【感想・ネタバレ】東京會舘とわたし 下 新館のレビュー

あらすじ

芥川・直木賞の記者会見や様々なショー。連綿と紡がれる人生模様。
ラストに新章を加筆した完全版。

井上靖、三島由紀夫らの小説でも描かれ、コーちゃんこと越路吹雪は多忙ながら東京會舘でのショーには永く出演した。
1970年代はじめに改装。
平成では東日本大震災の夜、帰宅できない人々を受け入れ、その翌年には万感の思いで直木賞の受賞会見に臨む作家がいた。
そして新元号の年、三代目となる新本館が竣工する。

解説・出久根達郎

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Posted by ブクログ

今のところ辻村深月作品の中でナンバーワン!
どの話も胸打つものばかり。
戦前の話から現代まで、壮大な物語だった。
時代や建物そのものは変わっても、人の心は受け継がれている。
素敵だった。
読み進めて行くごとに、ああ、これはあの人だ!と伏線回収も楽しみだった。
小説はほんとうにいろんな景色や感情を体験させてくれる。
あー楽しかった!

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

上下共に一気読み。東京會舘という建物をこの小説で初めて知りました。見たことも行ったこともないのに、読んでいると東京會舘で行われた演奏会や結婚式など数々の出来事がまるで自分がそこにいたかのように頭に浮かんで、いつの間にか目に涙が滲んでました。第8章の東日本大震災のお話と第10章の建て替え前最後の結婚式のお話が特に好きです。
今度実際に東京會舘に行ってみたい!と強く思いました。作中に出てきた「舌平目の洋酒蒸」を始めとする料理や菓子もいつか味わってみたい!

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2025年09月17日

Posted by ブクログ

東京會舘のクッキーは母からそれと知らずにもらって、一口で「普通じゃない」と目を見開いたくらいおいしい。
そのクッキー一枚の陰にもたくさんの想いが詰まっていることが伝わる小説。温かくて、優しくて、品が良い。

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2025年08月20日

Posted by ブクログ

東京會舘クッキングスクールのお話を読む最中、食欲をそそられる文章で、お腹がぐーぐー鳴りっぱなしだった。

クッキングスクールのシニアコースで、夫がすぐに習った料理を家庭で披露してはいけない理由が、急では妻の調理場を荒らすから。写真を撮って調理後元通りに戻せる状態にならないと次作ると提案した時に非難の声が出るとあり、感心させられた。

大仕事を終えて心地よい疲労感を感じた。と描かれている場面があり、そのように愛せる仕事と巡り会いたいと思った。

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

私が生涯大事にしたい大好きな作品の1つ。

この作品に心を打たれて、実際に東京會舘に行ってみました。BARで會舘フィズを飲み、ロッシーニで舌平目のボンファムを食べました。味が美味しいのはもちろん素敵な接客で心から空間を楽しむことが出来た。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

上巻より下巻のこちらの方が私には馴染みのある内容でした。

昭和から平成へ
金婚式のお祝い
クリスマスディナーショー
東日本大震災
芥川賞、直木賞の選考会、記者会見
結婚式

昭和51年からおよそ40年の間の出来事が描かれていました。
上巻からだとおよそ95年間もの出来事が東京會舘を舞台に描かれています。
当時の東京會舘の様子が時代背景と登場人物でとてもわかりやすく書かれていました。
また、東京會舘での様子で当時の日本の様子を知ることも出来ました。

『東京會舘』

私は訪れたことがありません。
機会があれば行ってみても良いかもしれませんね。きっと、素晴らしい所だと思えます。


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2025年05月16日

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平日のお昼にメインバーで會舘ジンフィズとサンドイッチを食べること、プルミエで舌平目のボンファムを食べること、シャンデリアを見にいくこと、夜にトムコリンズとソールピラフを食べることが目標になった。クッキングスクールにも通って、私もカレーを作りたい。とても素敵な小説でした

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2025年05月03日

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東京會舘に対する作者からの溢れんばかりの愛を感じました。直木賞の件はご自身の体験とオーバーラップさせているのでしょうか、とても揺さぶられました。それぞれの物語に寄り添う會舘のスタッフにもそれぞれの物語があり、人って支え支えられ生きているんだんなあと改めて感じました。この本を読むと確かに東京會舘に行きたくなりますね。大好き度❤️❤️

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

東京會舘がいろんな大切な思い出を見守ってきたことを知り、胸がいっぱいになった。
時代は大正時代までさかのぼり、現代に至るまでおよそ4世代にわたる、壮大なスケールでありながら、鮮やかに描かれていて、素敵な物語だった。
まだ東京會舘へは行ったことがないけれど、行きたくてたまらない!

