あらすじ
クラスで上位の「リア充」女子グループに属する中学二年生の小林アン。死や猟奇的なものに惹かれる心を隠し、些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。家や教室に苛立ちと絶望を感じるアンは、冴えない「昆虫系」だが自分と似た美意識を感じる同級生の男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。二人が「作る」事件の結末は――。少年少女の痛切な心理を直木賞作家が丹念に描く、青春小説。
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リアル過ぎる中学生活!ああいう感じ、よくあった。今思っても二度と戻りたくない。芹香と同じタイプの女子、いたなー。アンちゃんは強い子!徳川と結ばれたらいいな。最後はちょっと物足りない感じもしたけど、とても良い作品だった。
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中学生という些細な出来事で友達との人間関係が激変してしまう中で生きることに絶望する主人公が自分と似た感覚を持つ同級生の男子に「自分自身の殺害予告」を依頼するというなかなかお目にかからない物語が展開され、思春期特有の残酷な描写や自信の境遇に悩む主人公の内面は読んでて吐き気がするぐらい苦しいものだったが、それを遥かに上回る面白さがあった。辻村深月先生は少年少女の繊細で残酷な心理描写が上手すぎる…
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①キャラクター・世界観
☆☆☆☆
キャラクターや世界観は現実によくある話かもしれない。だが、それを小説に落とし込める作家さんは意外にも少ないと思う。辻村さんは、毎回テーマや世界観を含め、観点が秀逸。
主人公の小林は、もしかしたら現代ではありふれているかもしれない、死について関心がある女子中学生で、「自分が死んだら、周囲はどう思うのだろうか」みたいな空想は自分もしたことがあり、共感を覚えた。主人公の周りで起こる思春期特有の女子中学生のいじめ?もしくは仲間はずれはリアリティがあって、それが感情の描写を際立たせていたと思う。
一方、もう1人の主人公の徳川は、主人公と対をなす存在だが、心情描写は少ないのでそこを想像しながら読むと面白いかもしれない。または、読み返すと発見があるかも。
②ストーリー・プロット
☆☆☆☆☆
辻村さんの本ではよくあるのだが、一気に解釈が変わるミステリーやハプニングを最後まで取っておいてくれるため、ワクワク・ハラハラしながら読めることは間違いない。また、後味もスッキリとしたもののため、本を読んでモヤモヤしたくない人には特におすすめ。
(回収されない伏線や、無駄に読者に考察させるような本ではないということ)
③文体・表現
☆☆☆☆☆
文句なし。
②と③どちらも星5のため、一瞬で読める。
④没入感・集中度
☆☆☆☆☆
上と同じ。ただ、好みもあるかもしれない。
⑤テーマ・メッセージ
☆☆☆☆
やや暗い話かもしれないが、
中高生が読めば元気付けられる内容で、
大人が読めば自身の過去を良い意味で肯定できたり、振り返ることができたり、お子さんがいる人は子供の立場や気持ち、情緒の成長について考えられるかもしれない。
⑥読後感・満足感
☆☆☆☆
やはり気持ちよく読める部分、山場を8合目くらいまで残してあるので、後はジェットコースター式に気持ちよく読み終えることができる。星4.5位はある。
※備考
読み終わってからやや日が経った感想になってしまった。
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思春期特有のリアルな人物描写が印象的
中学生時代を振り返るとなんて狭い世界で生きていたんだろうと思うけど、当時の私はそれが世界の全てだと思って過ごしていたなあと懐かしく思った
厨二病と言われればそれはそうなんだけど、2人が切実で愛おしく思えてくる
ラストのシーンでは泣いてしまった2人の未来が明るいといいな
