あらすじ
小さな会計事務所で働く鶴峯裕(つるみねゆう)は同い年の妻・志保(しほ)と共働き、4歳の長女・莉枝未(りえみ)ともうすぐ2歳になる長男・琉大(りゅうだい)を保育園に預け、バタバタの日々を過ごしている。そんな鶴峯家に、ママ友、パパ友から子育てにまつわる難題と謎が押し寄せる! そして事件はとうとう鶴峯家にも――。裕は数々の謎を解き、育児の問題も解決して、家族の幸せを守れるのか!?
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Posted by ブクログ
辻村深月は私が言語化できないモヤモヤした気持ちをいつも表現してくれるので、読んでいて気持ちが良いし、知らないストーリーを読んでいるはずなのに自分のことが分かったような気にさせてくれる。今回は子育てについて。
何かとラベルを貼られがちな女社会においても、「みんなそれぞれ頑張っていてそれぞれの正義や事情があるんだよ」ということを随所に感じた。辻村深月は多くの本で、こうした色んな立場の心情に触れることが多くとても優しさがいつも伝わってくるし、幼少期に結構苦労されてきた方なのかなと勝手に思っている(違ったらすみません)。
最後の秘密のない夫婦は、母と娘の微妙な関係についての言語化が素晴らしく唸った。自分にもとても当てはまることだったので、何故かお悩み相談を読んでいるような気持ちにさせてくれて心が晴れた。
5つの話、それぞれミステリー要素もありながらスイスイと読めてとても面白かった。
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ミステリと日常の混ざり合い具合がちょうどいい!文体や心情描写はいつも辻村さんのものだなぁって感じなのに、物語は毎回違った味わいがあるから、作家さんってすごい。
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産前、米澤穂信の日常ミステリーと辻村深月作品を読み漁っていた私にとっては、産後に読む一冊としてぴったりの作品だった。子育てというシチュエーションでの日常ミステリーは新鮮で、且つ女性同士、親子間のいざこざや嫌ーな気持ちになる事細かな心理描写も交えられており辻村深月節全開でとても面白かった。
VERY掲載作品だったんですね。自分自身もこれから子供が成長していく中で直面するであろう題材が多く、なんとなく手にとって読み始めたが、導かれたような気がした。
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働き方改革?の元に、中高生になった子供達と過ごす時間が増えました。ただ試験期間で早帰りしてきた子供達は、当直明けてソファでゴロゴロしながらからんでくる父の姿に何を思うか…。主人公みたいに子育てで、活躍したいものです。
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辻村深月のクローバーナイトを読みました。
裕と志保の夫婦そして四歳の莉枝未、二歳の琉大の四人家族の物語でした。
裕は小さな公認会計事務所に勤務、志保は子供用の肌着メーカーを立ち上げて三年目、忙しいながらも二人で子育てを続けています。
そんな二人が見聞きする保育園や幼稚園でのママ友トラブルがミステリー仕立てで語られていきます。
そして最後の短編では志保とその母親の葛藤が描かれています。
子育てもいろいろ大変だなあ、と思ったのでした。
読後感としては、裕と志保が魅力的な夫婦として描かれていてこころが暖かくなります。
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共働き子育て現役真っ盛りの夫婦が経験する、現代子育て問題対処の数々。このテーマを辻村深月が書く?必要もニーズもあるのか?と思ってしまったのが正直なところ。
とはいえ、そこは辻村深月だからしっかり読ませる、日常ミステリーものに仕立て上げてはいる。考えてみれば、手がかかる子供がいる時期の日常生活って、フィクションを超越しかねないドラマチックかつアドベンチック、スリルとサスペンスとパニックに満ち溢れ、心拍上げ上げ、疲労困憊、満身創痍でも立ち上がって一歩一歩踏み出さねばならない日々…申し訳ないが、特に母親には…なので、小説の主題として最高の素材ではあるのだ。
父親経験のある俺としては、この本の個人的感想は、とにかく猛反省と深い後悔につきる。裕のような出来た父親では決してなかった俺は、あの当時妻にどれだけの負担を押し付けていたんだろうかと、そんな体たらくにも関わらず、子供をきちんと育て上げてくれたことにも、愛想つかして離婚されなかったことにも、感謝しかない。
今更遅きに失した感はあるが、これ以上の失点を積み上げないよう、でき得れば少しでも汚名挽回を期せるよう、残りの人生頑張って生活していこうとふんどしを引き締めなおした(つもりではいる)
そして…そりゃ少子化になるわ。こんな育児環境、罰ゲーム以外の何物でもない。結婚も出産も絶望感あふれるオワコン。絶対孫をせがまないようにしようと、何度も思いつつ読み進めた。セレブ雑誌VERY連載の作品でこれだもんなぁ、いわんや貧困化著しい日本においておや、やわ全く。
