辻村深月のレビュー一覧
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ネタバレ読みつつ思ったこと。「嫌い」とか「憎い」という感情を否定しない、っていうのはいいなあ。そりゃ誰だって事情も思うこともあるでしょうよ。でも、それを慮らないといけないときと、んな必要かけらもねーよ!ってときがあるんだよね。東条さんの物言いにはすっきり。そのくらい言ったっていいんだよね。(受け取る人にもよるかもしれませんが。)
「でも、それはこころちゃんが今理解してあげなくてもいいことだよ。真田さんの苦しさは真田さんが周りと解決するべきで、こころちゃんが、あの子に何かしてあげなくてはいけないなんてことは絶対ない」
喜多嶋先生、いい先生だなぁ。彼女が、いい出会いをしていたのが嬉しい。そして、あの子たちの絆がちゃんとあって、一周してあの子たちを守るんだな、と思うと感無量だわ。
映画も面白かったけど、ラストはやっぱり原作のがいいな。…と言いつつちょっと記憶があいまいになってるのでもう一回映画みようかな。
小説も、記憶が消えたころに読み直したい。 -
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この経験は、これからを生きる私の心との対話
名作中の名作。登校しぶりとなった少女「こころ」の身に起こる不思議な出来事が、そこで出会う人々との交流が、自分らしさを再生し、そして仲間がいる温かみによって、もう一度頑張ってみようと行動に繋げる。世界の見え方と在り方を見つめ直す、自分から勇気の一歩を踏み出す話は多くの人に共感を得やすい。
その中で読者の皆は何を自分と対話させ、どんな読みをしただろうか。私はこの作品を読んで、一番に想起したのは社会人生活での忘れられない出来事である。
私は社会人になって、心の病となってしまい働けなかった期間がある。心を壊して、閉ざして、生きていくことが辛い最初の日々、そこから心が少しずつ回復して、医療機関のリワーク施設に行き過ごした日々、職場に戻る決心をし、復職訓練をする日々。
順調に行っていた人生が全て粉々に砕けたあの光のない日々の中で私を支えてくれた家族、リワーク施設で出会った色々な過去をもつ同じ病の人々との交流、復職訓練で励ましてくれた信じられる職場の人々。
心の回復には時間がかかります。様々な要因が複雑に絡み合うので根治が難しいです。復帰しても心の波があり、ふと心が再び壊れそうになることもあります。
ただその中で大切なことはそんな自分が人生の泥沼にいるときに自分に手を差し伸べてくれた人、関わりが温かった人、そんな人を心の拠り所にし、時間がかかってもいいから自分の中に何か自分を肯定できる温かみのある自信を生み出すことです。
私は今、日々の中で大変なことや辛いこともあるけれど、生きていてよかったと思います。生きていくのは大変で、ときに自分の心を壊すような人との出会いもあるでしょう。
ただそんな人に自分の大切なものを壊され、壊されたままで自分の人生を閉じる、それは嫌だなと思える自分になれたこと、こんな人別に相手にしなくてもいいんだなと思っても大丈夫なこと、それを思い返させてもらいました。
そして少し肯定的に生きていこうと思えるようになった今、苦しんでいる人がいたら、辛い人がいたら、少しでもその人の心の拠り所になりたい。自分がしてもらったことを、今度は自分もできたらという願いをもちたい。そんな心を皆で通わせられたら、こんなにも良いことはないと思う。 -
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ネタバレはじめは単なる恋愛小説かと思っていたのに、最後の展開があまりに衝撃的で、読み終わってため息が出た。
別作品も読んだけれど、人間の虚栄心や自己愛、歪んだ執着心といった複雑で繊細な感情の描き方があまりにも上手いと思う。文章も難しすぎるわけではないのに、美しくて読むのが心地よい。蘭花の凛とした美しさが想像できるような文章だった。ミスリードからの、真実が明らかになる瞬間までが怒涛すぎて。登場人物たちの心情が強く関わっているから絶対にわからないだろうと思うのに、ほの暗い執着心に妙に共感してしまったりもした。傲慢と善良に似通う部分もあったように感じた。恋のパートも友情のパートも、出力は違っても根底には執着と支配欲があるように感じられた。すごく好きです! -
