えて。さあ、あなただけの人生を進め!

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たちどまって考える のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    コロナ禍始まってまもなくの行動がままならない時のヤマザキさんの視点がすごい。
    俯瞰して状況をみていて、毎日ただ感染者の増加データに日々震え、感染者の増減に一喜一憂していた自分とは大きな違いを感じた。
    ヤマザキさんは日伊両方での生活をしているのもあり、イタリアで感染が爆発的に増えた一方で、日本の感染が抑えられていたことの背景に文化的慣習や過去の歴史に照らし合わせているところが納得できた。
    空気を読む民族と読まないで、とことん自分の意見をぶつけ合い納得するまで話し合う民族。相反するような民族性の違いについて語られる点が興味深く心に刺さった。
    色々と国の歴史や文化、風習なども織り交ぜヤマザキさんは分析されている。
    空気を読むというこの日本独特の言い回しの風習は美徳とも捉えていたが、それが今の日本では様々なひずみや弊害を生んでいるような気がする。
    政府の曖昧な自己責任回避、色んなことを曖昧にぼかしてしまっていることにも、それを「仕方ない」で諦めたりする自分を含めた国民にも危機感を覚えた。
    実はコロナウイルスのパンデミックでは色んなお国事情や考え方が垣間見えたはずなのだ。
    ニュースを見たり新聞も読んでいたが、与えられる情報をただ飲み込むだけで、考えたり疑問を持ったりしていなかった自分に気付かされた。

    0
    2025年01月09日

    Posted by ブクログ

    たちどまって考える
    著:ヤマザキ マリ
    中公新書ラクレ 699

    問題提起の書、おもしろかった

    バンデミックを通じて、ヤマザキ氏が感じた、日本とイタリアを中心とする欧米との文化や習慣の違いを記したのが本書かと思います。

    いまさらながら、日本人とは、自分の考えを、言語化するのが苦手な民族であり、悪い意味で人からの指示待ちの民族だとも考えてしまいます。

    著者のいうように、バンデミックという転機は、自らを、たちどまって改めて見直すために、天が与えて機会ではないかとも思ってしまいます。

    気になったのは、以下です。

    ・大概、何が起きるのか、わからない波乱万丈の人生を歩んできた私です
     世のなかは思い通りにならないことのほうが多くて当然だと思って生きていますから、このバンデミックに際しても大きな動揺に苛まれることはほかの方たちよりは少なかったと思います。

    ■たちどまった私と見えてきた世界

    ・とにかく、命さえあれば復興はできる。歴史もそれを証明している

    ・人の命は神から預かった尊いものであり、自死は、決してあってはいけない罪深きことと教えられます

    ・危機を感じたとき、人はどうしても利他性を失います
     そして、集団としての力よりも、個人的な力で生き延びようとする力が働く
     その後に淘汰され、生き延びる力の高い人たちが集まり、次には、「群れをなそう」と集団を形成していきます

    ・イタリアを含む欧州の人々にとっては、物事に対して、「疑念」をもつことがデフォルトです
     何事もまず疑う それは、彼らの文化的な思考力であり、生存のための知恵でもあるのです

    ・これも私の推測でありますが、日本の感染率が他国と比べて本当に抑えらえているのだとしたら、人との接触が少ないことや、夫婦間でも不必要にベタベタしない、親子でも頻繁に抱き合ったり、頬にキスをしないといった、日本人の常日頃の生活習慣が、少なからず関係しているのではないでしょうか

    ・虚勢や虚栄の甲冑を身に纏う権力者とは違い、謙虚な親族のおばさんという体のメルケルが「あなた」という二人称を使って、国民に呼びかけたことは印象的でした

    ・政治家たちがもつ言葉の力 その背景には、弁論力こそ民主主義の軸と捉える古代ギリシア・ローマから続く教育が揺るぎなく根付いていると感じさせられます

    ・熟考の末に、紡ぎ出された言葉は、小手先だけでまとめられた美辞麗句とは説得力のレベルが違います
     「開かれた民主主義に必要なのは、政治的決断を透明にして説明することと、その行動の根拠を伝え、理解をを得ようとすることです」

    ・責任がもてるということは、自分の決断に自信がもてるまで念入りに考えるということです

    ・古代のことだから人として遅れている、ととらえるのは大間違いです
     人間は時空を超えて人としての可否を生む出してきたことが、古代史を考察しているとはっきりわかってきます

