辻村深月のレビュー一覧
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軽い気持ちで妊娠して出産した母(中学生)の悲劇を描きつつも、不妊治療に励む夫婦の話。
物語の構成やバランスは読んでいて感情移入しやすかった。
ヒカリの悲劇はフィクションだけれども、誤った行為で人生を破壊する情景を思い浮かべると人ごとではないなと思った。
ヒカリのご両親のようなプライドが高い家庭の情景もリアルだなと。
思春期のすれ違いが絶妙に表現されているなと感じた。
ただ子供を渡したとしても母であることは変わらないんだよね。
最後の物語の締め方はよかったな。
このご両親が包み隠さず、子供に真実を伝えている部分もいいなと感じた。
親とは愛とは…。
考えちゃうよね。 -
Posted by ブクログ
話の進め方と、全ての結末にあっぱれである
蘭花と留利絵
それぞれの視点からみて初めて見える景色
最後の最後まで目が離せないとはこういうこと
全ての結末に向かって
全てが描かれていたのだと
スッキリともどんでん返しとも違う
なんとも言えないこの気持ち
腹の底から湧き上がる
えぇ、、、、!!!という気持ち
今まで脳内で再生されていた全てが
事実によって現実に塗り替えられていく
そして、素晴らしいタイトルの回収である
盲目的な恋と友情
なにが恋で、なにが友情で
それぞれがそれぞれに盲目的であるこの作品
でもきっとそれは
決して本当の恋ではなくて
そして、きっとそれも
本当の友情ではないのだろう
でないと
この結末にはならないはず
そして、私はハッとさせられた
留利絵の言葉に
"恋の前に友情は蔑ろにされても良いのだろうか"
(意訳)
実は私もそう思うたちである
彼氏彼女がいない間(都合のいい時には)
寄ってきて、友だちのふりをして(これは少し言葉が強いが)
でも、意中の相手を手に入れて順風満帆な生活の時には、私のことなんてどこ吹く風
そんな人、あなたの周りにもいないだろうか
そして
恋や、恋愛は、ふたりで向き合ってこそ
のものであるから
私の思いの方が重い、だったり相手が自分のことをあんま考えてくれないだったり
思い、想い、さして言えば、重い、
と気持ちの重さを話題にできるが
なかなか友情に関して
"私はあなたのことこんなに大切に思ってるのに、なんであなたは、、っっ!!!"
だなんて、友だちには言えないのである
さすれば
今の時代、ただの重い友だちになってしまう
ここがむずかしい所だよなと思うのである
私も友だちへの愛がわりかし重いタイプなので
気をつけようと思った笑
そして
あの留利絵の選択は
どんだけ蘭花のことを思ってたことが
それまでにこちらに伝わっていたとしても
(それが留利絵の異様な執着であったとしても)
最後の選択によって
彼女の蘭花への友情の気持ちは、ただの友情だけではなかったことが露呈する
(結局、自分自身と蘭花と比較や他の友だちとの関係値も含めた、妬み嫉みの1種??)