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苦しかった小学生時代を思い出した。死に興味を持つとことか、自分は他の人と違うと思いたいとことか過去の自分と重なって大人になった自分からするとイタくて恥ずかしくて読むのが辛かったけど、最後まで読んで良かった。大袈裟かもしれないけど救われた気がする。
動物や人を殺すことに抵抗がなく、現実に興味がないように見える徳川も本当は現実が辛くて、どうにかなってほしくて事件を起こそうとしていて、でもアンを殺してしまったらこれから1人きりで生きていかなければならない。そんな恐怖を感じてアンを殺すことができなかった徳川を愛しく思う。
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最初は何でこんな設定にしたんだろ、ってずっとわかりませんでした。相変わらず細かい出来事が積み重なり、ハラハラもしました。どうやって救われるのだろうとも、ずっとずっと続きました。私も職場でいろいろあっても、なんとか救われたい。
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ほんの些細なことで仲間外れにして無視したり、これまたほんの些細なことで仲直りして元に戻ったり、それだけのことなのに一喜一憂したり。
芹香みたいな我儘な人間いたなぁと懐かしみ。自然と縁は切れたけど、今思えばなんであんな疲れる子とつるんでいたのか。
そして倖みたいに、都合よく中立を保ちながら、いざとなれば強い方の肩を持つし簡単に裏切る、ある意味世渡り上手な人間も懐かしい。
アンの、特に目立つ才能なんかないけど、私だけは特別なのだと誰か有力な大人に指名されたい、そんな気持ちもとてもよくわかる。
そんな面倒臭い友人らに振り回されながら、私を殺して欲しいと依頼して奇妙な関係になるアンと徳川が面白い。理想の死に方を追求してこっそり会ったり、撮影会をしたり、ちょっと悪い秘密を共有して戯れる楽しさ。
ラストが完全なハッピーエンドになるのは少し意外だったが、その後この2人はどんな関係になるのか?気になるところ。
殺人決行日以降、卒業までほぼ口を聞かなかったのが、進学を機にノートを返しに家に訪れる徳川が律儀であり、ただ返しに来たのかわからないがアンに会いたい気持ちもあったのではないかと思うと可愛い。
などと、アンの友達関係のややこしさにとても共感を覚えるのと、徳川との秘密の関係も面白いし共感できるし、なんとも親近感のある1冊だった。
(現実は徳川ほど親密になることはないが)
Posted by ブクログ
自分が中高生の時、狭い世界で生きているからこそ些細な出来事で一喜一憂していた。
人間関係に悩み、逃げ場がなく、もがき苦しんだ記憶もあれば、あっという間に何事もなかったように解決もしてた。
人生の中で誰もが逃げたい、消えたい、死にたいと思う。
未熟な頭だからこそ、派手なことをして目立ってやりたいとも思う。
体育館で校長先生の長い話を聞きながら、天井の電気が降って来たら大変なことになるだろうなとか、くだらないことを考えるもの思春期の頃。
大人になって苦しいことがたくさんあっても、中高生の狭い世界と違って逃げ道をたくさん知っている。
未熟な学生時代に戻りたいような、狭い人間関係で苦しみ逃げ道が分からないあの頃には戻りたくないような、色んな感情が込み上げて来た。
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「これは、実はコメディなんじゃないか?」
この言葉は、解説の方が言っていたことだ。
けど私は、あまり共感できなかった。
私にとってこの物語は痛かった。
学校というコミュニティの狭さと、親のつくった鳥籠のなかで、ただ生きることしかできないということへのやるせなさ。
私は、それを身を以て知っているし、今現在、体験している。
だから痛い。今も尚、私はその現状に立ち向かわなければいけない。逃げ出せない。
でも、逃げ出そうと、主人公たちが藻搔いてくれるのは、私にとって救いだった。
死のうと、それを実行しようとしている事実が、私を少しでも救ってくれた。そう感じました。