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私に全然関係ない子育ての話じゃんとは思ったものの面白かった。お受験とか保活とか縁がないけど、そのしんどさは他の物事にも共通していて、自分にも近いものなんだなぁと思った。また、こんなパートナーに出会えたら幸せだろうなとも思った。
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んでしまう「ファーストが裏切った」、花嫁の感じた“気持ち悪い”探し「花嫁が戻らない」がお気に入り。長編だとやや物足りなく感じる話のたたみ方が、短編だとイヤな感じの読後感に繋がってて良い。
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家庭を守る育児世代のお父さん騎士(ナイト)の視点から描かれる、連作(5編)ミステリー×家族小説。
「人生の前半は親に台無しにされ、後半は子どもに台無しにされる」(P240より引用)
こんなネガティブな言葉も、本書を読むことで、ポジティブな格言かもしれないと考えさせられ、
「家族にとっての普通」って一体?という謎に向き合い、救いの手を差し伸べてくれる、もはや辻村さんにしか書けないのではという作品でした。
これにて、現時点での辻村深月さんの文庫本は全て読破!(「のび太とドラえもん月面探査機」は除く)
かけがえのない読書時間に感謝です。
Posted by ブクログ
主人公の鶴峯裕はイケダンではなく普通にイケメンなヒーローですね。志保も良い奥さん。
あるある話だけども、そのあるある話の中でほっこりするような人情話もあって、すらすら読めたし読後感もよかった。
それにしても、やはり母娘の、形容し難い関係性を描くことにかけては、天下一品ですなぁ。
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おもしろかった。
自分にはまったくわからない世界だったけれど。
保育園、お受験。なんだかドキュメンタリーな気分で読みました。
裕&志保。とてもいい夫婦だし、気持ちがいい。
それに莉枝未ちゃんと琉大くん。家族というチームなんだ。
とても素敵な物語でした。
Posted by ブクログ
子育て世代のパパの物語。
10歳と6歳の子育て真っ最中なので、ピッタリだと思い軽い気持ちで読み出した本書。
いやこれはパパが頑張る姿を描いた物語ではなく、女性がいかに複雑怪奇な世界で生きているかを、世ののんびりした思考の男たちに指導するために書かれたのではないかと思える。
そこそこ家事分担してるし子育て参加してるし…と思ってたが、実は何も知らなかったんだと思い知らされた。
いやちょっとショックですね。
Posted by ブクログ
いい家族だなー!!志保みたいな母親になりたいし、裕みたいな旦那さんがいてくれたらいいなって思う。
辻村深月はどの作品でも丁寧で小さな伏線もあって、その時によってよい感情とか悪い感情が揺さぶられるのが好き。
Posted by ブクログ
ほんわかする素敵な家族の話。
ファミリーものだけどちょっとした謎解きが毎回あるのでわくわくする。
育児、家事、保活、受験、いろんな価値観と何が当たり前なのか、何を大事にしたいのか考えさせられる。
こんな家族が羨ましい。
Posted by ブクログ
お受験、ママ友、保活、実母との衝突。子育てをしていると実際によくある問題。それがリアルだが少しミステリー感もある形で描かれている。
実際に子供がいる私にはとても読みやすいが、「そんな世界も本当にあるのかなぁ、、、、」と自分と比べ、別世界を覗いているかのような気分に。
本当にその渦中にいる人としては当たり前の価値観になり、視野が狭くなり、周りの人から見ればどうして?と思うようなことに夢中になってしまう。子供のこととなれば尚更なのかもしれない。
少し引いた目線から、物事を見ることの大切さ。
核家族化が進む中、自分たち親がクローバーナイトとして、子供達を守っていかなければならないのだと思った。
匿名
待機児童と問題になってるのをTVでよく見ましたが
フルで働く家族の大変さがよく分かりました。
ラストの方の噛み合わない感じは、すごく辻村美月さんらしい表現の仕方で、焦ったいような歯痒い気持ちが伝わってきました。流石です!
Posted by ブクログ
「クローバーナイト」って?
子育て家族の話なのかな〜…なんて軽い気持ちで読み始めた本作。
保活や発語問題など自身が育児していく中で困っていた、調べていた情報なんかが盛りだくさんで懐かしく思い出しては少し苦い気持ちにもなりました(笑)
辻村さんもご体験されたのかな…?
また、これからありそうな誕生日会問題やお受験問題にもフォーカスがあたっており、とても参考になりつつ自身にその場面が来ないことを祈ろうと心に刻みました。
実際に子育て中の中でしたので、大変興味深い一作でした。
Posted by ブクログ
☆4
核家族の子育てを題材にした5編の日常ミステリー。
久しぶりに辻村さんの作品を手に取ってみました。
現在、子育ての真っ最中なので、共感出来る部分もたくさんあったのですが…保活やお受験の凄まじさにはかなり驚いてしまいました!(そこまでしないといけないのかと恐ろしかったです…)
子育て中のママだけでなく、パパにも是非とも読んでもらいたいなぁと思える作品です!
