辻村深月のレビュー一覧

  • かがみの孤城 下

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    ネタバレ

    読み終えてまず思ったのが、この物語が本当に必要なひとに届きますように——きっとたくさんのひとの命を救えるはずだから。本当に本当に、素晴らしい作品でした。涙が溢れて止まらなかった……。
    今まで読んだ辻村作品でナンバーワンだ!!

    やっぱ辻村さんは凄いなぁ…。学生時代のこう、言葉にならない微妙な気持ちとかをこんなにも巧く表すことができて——。大人も勿論面白く読めるが、なによりこころたちと同年代の子らにはきっとそれ以上に大切な作品になるんじゃないかな。
    ……(辻村作品ってほぼ)必ずハッピーエンドになるんだけど、道中が結構キツイかもしれない…当事者とかにしたら。でもこれって逆に、辻村さん的には「どんな嫌なことだっていつかは必ず終わりが来るんだよ」というメッセージなのかな。
    中高生とかまだ若い子たちの自サツのニュースなどを聞くと、本当にやるせなくなる。死ぬ前に一度「本」を読んでほしい。きっとこころの支えになる作品がいっぱいあると思うから…。ひとりの命を救うくらい大きな力を「本」は持ってるとわたしは思うから——。
    日々新しい作品が生まれてくるのは、それを必要としている人がいるからなんだと強く思った。

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    2026年08月24日
  • この夏の星を見る(下)

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    ネタバレ

    登場人物が多いのに、それぞれのキャラクターがしっかりしていて混ざらない。
    そして、全員が魅力的。
    日本全国で国際宇宙ステーションをキャッチする展開も良かったし、最後のスターキャッチコンテストもうるうるしながら読んだ。
    凛久が言えなかったお姉さんのこと、市野先生と花井うみかさんとの関係もよかった。
    先生たちのやりとりも、ああ、大人もこんな風に裏で繋がっていたんだと嬉しくなった。
    良い話だった。

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    2026年08月23日
  • かがみの孤城 下

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    心が暖かくなる希望のお話でした。この作品を多くの人に読んでもらいたいです。伏線回収も幸せな気持ちになりました。

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    2026年08月23日
  • かがみの孤城 上

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    正直、最初の方は読んでいて「これ面白くなるのか…?(正直、主人公に共感できないかも…)」と思いながらも、主人公の学校に行けなくなった経緯が分かり始めてから次へ次へと読み進めたくなる本でした。

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    2026年08月23日
  • ツナグ 想い人の心得(新潮文庫)

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    おすすめされて手に取った1冊。

    前作よりも今作の方が個人的には好みでした。

    それぞれの短編も素敵なことはさることながら、主人公の歩実の成長していく姿にも心を打たれました

    自分の好きな人達と同じ時を過ごせることがどれだけ素晴らしいかを感じさせられた作品でした。

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    2026年08月23日
  • この夏の星を見る 上

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    辻村作品の中では、知名度の高くないほうかと思う。

    でも上巻を読む限りではとても面白い。
    コロナ禍の中高生が、天体観測を通じ、地域を越えて結びつく話。

    コロナ禍文学みたいに一括りにされ、陳腐化されたのかな。
    結構好きだけどな。こういうストーリー。

    家族シアターのキャラが再び出てきたのも嬉しい。
    まだ、こういう仕掛けを盛り込んでくれるんだ。楽しい。

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    2026年08月22日
  • 凍りのくじら

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    人の心情描写の巧みさと伏線を込めた文章構成、闇と光の描き方や、ドラえもんの道具との結びつけ方まで、素晴らしい完成度。
    達観してる故、人に心の内を晒さない理帆子は誰といてもスコシ不在な個性。
    そんな彼女が周りの人の優しさに触れ、自分は不在ではなかったことに気づいていく。
    最後理帆子はスコシ不思議な体験をして、物語本編は終わるのだが、その伏線回収は必見です。
    最後の郁也の新しいスコシなんとか、は、これから世界へ羽ばたく郁也にぴったりなSFで、あえてそれを書かない描写も素敵だ。

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    2026年08月22日
  • スロウハイツの神様(下)

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    登場人物それぞれがちゃんと人間らしく情けなくて
    とても強がりで、愛着が湧く。
    ずっと不穏な空気が流れる物語で
    どうかどうか全員が壊れないで欲しいと願いながら
    読み進めたけど、終盤にかけて伏線回収というか
    とてもスッキリ!納得いくラストだった。
    いろいろな形の愛情と、表現の仕方がある。
    強くて優しくて頑固で愛情深い環がとても好き。