    ・望む、望まないとは関係なく、バンデミックという時代を生きることになった私たちは、少したちどまって、これまで見過ごしてきた物事を落ち着いて考え、またじっくりと、それまでとは違った角度からも見つめ直す
     そんなタイミングにいるのではないかと思っています

    ■パンデミックとイタリアの事情

    ・ローマ帝国を滅ぼした疫病の記録
     AD165 アントニヌスの疫病 天然痘の可能性が高い
     AD250 キプリアヌスの疫病 天然痘

    ・疫病のような目に見えないものについては、言葉として残らない性質が日本の歴史にはある
     言葉で書き記されなければ、その記憶は風化しやすい、そこで得た教訓も人々の中にはとどまりにくい

    ・そもそもキューバは、先端医療の水準がとても高く、予防医療という側面でも効果的な結果を出している、知られざる医療大国なのです

    ・留学のきっかけにもなった、マルコじいさんに、「人間は謙虚でなければいけない」ということを何度も説教されました 「その虚勢は、おまえが弱いからだ、甲冑を着て大きくみせているだけなんだ」

    ・良く考え、良くしゃべる人は、傷つく頻度もそれだけ増えますが、それだけ自分という人間を日々懸命に耕しているという姿勢を表すものでもあります

    ・この民主主義は、導入されている国によってその性質が大きく違う、一概に比較できるものではない

    ■たちどまって考えたこと

    ・人間にとって最終的に頼りになるのは、自分自身以外にありません
     だからこそ、自らを見据え、鍛え、「頼りがいのある自分」を私たちはつくっていかなければならない

    ・日本のカフカと目される安倍公房は、私が10代から敬愛する作家の一人です

    ・文化の熟成がそれだけ進んだのは、戦時下で見て経験した現実を、同じ問いを繰り返すように自分のなかでなんども考え、咀嚼し、作品として昇華した人がいたからです

    ・手塚治虫、彼も不条理な時代を全身全霊で経験した、とてつもない知の巨人です

    ・自分の辞書を分厚くすること、つまりボキャブラリーを増やして知識や教養を深めることは、会話や議論を豊にするだけでなく、視野を広げ、思考力や想像力をもたくましくし、ひいては生きる力そのものを強くするということです

    ・今のアイドルたちは、一様にグループ編成となっていますが、昭和のアイドルは、たった一人で人前に立ち、自分の歌唱力だけで歌うことが求められていた時代です

    ・うちの母も戦前、裕福な家庭で育った深窓のお嬢様でしたが、戦争でいきなり何もかも失ったんです
     あまりに理不尽な環境の変化ですが、当時の人は大なり小なりそのような経験をして、「人生は思い通りにならない」という洗礼を浴びたのです
     しかも自然災害のような天災ではなく、人間が起こした戦争という、非常に不条理な事態によって、それが引き起こされた
     だれかの指図で命の選択がなされ、何も悪いことをしていなくても、「おまえは死んでいい」と人々は一方的にジャッジされてしまったのです

    ■パンデミックと日本の事情

    ・日本ではそもそも民主的なリーダが求められているのか、という側面です

    ・日本人は開国以来「果たして他国から自分たちはどうみられているか」ということをやたら気にし続けてきたように感じます

    ・今も八百万の神やシャーマニズムを潜在意識に置く日本人の精神風土には、もしかして、卑弥呼のようなシャーマンをリーダーにした社会システムがいちばん馴染みやすいんじゃないだろうか、という気さえしてきてしまいます

    ・しかも日本の天皇は近代まで「現人神」として神さまの子孫とされてきました
     実際、皇室行事の「新嘗祭」は神事ですが、ヨーロッパ人の感覚などからすると、そんな神秘的な行事を、先進国である日本が国として今も続いていることはなかなか理解しがたいようです

    ・日本のような世間体の戒律が厳しく、空気を読む必然性が高い国だと、普段言いたいことをなかなか言語化できない

    ・「漫画家がこんなところに出てきて、偉そうなことをじゃべるな」
     「漫画家は漫画だけ書いてりゃいいんだよ」

    ・ドナルドキーン 「日本の人は、私がいかに日本を愛しているかを語ったときしか、耳を傾けてくれません」

    ■また歩く、その日のために

    ・ここまで書いてきて感じるのは、日本はもしかすると、成熟すること自体に興味がない国なのかもしれない

    目次

    はじめに
    第1章 たちどまった私と見えてきた世界
    第2章 パンデミックとイタリアの事情
    第3章 たちどまって考えたこと
    第4章 パンデミックと日本の事情
    第5章 また歩く、その日のために
    おわりに