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2024年10月22日

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上巻からの下巻の流れで、とても、良かった。
度々、感動でウルっとさせられることもある、感じ入させられる作品だった。

あまり辻村深月っぽくないなと思いながら読んでいたけど、ちょっとずつ前の章で出てきた人が出てくるあの手法は、自分がよく見知ったものだったように感じられた。

これはある意味、歴史小説であり、そして最高の東京會舘ファンブック、なのかもしれないな、なんて思った。辻村深月の想いがあってこそ実現した作品だと思うと尚のこと感慨深い。

令和元年に帰ってきた東京會舘に、お帰りなさい、という締めで、きっと東京會舘を好きになる一冊。

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2024年09月27日

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東京會舘
辻村さんのエッセイで彼女にとって特別な場所であるとは知っていたが、それ以外の知識はなく読み始めた

東京會舘の創業開始から3代目の新館が出来上がるまでの建物を主役とした大河ドラマ
建て替えをしつつも、同じ位置に立ち続けた建物目線でこの国の変遷を追うことができて、とても楽しい読書だった
時代の流れに関わらず本作で東京會舘に関わる人は皆「あたたかい」人ばかりだ
一度も足を踏み入れたことがないのに読んだあとには東京會舘のファンになっている

いつか表紙にもイラストが入っているシャンデリアを眺めたり、「舌平目の洋酒蒸ボンファム」や「コンソメスープ」、「會舘風ジンフィズ」「パピヨン」などを味わったりしてみたい

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2024年08月23日

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下巻は昭和51(1976)〜平成31(2019)年までの短編集。上巻と同様、前の話との繋がりが感じられ、
伝統として継承されるもの、新しく移り変わっていくものがあり、どこかノスタルジックで、人々の「東京會舘」への想いが詰まった作品。

特に8章の、料理教室の話が好きでした。

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2024年07月06日

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ネタバレ

もう10年も前のお中元に東京會舘のプティガトーを選んだことがあったと、思い出した。その時は東京會舘にこんな歴史があるとはつゆ知らず。
その歴史に関わった登場人物の多くは実在する。そして、年月を経た別の章にも登場する。ラストに向かって皆が集まってくる「愛と哀しみのボレロ」のような情景が良かった。
灯火管制の下で結婚式をした静子さんがひ孫さんの結婚式で美容室のスタッフと再会する。アメリカ軍の施設になっていた時にバーでコインをもらっていた男の子が社長になる。中学生だった小椋が世話になったウェイターが支配人になって、直木賞を穫った小椋を迎えてくれる。その支配人は若い頃、独りで金婚式を迎えに来た婦人を心づくしでもてなしてくれた人だった。
2019年に建て変わった東京會舘でも訪れてみたい。

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2024年05月31日

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良かった…。
もっと早くに読めば良かった。

今も続く東京會舘に縁のある誰かの人生の一頁が描かれていてじんわりと胸に沁みた。
何度も自然と涙がこぼれました。

何とも温かく心地いい気分で上巻から下巻へ。
東京會舘で働く従業員・訪れるお客さんの思いが上巻にも増して溢れてて、時代を越えた強い思いに何度も胸がいっぱいになりました。

東京會舘にこんなにも長い、大変な歴史があったなんて初めて知りました。
どんな過酷な状況下でも変わらない従業員のサービスは素晴らしかったし、受け継がれる東京會舘への思いにも感動した。
是非いつか訪れて、物語に思いを馳せながらシャンデリアや内装を眺めてみたい。

東京會舘を愛し、大切に思う人たちの思いがあふれる素敵な作品でした!
これはかなり好き。
近年こういった歴史を感じられるものや、思いが受け継がれていく物語にグッとくる

*本作が気になる人は以下も好みだと思います。
「帝国ホテル物語」 植松三十里
「われ去りしとも美は朽ちず」 玉岡かおる
「美しき愚かものたちのタブロー」 原田マハ


『いつか、と思う。いつかきっと、今日のことを、また思い出す。この灯りや、建物の姿とともに。』

『きっと、この建物にやってきた人の数だけ、それぞれ、どんな思いでどういう時に来たのかという物語があると思うんです。それはきっと、お客さんの側にも、もちろん従業員の側にも。』

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2024年04月28日

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ネタバレ

東京會舘、この本を読むまで存在すら知らなかった。
読んでみて思う。行ってみたい。
きっと高級でうんと背伸びして行くんだろうけど、その緊張を解きほぐしてくれるような人たちと素敵な時間を過ごせるのではないだろうか。小説に出てきたモチーフもあわせて体感してみたい。

