【感想・ネタバレ】水底フェスタのレビュー

あらすじ

自然を切り崩し、ロックフェスを誘致する以外に取柄もない山村。田舎特有の、窒息しそうな閉塞感に苛立つ高校生の広海は、突然村に戻ってきた地元出身の有名モデル・由貴美と出会い、囚われてゆく。ある晩彼女から「村への復讐に協力してほしい」と持ちかけられ、広海は求めに応じるが、実は由貴美には“真の目的”があった。そしてフェスの夜、取り返しのつかない事件が二人を襲う──。新直木賞作家による傑作長篇。息を呑むラストまでページを繰る手が止まらない!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「空の青さと、家ん中の暗さの差がすげえ」
達哉の睦ッ代村イメージは的確でした。

閉鎖的だけれど、開かれたイベント・音楽フェスもある村。
何も知らされてない有力者の息子に、芸能界から離れて村へ戻った元女優が接触してきたことから始まる、2人の世界の崩壊のお話でした。

辻村深月さんの怖いところがきちんと上の方にあってよかった。
もうちょっと巧妙に沈めてあるお作品が多かったイメージでしたが、ここまで浮かび上げられてる作品、面白かったです。
人間関係のドロドロ、善人と怪物がパタパタとひっくり返っていく人物像…楽しみました。
「理解のある大人」と「怪物だと思っていた人」の理解が入れ替わるシーンが、哀しくもありゾッとするのもありました。
広海の罪と罰、一生背負っていくんだろう…


ラストも、手放しでスッキリはしない。
けれども、これはこれで好きです。
何世代にもわたる村の選挙システム、ダム建設の際の無理な移転とピンハネ、2つの殺人事件(2つ以上かも…)が明るみに出たら、睦ッ代村も住民も無事じゃ済まない。
しかし、待ち合わせてる英恵さんから、手を下した由貴美の代わりに広海の命が奪われるという可能性も捨てられない…。そしたら睦ッ代村は今までのまま。
う~ん。。。


閉鎖的で旧い体質が残ってて、「どこから回ってきたんだその情報…速い」なムラ社会の設定と描写がほんとリアル。こういう地域出身の人は痛いほどわかるんじゃないでしょうか。
もれなくわたしがそうなので「うわぁ」と思いながら読みました。
相変わらず、生徒さんたちの過剰気味な自意識描写上手いなぁ。

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2025年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

途中から読む手が止まらなくなって半分から一気に読めた。田舎の閉鎖的空間、そんな村に鬱屈としてる主人公の描写がとにかくすごい。由貴美の魅惑的な存在としての描写もすごくいい。終わり方は曖昧な感じで終わるけど広海が不正を暴くために動いたのだと思っている。達哉の存在、達哉と広海の関係がとても好きだった。イヤミスに近いけどおもしろかった。

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2024年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロックフェスの誘致に成功して、財政的には潤ってきた田舎の村に住む高校生、宏海。閉塞感のある田舎の村に嫌気はさしながらも、柔軟で音楽を愛する父や、医師として村に帰ってきた従兄弟の光弘を尊敬していた。
復讐のために村に帰ってきた女優、由貴美と出会い、彼女との恋に溺れて、企てに巻き込まれる中で、村の知らなかった事実を知ってしまう。
村長戦の裏で動くお金や、村全体の隠蔽体質、父の不倫、地域による格差など、後ろ暗い事実がどんどん出てきてしまう。
読後感は悪いけれど、なんだか惹かれてしまってあっという間に読んでしまった一冊だった。
辻村さんの田舎への想いは根深いなと思う。

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2024年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロックフェスティバルを誘致したことで有名になった
小さな村の物語。

村の政治やお金の闇。
村人たちがごくごく当たり前のように「内部」の人間を守り、犯罪すらも隠蔽していくさま。
ある意味ホラーのような怖さがあった。

水底フェスタというタイトルに納得してしまう
深く深く沈んでいくような感覚。

私はラストに少し希望があると思ったのだけど
(広海が不正を暴こうとしていると捉えた)
それすらも阻止されてしまいそうな怖さを含めて面白かった。

個人的な見解としては、2人はやはり姉弟なのかな〜。
はっきりさせていないからこそ、読んだ人とネタバレ有りで語りたくなる作品だった。

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2024年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説の裏面の説明文、フェス×恋愛小説に勝手に想像膨らませて読んだら(自分が悪いです)かなり昼ドラでした。

設定自体は悪くないと思いますし、この作品の言いたいことは何となく理解出来たつもりなのですが登場人物が皆揃いも揃って幼稚でろくな人が居ません。…それでも機能して回ってしまうことこそが「ムラ」の閉塞感なのでしょうか。

広海も由貴美も間違いの連続。
広海は湖に落ちるシーンで、「次があるなら、広海は絶対に由貴美を守る。滑稽であっても、二度と間違えない。」と祈っているが、ひとまず広海は由貴美どうこうではなく、1人で立派な大人になることを目指して欲しいです。

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2023年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

隠すことは怖くて苦しいことだ。それが村単位で行われてるならなおさらだ。息が詰まるような共犯関係の果てに何が残ったんだろう。

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2023年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

辻村作品の中ではあまり好きじゃないかな。女は復讐するために村に戻り、少年は女に惹かれ、何かが崩れていく。って感じで、ドロドロしてるというかなんというか。広海と由貴美に対する大人たちの雰囲気が恐いというか。なんだろう。言葉が見つからない。広海も由貴美もなんか可哀想だし。第七章ではなんか光がさして道が開けた感じがしたけど、第八章で「村」に引き摺り戻された。そして不穏な雰囲気で幕を閉じて、これはもはやイヤミス。広海は何を考えているのか。それは復讐なのか

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2023年01月10日

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