辻村深月のレビュー一覧
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シリーズの『鍵のない夢を見る』がとても印象的に残っていたので迷わず手に取ってみた。特にタイトルを意識していなかったが、読み終わった時見返して凄く腑に落ちた。どれも体験したことはない出来事だったけど、一度軽い気持ちでついてしまった嘘がどんどん膨らんで取り返しのつかなくなることとか、その嘘の規模は違えど誰もが味わったことのあるほろ苦さを再体験させられるような感覚だった。
そして一穂ミチさんの解説が作品をより一層味わい深いものにしていた。「深月の一刺し」、首がもげそうなほど納得した。辻村さんは本当に日常のどこにでもある一部分を切り取って表現するのが上手い。なぜか身近に感じるような作品が多い。 -
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ネタバレ5編の短編が詰まった一冊。
短編は、話としては関連性がないと思ったが、何かに囚われてしまうことでの人間の愚かさが共通して描かれていると思った。
鍵のない夢とは?と他の人の感想も含め、考えたが、解決策にない救いようもないことだと思う。
そんなやるせなさを言語化されると、心が苦しくなるが、読み進めてしまう。
自分の心のどこかにある愚かさを言語化されるって、エクスタシーなのか?
1編目は、親が泥棒の子との繋がり。
そのことに囚われ続けている自分と、忘れてしまった相手。自分だけが気にしすぎていた、リソースを割いていたことの憤りはすごい分かる。
2編目は、放火をした男と、その放火を自分に興味を -
Posted by ブクログ
「使者(ツナグ)」に依頼すれば、一生に一度だけ死者に会えるお話。4つのケース、いろんな死者との再会が描かれていたけれど、四者四様でした。
ファンの平瀬愛美に会わないと、彼女は死ぬつもりだと見抜いたアイドルの水城サヲリ、長男はただ寂しくて再会を望んでいるとお見通しな母。気持ちがすれ違ったまま別れることになった親友と、7年前に失踪した婚約相手。
一番印象に残ったのは交通事故で亡くなった御園奈津とその親友嵐美砂のケースです。最後に御園の一言でひっくり返されました…!嵐は御園を自分の引き立て役と思っている時点で、御園の親友とは言えないなと思ったけど、御園が嵐に一生の悔いを背負わせたのが痛快でした。
土 -
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コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。
辻村先生の書く青春小説が大好きなのだけど、だんだん自分と年が離れた主人公が増えてきて、昔よりは感情移入しづらくなったな、と感じる。チヨダコーキみたいに「抜ける」わけではないけれど、やっぱり年とともに好みは少し変わってくるのかもしれない。寂しい気持ちになりつつ、でも当時