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    2026年08月21日
  • 朝が来る

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    ネタバレ

    引き込まれて一気に読みました。

    3組に1組は不妊と言われる時代、子どもによって幸せがもたらされた夫婦と、堕ちるところまで堕ちていく生みの親。
    その対比が見事で、ただ最後に佐都子がひかりの手を取った場面は数ページの描写でしたがはっとしました。
    子どもがいた方が幸せ、子どもありきの結婚、そんなことはないはずなのに、そういった固定概念が根底にある人は多いはず。私もこうして客観的に考えていると思いながら、結婚相手との子どものことを考えてしまいます。そんな当たり前に来ると思っていた未来が来なかった時、夫婦の葛藤、苦しみ、もがき、全てが前半に詰まっていました。そしてそれを乗り越える夫婦の強さもよく描かれています。

    一方のひかりは、人気者の巧と出会うことから転落が始まります。どこかで道を歩み直すことができなかったのか、読みながら何度も考えてしまいました。でも親への反骨心を根底に抱えて"普通"とは逆の道を自ら選んで進んだひかりには、最初からこうなることは決まっていたのではないかという未来ばかりです。誰しも幸せのレールを引かれるとそこから外れたくなってしまう、その気持ちはわかります。どこかで他人に甘えることを学んで欲しかったと願わずにはいられませんでした。

    そんな夫婦とひかりの間を繋ぐ朝斗の存在。
    今後どうなったのか。きっと佐都子はひかりに金銭的な援助の手を差し伸べたでしょうが、朝斗のためにもひかりのもとには返さなかったことでしょう。どうにかひかりには今後もう一度恋愛をして、愛する人との子どもを今度こそ育ててほしい。それでいながら朝斗とも向き合い続けて欲しいです。

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    2026年08月21日
  • ツナグ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    使者(ツナグ)の歩美が研修中だったことに驚いた。
    この手の案内人はベテランか、人外で生まれた時から案内人のケースが多いので、歩美もてっきりどちらかのケースかと思い込んでいた。
    四話の暴走は新人時代のトラウマを刺激されたのかな?と盛大に勘違い。

    本作の主軸は、歩美が使者になるまでの出来事だったわけだ。

    研修を通して死者の正体を怪しんだり、生者と会わせる意味を深く考察したり、この時点で使者になるために生まれてきたような子だと感じたが、あまりに聡すぎて使者の力を受け継いだ故に亡くなった両親の秘密に気づいてしまったのは実に皮肉である。

    使者は善意のボランティアではなく、死と隣り合わせのボランティアだ。
    全てを知った上で使者の力を受け継ぐ歩美に目頭が熱くなった。
    続編も是非見届けたいと思う。

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    2026年08月24日
  • 冷たい校舎の時は止まる(上)

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    2ヶ月前の学園祭で自殺した同級生。その生徒の顔と名前が思い出せない。どうして忘れてしまったのか、誰が死んでしまったのか。下巻がどうなっていくのか続きが気になる。
    ホラー描写も結構あって、ホラーが苦手な自分には結構怖い場面もあった。

    角田春子のことを擁護するつもりはないけど、ストレスなどからくる自分の不安定さの原因を自分ではなく他者のせいにしてしまいたい気持ちも理解できるからとても心が抉られた。春子からの被害妄想からなる嫌がらせを、自分自身のせいだと自分を苦しめ続ける深月、春子のことを嫌いになることもできず周りに相談もできず自分の内に溜めてしまう深月の善人さ。深月の心を軽くしてくれる友達が周りにいてくれて良かった。

    他の登場人物の生徒たちも、周りからは見えていない悩みやコンプレックスを抱えている。
    特に印象に残ったのは充の、
    「自分は単に、他人に対する責任を放棄したいだけなのだ。人を傷つけてしまうことが怖い。ただそれだけだ。相手の声を否定せず、他人の言いつけを素直に聞いてさえいれば、充は誰のことを傷つける心配もない。だから断らない。それはとても楽な方法で、とても臆病な生き方だ。
    自分のした行為に対して相手が喜んでくれるのを見れば、もちろんそれを嬉しいと思う。けれど、それと同時に心のどこかでほっと安堵しているのがわかる。全て自分のため。他人に優しいわけでは決してない。自主性のまるでない、他人を受け入れるだけの無責任な優しさ。」
    優しさは人の為でもあるが、結局は自分の為にやっているということに納得してしまった。
    とても考えさせられる作品。

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    2026年08月20日
  • 鍵のない夢を見る

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    ネタバレ

    人間関係、恋愛、結婚、出産、育児などがテーマになった5話が収録された、女性目線の短編集。一話ずつ読み終わるたびに「ふぅー……」と深いため息をついてしまうくらい、世界の解像度が高く、なかなかに暗い部分が描かれていて、没入してしまいました。
    とくに最後の「君本家の誘拐」については、妊娠〜育児の描写がリアル(体験したことはないですが)で、ちょっと腹痛(笑)
    初めての辻村作品でしたが、ほかの作品も気になるくらい傑作でした!

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    2026年08月19日
  • 噛みあわない会話と、ある過去について

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    ほんとに噛み合わってない会話
    短編になっていて読みやすく、心にズキズキ刺さった
    面白かった
    ママ・ははが切なかった。振袖の返品はないわ〜って…
    自分に娘が生まれた今、そうならないように気をつけなければ!

