辻村深月のレビュー一覧
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いつも通りあっという間に読み終わった辻村さん作品。
人生をめちゃくちゃにされた過去があるにも関わらず、最後は玲奈の幸せを願った山井さんは人格者だ。
双子というそうじゃない自分にはわからない関係性。顔は似ているけど別の人間。互いに大事に思ってはいても、他人から比較されて自らも比較してしまい嫌な気持ちにもさせられる存在。兄弟姉妹とはまた違う双子にしかわからない世界をのぞかせてもらった気持ちになりました。
火を放とうとした浮気男が痛い目を見切らず良かったような許せないようななんとも言えない気持ちになりましたが、「世界一憎い相手であっても、きちんとその時がくれば祝福できるから」の言葉にあるように -
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筋少の歌詞をベースに作成された短編集。どの話も、出てくる主人公は所謂「陰キャ」と呼ばれる人たちで、世間の輪の中に上手く混ざれない人たち。
そんな彼ら(彼女ら)に起こるヘンテコな話・・・なんだけど、いや~どの話も面白かった!!
元々大槻ケンヂの書く詩(筋少の歌詞)って、物語っぽいから小説にしやすいってのは想像できましたが、ここまでドはまりして読めるとは思わなんだ。
特に心に刺さったのは、一番最初の「中2病の神ドロシー」、人間椅子の和嶋慎治さん作の「福耳の子供」、そして最後の大槻氏本人作の「香菜、頭をよくしてあげよう」ですかね。
特に、最初と最後の奴、一度喪失したモノと長い月日を経て邂逅するって展 -
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この本に出会えてよかった…
子ども時代に出会えたら、もっと気楽に生きられたのかなと思うけど、そんな今までも全部肯定した上で、背中を押してもらえた気がする。
どうしてこんなにも辻村先生の言葉はいつも真っ直ぐで、ほしい言葉をくれるのかなと疑問に思っていたが、その謎が解けた本だった!
先生はいつも「自分の言葉」に忠実で、言葉を紡ぐ作家としてのプライドや信念を持ち続けているから、こんなにも読者に刺さるのだと痛感した…
「言葉」や「読書」、そして先生の「好き」に対する熱い想いが綴られた本作は、私の宝物になった。
子ども時代ではないけれど、本作に出会えて本当によかった。こんなにも愛おしい言葉をくれた本に -
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衝撃と救われたという気持ちが最後にドンと来た。
女性間にある関係性と地方にある閉ざされた関係性。
実際はわからないけど、周囲からはそう見える、そうなんだろうなと想像してしまう、そんな物を提示される。読んでいて、うわぁドロドロだとひきながらもどこかでそうなんだろうなと勝手に同意してしまう。そんな共感を感じさせるのは辻村深月さんは上手だよなぁ。そんな中で事件が起きてそれについても非常に興味を持たされる。
追う探偵役と逃亡者が親友の女性だったり、なぜ事件は起きたのか、逃亡者は本当に犯行を起こしたのか、果たして二人は再会するのか、どんな逃亡生活なのか。読んでいて興味は尽きず面白かった。
そしてタイト -
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良すぎた。
アニメ制作とその周辺業界をめぐるストーリーを、主人公が変わりながら3部+αで描く物語。
最初は王子監督に振り回される有科かやこプロデューサーにすごく感情移入してたけど、次の斎藤瞳監督にはさらに心奪われた。次のアニメーターの和奈は最初あんまり好きじゃなかったのに、話が進むにつれものすごく応援してた。
「軍隊アリと公務員」の終盤は、ずっとウルウル。
サバクの設定や最終回、読んでて泣きそうになった。小説という作品の中に出てくる作品の設定。そんなところまで、感動させるような内容のものを考えられるなんて。
リデルもすごかった。涙ぐんだ。アニメの映像が頭に浮かび、想像の中のシーンで、鳥肌 -
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優しさに溢れていたし、
小学生新聞連載記事だそうですが、なんていうか、わかりやすい言葉で綴られてはいるけど、子ども向けにうまく取り繕ったりせず、子供扱いせず、丁寧に向き合った内容がいいなと。
「考えること」「思うこと」にブレーキをかけないで。
周りと違う感覚で、それを馬鹿にされたり笑われたりしても、「雨の匂い」を感じることができるその感性は素晴らしい。
大人は、子どもたちが失敗しないための正解がわかる。でも正解しか知らないで大人になるのはつまらない。未来への不安や焦りに揺れながら成長するからこそ、自分の思いや言葉が紡がれていくんだなって。
辻村さんの優しい問いかけに改めて気付かされる事が -
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ネタバレ不登校の中1こころが部屋に引きこもっていると鏡が光りだして異世界に吸い込まれる。異世界の城にはこころも合わせて7人の中学生が。「カギを見つけたら願いが叶う」「9時17時は出入り自由。でもルールを破るとオオカミに食われる」「願いを叶えると全員記憶がなくなるが流局したら記憶は残る」などゲームマスターの「オオカミ様」に翻弄されながらも、仲を深めそれぞれの境遇が明かされながら1年を共にする話。
各章が「五月」から「三月」なので、スタートからゴールがわかりやすいのがいい。一日で読んでしまったけど。
イッツ・ア・スモールワールド(作中のコープさんのテーマ)ってちゃんと聞いたことないな。ナルニア王国も見 -
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7話とも全部自分が体験していた様に、既視感がある話だった。全部が幸せに終わったとは言えないが、温かく、ちょっと恥ずかしくて、人には言えない話が多かった気がする。この話に既視感を持てる自分は家族に恵まれていたと改めて感じた。
武田砂鉄さんの解説も素敵だった。家族の余計な一言は同じ空間にいるからより傷ついたり、実家から出た子供は1人で生きていた顔をしないといけない時期もある、外用のお菓子が出される様になるなど。一つ一つは些細なことだが、歳を重ね、実家に帰るたび、これらの言動が、大切で笑えてくる様になる。
この本を読んだ後、家族の優しさに少しだけ触れたくなる本かもしれない。 -
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「そのバンド 本当はいなかった 25年見てたのは
自分の心さ 君自身の影なのさ」
“中2病の神ドロシー”より
うおぉ!筋肉少女帯の楽曲が小説に!しかも執筆陣も豪華アンド本人降臨!!
素晴らし過ぎる作品だ。筋少ファンとして思わず歓喜の涙(泣)
この作品は全6篇+装丁のアンソロジー短編集となっていて各作品のテーマとなった楽曲がタイトル(一部違うが)となっている。各執筆者はテーマとなってる歌詞を物語化しているが、まぁ、出てくる出てくる他の曲(笑)
探せば20曲くらい歌詞でてくるんじゃないかという勢い!しかもなんか大槻ケンヂの文章っぽさも感じる(寄せてる?)
筋肉少女帯愛が濃い!濃すぎる!!
物語と -
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心温まるエピソードの数々。読んでいて思わず微笑んだり涙がこみあげたりしてしまうとても素敵な作品。
旧館、新館ともに大半は東京會舘で働くプロフェッショナルたちのエピソード。ホテル機能を持たない施設だけに猶更来客をもてなそうとする揺るぎなく継続されている精神を感じる。また越路吹雪のディナーショーや直木賞受賞作家などのエピソードもとても面白い。これらの話の中にも当然東京會舘のプロフェッショナルたちの気配りを知ることができる。
私は地方から東京へ出てきて30年以上経つが、残念なことにこれまで東京會舘へは行ったことがない。帝国劇場へも帝国ホテルにもパレスホテルにも行ったが、今まで東京會舘にはご縁がなかっ