【感想・ネタバレ】きのうの影踏みのレビュー

あらすじ

あるホラー作家のもとに送られてきた手紙には、存在しない架空の歌手とラジオ番組のことが延々と綴られていたという。編集者たちの集まりによると、チェーンメールのように、何人かの作家にも届いているという。かくいう私にもその手紙は届いていた。その手紙のことを調べるうちに、文面の後ろのほう、文字が乱れて読み取れなくなっていた部分が、徐々に鮮明になってきている……。ある日、友人作家が手紙のことで相談があると言ってきた。なんと、その手紙、サイン会で手渡しされたという。誰がその人物だったかはわからない。けれど、確実に近づいてきているーー。(「手紙の主」)。その交差点はよく交通事故が起こる。かつてそこで亡くなった娘の霊が、巻き添えにしていると、事故死した娘の母親は言っているという。その娘が好きだったという「M」の字の入ったカップがいつもお供えされていた。ある雨の日、そのおばさんがふらふらと横断歩道にさしかかり……。死が母娘を分かつとも、つながろうとする見えない深い縁を繊細な筆致で描く「七つのカップ」。闇の世界の扉を一度開けてしまったらもう、戻れない。辻村深月が描く、あなたの隣にもそっとそこにある、後戻りできない恐くて、優しい世界。
【解説:朝霧カフカ】

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ふとした事をきっかけに日常の綻びが生じ、本来視えてはいけないものを覗き見してしまった気分。瞬きした直後に自分も目の当たりにしてしまうのではないかと、王道の心霊や人怖ホラーというわけではないのにずっと薄ら寒かった。ただ短編であるせいか、話によってはこれで終わり?と感じるものもあり。
「十円参り」、「殺したもの」、「噂地図」がよかった。
「十円参り」や「噂地図」は得体の知れないものなのに現実味があるから怖い。相手を消してしまったかも知れないと不安がっているが実は自分が世から消されていると気づいたときの恐怖、事故や事件などもっとわかりやすい不幸が身に迫るかと思いきや「噂」を認知できなくなるという罰。心のどこかで自分はこんな目に”まだ”遭ってはいないとホッとした。「殺したもの」は、ただ単に不気味。シンプルで不可解な不気味が一番気持ち悪くて怖い。

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2025年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日常のちょっとしたことに「もしもこうなら怖いな」が詰まってる感じ。
内容はすごい面白いのに本当に個人的に文章が合わない。
下手とかじゃなくて本当に個人的な相性。

自分は「十円参り」「だまだまマーク」「7つのカップ」が好きです。

十円参り
あくまで自分は怪異の外にいるはずだったのに実は当事者だった、という怪異的な怖さと異常なまでに友人に固執するふたりにその二人を消すために十日間おまじないをし続けた子の人間的な狂気が読んでいて薄ら寒い。

だまだまマーク
昔の話ならその子はもう中高生かな、と何事もなく子どもが成長することを前提とした一般的な思考回路からラストの母として悟ってしまった「今、高校生でも、中学生でもないかもしれない。小学生にも、なれなかったのかも、しれない」というセリフで同じように胸がいたんだ。
だまだまマークと並行してぐるぐるマークを出すことでまずルール?を解かせて尚且つ意味を理解してないと思っていたマークもちゃんと理解していると読ませてからのラストでミステリの要素を抑えていて良かった。

七つのカップ
とても無責任という言葉が重かった。メインの怪異より人間の残酷さが恐ろしかった。
何も知らなければおばさんのことも幽霊だと思っていたという場面でとてもハッとした。
何も知らないから勝手に妄想して恐ろしいと感じてしまうけどもしかしたらそれはとても酷いことなのかもと思った。
幽霊が出た、こんな恐ろしい死に方をした、無念が、怨念が、ホラーが好きでそういうのをコンテンツとして消費している身としては「曰く」というものには必ず辛い思いをした人がいて、その人を大切に思っている人が居るかもしれないということを念頭に置かなくちゃ好奇心で墓荒らしをする人達と変わりないのだと思った。

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2025年01月17日

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