辻村深月のレビュー一覧
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購入済み
最初は少し怖い話なのかなと思った。家出をして、知らない場所の夜の海で不思議な少女に出会うという設定は、どこか不気味で緊張感があった。しかし、読み進めていくうちに、怖い物語ではなく、孤独や家族への複雑な気持ちを抱えた人の心を描いた物語なのだと感じた。
特に印象に残ったのは、主人公が家を飛び出したときの気持ちである。家族に対する不満や、自分のことを分かってもらえないような苦しさは、誰にでも少なからず経験があるものだと思った。だからこそ、主人公のどこか遠くへ行きたいという気持ちが他人事には感じられなかった。
また、夜の海や白いワンピースの少女など、少し怖さを感じる描写が多いのに、読み終わった後には不思議と温かい気持ちが残った。読み終えると、この物語で描かれているのは幽霊よりも、人が誰かに出会うことで心が変わっていくことなのではないかと思った。
短い物語なのに、登場人物の気持ちが細かく描かれていて、家出という行動の裏にある誰かに分かってほしいという気持ちが伝わってきた。 -
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若年教員として非常に考えさせられる一冊でした。
やはりクラス内には一定数のモブと呼ばれる人たちがいますし、その中から抜け出して一軍と呼ばれるグループに片足を突っ込もうとすれば強い拒絶があるのも現場の事実です。教員に懐きやすい生徒とそうでない生徒の差は子供たちの方から寄ってくるか否かによるものだと思っていたので、隅にいる生徒からするとそう写っていない可能性が示唆されただけでも気付きのある内容でした。
これまでは平等ではなく住み分けが最も不幸の少ない解決だと思っていましたが、その辺もう一度考え直してみようと思います。
とはいえ、空気の読めない言動やある程度固まったコミュニティへの割り込みなど、一集団に対して不快感を与えた当時の加害者が、後から被害者として立場を強めることについては納得しきれない部分もあり、答えのない問題に回答を強いられているような感覚でした。
結局何かしらの答えを出すことではなく、パッとしない子にも目を向けて寄り添うことの必要性と、そういった子供にも自我があって主張があり、後から噛みつかれる可能性があるということは肝に銘じて今後過ごすようにしようと思えました。
胃の痛くなる1冊。良い教訓となりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても面白くて一晩で読み終わってしまいました。蘭花と茂実の恋が始まるシーンはとてもキラキラしていて心が弾むのですが、ある出来事から状況が一変し、絶望的な関係に変わります。このシーンは訳がわからず血の気が引きました。客観的に考えればすぐに別れれば良いものの蘭花は別れず、ダラダラとどうしようもない関係が続きます。この時の蘭花はドーパミン中毒、刺激中毒のような感じで、不幸な状況をジェットコースターのように楽しんでいるようにも感じられました。個人的には若い時の恋愛ってこんな感じだったなぁと懐かしくなりました。
ただ、最後のオチは予想できない内容でとても驚きました。おすすめの1冊です。 -
Posted by ブクログ
めっちゃ良かったです!!
ファンタジーと聞いてたから、、子供が読むような話かと思ってたから、、と手に取ることはなかったですが、
もっと早く読むべき素晴らしい1冊でした…!
子供がいる私の視点では、
こころがお母さんと話す夏までの頃の
ため息をつくお母さん、子どもの返答を待たずして念押しするような話し方をするお母さんの姿に自分を重ねてしまいました。大人が正しいのよ、と子どもに押し付けている。昔は自分がそう思っていたはずなのにいつの間にか自身がそんな人になってるのでは?と気づかされました。
途中から気付く箇所は有りましたが、
最後のつながりまであっぱれ!賞をとったのも納得です。
子どもが大きくなったら読んでほしい1冊です -
Posted by ブクログ
本当に面白かった。
途中で本を閉じることが惜しくて、あと少し、あと少しとページをめくる手を止めることができませんでした。
大きな期待を背負って始まった下巻。
勢いのある展開と、揺れやすい登場人物の繊細な感情に引き込まれました。
結末に向かうにつれて、城で過ごす時間や周囲の人との関わりが、主人公の視野や行動の広がりの手助けとなり、彼女自身の成長に繋がったことが嬉しかったです。
全てが明かされた時には、衝撃と感動が詰まっており、気づいた時には涙が頬を伝っていました。
彼らの抱えている問題にはどうにも変えることのできない部分もあって、それがまた現実を痛感させられるけれど、あの時に触れた時間と優しさが未来に繋がっていくんだなと思うと前向きに物語の結末を受け入れられました。
上下巻を通して本当に素敵な作品でした。
特に下巻はどんどん読みたくなってしまうと思うので、時間のある時に読むのがおすすめです。 -
Posted by ブクログ
自分の内面や考え方を見つめ直させられる作品だった。「自己評価」と「自己愛」は似ていて全く異なるもの。今までこんなこと考えたこともなかったが、なるほどな、と思った。読み進めるうち、自分自身、自己評価が低いくせに自己愛の高い人間であるということに気付かされた。私も「傲慢」な人間だったと、これまでの自分の行いを恥ずかしくも感じた。
かと言って、傲慢さを完全になくすことなどできないと思う。傲慢さと上手く付き合う、傲慢さを自覚しながら選択するべきなのだろう。恋活、婚活は身近な事柄で、これからそのなかで、自分の傲慢さと向き合っていかなければならないと思った。 -
Posted by ブクログ
辻村深月さんの作品を読むのはこれで三冊目。
傲慢と善良、かがみの孤城
今までに読んだ彼女の作品の中で一番好きだった。
恋編を読んでいるとき、自分が友達にそんな人諦めた方がいいよ、もっと素敵な人いるよと言われたことを思い出し、ああ、自分って相談してる相手からしたらこういうふうに見られて、こんなことを思われているんだろうなっていうのを感じた。
私は蘭花の恋愛は美しいと思った。
もっともこういう恋愛が理想だとも、こんなに嫌悪感を抱く恋愛なんて絶対にしたくないだろうとも思い、複雑な感情になった。
友情編では留利絵に対して、すごいなこの子という感情になった。私は彼女のようにはなれない。
読みながら自分の大好きな二人の女の子の友達のことを思い出していた。
私もその友達が誰かと自分より仲が良さそうにしていたり、自分の知らない話になった時に嫉妬というか喪失感を覚えることはあるが、ここまでの狂気というか深すぎる愛で友達に向き合えないと思うし、どこかで向き合いたいと思っているけど、この感情を向けることで線引きをされて嫌われてしまうんだろうな、と思った。自分なりに友達のことを大事にして、その気持ちを伝えてはいるが、結局行きすぎた愛なんて面倒なだけなんだろうなと思い、勝手に悲しくなった。
解説も読んでいてすごく納得したし、面白かった。
この物語は自分に重ねることもできるし、ものすごく俯瞰視して、色々な考えを持ちながら読むことができるとても奥深い話だなと思った。
読書好きの友達に勧めようと思う!
素敵な本に出会うことができてよかった。
機会があればファイヤドームも是非読みたい。