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まるで自分の、そして娘の中二病時期を見せつけられているようで、とても辛かった。
その時期を理解してあげられなかった母親としても、辛かった。
ちなみにこの本は、娘から奨められたので、仕返し?...とすら、感じてしまった。
でも、違ったね。
中二病を乗り越えて、いろんなことに折り合いをつけられる、大人になったんだね。
私も、きみも。
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解説の大槻ケンヂさんの「中二病同士の初恋」という表現に、
読後、それだぁ~と大納得。作中あまりにも重たい空気だったけれども
思い返してみれば結局そういうことなんだよな、とても良い表現。
女子中学生たちの一瞬で移り変わる人間関係や
学生時代に訪れる猛烈な反抗期があまりにもリアルで、
アンがどんどんと自殺に本気になっていく気持ちが痛いほどわかってしまった。
アンは自分が特別で、周りの女の子たちとは違うと思っていたんだろうけど、
恋人や友達とのイザコザに巻き込まれ学校で泣いちゃってる私、とか、
先生に親しく話しかけられて気に入られてる俺、とか、
きっとみんなが自分を何かしら「特別」だと思っている。
アンも徳川も、結局は健全な中学生の一人だったんだ。
(徳川に関しては、一歩間違えると危なかったけど…)
河原でアンに出会った時、徳川は一体何を思ったのだろう。
『悲劇の記憶』ノートの残り何十ページのイラストを、
徳川は一体どんな気持ちで描き続けたのだろう。
猛烈に徳川視点の本作を読んでみたい。
Posted by ブクログ
最初はだらだら読んでたけどタイトルの伏線が回収されてからは読む手が止まらなくなった。
女子の怖くてかつ中学生の少し幼稚な人間関係がリアル。厨二病らしさも最高。
展開とか細かい伏線は多少わかったけど徳川の恋愛が大っぴらにならないのはよかった。徳川の『殺さない、殺したくない』が切実すぎて刺さった。スクールカーストを気にして話さなかった2人だけど最後に『友達』って言えるようになってたのはいいな。
全部知ってからもう一回読みたくなる。
Posted by ブクログ
どの描写も、無駄なものはない、という感じ。
中学生のアンバランスさがすごくリアルで、どんどん読まずにはいられない、と言う感じ。
ママの描写とか、友達のママの視線とか、もう、痒くなるくらい、リアルだった。
Posted by ブクログ
これを読んだ時は多分高校生。生きてる意味ってなんだろ、私も殺してもらえる友達のようななんともいえない人がほしいなって読んでて思った。生きてる意味なんてわからないし、あの時から何回もいなくなりたいとか思ったことあるけど、少しは楽になった気がする本。
Posted by ブクログ
アンが死に向かっていく話でそれを受け入れて読んでいたつもりだった。しかし、最後にアンが死ななくなって初めて自分もホッとしていて、死んで欲しくないと思っていてたことを自覚した。最後の終わり方がめっちゃ好き。実際、中学の教室は閉鎖的な空間だったと思うし、カースト上位には嫌われないように立ち回っていたことを思い出す。本当に狭い世界だったけどそれが世界の全てのように思えていたから怖い。
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中学生という、
何に対しても敏感で、少しのきっかけで容易に人間関係がコロコロ変わる環境の中を生きる年代の子の
情緒の移り変わりについて考えさせられる小説でした。
大人になってしまえば、そんな大した事で、と思える出来事も、多感な時期の子には命をかけるほどの一大事なわけで、そんな窮屈な世界で生きる子たちの苦しさがとてもよく伝わってきました。
最後は明るく終わって本当に良かった....
これも極端なパターンですが、一種の青春なのかな。
Posted by ブクログ
中学生の心理描写がこんなにうまいのはなぜ?
陰湿な重たいテーマだったんで、最後どう着地するんだろと思いながら読んでた。
たぶん辻村さん多く読んでる人には予測できてたのかな?
常に大きな出来事や事件があるわけじゃ無いけど読むのが止められなかった!
