辻村深月のレビュー一覧
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ネタバレ不妊治療をしてもなかなか授かる事ができなかった佐都子だが、養子縁組で朝斗を迎える。朝斗と夫と穏やかな日々を暮らしていたが、「息子を返して」という連絡が入るとこから物語が進んでいく。
不妊治療を受ける夫婦間や親族とのいざこざや、養子縁組に出す側の家族の関係、生みの親の心情、人生のステータス等…ありとあらゆる問題がリアルに描かれてて胸が苦しくなった。
置かれた環境がどれも孤独で裏切りもあり、その中で頑張ろうとしてるのに上手くいかないひかり。
事情は知らないけどそんなひかりを最後には優しく包み込む佐都子が素敵で、どこまでも純粋で母の名前を呼ぶ朝斗に感動した( ´ー`) -
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特別養子縁組をテーマに、男の子の育てのお母さんと、産みのお母さんの、双方の視点から各2章ずつ描かれる本作。
仲介団体のベビーバトンが掲げる、"この制度は子どもが欲しい親のための制度ではなく、産まれたが育てられる環境にない子供のための制度である"という理念が本作の全体構成に大きく影響していることが、とてつもなく長く、壮絶で、こちらの感情を何度も揺さぶられる、3章目を読んで気づく。
そして20ページほどしかない4章で、こんなラストが待っていたなんて、と久々に涙が溢れました。
まだ義務教育を受けている年齢の産みのお母さんの環境やキャラクターの描かれ方について2点。代表作の「傲慢と -
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ネタバレ圧巻だった。
久しぶりにすごい小説を読んだ。
全てがつながる伏線回収はもちろんのこと、話が進む事に見えてくる世界の真実が、重く、リアルで、凄まじい。
物語はさとこ41歳の目線で始まる。さとこが抱く子育てや親同士の苦悩、キャリアと旦那、長く厳しい不妊治療、そして養子縁組をむすぶまでの心の変化、迎えた後に訪れる大きな幸せ。
その全てが丁寧に、精密に描かれる。
前半の栗原家の内容だけで十分に面白く充実した物語になるのに、なんと生みの親であるひかりの物語も、後半2章を丸ごとかけて甘く、切なく、苦しく、全てを教えてくれる。
我々はここまで詳細に見ていいものなのだろうか。
何度もわらい、何度も驚き、 -
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■ 7人それぞれの事情が重なっていく尊さ
原作では、7人の「学校へ行けなくなった理由」や「家族との関係」など、
心の痛みや孤独が繊細に描かれています。
読んでいると、
「ああ、この子はこういう思いを抱えていたのか……」
と胸が締めつけられる場面が何度もありました。
でもその一方で、城での時間を通して
少しずつ少しずつ、彼らが変わっていくのが本当に良い。
■ 1〜3学期の構成、そして圧倒的なラスト
物語は学校と同じ 1学期・2学期・3学期 の三部構成。
これがめちゃくちゃ効いていて、まさに“1年の成長”を一冊で体験しているようでした。
そして……
3学期からクライマックスの盛り上が -
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ネタバレ先日「傲慢と善良」を読んで、この筆者さんの話はあまり自分には合わないな~と思っていたんだけど、同僚にこちらの本を進められて再度辻村作品にチャレンジ!
読み始めたときは、主人公が自己中心的な感じがして(勝手に「ここでは学校の事は話さないのが暗黙のルール」と勝手に思い込んでいるとか…)が苦手だな~って思ってたんだけど、徐々にみんなの背景が分かり始めるとそういうところは気にならなくなった。
寧ろどうなるのか気になってどんどん読めてしまった。
そして、7人の成長っぷりが良い。がんばれ!って応援してた。
最後は大団円になって本当に良かった!
そして、プロローグからエピローグまで伏線回収がすごくて、とて -
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死と生、というより、自分の人生を深く考えさせられる。
もし自分の大切な人のうちの1人が亡くなったら、会いに行くのか。自分にとって「一番」大切な人って誰なのか。自分が死んだ後、会いに来てくれる人がいるような生き方をしているのか。
誰しもが持つであろう後悔や懺悔、不安、感謝。明日何があるか分からないのだから、伝えたいことは伝えて、会いたい人には会って、やりたいことはやっておかないと、と言うが、実際そんなつもりで毎日を過ごせる人は少ないだろう。どうせまだしばらくは生きるだろうし、と大部分では思っている。それでも、後悔のないように生きたいと改めて思わせてくれる。
ファンタジー要素のある物語が苦手で -
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読み、読みたい!と思いました。
大好きな辻村深月さんの作品です。
たのしみマックスで本を開きました。
白く凍った海の中に沈んでいく
くじらを見たことがあるだろうか。
苦しげに息をするくじらが、一頭、
また一頭と沈むのは、痛々しかった。
汚れ一つない真っ白な氷の間から覗く海の青は、
底なしに暗い。
それは、芹澤理帆子の好きな色だ。
物語は理帆子さんの尊敬する
藤子・F・不二雄先生の遺した言葉
「すこし・ふしぎ」
理帆子さんが自分につけた
「少し・不在」
この色彩の中で優しく限りなく優しく
優しさの中で 激しく心を揺さぶられながら
読み