上巻のはじめこそ眠くなりながら読んだが、歴史が紡がれ人の繋がりを感じ始めてからはじっくり味わいながら読むことができた。
金婚式。
東日本大震災と料理教室とカレー。
直木賞と親子。
どれも、「くるぞくるぞ」とわかっていても泣いてしまった。

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2025年09月07日

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東京會舘といえば、官庁系団体に勤めていたうん十年前、隣で経理を担当していた先輩が東京會舘レストランプルニエの請求書が届くと、「良いわねぇ、経費でご馳走がいただけて」と言っていたのを思いだす。時代に翻弄されながらも、古き良き伝統を受け継ぐ歴史ある建物だと改めて知る。心温まる9編の物語。建物に思い出を持つ実在架空の人々の物語がバトンを受け渡すが如く時代背景と共にドラマチックに描かれている。若き作家がこれほどに深く広い知識、豊富な語彙、取材力、想像力と感性を持って作品を紡ぎ出すことに驚かされる。

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2025年05月24日

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越路吹雪さんの慣れない才能の部分が凄く共感した。
常に全力で手を抜かない。
すべての仕事に通じるのかなと。
今仕事に自信をなくしているからか。。

慣れず、常に謙虚に目の前の事を全力で頑張ろう

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2025年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第六章 金環のお祝い
第七章 星と虎の夕べ
第八章 あの日の一夜に寄せて
第九章 煉瓦の壁を背に
第十章 また会う日まで
新章 「おかえりなさい、東京會舘」

第八章は東日本大震災の時の話。料理教室に通い始めても決して料理を作らなかった旦那さんが、遥か逗子までようやく帰った奥さんにカレーを初めて作るラストシーンは泣けた。

第九章は直木賞受賞作家の話。辻村深月本人と若干オーバーラップしているような?デビュー年同じに設定されてるよね。直木賞受賞日も、田舎出身っていうのも、親が公務員だっていうのも同じだね。
母親の性格がなんとなく、辻村深月が他作品で描いている母娘の独特な関係性を暗示させるような雰囲気で、いやこれまんま本人とご家族では?という気持ちになった。
とはいえ親はいつまでたっても親ですね。子供が心配だから自分の思う「安定した失敗のない人生」を歩んでほしいんだけど、それが子供にしたら堅苦しく、っていうね。同時に父親は父親で「正しいこと」が良いのではなく「有名なこと」が重要っぽいね。

上巻と下巻を通して全ての無関係に生きて来た人たちが東京會舘をひとつのポイントとしてすれ違う、見事に「袖触り合うも多生の縁」を体現した作品でした。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良かった。登場人物一人ひとりの心が感じられて何度も泣かされた。

それぞれの時代に時代ごとに、さまざまな立場から見え東京會舘の姿を切り取った短編小説集だと思っていたら、最終話で見事に伏線回収してきた。

まさか出だしのあそこがここに繋がるとは。
それぞれが人生を物語にしようだなんて思っていなくて、ただ必死に生きてきただけのはず。それが、自分の意図していないところで「縁」となってつながっていく。その事実になんだか生きる希望を感じる。

この物語は東京會舘というフレームで切り取った人生の集まり。個人はただ必死に生きることしかできないしそれでよくって、それはちゃんと縁としてつなかっていく。何かのフレームで切り取られないと気付けないけど、見えなくてもその縁は存在する。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

建物を取り巻く時をかけた物語で思わずグッと感情移入して涙ぐんだ箇所多数。
あったかくなる話で実際に出かけてみたいと思った。

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2024年11月08日

Posted by ブクログ

上巻は物語に入り込むまでに少し時間がかかりましたが、下巻は上巻からの勢いに乗り一気に読み進めました。
どの話しも素敵で、思わず涙…
東京會舘、一度行ってみたいと思います。

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2024年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の話については、金のある年寄りの独りよがりな回想感が強くて気持ち悪かった。拒絶反応起こして読むのやめるところだった。あんなの現実にいたらキレるわ
東京會舘の歴史が分かるし、ストーリーは全体として素敵だったので良かった

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2024年07月25日

Posted by ブクログ

読み進める毎に味わい深さが増した。
長い東京會舘の歴史の中での様々な出来事を上手く表現されていて、どれも心温まるストーリーに仕上げられている。
素直に読んで良かったなと思う一冊。

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2024年07月24日

Posted by ブクログ

東京會舘にまつわるエピソードが上巻から繋がっていている。東日本大地震当日のお話は最近のことなので、心に残った。本当に良く取材して資料を読み込んで小説を書かれた著者の題材の取り上げ方が素敵だと思った。

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2024年06月03日

Posted by ブクログ

東京會舘という建物を舞台にその建物に関わる人のエピソードを短編で繋いぐ話。
戦前から現代まで時代の流れとともにリニューアルされた建物の説明も含んでいるが、史実ではなく物語の印象をうけた。辻村さんが描くとどのキャラクターも感情がはいっていて身近に感じるので読みやすい。
東京會舘行きたくなった!

