辻村深月のレビュー一覧
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ネタバレ・プロポーズの心得
俳優の紙谷ゆずるは想いを寄せる一人の女性がいる。その人は高校時代に親友が亡くなった悲しみを引きずっているという。その女性と亡き友人を引き合わせたいと、使者と連絡を取る。面会の日、眼の前に現れたのは小学生位の少女であった。
・歴史研究の心得
今回の依頼は少し変わっていた。郷土史を研究してきた教師が、歴史上の人物と面会したいというのだ。
・母の心得
二組の依頼が来る。一方は目を離したスキに事故で娘を亡くした夫婦。もう一方は若くして病で亡くした娘に会いたいと願う老婦人。満月の日が最も面会時間が長くなるため二組はそれぞれの想いを抱えながら同じ日に娘との面会をすることとなる。
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死者との面会をさせてくれる使者(ツナグ)の話が5話収録された。連作短編集。
最後がツナグ視点の話で、そこまでの4話を受けての見事な構成。圧巻でした。
一人称小説のお手本のように、主人公ごとに言葉遣いやものの見方がガラッと変わる。
デビュー作から順に読んできて、久しぶりにわりと最近のを読んだら、文章が明らかに洗練されていた。
読みやすく、没頭しやすい。以前の作品に感じられた僅かな違和感や引っかかりがほとんどなくなっている。
このレベルの作家でも、書くほどさらに進化していくんだな。
・アイドルの心得
引っ込み思案の平野愛美が、若くして亡くなったアイドルに会いたいと、使者に出会う。
終盤、さ -
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読み始めは、誰の目線なのか、いつの話なのかということが捉えづらく(そうなるように構成してると思う)、話の筋が見えなかったが、無数のエピソードが、店と店がひとつの結末に収束していく展開はとても読み応えがあった。また、加害者の視点で殺人シーンを描くこと(しかも唐突に始まる)で、「バレてしまうかも」と感情移入しながらスリルをひしひしと感じながら読み進めた。
読み終えてわからなかったことがふたつ。
①石澤恭司は、たまたまネットカフェで浅葱を見つけたのか、それとも意図的に?全てとは言わないが、浅葱が何をしているのか察していたのかもしれない。
②秋先生は、ミスリード要因なだけなのか?男子学生を消した一件 -
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下巻、再読完了。
とても素晴らしいお話でした。
このお城のルールや謎がだんだん分かるような違うような具合が絶妙で、城に集まった子達の成長を見守るだけでなく、これはどういうことなのか?という謎解きの面も楽しめたと思います。
不思議な状況をそれぞれに受け止めながら、現実で協力できるのではと希望をもち、一度裏切られながらも、何とか乗り越えていく姿が、いい子達だなあと素直に思います。
そして起こる決定的な事件、みんなに希望を託されたこころさんが、みんなを助けようと奮起するクライマックスは、怒涛の展開に読むのを止められなくなります。
最後、お城が閉じる直前に、集められた子達の謎が明確になり、「そう -
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ネタバレ面白かった!
依存や執着を手放せない恋の話かと思ったら、それだけじゃなかった。
周りと比較ばかりして自分が見えなくなっていき、少し受け入れてくれただれかに執着するひと。
自分の日常に立ち込める暗雲や吹き荒ぶ風ばかりに集中して、周りが見えなくなっていき、かつての手にしていたはずの幸せに依存するひと。
何もかもが自分から無くなって、唯一残ったかもしれないそばにいてくれる誰かを、必要以上に縛りつけ、幸せを疑い、自ら終わりに近づいていることに気付かず執着して、自分のことも、周りのことも考えられなくなっているひと。
全部、僕かもしれなかった。
嫌いな人のことはさっさと忘れましょう。
人を嫌うなら一人 -
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ネタバレ人への評価を口にする人がいる。
あの人は優秀だ。あの人は頭が良い。あの人は仕事ができない。
自分もまた、どこかで評価される立場だというのに。
自分の尺度でしか物事を測れないから、慢心するし、心が醜くなる。
その醜さを、ひみつ道具で比喩してごまかした。
現実と向き合うのが怖くて、俯瞰的な人付き合いばかりしてきた主人公。
優しい心の持ち主は、きっと相手に興味がある。
人に興味を持ち続けることで、初めて本当の優しさに触れられる。
反対もあるかもしれない。
きっと、大人になるにつれて、少しずつそういう付き合いができるようになる。
それでも、誰かと生きていくって、そういうことだよね。 -
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ネタバレ全員学校に行ったのに会えなかった。
その謎は解けないままだった。
ある日アキはルールを破り心以外の全員はオオカミに食べられてしまう。
こころはみんなを助けるため、みんなの記憶を旅して、アキを願いの部屋から救い出す。
そして全員違う時に生きていたことにきづく。
記憶は消えてもいつか会えることを胸にみんな現実へと戻っていく。
オオカミ様の正体はリオンの死んだ姉だった。
リオンの願いを叶えたのだった。
そしてみんな共通で知っていた喜多嶋先生はアキだった。アキはリオンの姉の先生で、そこからフリースクールの先生になった。これからこころやウレシノともかかわっていくのだろう。 -
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どうしてこんなにも人の感情を文字で表せるのだろう?只々凄い!子供の頃に感じた心情が大人になってから及ぼす影響は果てしない。大人な今だから、小学生が登校時、無邪気にふざけ合ったりするのを見ると、何気ない日常の中にも、彼らがどんな事を感じ、将来にどんな影響をこの瞬間が及ぼすのだろう?なんて要らぬ心配をしてしまう自分が居る。辻村先生ならば、この瞬間を的確に表現出来るのであろうが。
小学生の頃、何十年前にもなるが、今思い返せば、子供心にもいたたまれなくなる出来事があったみたいだ。当時から気にならないほど、自分は鈍感だったのか?心がそれを封じ込めるようにしているのか?それはいじめなのか、からかいなのか、