辻村深月のレビュー一覧
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作中の「SF」という表現を借りるならば、この作品は私にとって「Sugoku・Fulfillment(すごく・充実感)」だった。
初めて読んだのは大学生の頃。実に18年ぶりの再読になる。
誰とでもそれなりに関わりながら、決して心の内までは明かさない主人公。どこか一歩引いた場所から周囲を眺め、それぞれの人の個性を「SF(少しナントカ)」と名付けていく。
大学生の頃の私は、そんな彼女に少し「可愛げがない」と感じていた。
ところが、大人になって読み返すと、むしろとても可愛らしく思えた。
人を勝手に分類していたというより、自分にはうまく理解できない世界を、「SF」という自分なりの言葉に置き換え -
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傲慢であることと善良であることは同時に存在している、誰もが意識せずとも持っている感覚なのだと思った。自分の場合はどうだろうと何回も考えさせられる作品だった。''ピンとこない''の正体をこんなにも解像度高く表現されていて、すごい腑に落ちたし、その背景にある心理も詳細に描かれててそれが傲慢であったり善良であったりするところがおもしろかった。朝井リョウさんの解説が面白かった。自分の意思で決めるべきだというけれど、純粋な自分の意思はどこから現れ、果たしてそんなもの存在するのか。この世に自分の意思がある人はどれだけいるのだろう。長かったけど面白かった。
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燃え上がるファイア=噂は、地方都市という閉鎖空間=ドームで広まる。これが、題名の意味だと思う。
「噂」これが物語の軸となって展開していく。事件の関係者にとっては人生のすべてが揺らいだに違いない出来事でも、他人の間では、あっという間に消費される。それが噂という娯楽。そして、加害の軽さと被害の重さが対称的である。また、高校生の間でも、根も葉もない噂が飛び交うことがよくある。人はその事を目撃したわけでもないのに、面白いことであれば、当事者への影響、被害のことを考えずに、他人に共有する。それが、「人は、真実よりも面白い物語を選ぶ。」ということだ。彼らが、その話を捏造、誇張して、広めていくせいで、大きな -
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まだ読み終わったのは上のみ。なんて気になるところで終わるんだ、、!笑 早速下に移りました。総合的な感想は下も読んでから書きたいけれど、登場人物の心情がとてもわかりやすく描かれているため、感情移入してしまう。読者側も心臓がキュッとなるような苦しい気持ちになる。苦しくて行方が怖くてもう知りたくない、でもページを捲ってしまう、そんな感じ。非常にのめり込みました。
自身の経験として特に幼少期には根も葉もない噂が立ったり、元々の話に尾ひれ背びれがついたりして広まることがあったように思う。現代はSNSの普及により噂の広がり方は昔と比にならない。フォロワーの多い影響力を持ったアカウントが善意で誤った情報を -
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北陸地方のL県薪戸市で1994年に起きた誘拐殺人事件。犯人は逮捕されたものの、同時期に発生した少年の不審死事件と関連した真偽不明の噂が土地全体で蔓延していた。その25年後、同市で小4男子が失踪する。少年は誘拐事件被害者の親族だった。少年を最後に目撃した担任教師の佐村美冬は、予期せぬ事態に陥り…
圧巻のリーダビリティで、上下巻合わせて900頁弱を一気読み。情報を小出しにし、視点人物を切り替えながら徐々に輪郭を明らかにしていく。一方で肝心な部分は謎に包んだままで、読み手の興を削がない。宮部みゆきさんを彷彿とさせる話運びの上手さ。
喜怒哀楽振れ幅の大きい心理描写に終始感情を揺さぶられた。ネットから -
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小説を読んでいると 「これはもしかして 私のことを書いているのか?」と思われて仕方がない、ということがよくある。この連作短編集5編のうち 「石蕗南地区の放火」に出てくる 大林、そして「芹葉大学の夢と殺人」の羽根木雄大 この二人が どうにも我が身のことに思えて、いたたまれない。この二人を 足し合わせ それを2で割らなくとも 私そのものだ。30代までの私は 雄大のように 「今の自分ではない何者か」になる 強迫的使命感に取り憑かれて現実を放り出していたし、40代になってからは その反動だったのだろうか?ことさらに 分別をふりかざす おじさんになった。おそろしいことに その両方とも 50代となった今で