でも、そこで彼女自身もハッとする
"私も連れて行って"と
あの2人は
それぞれがそれぞれで
少しずつおかしかったんだと思う
おかしい、なんて言葉に勝手にしてもいいのかとも思うが、このおかしさを誰もがもっているものでも
あるとも思う
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Posted by ブクログ
ネタバレ恋パートを読んでいた時は、ダメな男に振り回される可哀想な女の子と友達のために人殺しも厭わない狂気を感じる友達の話に映ったが、最後、茂実を殺害したのが「留利絵」ではなく「蘭花」だった、という真実が明かされて、話の意味が反転した。
結局己の気持ちに貼ったラベルが「恋」か「友情」かが違うだけで、蘭花と留利絵は本質な部分で似た人となっている。「自分自身の価値を他者との関係から見出す」という部分でだ。
蘭花は、「才能ある若き音楽家、茂実星近の彼女」として、
留利絵、「綺麗で賢い一瀬蘭花の親友」として自分を定義している。
別にそれを誇りに思うのは問題ないが、問題は自分から価値を見出せる要素がそれしかいないことにある。
一つのことに全てを捧げてきた人間は危うい。自分のアイデンティティを一本の柱が支えていて、それが崩れたら自分という人間そのものが崩れかねない。そして人間は、それを防ぐためならなんでもする。
アイデンティティの崩壊を迎えた人がどうなるか、それを見せたのがまさしく茂実だ。業界から干され、嘱望される音楽家という柱をなくした茂実は衰えていった。自暴自棄になり、死にたいとまで思った。それほどに自分を支える柱が崩れるということは恐ろしいことなのだ。
蘭花も留利絵も相手を愛していると、親友だと思いながらも、最終的にその相手に害をなす選択をする。蘭花は茂実を殺害し、留利絵はそんな蘭花を告発した。どちらも一人の人間に妄執する点では全く同じで、歪だ。盲目な気持ちは、盲目ゆえ感情を向けていた相手さえも視野から消してしまうのだ。 -
Posted by ブクログ
ドラえもんの道具と主人公の感情を見事に絡ませてストーリーにはめ込んでいるところが素晴らしい。
私も「のび太の海底鬼岩城」は大好きだったので、懐かしい気持ちが蘇った。それと同時に、ドラえもんの道具に憧れていた子供のころの自分も、理帆子と同じように現実世界での自分の居場所が定まらない感覚から、ドラえもんの道具で何もかも軽快にやり過ごすことができればと願っていたなと思い出した。
単なる思春期の情緒不安定という話ではなく、誰でも感じたことがある孤独感を、主人公は他人にラベリングすることで心の中で距離を置き、自分の感情を抑えている。心の揺れが見事に表現されている。
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Posted by ブクログ
毎日小学生新聞に連載されたエッセイ的な。
やさしい口調で語られて、なんだか自分が小学生の頃に戻ったような気持ちで読んでしまった。
特に好きな話は、、とメモしようと思ったけれど、どれも好きな話過ぎて困る。
あえて選ぶと、、
「水泳の授業」
普段生活する中で、皆さんは、うっすら、世の中には「こうすることが正解」「こう思うことが正解」という正解があるような感じを受けることはありませんか?
プールの授業がなくなったらさみしい、再開されたらうれしいと思うことが正しい気がすると思います。学校のテストと違って、世の中には正解がないことがほとんどです。プールの授業がなくなったことを悲しむ気持ちも喜ぶ気持ちもどちらも同じ自然と心にうかぶまっすぐな気持ちです。
あと、この話の次の「自分の気持ち」も好き。
自分の気持ちを正直に明かすことも、それだけが正解ではない。その気持ちを大切に思うからこそ、気持ちを守るために口に出さない選択もきっとあります。
「傷つけるのは誰」
シンパシーが自分と立場や意見が近しい人への共感だとすれば、エンパシーは自分とは違う特にかわいそうとは思えない人に対し、その思いを想像して自分のものにしていく
「運命でなくとも」
大人になってから、何を読んでいた?と聞かれてぱっと思い浮かぶ書名以外にも普段は読んだことさえ忘れている本がたくさんあり、だけど、それらが私を大人にしてくれたと今は感じています。
「好きと禁止」
子どもの時は大人ってとても頼りになる存在だと思っていたのですが、今自分が親になると、大人もまた何がその子にとって一番いいか、正解を知っているわけではないし、そもそもこれという正解なんてないのかもしれないし、親も迷いながらだったんだなぁと思います。
この著者の他のエッセイも読んでみようかな。 -
Posted by ブクログ
コロナ禍を過ごすことになってしまった中高生たちのお話。
