あらすじ
あるホラー作家のもとに送られてきた手紙には、存在しない架空の歌手とラジオ番組のことが延々と綴られていたという。編集者たちの集まりによると、チェーンメールのように、何人かの作家にも届いているという。かくいう私にもその手紙は届いていた。その手紙のことを調べるうちに、文面の後ろのほう、文字が乱れて読み取れなくなっていた部分が、徐々に鮮明になってきている……。ある日、友人作家が手紙のことで相談があると言ってきた。なんと、その手紙、サイン会で手渡しされたという。誰がその人物だったかはわからない。けれど、確実に近づいてきているーー。(「手紙の主」)。その交差点はよく交通事故が起こる。かつてそこで亡くなった娘の霊が、巻き添えにしていると、事故死した娘の母親は言っているという。その娘が好きだったという「M」の字の入ったカップがいつもお供えされていた。ある雨の日、そのおばさんがふらふらと横断歩道にさしかかり……。死が母娘を分かつとも、つながろうとする見えない深い縁を繊細な筆致で描く「七つのカップ」。闇の世界の扉を一度開けてしまったらもう、戻れない。辻村深月が描く、あなたの隣にもそっとそこにある、後戻りできない恐くて、優しい世界。
【解説:朝霧カフカ】
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
辻村深月さんのホラー短編集。
夜に読んだことを後悔するくらい怖かった。
ガッツリお化けが出てくるというよりかは、じわじわと冷や汗をかくような不気味さを感じさせるお話が多かった印象。
途中、辻村さんご本人の名前が登場し、もしかしてこれは実話なのか?とフィクションとの境があいまいになるのもゾクゾクした。
ナマハゲのお話はトラウマ級。
秋田県民の方特にお気をつけください‼️
Posted by ブクログ
様々な怪異が詰め込まれた短編集でした!
十円参り
手紙の主
丘の上
殺したもの
スイッチ
私の町の占い師
やみあかご
だまだまマーク
マルとバツ
ナマハゲと私
タイムリミット
噂地図
七つのカップ
世にも奇妙な物語のようなどれも読みやすくて、ゾクっとするお話しでした。十円参りと手紙の主、ナマハゲと私、噂地図がお気に入り!手紙の主は今流行っているモキュメンタリーホラーでとても面白かったです!
タイムリミットは恐ろしい世界観で臨場感がすごかったです。辻村さんの文章は本当に惹きつけられる…!
最後の七つのカップは心が温かくなりました。
Posted by ブクログ
手紙の話が一番好きだった。見えない何かがちょっとずつ形を持っていく恐怖。手紙の中身が不気味だけど一見害のなさそうな内容なのもまた良い。
他の話も日常のどこかに潜んでそうな、正体の見えない恐怖が気持ち悪くて全編楽しめた。短編ホラー良い。
Posted by ブクログ
初辻村深月。めちゃくちゃ面白い。シミュレーション仮説に立脚した怪異の捉え方をしている気がした。普通に生まれた人間には世界の裏側あるいはバグたる怪異に接しえないが、あることがきっかけで恐ろしいものと繋がってしまう...みたいな。それは本当に偶然なのかもしれないし(「スイッチ」「やみあかご」「だまだまマーク」)、ある特定の行動をすることで生み出すことができるものなのかも(「噂地図」「十円参り」)。一番好きな話は「ナマハゲと私」。普段当たり前に話していること認識している仕組みや習慣が少しだけ角度を変えるとおかしなものに思えるという話であり、それによって悲しい犠牲も生まれうるというバイアスを恐怖として描いており面白い(途中の友人の「ナマハゲよりもナマハゲという役割を負わせている共同体のほうが怖い」という発言がすごい)。また、最後のお話たる「7つのカップ」がこの話の最後にあって良かった。交通事故死した女の子とその母親、その現場を面白くおかしく野次馬的にみる世間に対する「無責任に、勝手に、“怪異”にされてしまったのだ。」という文章は非常に誠実であり、あとはホラー好きとして心に刻みたい一行。
Posted by ブクログ
日常に潜む怪異が短編集になって、次々と押し寄せてきて、ぞくぞくしてひえって恐怖の繰り返しだった。しばらくこのゾクゾク感に取り憑かれたように、身近な所で怪異が起こりそうな予感がしてる…!
