辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ蘭花が星近に対して盲目的な恋を、留利絵が蘭花に対して盲目的な友情を抱いていた。
人が盲目になると取るような合理性のない行動が、すごくリアルに描かれていた。その状態を真剣に考えたこともないし、こんなに言葉にしたこともなかった。痒い所に手が届くような、孫の手みたいな作品だった。別れろ別れろ言われても聞く耳持たない人っているよなあ。
が、私はそんなどえぐい恋愛もしたことないし、友達にこんなクソデカ感情を抱いたこともない!
わたしにとってはどちらもドラマの世界だった。今後経験を積んでから読み返してみると違ってくるのかも。
この中だったら留利絵に共感できるかなー。
選ばれた側の人と選ばれなかった側の人が決定する瞬間って、小さいものまで含めると日常に無数に存在してると思う。しかも人がそれを判断する時って無意識だったり、自分が判断を下したことにすら気づかなかったりするから、嫌になっちゃう! -
Posted by ブクログ
下巻も一気読み。これだけのボリュームの本を飽きさせず読ませるところは、人物の心情描写が繊細で丁寧だからかなと思う。
加害者、被害者の心情はもちろんのこと、辻村深月さんの小説を読んでいて、いつも上手いなと思うのは子どもの心情描写。幼いようで周りを気遣っていたり、でもその気遣いが逆にマイナスに働いていたり…子どもってそういうところがあるよねと、読みながらいつも感じる。
大事件が起きた時に出どころがはっきりしないニュース、噂や考察する人が現れることは現実にもある。
無意識下で自分もこの「炎」の一員になってしまっていることがあるのだと改めて気付く。
この燃え上がる「炎」をどうしたらいいのか私自身はわからないけど、この小説の中にはちゃんと答えがあった気がした。
辛い場面も多かったけど、こんな風に「救い」がある本が好きだなと思った。
一番心が動いたのは、新米の話のところ。まさかのここでウルッとしてしまった。 -
Posted by ブクログ
下巻も夢中で読んだ
読者という最大の安全圏に身を置きながら
物語全体がファイヤードームそのもので
自分は安全な場所から
そのドームを見ているはずだった
物語を読み終えた今
思うのは
自分がいるこの場所も
ドームの中なのかもしれない
ということ
何かがきっかけで火の粉を
撒き散らしてしまうかもしれないし
飛んで来た火の粉を
浴びてしまうかもしれない
知らないうちに
誰かを傷つけたり
悪意なく
傷つけられたり
この場所が
清らかな雪が舞うような場所で
あり続けるために
できることは
何だろう
ここでの物語は終わらないから
ずっと
考えていかないと
いけない気がする -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
1人の人物について、ある一時期ではそう考えるが、別のタイミングでは別のことを考える。同じ人物なのに傲慢になる時と善良な人物になる時がある。
それぞれのタイミングにそれぞれの理由があり相手を思いやる気持ち、自分を思いやる気持ち、親を思いやる気持ちが複雑に絡み合い 傲慢になるとき、そして善良な考えに至る時がある。
大恋愛ミステリー小説とでもいうのだろうか。とにかく登場人物の心の動きを解像度を細かく細かくしていった描写。
おとなしかった子供時代も、奔放に好きなことを自分で選んで生きてきた自負も、身内や子供のことを心配する視野の狭い立場も、なんかそういうことがだいぶ想像できる大人となった今だからこそなのか、心から存分に楽しめた。
いや、面白かったです。
ありがとう。 -
Posted by ブクログ
続きが気になり読む手が止まらないお話し。
25年前に起きた百貨店受付嬢誘拐殺人事件と小学生失踪遺体発見事件。2つの事件は同じ小さな地域で起こって、噂によって被害者家族が加害者と思われたりしていく。
25年後に誘拐された家族の関係者の小学生がまた行方不明となって…
1つのただの噂話が大きな波紋となっていく怖さを知った。
私もきっと噂を信じてしまい、同じ様に口にしている方だと思う。でもこのお話しを読んで、それがいかに酷い事か、傷つけてしまう人がいる事を知った。
小学教師の美冬と新聞記者の透真、2人の関係も気になりつつ、事件の展開も気になる。
美冬に対する世間の対応?SNSの怖さを感じた。
早く下巻が読みたい‼ -
Posted by ブクログ
ネタバレ間違いなく傑作。大作。
面白かった、という表現は正しくないのかもしれない。とにかくほとんど一気に読んだ。