小説家の話と料理教室の話が良かったかな。

他にも歴史ものを書いてほしいなぁと思いました。

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2024年05月22日

Posted by ブクログ

旧館から新館へ。
そして、令和となる年に新たな新館へ。

新館となっても、流れつづける東京會舘の伝統、
そこで働く人々のお客様への想いは変わらない。
本当に東京會舘が大好きなんだろう。

亡くなった夫との金婚式の日に、夫が見ることのなかった東京會舘へ出かけた茂木芽衣子。
『ロッシニ』でひとり食事をすることした芽衣子。
亡き夫との金婚式のディナーであることを知った渡邉の対応が泣ける…

東日本大震災で帰宅できなくなり、クッキングスクールで通った東京會舘で一夜を過ごすこととなった三科文佳。
そんな文佳を1人自宅で待つ、夫・敏美。
定年後、東京會舘クッキングスクールに通い始めた敏美。
が、まだ料理を文佳は敏美の料理を食べたことはなく…
それには理由が…
そんな理由だったのか…確かに。
文佳が翌朝、自宅に戻ると…
『若鶏のカレー』が食べたくなった。

直木賞作家となった小椋真護。
父、母との確執が…
そんな若いころの小椋に渡邉は…
『おかえりなさい』
父の不器用な息子への想い。
もっとうまくやれないのか…

4代で東京會舘で結婚式。
すべてがつながってくる…

本当にみんな東京會舘を愛しているんだな。

東京會舘に行きたくなった。

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2024年04月23日

Posted by ブクログ

東京會舘に携わったお一人お一人の『プロジェクトX』のような心温まるストーリー。戦前、戦中、戦後、震災‥2度の建て替えと、今回3度目の建て替えを前にして物語は回想に入っていきます。

作中に出てくる“小椋”という小説家は辻村深月さんでしょう。ここで行われた直木賞授賞式‥それにこんな秘話があったとは。作中に登場するそれぞれの時代の東京會舘の内装などをネットでググりながら画像を見るとさらに印象がわかります。そんな楽しみを兼ねて読んでいけます。

『いつかきっと今日のことを、また思い出す。この灯りや、建物の姿とともに。思い出の余韻は、そうやって、ずっと、誰のもとでも平等に続いていく。建物の時間は流れていく』‥ずっと存在する建物とはそういうものですね。

『きっと、この建物にやってきた人の数だけ、それぞれ、どんな思いでどういう時に来たのかという物語があると思うんです。それはきっと、お客さんの側にも、もちろん従業員の側にも』‥その思い出を温かく描写する辻村深月さんの、ミステリとは違う一面を心地良く読ませてもらいました。

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

下巻は東京會舘が新館になってからの短編集。「金環のお祝い」と「あの日の一夜に寄せて」が好き。金婚式の老婦人が長く連れ添った夫を思い出しながらロッシニを食べる話と、東日本大震災の時に東京會舘に一時避難した老婦人の話。どちらも夫婦愛を感じられる話でよかった。「あの日の一夜に寄せて」では東京會舘のクッキングスクールの話もメインになっていて、その内容も面白かった。最後に夫がカレーを作っていてくれたのもとても好き。
どの話も東京會舘のスタッフが気配りに溢れているところが好きだ。東京會舘のような高級感あふれる施設のスタッフの、ホスピタリティに溢れている描写がとても好き。

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

セレブリティを感じ少し白けていたけれど、東京會舘がひとを惹きつける魅力が最後の解説まで読むと言語化されていてストンとおちた。第九章が、突然こみ上げてくるものがあり、よかった。ホスピタリティなのか。ひとにかける言葉って良くも悪くもすごい力になる。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

フィクションなんだろうけど、本筋は本当のエピソードなんだろうな、と思うと感慨深い。東京會舘の大正から令和までの歩みだけじゃなく、そこに関わる人々(客、従業員、美容師、写真屋など)の人生そのものを辿ることができた。
昔、近くの会社で働いてたので懐しさも。

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2024年04月02日

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