また夏に読み返したい。
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怖かった。
子どもの頃こわごわと読んだ怪談のような懐かしさと新鮮さが詰まっていた。
私の大好きな「本の怪談シリーズ」大人版のよう。
どれもすごく良かったが、強いて1つ選ぶなら「ナマハゲと私」が最恐。
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作品の幅を広げ進化し続ける作家。大切な人との絆を感じる傑作短篇
あるホラー作家のもとに送られてきた手紙には、存在しない架空の歌手とラジオ番組のことが延々と綴られていたという。編集者たちの集まりによると、チェーンメールのように、何人かの作家にも届いているという。かくいう私にもその手紙は届いていた。その手紙のことを調べるうちに、文面の後ろのほう、文字が乱れて読み取れなくなっていた部分が、徐々に鮮明になってきている……。ある日、友人作家が手紙のことで相談があると言ってきた。なんと、その手紙、サイン会で手渡しされたという。誰がその人物だったかはわからない。けれど、確実に近づいてきているーー。(「手紙の主」)。その交差点はよく交通事故が起こる。かつてそこで亡くなった娘の霊が、巻き添えにしていると、事故死した娘の母親は言っているという。その娘が好きだったという「M」の字の入ったカップがいつもお供えされていた。ある雨の日、そのおばさんがふらふらと横断歩道にさしかかり……。死が母娘を分かつとも、つながろうとする見えない深い縁を繊細な筆致で描く「七つのカップ」。闇の世界の扉を一度開けてしまったらもう、戻れない。辻村深月が描く、あなたの隣にもそっとそこにある、後戻りできない恐くて、優しい世界。
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朝ドラ、ばけばけの影響で怪談を読みたいなと思い!
怖いけど今ここで読むのをやめてしまったら先が分からずもっと怖い、、
そんな気持ちで最後まで読んでいました。
(後味を想像するのもまた怪談、、、)
ファンタジー系から、子供時代にあったあったこんな話し、怪談にも色々種類があるのだな〜っと
特に最後のお話しは
別視点から見た怪談の話もあるのかと
自分は普段大丈夫だろうか、無意識に誰かを傷付けていないだろうかと思ってしまいました。
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久しぶりにゾクッとした。個人的に1番面白かったのは、「手紙の主」。読み終わった後の後味の悪さがえげつなくて、私が想像していたホラーよりもはるかにホラーだった。(というか、チェーンレターめっちゃ懐かしくないですか?笑そういえばそんなのもあったなぁ~とかも思いながら。)解説も読んだ上で、またもう一度読んでみたいと思いました。
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通勤電車内でしか読書をしないので、手軽に読みたいなと思い、読みました。短文でもグッと話に引き込まれて、とても面白かったです。
特に好きなのは①「ナマハゲと私」と②「タイムリミット」です。
①はこの作品の中では1番物理的な怖さがあるなと思いましたし、②は臨場感がとてもあって、短編ながらもハラハラさせられてとても好きです。
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普段見ている世界のすぐ裏側のような現代の怪談の短編集。身近ある・出会うことの多い題材から描かれているだけに怖いと思いました。ひさびさゾックと身の毛がよだつような話もありました。
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これが芦田愛菜さんおすすめなんだ。なんとなく意外な感じ。
日常と闇のものが背中合わせに、でも確実に共存する感じがヒヤリとする。なんとなくよくわからない「殺したもの」、「丘の上」なんかもなおさら不気味。
「噂地図」、「十円参り」など、本人にとっては静かに、でも革命のように世界が変わるのも面白い。
「タイムリミット」や「ナマハゲと私」のように命が危ういのはやっぱりスリリングで引き込まれる。
Posted by ブクログ
2024-14
短編集。
初読み作家さん。
ジャンルはホラーでいいのかな?
