あらすじ
十七でイタリアに移住、未婚で出産、育児をしながら漫画家デビュー、イタリア人と結婚し世界を拠点に生きるヤマザキマリ。けれど、そんな規格外な母の息子として生まれたデルスは〝世界転校〞を繰り返し、繊細な子供心は縦横無尽にかき乱されて ――。母である前に一人の人間、家族でも、各々一人の人間であれ!「地球の子供」を育てる人間讃歌エッセイ。
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Posted by ブクログ
誰かの何かである事
何かに所属している事
誰かに認められている事
誰かに愛されている事……などなど
作者はそう言う事の前に
「すべての人は、何よりこの地球に受け入れられているのだ」
と言う。
私は学校を卒業してから、ずっと仕事をして来た。
子供が産まれてしばらくは、いわゆる専業主婦をしていた。
その頃○○ちゃんのママではあったものの、
「何処にも所属していない自分」という認識があった。
それは誰かの目を意識していたのか?
今も、いろいろな事を意識しているのだろう。
しかし作者には、そんなものは無い。
自分はこの惑星の生き物として、受け入れられているのだと言う確固とした自信。
シングルマザーで、身寄りもいない海外で1人で子供を産み、その後も苦労は人並みはずれているのだけれど、だからこそ得られた世間の目など振り切ったその眩しさ。自分の道をまっすぐ歩く事のできる強さ。
こんな、人として大きな母親に育てられたデウス君。
自立した、魅力的な人間にならない筈が無い。
あとがきとして、デウス君の書いた「ハハ物語」
には、「母は失敗を含めたありとあらゆる経験を推奨し、逆に勉学や教育がそれの妨げとなる事を望まなかった」
「そしてあんなに楽しげに、いろんな所へ行き、いろんな人と接する母の姿に、ただ憧れていただけなのだ」……と。
子供に心底憧れられる親。
今までの、そしてこれからの生き方を考えてしまう。
Posted by ブクログ
ヤマザキマリさんと息子デルス
当然ながら日本的な親子から大きく外れる経験値と関係性を語っていらっしゃるにも関わらず、
ああヤマザキマリも普通のお母さんなのだなぁ
とかえって強く思わされた
たくましい。じつに、たくましい
が、同時に繊細な母と子
(あとがきが宝物のようにキラキラしてます♪)
Posted by ブクログ
「◯◯ならこうあるべきという思い込みを持たないこと」「地球に受け入れられているんだと自覚すること、この惑星の生き物として生まれてきたことを感じること」といった刺さる言葉の散りばめられた文章。マリさんかっけー、デルス君ええ子や、などと思って本編を終わったところで、次に始まる、息子デルス氏によるあとがき「ハハ物語」。このカウンターパンチのなんと効くことか。子の心親知らずである。
でもそれで、本編での感動が覆るかというと、一周回ってその逆で、ますますこのハハとムスコの在り方が好きになった。
Posted by ブクログ
周りを気にながらみんなと同じように振る舞い、組織に属して従順に仕事をする、そんな生活をしている私にとっては、ヤマザキさんの生き方、考え方は眩しく、憧れる。最後の息子デルスさんからみた母の物語からは、親子であってもやはり違う人間であるのだということが強く感じられた。
Posted by ブクログ
ヤマザキマリは、漫画家でテルマエ・ロマエを書いた。17歳から単身イタリアで留学し画家修行など経てシングルマザーとなり、イタリア人夫と結婚してアメリカ滞在などあり、現在はイタリア在住。
そんな彼女が自身の家族特に一人息子の事を綴ったエッセイ。
ワールドワイドな価値観にただ圧倒された。
母が抱いていた息子に対する思いと、実際に息子本人が書いた【あとがき】のギャップに笑えた。
Posted by ブクログ
地球規模で移動し、若い頃から規格外(?)の生活をしてきたヤマザキマリさんが、ムスコや家族との関係、ムスコに対する思いを綴ったエッセイ。
"他者という鏡に自分を投影することで自らの存在を確認などしなくても、地球に受け入れられているという自覚だけ持って堂々と生きて欲しかったし、私の息子である以前に、この惑星の生き物として生まれてきたことを感じてほしかった"という信念で子育てをしてきたヤマザキさんもすごいが、子どもの側から見ると必ずしも子ども中心とは思えない暮らし方、生活の変化を強いられてきたにもかかわらず、グレることもなく、両親や祖父母への気遣いを見せられる人に育った息子のデルス君も素晴らしい。
とはいえ、あとがきにかえてデルス君が書いた「ハハ物語」を読むと、やはりムスコとしては辛い面もある子ども時代だったことがわかる。
それでも、人間性の大きい(と勝手に想像する)人に育ったのは、どんな環境であれ、親の愛情がきちんと届いていたからだと思う。
ヤマザキさんの夫も含め、独特で素敵な家族。
Posted by ブクログ
マリさんの漫画は、自伝的なものしか読んでないけど、エッセイはいくつか読んだことがあり、この本もこれまで同様、内容も興味深く読みやすい文章で、息子さんにある程度フォーカスしつつ、生活全般に触れられ、楽しく読めた。
シリア時代についてもっと聞きたいと、いつも願っているが、今だと内戦に絡む内容を求められて、方向性が自由でなくなるのかな、、、とか思ったり。
Posted by ブクログ
何かでお勧めされております購入。積読になっているのを数カ月後に気付き読んでみる。
「テルマエ・ロマエ」の山崎マリ氏と息子の成長記。自由業、世界を転々としての子育てなので真似はしづらいな、まあ読む分には興味深いけど。と思いながら何となしに読み進むが、最後の方の章はそういうの抜きにして、親と子、人と人の良い関係を築くには大切なことだよなと思う。
最後の方の章の「思い通りにはならない」から最後までだけでも妻にも勧めてみようと思った。
■学
いかにして子供を活字好きにするか。母は興味を持った記事を見ると、その感想を子供たちにも伝えた。
Posted by ブクログ
ヤマザキマリのムスコにまつわるエッセイ。破天荒すぎる母の子は大変だろうな、と思ってたら、エピローグに答え合わせがあって面白かった。
人は自由に生きていい、という寛容さに救われる。厳しい生き方になるとしても、自分らしくいてほしいという人間の根源的な祈りのような暖かさを感じた。