裕と志保の夫婦の絆は、とっても素敵でした❁⃘*.゚(憧れちゃいます♡)
Posted by ブクログ
保育園探し、お受験、ママ友等々、小さいお子さんのいる家庭で起こりがちな問題点を、当事者に寄り添う視点で描く。そのなかで起こる日常の謎。主人公家族が、悩みながらも、持ち前のバランス感覚と洞察力で解決していく。
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ホカツなんて言葉は昔はなかったけど、保育園に入るのってこんなにも大変なんですね。小学校受験の為の幼稚園選び、セレブ幼稚園のお誕生日会、読んでいて今のお母さん達の大変さを痛切に感じました。共働きが当たり前の時代、主人公である鶴峯夫婦のように何でも協力しあっているなら乗り越えられますね。4人家族を守るナイト(騎士)の役割を担う裕の姿が頼もしかったです。
Posted by ブクログ
近年の子育て事情を綺麗事ではない語り口に刺さりました。保活篇ではシングルになりたての頃、学生だった私は点数が足りませんでした。無認可・認証必死に見学へ向かい悲しいかな預けたくないなと感じた園にも申し込みを出した記憶が蘇りました。
Posted by ブクログ
星3.5
もう少し前にこの本を読んでおきたかった。
(特にchapter_5 秘密のない夫婦。)
今は少し状況は改善しているかもしれないけど、この本が発刊された頃に問題となっていたことが辻村さんの的確な描写によってとてもうまく表現されていて引き込まれた。
Posted by ブクログ
保育園に通う娘とその両親の物語。家族の周りで起きる小さな謎を解くというミステリー仕立てになっている。
保活やママ友の付き合いなどが描かれていて今は色々大変だなぁと思った。
Posted by ブクログ
子育て世代に多く共感が得られるようなストーリー。私の場合、保活はたしかに園探しはいろいろと気を揉んだけど、ここまでじゃなかったなぁ。お受験の話も、都会にはこんな人達がいるんだ…いやぁ無理…。子育て中の私でも知らない子育て世代の苦労があるんだなぁとちょっと他人事のように感じたところも。志保と実母の関係性は自分にも少し似たようなところがあり、子育て経験者はみんなどこかしらに共感しながら読める本だと思う。
Posted by ブクログ
子育て中の若い夫婦を軸に日々のちょっとした出来事の話だった。自分にとっては子供が幼い時はこんな感じだったか、あっ時代が違うかと思ったり懐かしく思うところもあった。今時の共働き夫婦はこんな感じなんだなー自分はもう姑に近い感覚なのかも。共感できた話は最後の『秘密のない夫婦』。母親と娘の確執もありそこは裕がいい働きをするけど実際ここまで言える旦那はいるかなーとも思っちゃう。核家族も幸せを守るのは大変なんだなー
Posted by ブクログ
保活、お受験、お金がかかるお誕生日会と子育てに係る親の苦労の話。
しかし、出てくる登場人物はお金に苦労しているわけではなく…
雑誌「VERY」に連載していたのが納得の内容でした。
Posted by ブクログ
『読み手の状況により捉え方が異なるよう』
育児,家族その他取り巻く環境のような題材の為読み手により全く異なる本になりそう。
自分は該当する状況では無い為
傍観者のような気持ちで読み進めたが、
当事者意識が入るとこの本の更に深い部分を
発見する事ができそう。
Posted by ブクログ
VERYに掲載されている作品とは知らなかったので読み進めていくうちに なるほどVERYの読者層に向けての内容だと合点がいく。
5つの短編どれにも、東京に住む20代後半から30代で、結婚して子育てしている女性が描かれ、そういった方々なら必ず一度は悩むであろう厳しい保活事情、幼稚園選び、お受験、お誕生会、母親や姑から受ける子育てアドバイスの傷つき‥などが、まさにリアルな「あるある」となって共感を呼ぶ。
東京での保育事情 、子育て情報に実に詳しい 。実際に著者が経験していたからこそ書けた内容だと思う。私は保育士であるが 保育士の立場からしても保育園での描写に不自然さはない。
物語の進行役を母親ではなくパパにしたところが、辻村さんらしい工夫だと受け取った。パパの立場の男性にもぜひ読んでもらいたいが、少数だろう。
辻村さんらしさが出てるのは第5話の「秘密のない夫婦」だ。親子の葛藤を描くのは、やはり上手い。
クローバーナイト‥その意味が温かい。