ゾッとしてしまうお話が多め。何話か「??」となったものもあるけど、読むと(おわ〜)となる話が多くて楽しめました。
「手紙の主」と「十円参り」「噂地図」あたりがなかなか凝っていてすき。手紙の主は、昔流行ったチェーンメールを思い出して懐かしくなりました。今はLINEが主流になって、こういったこともなくなっちゃったけど。
「7つのカップ」は思わず泣きそうになってしまった。ラストにこれを持ってくるなんてうまいなあ。
Posted by ブクログ
ホラーなのに、少しファンタジーに傾いてしまう感じがするのが辻村さんの作風なんだろうな。
短い作品が多いので、話の世界観が掴みにくかった作品もチラホラ…。
昔、子ども時代の不思議な話に近いかな。
個人的には『十円参り』『手紙の主』『だまだまマーク』が面白かった。
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ホラー短編小説大好き、面白かったー!
なんか、オチとかなくて曖昧に濁される感じがリアルな終わり方というか本当に誰かの実体験を聞くとしたらこういう感じなんだろうなと思った。ありきたりじゃなくて面白かった
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じわりと怖い物語が多かった。その後を想像して更にゾワっとしてしまう。短編なのでその怖さを楽しみながら次の話に進んでいけるのがちょうど良い感じ。
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約240ページに13篇の短編集で、サクッと読めます。
最初の2篇が面白くググッと引き込まれましたが、すごく短い話は私の読解力不足だと思いますが、謎のまま終わり、
他のいくつかの話は中編で読みたいくらい後が気になり、尻切れトンボに感じました。
全体的にホラーというより、世にも奇妙な物語のようでした。漫画だと不安の種のような雰囲気。
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今まで自分の中にあったホラーや怪異などとはまた一味違う怖さのある一冊でした。先の読めない、結末を読者に委ねるのもまた想像が膨らみじわじわと面白さと怖さを味わえました。
Posted by ブクログ
様々なホラー作品が詰め込まれた小説で、中には驚くような短さの作品も多く、ちょっと消化不良に感じるものもあったが、どれも静かにうっすらとした怖さを感じる作品ばかりであった。ただ1つ、本当に心を温かくする優しい作品があり、親子の哀しい話がベースにはあるのだが、人の持つ思い遣る気持ちの連鎖が、こんなにも哀しい話を、いつしか感動的な話に昇華させてしまうあたり、さすが辻村作品であると感じました。
Posted by ブクログ
日常の中に紛れ込んだ怪異や異変の断片を切り取ったホラー短編集。辻村先生のホラー前作『ふちなしのかがみ』に比べると、良くも悪くも起承転結があいまいで結末もよくわからないものが多い。結末が明示されないことで「薄気味悪い」と感じられ、不安がかき立てられる。
個人的にはもう少し筋が通った作品の方が好きだが、本来は構成と伏線の緻密さで勝負する辻村ブランドの作品なので、本作は狙ってそういう作りになっているのだと思う。
Posted by ブクログ
怪異など不思議な話の短編集。
エッセイかな?と思うような作品もありゾクゾクして楽しめました。
個人的にもう少しパンチが効いててもよかった。
でも辻村深月さんは面白いです。
Posted by ブクログ
ホラー短編集だと知らずに読んだけど面白かった。辻村深月さんのホラーは初めて読んだので、ホラーもかけることに驚きました。面白かった。
特に好きだったのは、「ナマハゲと私」と「噂地図」。噂地図の結末は予想できたかもしれないのに、驚かされました。終わり方も好き
Posted by ブクログ
ふとした事をきっかけに日常の綻びが生じ、本来視えてはいけないものを覗き見してしまった気分。瞬きした直後に自分も目の当たりにしてしまうのではないかと、王道の心霊や人怖ホラーというわけではないのにずっと薄ら寒かった。ただ短編であるせいか、話によってはこれで終わり?と感じるものもあり。
「十円参り」、「殺したもの」、「噂地図」がよかった。
