辻村深月のレビュー一覧
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子供の頃の、クラスで1人になるのを恐れていた気持ちを思い出す。辻村深月の青春モノは、いつも忘れていたような子供の頃の痛みや苦しみを、本当に丁寧に思い出させる。心情の言語化が素晴らしい。そして面白かった。
宗教的団体『ミライの学校』の敷地跡から子供の白骨死体が見つかる。弁護士の法子はその遺体が、子供の頃に友達だったミカではないかと不安になる。法子も小学校時代、夏合宿でミカと共にそこに居たのだ。
『ミライの学校』はカルト集団だったのか。そこで生まれ育ち、今もその中で生活する人々はどんな暮らしをしているのか。
シゲルやミカの生活を垣間見ると、カルト集団内部で育つ子供たちがその後どんな人生を送るのか、そういう事を具体的に想像できてなかったことに気づく。良い、悪いでは分けられない、それぞれの想いがあることが分かる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「毎日小学生新聞」の連載をまとめた一冊。
著者の綴る言葉はどこまでも優しく、読者一人ひとりがおそらく著者の寄り添いを感じられる。
「周りと違っても大丈夫」「時にはネガティブな感情を抱いてもいい」。
大人がいつの間にか学んだ、自分自身を含む人間の複雑さに対して、著者は優しく共感し、その奥底の気持ちの素晴らしさを解いてくれる。
子供ならではの真っ直ぐさを讃え、多角的な視点を持つ大切さを説きながらも、自分の『好き』や『心地よさ』を何より大切にしていいよとそっと背中を押す。
迷い、悩み、戸惑いながら成長していくであろう子どもにお守りとして手渡したい一冊。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後の最後までどんでん返しがある面白い作品。
「ぼくのメジャースプーン」とつながりがあるということを忘れて読んでいたので、最後の最後でいろんなことがつながって鳥肌が立つような思いをした。
今のところ発見しているのは以下のこと。また読み返したいと思う。
・秀人=「ぼく」、椿=「ふみちゃん」
・作中(下巻p281)に出てくる「白髪まじりの男性」は「先生」
・椿から秀人の印象「穏やかに暮らせるように、秀人は努力してる。そうしようと必死なの」(下巻p269)は能力を示唆
・秀人から椿の印象「歪んだからこそ、正方形のようになった」は「ふみちゃん」の過去を示唆
・あすなと椿が連弾する際に、椿は問題なく演奏できる。「ふみちゃん」はピアノが上手
・天木が椿の人望を認めている。「ふみちゃん」はみんなに慕われている。
・秀人はいつかに「ゲーム」を持ち掛けた。その責任感から協力している。
・クリスマスの日に店で演奏する松永郁也は、前作の発表会の際に「ふみちゃん」のひとつ前の順番だったピアノが上手な子 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「毎日小学生新聞」で連載していた辻村さんの記事をまとめたもの。
言葉に対する愛情と優しさが深く伝わってくる。
変だと思われたくない気持ちからクラスの雰囲気に合わせていつしか自分の感情がわからなくなったり、無意識に周りの傾向に沿った感想を述べたりすることはだれにでもある。
大人はいつも「周りの意見なんて気にしないでありのままでいいんだよ」と言うかもしれないけど、大人だって日常的に同調圧力に流されている。
辻村さんはそうやって周りに合わせることを否定しない。
ただ、みんなが言ってることと自分の考えが違うからといって自分の考えを押しつぶすことはしないでほしい。
その時に湧いた感情をぞんざいに扱わず、はっきりと認識して大切に留めておく。
いつか、思わぬ場面で自分を助けてくれる材料になるかもしれない。
この本に込められた辻村さんの子どもに対するメッセージ一つ一つが温かい。
子どもからのお悩み相談にも、断定的に道を提示するのではなく、優しく導いてくれる感じが良い。
大人になってからもこの考え方を忘れないでいたいな、と思うような内容ばかりだった。 -
Posted by ブクログ
上下巻で800ページを超える長編作品。
辻村深月作品はページ数が多くて、上下巻に跨るものが多いですが、どの作品も非常に読みやすく、今回も例外なくスラスラと読めました。
この作品はミステリでもあり、SFでもあり、青春ものでもある。
こんなにてんこ盛りなのに、それを感じさせない物語。
さすがです…。
失敗を恐れず、さらには失敗することが分かっていても挑戦する、その勇気は相当なものだと思います。
自分は実際、そんなことができないと思う…。
そんな、一歩を踏み出す勇気をこの作品の登場人物からもらったような気がしました。
一言でいうと、「優しい物語」でした。
ネタバレギリギリですが、この作品を読む前に、『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』を読むべきです。
終盤で鳥肌が立ちまくりますので…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界一好きな作家、辻村深月さん。
多数のヒット作を生み出し続けている作家さんですが、この「水底フェスタ」はあまり目立っていなかったので、気になって読んでみました。
•高校生の広海視点で物語が進んでいきますが、広海からみた由貴美のもつ、美貌と大人の女性の魅力がとにかく凄くて、正体が分からない女の虜になってしまいます。
しかし、閉鎖された村のネットワークにより、次第に広海と由貴美の関係性が住民たちにバレていきます。
•由貴美とは離れろと言う住民から聞く話と、実際に会って由貴美から聞く話の中で、広海は
「誰を信じればいいのか?」
「生まれ育った村を守るため復讐を阻止するべきなのか?」
「それとも悪しき風習を持つ村を変えるために由貴美の復讐を手伝うべきなのか?」
正解がどんどん分からなくなります。
(広海のお父さんは村の村長なので、由貴美は村長の息子の自分を利用しようとしてるだけ?と常に勘繰ってしまいます)
•物語が進む中で、村が持つ悍ましい風習や負の歴史がどんどん明らかになります。
村が、読み始めた時に見えてきたものとは全く違う景色になり、最早ホラー作品よりも怖かったです。
•衝撃の真実に次ぐ衝撃の真実のオンパレードで、ヒイヒイ言いながらもページを捲る手が止まりませんでした…
•切ない、怖い、悲しい、絶望、読んでいる間色んな感情が襲い続けてきました