この作品のタイトルから『夏が終わるまでには絶対に読みたい』って思って読み始めたんですけど、『夏』だけのお話ではなかったですし、『星』だけのお話でもない素晴らしい作品でした。
登場人物はみんなすごく魅力的。
出てくる学校も先生含めてすごくいいなって感じました。
その中でも個人的に自分は長崎の武藤くんの気持ちや行動にものすごく共感してしまいました。
やっぱりそうなってしまいますよね^_^
ものすごいパワーで世界を掻き回したコロナウィルス。
本当に学校が9月開始になるんじゃないかって思った時期もありました。
テレビ嫌いになったのもこの時くらいから。
やたらに不安を煽るようなものが多くてしんどかったです。
この作品にも出てきましたけど、『濃厚接触者の濃厚接触者』ってありましたよね(^^;;
高校時代やコロナの時代。
色々なことを思い出させてくれるめちゃくちゃ素敵な作品でした。
ありがとうございましたm(_ _)m
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Posted by ブクログ
家族というのは、一番落ち着く関係のようで、実は一番緊張する関係でもあると思います。遠慮会釈がない分、揉めると激しい争いになったりします(と思います)。
本作でも、姉妹・姉弟の喧嘩など、相当激しいです。母息子・孫祖父もしかり。読み続けるのがいたたまれなくなるほどです。
でも、喧嘩・争いでマイナス方向に針が振り切れるほどダイナミックレンジが広い分、いたわり思いやる時のプラス方向の温かさは本当にぬくぬくホカホカで、それこそ他人が入り込む隙がないほどです。家族って良いなぁ、と思う瞬間でしょうか。
下記〔作品紹介〕(文庫版)の末尾で「家族を描く、心温まる全7編。」とありますが、そこに辿り着くには紆余曲折、先の見えない長い道のりがあるのです。
わたしのウチは人数も少なく淡白な関係だったので、本作の揉める家族にはあまり実感が湧きませんでした。なので本書の中では、「タイムカプセルの八年」が一番読みやすかったです。
今どきは家族も更に多様化が進んでいるでしょうから、今、家族の諸相を小説に書くとなると、生成AIに指示を仰いだ結果、即刻警察が家に来て、父親が逮捕されてしまうような家族も描かなければならないかもしれません。
みなさまは、本書の家族たちのお話をどのような気持ちで読まれるでしょうか?
とても興味があります♡
〔作品紹介・あらすじ〕(文庫版 2018年4月)
「家族」で起こる、ささやかな大事件。いま一番旬な作家、辻村深月の最新文庫。息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画。親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」より)。家族を描く心温まる全7編。
近くにいるから傷つけ合う。遠くにいてもわかり合える。
大好きだけど、大っきらい--読めばきっと、あなたの「わが家」に帰りたくなる。
弟はアイドルオタク、姉はバンギャ。趣味も性格も正反対。犬猿の仲の二人は顔を合わせれば衝突ばかり。ある日、盗み見ている姉のブログに不審な投稿を発見してしまった弟。日に日に覇気がなくなっていく姉の様子が気になって仕方ない(「サイリウム」より)。
息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画。親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」より)。
真面目な姉を鬱陶しく思う妹。
趣味で反発し合う姉と弟。
うまく息子と話せない父。
娘の考えていることが理解できない母……
あなたの家族もこの中に。家族を描く、心温まる全7編。
〔作品紹介・あらすじ〕(単行本版 2014年10月)
同じ中学校に通う姉は、「真面目な子」。褒め言葉のようだけど、実際は「イケてない」ことの裏返し。こんな風には絶対になりたくない――だけど、気にせずにはいられなかった。 (「妹」という祝福)息子が小学校六年生になった年、父親中心の保護者会「親父会」に入った、大学准教授の私。熱心な担任教師に恵まれて、順調に思われた日々の裏には、とんでもない秘密が隠されていて……? (タイムカプセルの八年)
同じ中学校に通う姉は、「真面目な子」。
褒め言葉のようだけど、実際は「イケてない」ことの裏返し。
こんな風には絶対になりたくない――だけど、
気にせずにはいられなかった。 (「妹」という祝福)
息子が小学校六年生になった年、
父親中心の保護者会「親父会」に入った、大学准教授の私。
熱心な担任教師に恵まれて、順調に思われた日々の裏には、
とんでもない秘密が隠されていて……? (タイムカプセルの八年)
すべての「わが家」に事件あり。
ややこしくも愛おしい家族の物語、全七編!