あらすじ
自然を切り崩し、ロックフェスを誘致する以外に取柄もない山村。田舎特有の、窒息しそうな閉塞感に苛立つ高校生の広海は、突然村に戻ってきた地元出身の有名モデル・由貴美と出会い、囚われてゆく。ある晩彼女から「村への復讐に協力してほしい」と持ちかけられ、広海は求めに応じるが、実は由貴美には“真の目的”があった。そしてフェスの夜、取り返しのつかない事件が二人を襲う──。新直木賞作家による傑作長篇。息を呑むラストまでページを繰る手が止まらない!
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住んでいる県にダムがあるのですが、なんだかこの本を思い出してしまいます。
まさか、という人が本当に、狂った人で、、
辻村さんと生まれた環境が田舎という点で似ており、共感する部分が多く、辻村さんを好きになりました
田舎の閉鎖的な環境の怖さを物語っている、この本は多くの人に読んで欲しい本です
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田舎の嫌なところを煮詰めた感じ。
そして身体の奥底から…心から得体の知れない冷えを感じた。そうまるで物語を読んでいる私自身が水底にいるような…。
こういう物語も悪くないと思ってこの評価。
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久々の辻村深月先生作品でしたが、これもまた凄い話でした。狭い世界、閉鎖的なコミュニティに存在する独自のルールや、体制に抗って生きることの難しさを痛感します。そこに翻弄される主人公たちの企みと恋愛模様✨…個人的に辻村先生BEST3に入ります
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思春期というのは、これほど危ういものなのかと。精神は命を賭して伸びていく。
悲劇だが、切実なものが含まれていた。
世代。性愛。社会。家族。暴力。
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黒辻村深月の本領発揮した作品。特に、序盤から見下していた母親と自分がだんだん似ている事が分かってくるのが皮肉的で切なくて印象に残った。
睦ッ代村全体の隠蔽気質が恐ろしく、いつも登校中に笑顔で座っているおじさんの豹変する場面で鳥肌が立った。
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「空の青さと、家ん中の暗さの差がすげえ」
達哉の睦ッ代村イメージは的確でした。
閉鎖的だけれど、開かれたイベント・音楽フェスもある村。
何も知らされてない有力者の息子に、芸能界から離れて村へ戻った元女優が接触してきたことから始まる、2人の世界の崩壊のお話でした。
辻村深月さんの怖いところがきちんと上の方にあってよかった。
もうちょっと巧妙に沈めてあるお作品が多かったイメージでしたが、ここまで浮かび上げられてる作品、面白かったです。
人間関係のドロドロ、善人と怪物がパタパタとひっくり返っていく人物像…楽しみました。
「理解のある大人」と「怪物だと思っていた人」の理解が入れ替わるシーンが、哀しくもありゾッとするのもありました。
広海の罪と罰、一生背負っていくんだろう…
ラストも、手放しでスッキリはしない。
けれども、これはこれで好きです。
何世代にもわたる村の選挙システム、ダム建設の際の無理な移転とピンハネ、2つの殺人事件(2つ以上かも…)が明るみに出たら、睦ッ代村も住民も無事じゃ済まない。
しかし、待ち合わせてる英恵さんから、手を下した由貴美の代わりに広海の命が奪われるという可能性も捨てられない…。そしたら睦ッ代村は今までのまま。
う~ん。。。
閉鎖的で旧い体質が残ってて、「どこから回ってきたんだその情報…速い」なムラ社会の設定と描写がほんとリアル。こういう地域出身の人は痛いほどわかるんじゃないでしょうか。
もれなくわたしがそうなので「うわぁ」と思いながら読みました。
相変わらず、生徒さんたちの過剰気味な自意識描写上手いなぁ。
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途中から読む手が止まらなくなって半分から一気に読めた。田舎の閉鎖的空間、そんな村に鬱屈としてる主人公の描写がとにかくすごい。由貴美の魅惑的な存在としての描写もすごくいい。終わり方は曖昧な感じで終わるけど広海が不正を暴くために動いたのだと思っている。達哉の存在、達哉と広海の関係がとても好きだった。イヤミスに近いけどおもしろかった。
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ミステリーというか、サスペンスというか。
