辻村深月のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
辻村作品はやっぱりいい!!大好き!!
カルト団体(宗教団体)という設定で、嫌悪感を若干感じますが、本筋は友情物語だと感じました。
この作品は自分の子供時代に戻れる作品です。友達と遊び、勉強し、喧嘩し、仲直りし、仲間外れになったり、仲間外れにしたり、先生や親に怒られたり、泣いたり、悲しんだり、笑い合って、楽しんだり、走ったり、転んだり、泥だらけになったり、いろいろあった。
物語はカルト団体(ミライの学校)の敷地跡から、白骨死体が見つかり展開していく。
法子は小学校時代、夏休みの合宿でそのミライの学校に参加したことがあり、そこで知り合った大切な友達ではないかと心配になる。
それをきっかけに -
Posted by ブクログ
妬み、嫉み、恨み、つらみ、優劣、美醜、名声、貧富。
人と人との関わりの中で暗に値踏みされ無意識に作られる上下関係の趨勢がオムニバス形式で描かれるこの作品。
精神科領域の話が多いな、と思いつつ読み終えたところに東畑開人さんの解説が。
さすが、精神科デイケアで「居るのはつらいよ」と言っていた方だけあって、読み終わった後の不穏が渦巻く胸裏を少しだけ前向きにしてくれる。
精神科に勤務していると、両方の立場の話を聞くまではなにも判断できないという中立性の大切さを実感する。
この作品はそれを本当にうまく描いていて、かつ容赦がない。
池井戸潤作品のようなスカッと系とも違う"ある過去について&qu -
Posted by ブクログ
茨城、五島、渋谷それぞれでいろんな出来事が起こる中、それぞれが悩みながら、思いをぶつけながら前に進んでいく。そしてまた遠くのみんなと繋がっての観測会。臨場感あふれる描写で一緒に参加してる気になるほど、ワクワク。一年後の夏、またたくさんの仲間と一緒に星が見れて良かった。
コロナの中だけど、コロナだからだったかもだけど、遠くのたくさんの仲間と、同じ星空を共有できたことって、素晴らしい。
私の今は、今しかない。もう少ししたら、なんて待ってられない、というくだりが印象的。
青春じゃなくたって。今しかないをかみしめて、後悔しないよう楽しんで。
自分もこんなふうに生きていこうと思いました。
そして、星を -
Posted by ブクログ
ネタバレこんなに長い小説を読んだのははじめて。
上下巻合わせて千ページくらいある。
ただ不思議と長さを感じなかった。
iの正体はなんなのだろう、浅葱は救われるのだろうか、といろんなスリルがあってひやひやしながら楽しめた。
孤塚と月子の関係やiの正体が明かされていく場面は切なくもあり残酷。
伏線が回収されていく怒涛の場面に息を呑んだが、トリックよりもなによりも余韻を強烈に残すのが浅葱の壮絶で悲惨な人生。
それと月子の内に秘めた恋心もそうだし、妹をあんな状態にされてもなお浅葱と向き合おうとする孤塚の誠実さにも胸打たれた。
登場人物が本当に魅力的。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ
辻村深月には、いつも"してやられる"
読み終わった時の、やるせなさ。もどかしさ。
登場人物みんながとても愛情深い。
それでいて、噛み合わない、すれ違うことばかり。
それぞれが想っている愛や気持ちは、ほんの1ミリも伝わっていないことばかり。
どうしてこんなに想っているのに、当の本人は事実を知らないんだろう。
それがとてつもなくやるせないのに、それでも良い、それでも彼らの愛情は嘘でも無駄でもないんだと感じられるのが不思議。
作品を通して、チヨダコーキは終始、無知で無垢で、作品を作ること以外生きることは苦手な人物として描かれる。恋愛や執着からは程遠いように見える彼こそが、