辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「空の青さと、家ん中の暗さの差がすげえ」
達哉の睦ッ代村イメージは的確でした。
閉鎖的だけれど、開かれたイベント・音楽フェスもある村。
何も知らされてない有力者の息子に、芸能界から離れて村へ戻った元女優が接触してきたことから始まる、2人の世界の崩壊のお話でした。
辻村深月さんの怖いところがきちんと上の方にあってよかった。
もうちょっと巧妙に沈めてあるお作品が多かったイメージでしたが、ここまで浮かび上げられてる作品、面白かったです。
人間関係のドロドロ、善人と怪物がパタパタとひっくり返っていく人物像…楽しみました。
「理解のある大人」と「怪物だと思っていた人」の理解が入れ替わるシーンが、哀しくもありゾッとするのもありました。
広海の罪と罰、一生背負っていくんだろう…
ラストも、手放しでスッキリはしない。
けれども、これはこれで好きです。
何世代にもわたる村の選挙システム、ダム建設の際の無理な移転とピンハネ、2つの殺人事件(2つ以上かも…)が明るみに出たら、睦ッ代村も住民も無事じゃ済まない。
しかし、待ち合わせてる英恵さんから、手を下した由貴美の代わりに広海の命が奪われるという可能性も捨てられない…。そしたら睦ッ代村は今までのまま。
う~ん。。。
閉鎖的で旧い体質が残ってて、「どこから回ってきたんだその情報…速い」なムラ社会の設定と描写がほんとリアル。こういう地域出身の人は痛いほどわかるんじゃないでしょうか。
もれなくわたしがそうなので「うわぁ」と思いながら読みました。
相変わらず、生徒さんたちの過剰気味な自意識描写上手いなぁ。 -
Posted by ブクログ
何度目かの再読です。
辻村深月さんの作品のなかでも一位二位を争うくらいリアルにはありそうにないSF(スコシ・フシギ)な世界観(もうひとつの候補はかがみの孤城かな)
自殺してしまう同級生を救うため、3カ月前の世界からタイムスリップしてきた主人公。その自殺してしまう同級生とは一体誰なのかを探すお話
設定としてはあり得ないと思ってしまったので、特にこの上巻は最初に読んだときは正直そこまでハマらなかった。だけどすでに下巻読んでいて事の顛末を知っているとやっぱり面白さが違う。何度も読み返したくなるのはさすがのひとこと。
まだ未読の人に言えることは、まずは「僕のメジャースプーン」を読んでみてそれを面白いと思えてから読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
いわゆるジャケ買いでした「筋肉少女帯小説家計画」。
表紙は漫画家の藤田和日郎さん。彼をはじめとして、多くの創作に関わる人々にファンが多いのは知っていたけど、本家である筋肉少女帯の歌を聞いたことはあんまりないです。アニメ「うしおととら」のOPぐらいか。
興味はあれど、聞く機会を求めてこなかったので、聞くきっかけになるかな、と思って購入しました。
10代というか思春期が感じる違和感、疎外感、万能感、危機感、無敵感、嫌悪や潔癖、夢想に妄想、強圧や抑制、純真に偽悪、憧憬に共感、拒絶と承認。そういったもののごった煮の中から、その時の、初めて聞いた時の自分が一番欲しがっていたもの、共感できるものを見出すことができる素材だったのだろうな、と思います。
青春の一時期、何者でもないけど何者にもなれる。そういう文言だけを頼りに、うまくいかない日常をやり過ごすだけの日々を送り、文言を知ることで望んでいた何かになることができた、と勘違いをしていた自分には、現実を突きつけてくるなかなか厳しめの小説集。
踏み出す勇気を持ち得なかった自分には、サブカルクソヤロウの若かりしオーケンの独白が、羨望から生まれた尊敬と憧憬と嫉妬と冷笑となります。
自分の弱さをさらけ出し、恥をかきながら、正道や王道でなくても自分の選んだ道を歩むことをやめない強さを与えてくれたかもしれない。
その人が持っている、決意と覚悟の発露の煌めきがたまらなく好きで尊敬するのだけども、その行為の結果が好きなだけで、そこに至るまでの葛藤や逡巡には目を逸らしてきた傾向が自分にはあります。
泥の中からこそ綺麗な花は咲く、というのに。
自伝の趣がある大槻ケンヂの「香奈、頭を良くしてあげよう」で、19歳も59歳もオーケンはオーケンであるように、人間は幾つになってもその本質というものは変わらないのだとは思う。だからこそ、その本質に何らかの変化を与えるような存在と出会った喜びが、とてつもない成功体験となって肉体や精神、魂の記憶に刻まれるのだと思う。
収録されている6作品全てにおいて、それぞれの登場人物、いや作者の体験を描いたのだと思います。羨ましい。
「香奈、頭を良くしてあげよう」中の言葉を借りれば、『自分も金星人には遭っていない』年齢なので、まだ何かのきっかけがあるかもしれないなぁ。
この言葉が、ダイエット用品になりませんように。