辻村深月のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ大学生の時に初めて呼んで、初めて感動して泣いた本。
愛は利他的でないといけないのかという問題提起なのか。罪と罰の話もあるけど、自分は愛とはなんだいうほうに目がいった。
ふみちゃんが傷つけられて本当に悔しかったんだと思う。大事な人を傷つけられて、やり返すことをあなたのための復讐だと言われ、じゃあこの気持ちは自分のためなのかと思い詰める。
ふみちゃんを大事に思う気持ちは偽物なのかという苦悩から、人のために泣くことができないって本当かという問いかけが出てくることが主人公の気持ちが痛いほど伝わってきて、読み進めるのが辛かった。
愛とは純粋な自己犠牲ではないこと。
利己的か利他的かという二択ではなく、「他人の存在が自分の感情の一部になってしまうこと」
ゆえに自分が傷つく可能性を引き受けることでもある。
エゴもある。執着もある。自分勝手さもある。相手が必要だから苦しい。相手が傷つくと自分が苦しい。
そんな不純なもの全部込みで、
「それでも、その人が大切なのであれば、それ愛と呼んでもいいのではないか」いう優しい答えなのかな。
-
Posted by ブクログ
青春の短編集!3つの話から構成されている!
個人的に心に残った話は『サクラ咲く』!自分もマチと同じく本が好きで内気な性格なのは共通してるから感情移入しやすかったのかも。あんなふうに図書室の本を通して文通なんてしてみたかったな〜って。マチや紙音が少しずつ変化していくだけでなく、周りにいた琴穂や恒河もかなり変化しているのが読み取れた。彼らが文通を通して紙音を温かい気持ちにさせたように、紙音も同時に彼らを大きく変化させた張本人だと感じた。名前を書かない文通だからこそ本音を打ち明けられて楽になれるのってよく考えたなって。素敵だし憧れる!
『約束の場所、約束の時間』もSF要素があったけれど、誰かの存在や誰かの行動がきっかけとなって、自分の行動を見直したり変化させたりすることは誰にでもあると思う。
最後の『世界で一番美しい宝石』は、人の傲慢さと個人の価値観を描いていると思う。自分にとっての当たり前が他人にとってもそうだとは限らない。三根先輩がそれに早いうちに理解してくれると良いなと思う。3人で本を作ったのも素敵で心温まった!
どれも心温まる青春短編で大好きな一冊になった! -
Posted by ブクログ
第39回柴田錬三郎賞受賞作品
まだ上巻だけど、辻村深月さんが「今のすべてをかけて、書き上げました。」というのも納得。
「身近におきた非常事態」に関わると、知っているという優越感を隠しておけないという、身勝手な言動の怖さを感じた。悪気がないだけに余計に怖い。
そしてそれを聞いた人は事実の中に興味をひくような話を作りあげていき、次々と事実であるかのように広めてしまう。自分は絶対に正しいという立場からものをいう。これは日々の事件や事故で起きていることではないかと思った。「無神経で、それゆえに優しいけれど、どこまでも鈍い」ことに気づく人はなかなかいないように思った。
459ページもあるけれど、長く感じることもなく次が気になりどんどん読めてしまう。
これからどうなるんだろう。結末まで一気読みしたくなる作品だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレかなりの序盤のヒントから、同じ世界だ!時代が違うだけだろ!早く気づけ!外で会える!協力を得て報復だ!なんて思いつつやきもきしながら読んでました。
でも、そんなこんなで終盤に差し掛かれば、世の中にいくらでもいて個人的にも心当たりがアリアリの、極悪真田伊田のように言葉が意味をなさない世界に住む自己中害獣、そんなあいつらの存在なんてどうでも良くなる、伏線回収大大大爆発!!感動しきりでした!
最終盤、こころと、神なる姉を持つ男の子の再会で泣かされたところへ、喜多嶋先生のまさかの正体!大感涙です!
追記:
マサムネの下の名前が僕の実際の名字の音に読めるのヤメて。 -
Posted by ブクログ
25年前の誘拐殺人事件の被害者となった家族に向けられた噂が、新たな事件を呼び起こす社会派ミステリー
25年前、老舗デパートの受付係をしていた新沼紗英が誘拐され殺害される
そして、地方の小さな町で事件についての噂が流れる
「被害者の父親が保険金目当てで殺害を依頼したらしいよ…」
「新沼紗英は子どもをひき逃げしていたらしい…」
そんな興味と好奇心だけで広まる「噂」という火の粉が瞬く間に広がり、被害者家族は孤立していく…
そして25年が経ち、被害に遭った新沼家は再び事件に巻き込まれていく
「なんで、またうちが…」
本作ではそれぞれの登場人物の内面が丁寧に描かれ、被害者家族のみならず、加害者家族、彼らを取り巻く人達にさえ感情移入してしまい、胸が熱くなる
そして後半で新沼紗英の父親が放ったある言葉に嗚咽する
言葉は暴力にもなるが、また救いにもなる
改めて自分が発する言葉とも真剣に向き合いたいと思った -
Posted by ブクログ
何か問題がありそうな巽コーチが廃校となった奥野小学校で指導してるサッカーチーム選手の個人指導をしているところに行きあった速斗と一樹。見つかってしまい、追いかけられて廃校に逃げ込み、ついに探していたものに行き着きます。このピンチを脱出できるのか?というハラハラの展開で始まる下巻です。上巻で“怪しいな、コイツ“と思っていた巽コーチ、本間先生、収監されている久我が隠していること、それらの真実が少しずつ明かされていき、噂のモヤが晴れていきます。
現実ではこんなにスッキリとはしないだろうけど、全ては何か完璧じゃなかったことに起因しているのかもしれないです。遺品が見つからず、遺体も突然現れたのに事故として放置された田村晋也。子どもたちの被害の声もあったのに放置され続けたサッカーチーム。噂を晴らすのは確固たる真実なのかもしれません。逆に言えば真実が不明瞭なうちに関係者でもないのに感情や憶測を不特定多数が見られるような場所で発信してはいけないなぁと思いました。そして、辻村深月さん、こちらの期待を越えてくるのがすごいです。暗い話でしたが、読後感は悪くなく、大変面白かったです。
子どもに不埒なことをする人や殺人あり、中学校以上向けです。