実際の痛ましい事件を頭のどこかで思い出しながら読んで、本当に苦しかった。
でも「ニュース」「噂」「興味」、普段からどう関わってきたのか、今後どうするべきか、深く考えて向き合う機会になったと思う。
苦しかったが、ページを捲る手は止まらなかった。
胸糞悪い犯人で本当に憎くなった。
憎しみも葛藤も様々で、各人物の感情がとても伝わってくる。
それぞれに感情移入できる書き方をしていて、だからこそそれぞれパートで苦しくなった。
別の苦悩を抱えながらも自分たちの責務を全うするのが、もう、心に刺さっちゃって。
大人の醜さもあったけど、大人の格好良さを感じるシーンが後半は多かった。
速斗と一樹ありがとう!ファインプレーすぎる。親目線だと心配行動すぎるが、感情移入しすぎて心から嬉しかった。
マスコミは嫌いだが、真面目に向き合ってくれる人も居るのだと思った、なかなか表からは見えないけど。記者全員に読んでほしい。
上下巻併せて1,500枚の超大作。寝むれなくなる辛い話でもあり、人への希望も感じられる前向きさもあり、とても良い本でした。
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Posted by ブクログ
星森FCのコーチである巽を、光汰郎のクラスメイトの速斗と一樹は追っかけて、廃校になった小学校にたどり着いた。そこで巽が、サッカークラブの少年たちにイタズラをしていることを知る。巽に見つかり、必死に逃げる速斗と一樹は廃校の小学校に逃げ込む。そこにいたのは、行方不明になっていた戌井光汰郎だった。そこから事件は動きだす…
あっという間に読み終わった。すごく良かった。終わっているはずの事件は終わってなくて、物語の展開にも最後までハラハラさせられたが、この物語が伝えたいことが、分かりやすく伝わったところが良かった。事件は起きた。しかしその後の事実とかけ離れた噂は、誰が言っていたのか。事件が解決して、ひどい噂だったと反省しない。事件に対して当事者意識が全くない。それは責任から逃げたわけではなく、みんなが「わすれている」という事実。事件に関わった人々はずっと苦しんでいるのに、苦しめた意識すらない。これはとても恐ろしいことだと思った。これは現代のSNSにも当てはまるし、教室内のいじめにも当てはまる。時代は変わっているが本質的なことは何も変わってない。人は噂が好きだし、これは娯楽だという残酷な事実。でもこの本をよんで、自分の軽率な発言が誰かをずっと苦しめるきっかけになり得ると分かれば、きっと自分を正すことができるはず。本当に気をつけようと思った。読めてよかった、とても大事なことに気付けたと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分にとってとても刺さる物語でした。
失踪の謎を追うミステリーの要素を持ちながらも、読者の自己の内面と深く向き合わされる。まさに自分好みの小説です。 一言でいうと「善良」は真面目で従順であるがゆえに重要な選択を他人任せにする主体性のなさ。「傲慢」は自己愛の強さゆえに身の程をわきまえない身勝手さと解釈しました。 それらは対立概念ではなく同じ人間の中に共存する性質であり、 どちらも良い意味では語られていないことがまず印象的でした。
自分自身も、架と真実の持つ「傲慢と善良」に当てはまる部分があります。おそらくほとんどの方に当てはまるのではないでしょうか。
嫌われたり反対されるのが怖くて大きな判断をするときに他人の基準に依存したり、謙虚で自己評価が低い一方で、自分のことを棚に上げて他人を値踏みしたり見下したりする。そんな醜さを容赦なく突き付けてくるので、自分のことを言われているようで読んでいて苦しくなります。
特に美奈子達女友達の第3者目線から見た架や真実の描写えぐくないですか。自分の「傲慢と善良」に無自覚な人間って、こうも痛々しくて身の程知らずで虫唾が走る存在に映るんだって思いましたし、自分も無自覚な人間だと思うと言いようのない恥ずかしさが芽生えます。美奈子達のように開き直った上で他人の悪口を肴に仲間内で盛り上がるのが一番ひどいのは言わずもがなとして。
でもそうやって他人には醜く映る真実にだって真実の物語があることが明かされます。まさに『六人の嘘つきな大学生』でもあったように、「人はどこか一部分だけをとって評価できない」がここでも現れます。
「安易に他人を断罪するな」もうこの言葉に尽きる気がします。
そして正解不正解関係なく自ら選択することが大事で、他人にいくら疎まれようとも、自分が誇れる生き方を模索する彼らの生き方になんだか励まされたような温かい読後感でした。