辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
竹とんぼのおじいちゃんの話は、涙が出た。
家族というのはやはり、切っても切れないもので、色んな性格や、ものの考え方を学ぶ場所だ。大人だってまだまだ未熟だし、子どもの容赦ない言葉にハッとしたりしながら、死ぬ間際まで成長を続けていく。
家族関係を「依存」と呼んで良くないもののように決めつけることもあるけれど、やっぱり身近な家族の誰かと、うまく心を通わせられたことが、他者との「共存」に、そのままつながっていくんだよね。
言葉もへたな、頑固一徹なおじいちゃん。だけど、まっすぐ正直で、平らかにものを見られる人。こういう人って本当に隣にいそう。
その存在で、静かに、そっと、孫たちの心にも「安心」が育つ。その描写がステキだなぁと思った。
いちばん最後の、しめくくりのようなドラえもんのお話も含めて、私も久しぶりに、とても懐かしい人たちに会えた気がしている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今までも何度か辻村深月さんの作品を読んでいるけれど、 圧倒的に心情の描写がリアル。ファンタジーのような空想世界ではなく、本当に日常に起こり得そうな状況で湧き上がりそうな心情を描くから、物語に引き込まれすぎて、たまに帰ってくるのに時間がかかることがある。
今回の作品も、普段は詐欺になんて引っかからないと思って生きていたけれど、
人間は本当に詐欺に引っかかっているのではなく、一種の身の委ね、現状の開放懇願から、あまりにもつじつまが合わない嘘や騙しに可能性を見出して、つい手を差し出してしまうのではないか。と感じた。
それがたとえ嘘であっても、もはやいいとさえ感じてしまう、本来はそんな現状のほうに問題があるのではないのか。
ジェンガのように倒れそうな危うい状況になる前で、そこに救いがあったら。
やがて必ず崩壊するような状況にまで陥ることはないのに。
現代の社会問題や、情勢についても繋がっていく、奥深い作品だった。 -
Posted by ブクログ
よかった。引き込まれた。
思春期のころの、ザリザリした気持ちや、不安定な友人たちとの関係、小さなことを何倍も大きく感じて思い悩んだり、あからさまなイジワルをされて唖然としたり。
好きなあの人の気配をずっと気にして過ごしたり、嫉妬されたり、優越感を感じて逆に罪悪感を持ったり。あの頃はいろんな気持ちが入り乱れて、いつも持て余していたな。
でも、試験や受験で区切られて、刻々と時間は過ぎていったから、なんだか思い出すと甘く切ないよね。
知らないことも多かった分、世界はきらめきに満ちていたかもしれない。
そんな思春期特有の気持ちを思い出せたというのは、特別な読後感だった。辻村深月さん、すごくうまいと思った。