Posted by ブクログ
厨二病同士の痛切な青春の記憶。
物語に登場するいじめ行為の数々やそれを取り巻くクラスの環境、鬱陶しい教師、直接的ではないにしろ学生時代に誰もが1度は経験したことがあるのではないだろうか。
無視され避けられても何かのタイミングでほんの一瞬希望を感じてしまえば絶望は簡単に薄まる。単純で中途半端な現実の繰り返し。
そんな世界の中で主人公たちは殺人計画という名のもとに逢瀬を重ねる。
必要最低限の会話で綴られる2人のシーンはたどたどしくむず痒さを感じて好きだった。
オーダーメイド殺人が実行されるかされないかは何となく予想が着いたので2人の関係性や感情の変化に着目して読んでいたのだが、最後に2人で本気で挑んだ青春が確かにあったと思い出させてくれたことが嬉しかった。そして、これからを想起させるセリフも良かった。
死の計画が主人公たちをこの世に繋ぎ止めてくれたんだと思った。
Posted by ブクログ
①2024/06/22
“中学生になった気分に”
辻村深月著『オーダーメイド殺人クラブ』
他の人とは違う存在でありたい中学二年生の主人公・アンが、一目置いてる同級生・徳川に殺害を依頼し実行へと向かう物語。
アンが厨二病を拗らせているところだったり、いじめが起きている時の空気感だったりから、まるで自分がそのクラスに入り混んでいるような錯覚に陥った。大人になった私が思う中学校は、まさに雪島南中学校そのものである、
Posted by ブクログ
ただ辻村深月さんの作品だから、という理由で手に取り読み始めました。作品名の通りなのかと思いきやその中で恋の様子が描かれていたりと、とてもドキドキしてしまいました。私個人としては何度も読み返したい作品です。
匿名
子供の時に感じてた心の内を細かく再現されてるように感じました。
今ならそんな事と、思うような事で人に傷つけられ真剣に悩んだり、人をバカにしたりと、すごく懐かしくて、今こんなにも鮮明に読書に伝えらる作品素晴らしかったです。
Posted by ブクログ
少しグロい。殺せよと思ってしまったごめんなさい。最後は後味よく終わり、よかった。中学2年生特有の思春期の難しさが、とても表現されている。厨二病のおはなし
Posted by ブクログ
とにかく厨二病なお話。小学生よりもいろんなことが見えたり感じられたり敏感になっているけれど、生きている世界は狭く、それが世界の全てのように感じてしまう中学生という難しい年頃。
大人と子どもの中間故の息苦しさ。
そこから殺して欲しい、まで行き着いてしまうとは人間の考えを侮れない。
最初のネズミの死体の描写がグロテスクで、こんな話がずっと続くのか…最後まで読めるかな…と不安になったけれど最後の伏線回収は徳川とアンのこれからの人生を応援したくなりました。
一方で、教育の大事さを考えた。徳川が思いとどまらなければ決行されていたかもしれない事件。知能が発達しているけれど経験値が圧倒的に少ないが故にまだまだ判断力の乏しい少年少女に、倫理観ある行動を学ばせることの重要さが説かれていたようにも思えます。
Posted by ブクログ
GWで少し時間ができたので本を読もうと本棚から手に取った辻村深月さん。
この私が分厚い小説を1日で読めてしまったことに驚き。
最近は原田マハさんを読んだり、仕事柄教育書を読んだりすることが多く、辻村深月さんのゾッとするミステリアスな表現に懐かしさと心臓をギュッと掴まれる怖さを思い出す。しかし、その表現で掴まれた心臓は「心を掴まれる」にも相当するのだろうと思う。それくらい、一気に読んでしまった。
これは、誰でも思ったことがあるのではないかという「死ね」と「殺したい」をとても軽く、そしてどこまでも重く、捉えた中学生の話。
共感する気持ちも多かったが、引く気持ちも多かった。気持ち悪いと思えた私は、この2つのキーワードを軽く見ていたんだと思う。だからこそ、簡単に口にしてはいけないと思う。