『言わないことで無かったことにする』悪しき習慣、わたしの属する組織でも少なからずあるな〜と。
人間の卑しさいやらしさが、わざとらしくなく、言葉尻や表情、目線などで絶妙に描かれています。
後半は続きが気になり、一気に読み切りました。
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ロックフェスの誘致に成功して、財政的には潤ってきた田舎の村に住む高校生、宏海。閉塞感のある田舎の村に嫌気はさしながらも、柔軟で音楽を愛する父や、医師として村に帰ってきた従兄弟の光弘を尊敬していた。
復讐のために村に帰ってきた女優、由貴美と出会い、彼女との恋に溺れて、企てに巻き込まれる中で、村の知らなかった事実を知ってしまう。
村長戦の裏で動くお金や、村全体の隠蔽体質、父の不倫、地域による格差など、後ろ暗い事実がどんどん出てきてしまう。
読後感は悪いけれど、なんだか惹かれてしまってあっという間に読んでしまった一冊だった。
辻村さんの田舎への想いは根深いなと思う。
匿名
平凡で家族に愛されて退屈な毎日をおくっている青年が、1人の女性との出会いをきっかけに崩れてゆく。
見てた世界が信じてた人達の裏を見てしまう哀しさが手に取るように伝わってにてゾッとしました。
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ロックフェスティバルを誘致したことで有名になった
小さな村の物語。
村の政治やお金の闇。
村人たちがごくごく当たり前のように「内部」の人間を守り、犯罪すらも隠蔽していくさま。
ある意味ホラーのような怖さがあった。
水底フェスタというタイトルに納得してしまう
深く深く沈んでいくような感覚。
私はラストに少し希望があると思ったのだけど
(広海が不正を暴こうとしていると捉えた)
それすらも阻止されてしまいそうな怖さを含めて面白かった。
個人的な見解としては、2人はやはり姉弟なのかな〜。
はっきりさせていないからこそ、読んだ人とネタバレ有りで語りたくなる作品だった。
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ダム湖は翡翠色に淀み、水面しか見えない。
集落が一つ丸ごと沈んでいるくらい深く、落ちたら藻に呑み込まれると、言い伝えがある。
陸ツ代村の町おこし事業として作られたダムだが、10年前から開催されているロックフェスで村は潤っている。
主人公の湧谷広海:高校2年男子。
閉鎖的な村のルールを少しずつ知ることに。
淀んだダム湖に支配されているような話だった。
重い暗い…それなのにそのダム湖に吸い込まれるように、話の展開が気になり、グイグイ読んだ。
村出身の芸能人:織場由貴美の復讐に、駆り出された広海。二人は純愛だと信じる、絶対!
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切ないけど、続きが早く読みたくなるようなストーリー。ちょうどいい人間関係のあるところで生まれたい。知りすぎても、知られすぎても、生活するには息苦しい。
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辻村深月さんってこんな物語も書けるのかと驚いた。これまで青春やミステリといった取っ付きやすさがある中で、ザワリとするサスペンスのような読み心地の本作は挑戦さを感じた。これから先、さらに様々な題材を描くことになるわけだが、これまでの作風との違いに度肝を抜かれた作品だった。
それにしても、やっぱりうまい話ってないんだな。
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村の閉ざされた社会についてのリアルを知らないのでなんとも言えませんが、『本当にありそうだな』と感じました。
ただ、由貴美の復讐の動機や復讐のための手段が私の中でしっくりこず、読み終わりもスッキリとした感じにはならなかったです。
辻村深月作品の黒バージョンと私あるあるで、読んでいる時はなんとなく楽しいけれど、『え?で?』となってしまうことが多く今回も漏れなく…という感じでした。
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なかなか辛いお話で、周りを誰も信用できなくなりそうでした。ただ、光広だけは正しかったような気がします。
私はそれほどの田舎で育ったわけではないから、村というのがそんなに閉鎖的なところなのかと怖く思いました。
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辻村さんの本で初めての類でした。前情報もなく読んだのでドキドキ、ハラハラでした。
古い体質ってなんとかならないかしら?
