【感想・ネタバレ】東京會舘とわたし 下 新館のレビュー

あらすじ

芥川・直木賞の記者会見や様々なショー。連綿と紡がれる人生模様。
ラストに新章を加筆した完全版。

井上靖、三島由紀夫らの小説でも描かれ、コーちゃんこと越路吹雪は多忙ながら東京會舘でのショーには永く出演した。
1970年代はじめに改装。
平成では東日本大震災の夜、帰宅できない人々を受け入れ、その翌年には万感の思いで直木賞の受賞会見に臨む作家がいた。
そして新元号の年、三代目となる新本館が竣工する。

解説・出久根達郎

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Posted by ブクログ

ネタバレ

もう10年も前のお中元に東京會舘のプティガトーを選んだことがあったと、思い出した。その時は東京會舘にこんな歴史があるとはつゆ知らず。
その歴史に関わった登場人物の多くは実在する。そして、年月を経た別の章にも登場する。ラストに向かって皆が集まってくる「愛と哀しみのボレロ」のような情景が良かった。
灯火管制の下で結婚式をした静子さんがひ孫さんの結婚式で美容室のスタッフと再会する。アメリカ軍の施設になっていた時にバーでコインをもらっていた男の子が社長になる。中学生だった小椋が世話になったウェイターが支配人になって、直木賞を穫った小椋を迎えてくれる。その支配人は若い頃、独りで金婚式を迎えに来た婦人を心づくしでもてなしてくれた人だった。
2019年に建て変わった東京會舘でも訪れてみたい。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東京會舘、この本を読むまで存在すら知らなかった。
読んでみて思う。行ってみたい。
きっと高級でうんと背伸びして行くんだろうけど、その緊張を解きほぐしてくれるような人たちと素敵な時間を過ごせるのではないだろうか。小説に出てきたモチーフもあわせて体感してみたい。

上巻のはじめこそ眠くなりながら読んだが、歴史が紡がれ人の繋がりを感じ始めてからはじっくり味わいながら読むことができた。
金婚式。
東日本大震災と料理教室とカレー。
直木賞と親子。
どれも、「くるぞくるぞ」とわかっていても泣いてしまった。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第六章 金環のお祝い
第七章 星と虎の夕べ
第八章 あの日の一夜に寄せて
第九章 煉瓦の壁を背に
第十章 また会う日まで
新章 「おかえりなさい、東京會舘」

第八章は東日本大震災の時の話。料理教室に通い始めても決して料理を作らなかった旦那さんが、遥か逗子までようやく帰った奥さんにカレーを初めて作るラストシーンは泣けた。

第九章は直木賞受賞作家の話。辻村深月本人と若干オーバーラップしているような?デビュー年同じに設定されてるよね。直木賞受賞日も、田舎出身っていうのも、親が公務員だっていうのも同じだね。
母親の性格がなんとなく、辻村深月が他作品で描いている母娘の独特な関係性を暗示させるような雰囲気で、いやこれまんま本人とご家族では?という気持ちになった。
とはいえ親はいつまでたっても親ですね。子供が心配だから自分の思う「安定した失敗のない人生」を歩んでほしいんだけど、それが子供にしたら堅苦しく、っていうね。同時に父親は父親で「正しいこと」が良いのではなく「有名なこと」が重要っぽいね。

上巻と下巻を通して全ての無関係に生きて来た人たちが東京會舘をひとつのポイントとしてすれ違う、見事に「袖触り合うも多生の縁」を体現した作品でした。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良かった。登場人物一人ひとりの心が感じられて何度も泣かされた。

それぞれの時代に時代ごとに、さまざまな立場から見え東京會舘の姿を切り取った短編小説集だと思っていたら、最終話で見事に伏線回収してきた。

まさか出だしのあそこがここに繋がるとは。
それぞれが人生を物語にしようだなんて思っていなくて、ただ必死に生きてきただけのはず。それが、自分の意図していないところで「縁」となってつながっていく。その事実になんだか生きる希望を感じる。

この物語は東京會舘というフレームで切り取った人生の集まり。個人はただ必死に生きることしかできないしそれでよくって、それはちゃんと縁としてつなかっていく。何かのフレームで切り取られないと気付けないけど、見えなくてもその縁は存在する。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の話については、金のある年寄りの独りよがりな回想感が強くて気持ち悪かった。拒絶反応起こして読むのやめるところだった。あんなの現実にいたらキレるわ
東京會舘の歴史が分かるし、ストーリーは全体として素敵だったので良かった

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2024年07月25日

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