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    2026年08月18日
  • スロウハイツの神様(上)

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    チヨダ・コーキの優しくて穏やかで、周りをよく見ているところに惹かれる。だけど、どこか謎めいていて、もっと知りたくなる人物だった。
    続きが気になる終わり方で下巻を読むのが楽しみ。

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    2026年08月16日
  • ハケンアニメ!(下)

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    アニオタとしては、「良いモノを読ませてもらいました」という感想。作者の辻村深月さんもアニオタなのか、が気になるところです。

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    2026年08月16日
  • 朝が来る

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    純粋ではあるが幼く無知ゆえに翻弄されて傷ついてゆく産みの母親と、長い不妊治療の末に特別養子縁組を選び、その子を守り慈しむ育ての母親との6年間の物語なのだが、最後の歩道橋のシーンでは涙が溢れて止まりませんでした。若い彼女の人生が好転していくのを暗示しているように思えた。

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    2026年08月16日
  • 噛みあわない会話と、ある過去について

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    初めて1日で読み切った。面白すぎた。
    短編だけど、どの話もこのタイトルの意味がよくわかる。
    勝手に加害者、被害者という言葉になってしまうけど、加害者は当時のことは全く覚えてなくても、被害者はいつでも当時されていた嫌な事や言葉は都合の悪いように肉付けされて、覚えられているものなんだ。
    自分の経験則でもあったな、と振り返らされた。
    そんな闇の部分は誰しも持ち寄っているはずだから、誰でも共感できる話じゃないかな。

    どれも登場人物の心情がリアルすぎて、ぜひドラマ化して欲しいな、と思ってしまった。
    とてもおすすめです。

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    2026年08月15日
  • ファイア・ドーム 下

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    北陸地方のL県薪戸市で1994年に起きた誘拐殺人事件。犯人は逮捕されたものの、同時期に発生した少年の不審死事件と関連した真偽不明の噂が土地全体で蔓延していた。その25年後、同市で小4男子が失踪する。少年は誘拐事件被害者の親族だった。少年を最後に目撃した担任教師の佐村美冬は、予期せぬ事態に陥り…

    圧巻のリーダビリティで、上下巻合わせて900頁弱を一気読み。情報を小出しにし、視点人物を切り替えながら徐々に輪郭を明らかにしていく。一方で肝心な部分は謎に包んだままで、読み手の興を削がない。宮部みゆきさんを彷彿とさせる話運びの上手さ。
    喜怒哀楽振れ幅の大きい心理描写に終始感情を揺さぶられた。ネットから誹謗中傷に晒され、リアルでも頼れる人がいなくなって針のむしろとなる恐怖。そんな状況下であの人物からあんな言葉をかけられたら、そりゃ慟哭するわな。
    被害者遺族と加害者家族ならではの感情、彼らに寄り添う周囲の配慮、友人を想う少年達の勇気と友情、にもグッときた。
    心理描写にとどまらず、スリリングで手に汗握る展開もあって息つく暇がない。現在の事件が過去の事件へとリンクし、タイトルのもう一つの意味が浸透する場面で物語は最高潮を迎える。
    誰も貶めない前向きな着地で読後感も良い。2026年のミステリを代表する作品になるのは間違いない。

    柴田錬三郎賞 受賞

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    2026年10月01日
  • 鍵のない夢を見る

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    小説を読んでいると 「これはもしかして 私のことを書いているのか?」と思われて仕方がない、ということがよくある。この連作短編集5編のうち 「石蕗南地区の放火」に出てくる 大林、そして「芹葉大学の夢と殺人」の羽根木雄大 この二人が どうにも我が身のことに思えて、いたたまれない。この二人を 足し合わせ それを2で割らなくとも 私そのものだ。30代までの私は 雄大のように 「今の自分ではない何者か」になる 強迫的使命感に取り憑かれて現実を放り出していたし、40代になってからは その反動だったのだろうか?ことさらに 分別をふりかざす おじさんになった。おそろしいことに その両方とも 50代となった今でも完治しない。

    ただし、5編のいずれにおいても そうであるように どんなにバランスを欠いた不完全な人間であっても 密かに気にかけてくれている人 心配してくれている人、許容し、 ときには擁護してくれる人、寄り添い 共に歩こうとまでしてくれる人も いるのだ。

    私のような者を 許容し擁護し 理解し寄り添う人は 私が必然的にまとう孤独を あえて自分の身にまで 引き受けてくれるということだ。その自己犠牲の行く末にあるのは 感慨だったり失意だったり 絶望だったり 、死だったり、つまりそういうことなのだろう。

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    2026年08月15日
  • 本日は大安なり

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    ネタバレ

    読後感が素晴らしい。
    初めは辻村先生の作品らしく、人間の厭な面が目立つ。だが話が進んでいくにつれ、どんどん心打たれるような展開へと転じていった。

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    2026年08月15日