辻村深月のレビュー一覧
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学校での居場所をなくし、家にとじこもっていた“こころ”は、部屋の鏡をくぐり抜けた先にある城に通うようになる。
そこで出会ったのは、境遇の似た仲間たち。
7人それぞれの事情が少しずつ明らかになるなか、城の終わりの日が刻々と近づいてくる。
鍵は見つかるのか、果たしてこの中の誰の願いが叶うのか。
ラストには驚きと大きな感動が待つ。
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ジーンときた。
最後の最後まで一体どうなるんやろと思って読んでたけど、まさか、この世界を作り上げてる人がこんなに身近にいた人やったなんて。
しかも、 -
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盲目的な恋の最中にいた蘭花の目線はよくある恋愛の一部始終という感覚だったけど、ずっと嘲笑されてきて人間不信な留利絵から見ると友情も十分盲目になって人に執着してしまうものなのだと感じた。留利絵の蘭花に対する独占欲とか、どんなに献身的に支えても結局は男の元に行ってしまうのだと悟って呆れるところとか少しわかる気がした。高校時代に、あまり理解できない行動をする友達がいたなぁと思い出した。黒幕は留利絵なのか、茂実なのか、茂実を操っていた女だったのか…。美波が一番世渡り上手でさっぱりしてて生きやすそう。想像以上の結末で恐ろしかった。留利絵のように被害妄想が強くて、異性から認めてもらえなかったトラウマを持ち
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これはかなり面白かった。
初期の辻村深月お得意の、地方が舞台の学生ミステリー。自殺する同級生を探して止めるって、「冷たい校舎の時は止まる」に設定が似過ぎてる。しかも、またもや400ページ超えの上下と、かなり長い。
正直、読む前はやや辟易した。だがそれはすぐに裏切られた。
3ヶ月前にタイムスリップって、短過ぎて斬新。
仲間に打ち明けるシーンの、主人公いつかの描き方がとてもリアル。
他の人物も、スクールカーストの各層の人々の解像度が相変わらず高くて舌を巻く。
何より、じわじわと判明していくストーリー展開が無理なく自然で(少しだけ急展開だけど、ドラマチックと言える範囲)、ページをめくる手がとまら -
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デビュー作からあなたは辻村深月だったのね。
出版は2004年。奇しくも恩田陸『夜のピクニック』と同年だ。この2冊、全く別のアプローチで同じ2025年に読めたのが面白い。今年の6月は融や貴子と夜道を歩き、12月には鷹野や深月と冬の校舎を彷徨う。
同じ年に発売された2冊と同じ年に出会うこの偶然はとても素敵だ。
感情を揺さぶりつつもどこか優しい彼女の世界観が好きだ。
デビュー作から目を覆いたくなる痛みやあたたかな優しさで僕のバランスが崩れたところに鮮やかに最高のパンチを打ち込んでくる。こんなにも綺麗に揺さぶられ、驚かされ、感動させられちゃって、全く悔しいったらありゃしない。最高だ。
まだま -
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アプリを使ったり街コンに参加したこともある身として、婚活に付きまとう傲慢さには覚えがあって、心を見透かされたような気分になった。私も色んな相手を自分の価値に置き換えて見ていたと思う。
パートナーがいて結婚も考えてる。相手は私を何点の相手として見るんだろう。70点だと言われたら私はどうするんだろう。でも100点の相手なんてそもそもいなくて、どう向き合って受け入れ合っていくかが大事なんだと改めて思う。
架視点ではミステリー的な楽しみ方もできて、真実視点では今まで自分の意志を持たずに生きてきた一人の女性の自立を見られて面白かった。心に残ったのはジャネットの「あなたがそうしたい、と強く思わないのだった -
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ネタバレ読んでいて、様々な場面で感情が動かされる作品でした。
辻村さんの作品は本当に感情の言語化が素晴らしいと思いました。
辻村さんの作品は他にも何冊か呼んだことありますが、特に思春期女性の複雑で繊細な心理描写がリアルすぎていつも物語にのめり込み、人生を追体験した感覚になります。
また、この物語を通して人間は他者が想像するような綺麗な軌道を描きながら人生を歩むものではなく、その人の生きている中での体験や、それによる感情の変化などで人生は大きく軌道を変えながら歩んでいくんだなと実感しました。
ひかりちゃんの行動は確かに常識から外れた行動を何度か取ってたりしましたが、辻村さんの丁寧な心理描写でひかりちゃ -
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ネタバレ恋愛小説、ミステリー小説、であるが、自分の普段の行動について考えさせられるものだった。
人を選ぶときは自分が思ってる自分の点数と相応しいものを選ぶ。自分自身を高く見積もっている。人は傲慢だ。
アプリで出会うということに対する劣等感、居残りであるという社会のイメージへのモヤモヤ。
結婚はタイミング。男性側の考えに対して、そんな待てないよ、と感じる。私も結婚を急いで考えているからかもしれない。
親から自由にさせられず育った人。その中の子供は決められていることが幸せだと思う。そこへの違和感。そして外の世界に出たとき、いざという時にもまた親を頼ってしまう。自分で行動できない子を育ててしまう。そ -
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痛い。胸が痛い。
そう思いながら読んでいたところ、最後の、
あの瞬間で、どっと涙が出てきた。
声を上げながら泣いてしまった。
どう間違えてしまったのだろう。
どこから間違えてしまったのだろう。
何を選べば良かったのだろう。
苦しくて、苦しくて、
でも必死にもがいて生きてきたひかり。
朝斗の産みの親であるひかり。
どんな過去があるのだろうと思っていたが、
とても辛くて苦しい日々だった。
両親2人ともが教師であり、お堅く、
ひかりは家の中が窮屈に感じていた。
特にお母さんは、お母さんらしくしているだけに見えた。子供をしっかり育ててる自分が偉いとでも思っているような、そんな感じ。
本音で喋れな -
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ネタバレ大人のための児童文学です。
とても素晴らしい作品でお酒を飲みながら泣いて読みました。
中学生が抱える心の辛さ、生きづらさをうまく描いてるかと思いました。
先生視点での目線と当人の目線でのとらえ方の違いを心が感じた時の辛さには心を痛みました。
かがみの孤城に集まった子供たちがどんな境遇を抱えて生きてきたのかを分かるたびにつらくなりましたが、あの7人で過ごした1年間は記憶が消えたとしても一生の生きる道しるべになるものだと思いました。
ミステリとしてもファンタジーだとしてもどれも一級品に面白い内容だと感じた。
オオカミ様の正体、7人が集められた関係性、〇〇の正体など伏線のちりばめ方もすごいと思った。 -
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私も、中学のころ学校で居場所がなくなった時があった。それもあってか、序盤から物語にグイグイ引き込まれていく。そして、後半になると、なんとなく「城」の本質が見えてくる。7人の主人公たちがそのことに気づかないのが歯痒くも、見守るような感情に。そして、終盤。張られた伏線が勢いよく拾われ、感情移入しまくった気持ちに怒涛の揺さぶりをかけられる。勢いそのままに、感動の結末へ。この物語は、青春モノなのか、ファンタジーなのか。いや、ミステリーのようにも思える。不思議な、それでいて温かく、爽快な作品だった。もし、これからの人生で強く惹きつけられるような人に出会ったら、自分から声をかけてみようと思う。