辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説には独立したレーベルや書店に専用棚が設けられているジャンルがある。
「ミステリ」「SF」「時代小説」などだ。
本作はミステリだが、普段ミステリを読まない人にも是非読んでいただきたい、大傑作だ。
個人的にも普段ミステリはあまり読まない。
江戸川乱歩、横溝正史はハマった時期がある。
しかし、現代のミステリは何らかの賞の受賞作を数作品呼んだだけだ。
それでもこの作品が特別なものであることは十分わかる。
本作はいわゆる「名探偵」「名刑事」が犯人のトリックを華麗に暴いていく古典的なミステリではない。
被害者や犯人の家族、そしてその関係者の思いが25年前の二つの事件、そして再び起こってしまった事件 -
Posted by ブクログ
面白かった。
最初の数十ページで予想した展開とは、ガラッと変わる内容に変化!
早すぎる妊娠、面子第一の家族、DV、裏切り、不妊治療、そして特別養子縁組。ニュースとしては知っているものの、当事者として何かを思ったことはない世界。そんなところにいとも簡単に連れて行ってくれた描写力はさすがとしか言いようがない。
ひかりがボタンを掛け違えた原因はなんだったのか。
個人的には人への感謝がないことかなと思った。
身近な人を見下してはいけない。とはいえ思春期だから仕方ないのか…
佐都子は冷静で懐も深くかしこい。彼女のおかげで読後感がとても良くなった。 -
Posted by ブクログ
犯罪の被害者、家族の葛藤や苦しみは、私には想像することしかできない。しかし、この本の登場人物の細かな心の描写を通して、それが苦しいほど伝わってきた。
本書では、嘘やデマが容易く流布し、それを信じて無責任に忘れていく人間の愚かさも問題提起されている。だが私はむしろ、作中で描かれた子供たちや妹、そして教師の苦しみや葛藤に強く心を動かされた。親や周囲の人間がもっと変化に気がつき、信じてあげることが何よりも大切なのではないだろうか。
人と人は、言葉でつながる。報道の大切さもさることながら、きちんと自分の周りの人たちに、家族に、言葉と想いを伝えていきたい。そう強く思わせてくれた、大切な一冊になった。 -
Posted by ブクログ
・p.218 「どうして、いつの日も、友情は恋愛より軽いものだというふうに扱われるのだろうか。何人と付き合ったか、が話題になることはあっても、何人の友達がいるか、そのうちの何人から真に心を開かれ、わかり合えているかが語られることはない。恋はいつ終わるとも知れない軽いものなのに、長く、ずっと続く友情の方は、話題になることが、ない。」
・恋愛と友情は何が違うのかとずっと考えていた時があった。どちらにも「好き」という感情があって、「大切な存在」でもある。でもなぜか、世間では恋愛の方に重きが置かれていて、恋愛が優先され、友情が軽視される傾向がしばしあるし、それが当然であるかのように認識もされている。 -
Posted by ブクログ
ページ数が多い小説なので1か月ぐらいの付き合いになるかと思っていたが、冒頭でつかまれて1日で読み終えた。
タイトルの「傲慢と善良」の「傲慢」部分に刺された。何かの余裕で決断を先延ばしにしてしまう架にも、自分を妙に高く評価してしまう真実にも、どちらにも感情移入してしまう。女性同士の悪意や、子離れできない親のどろどろとした部分の描き方が本当にうまくて、思い当たる場面が多すぎて胸が苦しくなる。
婚活と恋愛を軸にしたサスペンスとして「この先どうなるんだろう」と読ませつつ、この小説の一番怖いところは、読者自身の内面に矛先が向くところだと思う。読む手を止めて、自然と「自分はどうだろう」と振り返っ