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ネタバレ2015年既読。初潮を迎える前に妊娠し出産した中学生と子どものいない夫婦。ひかりは周りの大人にうまく頼れずどんどん悪い方へ進んでしまう。知らない事を教えてもらえない、娘にこういう感情で接する親もいるのか。ひかりは養子縁組をする浅見に出会えて、まだマシだった。佐都子は不妊原因が夫側にあった事で悩む。不妊治療に理解がなかった夫も検査結果を知り、その後妻に寄り添う、デリケートな心の動きが目に見えるように伝わる。別れず共にいる事を選ぶ二人の姿、羨ましい。自分だったらできない。ひかりを『広島のお母ちゃん』と呼ぶ朝斗、夫婦で朝斗のおかあさんと境界線を引きつつも大切に思う気持ちも素敵だった。佐都子夫婦のもとにひかりが産まれていたら、どんな人生だっただろう…親も子も選べない。
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昔感じたことのあるじっとりした感情が呼び起こされる気がする
・「石蕗南地区の放火」の笙子には地方で生きる女性達のプライドやコンプレックスみたいなものが詰まっていると感じた。辻村作品は地方で生きる人達の閉塞感をよく描きだしていると巻末の対談章で見て、過去作品で感じたこと含め納得。
・「芹葉大学の夢と殺人」は大学時代に自分が周囲に感じていた違和感にも重なるし、当時の自分自身にも重なる気がして気が重くなった。けど没入感がすごくて一気読みしてしまう。
夢追い人でイケメンだけど自分の状況を客観視できず、それを指摘してくる人を頭がおかしいと断定してしまう雄大の危うさ。に気づいて未玖…と思いながら、大学時代に自分が未玖の立場だったとしたら気づけた自信がない。
雄大と家族や教授との関係への既視感が凄すぎる。
└留学やワーホリに行きたい大学生・新社会人とそれに反対する家族みたいな
雄大が「清潔な自分の世界しか知らない」状態で、世の中=平凡、俗物と決めつけていること
自分の夢が尊大すぎて全然近づけていない状況を棚上げして人の自分の世界は清潔だと信じ続けられることも一つのプライドだなあと思いつつ、昔の自分に重なるところがある。胃もたれ。
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ネタバレ
「あなたを、助けたい」
居場所をなくした7人。
集められたのは、なぜ彼らだったのか。
ネタバレが苦手な方はまわれ右!
私が、大学生の頃に話題になった一冊。
友達が徹夜で読みきった理由が、よくわかる。
真相が近づくにつれて、物語の世界に没頭してしまう。
一気読み間違いなし。
と言いつつ、私は読むのが遅いので、1週間くらいかかってしまった。
独身時代なら、私も徹夜で読んだと思う。
序盤では、イライラした。
私も母親だからだろう。
自分の子どもが、こころちゃんみたいな目にあったら、いたたまれない。
相手の子に対して、腹を立てていた。
読みながら、こころちゃん頑張れ!
って応援したくなる。
こころちゃんのお母さんも、何も事情がわからないと、怠けてるだけなんじゃないかと思っていたのだろう。
でも、いざ我が子がされたことを知った時は、とても悔しくて、辛かったと思う。
後悔で胸が痛かったのではないだろうか。
7人それぞれの事情が描かれた場面でも、全員を応援したくなった。
みんな理由はバラバラだったけど、自分や子どもがされたらって思うと、悲しくなるし助けたいと願う。
読み進めていくうちに、なんとなくこの7人が、どこから集められたのかわかった。
物語の終盤で、謎解き要素もあって、少し楽しく感じた。
今は会えなくても、いずれ会える。
姿が違うけど、助けに行く。
実はもう出会っている、そう思うと、現実でも起きたら素敵だなと思った。