    ISBN:9784121506993
    出版社:中央公論新社
    判型:新書
    ページ数:256ページ
    定価:840円(本体)
    発売日:2020年09月10日初版
    発売日:2020年09月30日再版

    0
    2024年05月12日

    Posted by ブクログ

    コロナ禍におけるイタリアと日本の考え方の違いについて主に書かれていた。心の奥の方では分かっていたけどあえて触れてこなかった日本人の特性のような部分をズバズバと話していた。日本人の性格を批判されているようにも感じたが、その通りだと感じることが多かった。ただ、これで悲観的になるのではなくいろんな国の特性を理解してみようと思える内容だった。

    0
    2023年12月21日

    Posted by ブクログ

    イタリアに家族がいて、日本人とはなんなのか、よく存じ上げているヤマザキマリさんの、パンデミックで立ち止まってしまったなか、日本人とはなんなのか、考察をしている。
    たしかに、日本には、明治維新後に入り込んできた、西洋式の民主主義が、まだ馴染んでないのかもしれない。
    良い悪いは別にして、日本人の考え方や精神性をよく理解し、世界のなかの日本として振る舞う必要があるだろう。

    0
    2025年06月07日

    Posted by ブクログ

    「命さえあれば復興はできる。歴史もそれを証明している」敬虔なクリスチャン思想のあるイタリアの考え方と、世間体ベースの日本の考え方。パンデミックの始まりと、その後のことを考えると海外での大都市ロックダウンの様子は報道されてもその背景にある宗教に根付く思想の影響などは言及されていなかった。日常的に海外文化と日本文化の混ざる生活をしている筆者ならではの、民族思想的な考察が面白かった。

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    2025年04月07日

    Posted by ブクログ

    人生は思い通りにならないもの、どんなことでも起こり得るもの
    ヤマザキマリさんの考え方すごいと思いました。

    0
    2025年02月09日

    Posted by ブクログ

    大好きなヤマザキマリさん♡

    カッコいい!
    ますます好きになりました。
    紹介されていた映画や本、ヤマザキさんの視点を踏まえて、もう一度観たり読んだりしてみようと思います。

    0
    2024年12月08日

    Posted by ブクログ

    コロナ禍を機に書かれたようだが、小康状態の今読んでもなかなか興味深い話題がいくつかあった。
    欧米人の倫理観は「聖書」が土台となっているが、日本人のそれは「社会」と「世間体」。「聖書」は変わらないが、「社会」と「世間体」は変化していくな…と自分の中で納得。
    ヨーロッパが長い年月をかけて培ってきた「民主主義」を日本がそのまま取り入れても浸透するのはなかなか難しい、というのも、「民主主義」はそもそも一人一人が参加することで成り立っているのに、日本人にはむしろ「待ち」の姿勢で生きているからだ、との指摘。
    自分自身、政治のみならず、さまざまな人間関係においても「待つ」だけになっていないだろうか?今からでも遅くない。アグレッシブに生きていきたいと思った。

    0
    2024年07月25日

    Posted by ブクログ

    考えるにも土台が必要だと感じました。様々な経験と知識、知性がなければ、状況を客観的に比較したり俯瞰して分析できない。独りよがりの考えに固執してしまう。不安に対処するにも同じことが言えると思います。コロナの時、自分は何をしていたか?韓国ドラマを見るためにネトフリに登録したことを思い出し、今更ですが、今後は読書の時間をもっと増やすと決めました。

    0
    2024年01月06日

    Posted by ブクログ

    ヤマザキマリさんがコロナ禍にたちどまって考えたことが書かれた本。
    コロナ禍での日本と他国のトップの対応や国民性など冷静な分析ぐなされている。
    ヤマザキさんの考え方自体は、他の本でも書かれているが、ブレないところが好き。

    「人生とは思い通りにならないもの、どんなことでも起こり得るもの」という考えは、コロナ禍を経験して多くの人が感じたことだと思うが、これを忘れずにいれば、これからも大抵のことは乗り越えられそうな気がする。

    0
    2023年09月23日

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