ちょっと話が辛かった。
Posted by ブクログ
んー今まで読んだ辻村美月で一番面白くなかった。 高校生に成人女性が接近するとか現実だと気持ち悪いしありえないから前半引いて読んでたけど後半にまさかそうなの?って仕掛けが出てきたりその高校生でないといけないって理由が語られ出すけども、全体的に醜悪。そのように意図して描かれているのはわかるが、主人公の高校生が生意気で虚勢を張ってる姿が不快で感情移入できなかったな。しかも血液型の話も確実では無いと含みを持たせてるし結局これは、みたいな終わらせ方つまんないし、ラストも死んだか行方不明で終わりって最悪だよ。
Posted by ブクログ
面白かったけど…。これは後味が悪い。そもそもこの作品全体に漂う重苦しい空気はなんだ?まるでホラー映画でも見てるかのように不気味だった。これを文字だけで表現してるのだから、やっぱり凄い。
Posted by ブクログ
ロックフェスタで有名な小さい村に住む男子高校生「広海」が、歳上でモデルの女性に恋する恋愛物語!
…という爽やかさは無く、いっそホラーに近い物語。
村社会で生きる人間たちは、ドロドロのズブズブな
沼さながらの伝統や慣習に頭まで浸かっている。
読みながら沼底に引き摺り込まれるような感覚を
覚える、重く仄暗い話。広海くん、頑張れ苦笑
現代社会にも、この村の要素を含むような地方都市又はコミュニティが存在しているんでしょうね…。
「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」や「太陽の坐る場所」
に続く、「ザ・閉塞的な地方都市シリーズ」
(勝手に命名しました)でしたが、今回は男子高校生が主人公だったこともあってか、性描写や信頼していた大人の見え方が変わる描写など、新たな仕掛けも見受けられました。
Posted by ブクログ
少年が、様々な思惑の蠢く大人たちに翻弄され続け、最初から最後まで閉鎖的な田舎の陰鬱さで一杯。本当にどこかの田舎でありそうに思えて、こんなの読んだら、田舎暮らしなどしたくないと思うのが正直や感想。
星は3.5くらいです。
Posted by ブクログ
小さな村に住む少年と、一度都会に出て復讐のために帰ってきた少女との恋愛サスペンス物語。
途中話が話が入り組んだり、衝撃の展開があったりと先が気になりつつ、やっぱり話が重く少し疲労感を感じてしまう作品。
辻村さんの作品は「善良」「盲目的」に続いて3作目で、それらとは違った構成でしかもさらにどっしりした内容でおもしろかった。
結末後の展開が気になる。
Posted by ブクログ
正確に書くと星3.9。
怖い要素はありつつも辻村さんらしい登場人物の描写でワクワクするような面白さがあった。
母親は、こういうタイプいるわ、と思わせられる人物。
Posted by ブクログ
小説の裏面の説明文、フェス×恋愛小説に勝手に想像膨らませて読んだら(自分が悪いです)かなり昼ドラでした。
設定自体は悪くないと思いますし、この作品の言いたいことは何となく理解出来たつもりなのですが登場人物が皆揃いも揃って幼稚でろくな人が居ません。…それでも機能して回ってしまうことこそが「ムラ」の閉塞感なのでしょうか。
広海も由貴美も間違いの連続。
広海は湖に落ちるシーンで、「次があるなら、広海は絶対に由貴美を守る。滑稽であっても、二度と間違えない。」と祈っているが、ひとまず広海は由貴美どうこうではなく、1人で立派な大人になることを目指して欲しいです。
Posted by ブクログ
辻村作品の中ではあまり好きじゃないかな。女は復讐するために村に戻り、少年は女に惹かれ、何かが崩れていく。って感じで、ドロドロしてるというかなんというか。広海と由貴美に対する大人たちの雰囲気が恐いというか。なんだろう。言葉が見つからない。広海も由貴美もなんか可哀想だし。第七章ではなんか光がさして道が開けた感じがしたけど、第八章で「村」に引き摺り戻された。そして不穏な雰囲気で幕を閉じて、これはもはやイヤミス。広海は何を考えているのか。それは復讐なのか