「十円参り」や「噂地図」は得体の知れないものなのに現実味があるから怖い。相手を消してしまったかも知れないと不安がっているが実は自分が世から消されていると気づいたときの恐怖、事故や事件などもっとわかりやすい不幸が身に迫るかと思いきや「噂」を認知できなくなるという罰。心のどこかで自分はこんな目に”まだ”遭ってはいないとホッとした。「殺したもの」は、ただ単に不気味。シンプルで不可解な不気味が一番気持ち悪くて怖い。
Posted by ブクログ
日常のちょっとしたことに「もしもこうなら怖いな」が詰まってる感じ。
内容はすごい面白いのに本当に個人的に文章が合わない。
下手とかじゃなくて本当に個人的な相性。
自分は「十円参り」「だまだまマーク」「7つのカップ」が好きです。
十円参り
あくまで自分は怪異の外にいるはずだったのに実は当事者だった、という怪異的な怖さと異常なまでに友人に固執するふたりにその二人を消すために十日間おまじないをし続けた子の人間的な狂気が読んでいて薄ら寒い。
だまだまマーク
昔の話ならその子はもう中高生かな、と何事もなく子どもが成長することを前提とした一般的な思考回路からラストの母として悟ってしまった「今、高校生でも、中学生でもないかもしれない。小学生にも、なれなかったのかも、しれない」というセリフで同じように胸がいたんだ。
だまだまマークと並行してぐるぐるマークを出すことでまずルール?を解かせて尚且つ意味を理解してないと思っていたマークもちゃんと理解していると読ませてからのラストでミステリの要素を抑えていて良かった。
七つのカップ
とても無責任という言葉が重かった。メインの怪異より人間の残酷さが恐ろしかった。
何も知らなければおばさんのことも幽霊だと思っていたという場面でとてもハッとした。
何も知らないから勝手に妄想して恐ろしいと感じてしまうけどもしかしたらそれはとても酷いことなのかもと思った。
幽霊が出た、こんな恐ろしい死に方をした、無念が、怨念が、ホラーが好きでそういうのをコンテンツとして消費している身としては「曰く」というものには必ず辛い思いをした人がいて、その人を大切に思っている人が居るかもしれないということを念頭に置かなくちゃ好奇心で墓荒らしをする人達と変わりないのだと思った。
Posted by ブクログ
世界に点在する「やぶれめ」を味わえる短編集。解説まで読み、なるほど〜と思いました。日常の中に異界がたちのぼる瞬間が唐突で理不尽で、ぞわっとします。
「七つのカップ」は他のアンソロジーで読んでいたけど、またしても目頭が熱くなった。
Posted by ブクログ
軽く読める短編集、隙間時間にちょうどいい感じの短さと内容だった。でもちゃんとどの話もおもしろかった。
怖かった話は手紙の主、やみあかご。好きな話は十円参り、七つのカップ。
Posted by ブクログ
ゾワッとするお話が13作品の短編集。
じんわりと怖いものヒイッとする怖いもの
そして切なくなるもの、そんなお話。
どのお話も良かったんだけど
「手紙の主」
の不穏な感じ、終わり方、全てが好みだった。
“なに”か分からないっていちばん怖い。
「十円参り」
もめっちゃ好き。
ありそうでなかった気がするお話。
物事ってやっぱり因果応報だよね。
どの物語も、無さそうでありそうな話。
ここで終わりなの…?続きを教えてくれ…。ってものも多い。
けどその読後感を考えてのものだと思うと、また背中がソワッとする。
結末を託されるのが嫌な人には嫌な作品だと思う。
けどこういう作品って、そこを含めての作品なのでね。
良きでした◎
Posted by ブクログ
13編の短編集だが、題名が意味を持っている。
ホラーというか、非科学的な事象を辻村深月さんのエッセイのように記述されている。
人は誰しもが過去に傷を持っている。その過去の思いが、しっぺ返しのように起こると、ある意味怖いものだ。人の心理に面白い角度で切り込んでいる点は、さすが辻村深月さんだと感じた。
記憶というのは主観的で曖昧なものだと思う。この世は科学では解明できない事象は存在する。ただ、それが主観的データに基づくものだから、科学的に証明することができないのが現状だろう。
不思議な出来事は、科学的に証明されないからこそ面白いと思うのである。わかってしまうと興醒めだったりする。私には文学的なままの方がよほど価値があると思うのである。