辻村深月のレビュー一覧
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2025年15冊目『ふちなしのかがみ』
ホラーはあまり得意ではないのですが、芦田愛菜ちゃんが「夏休みにおすすめの本」として紹介されていたのをきっかけに手に取りました。
短編集なので、ホラー初心者でも読みやすく、ドキドキしながらページをめくる手が止まりませんでした。
印象に残ったのは《踊り場の花子》。学校で働いている身としては、リアルに想像できて、じわじわと背筋が冷たくなる感覚がありました。《ふちなしのかがみ》も不気味で引き込まれました。お気に入りの話です。《おとうさん、したいがあるよ》は少し難しく、ふわっとしたまま終わってしまった印象です。
どの作品も、「日常にひそむ怖さ」をじんわりと -
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ネタバレ著者の婚活小説『傲慢と善良』に嵌まった直後、テーマが見事に異なるこのお仕事小説を読んだ。アニメ業界で主人公3人の女性が心血を注ぐ姿を描くオムニバス形式の小説。
アニメを愛する登場人物たちを通して、アニメ制作の裏側を知ることができる。効率を優先する金融でスピード感を満喫した私からするとアウェイな内容だった。伏線回収やクライマックスが訪れるまでは苦手かも…と感じた。
とは言え、感情が爆発するシーンは引き込まれ頁をめくる手が止まらなかった。アニメ監督の王子千晴がアナウンサーとやり合うシーンは、王子がきっぱりと言い切る度に気持ちが良くすっきりして胸が熱くなった。
印象的な台詞
・ いじめなんてと -
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ネタバレ4作目は、前半の子育てに興味なさげな父親が急にタイムカプセルだけ立ち上がるのに少し違和感。
・「妹」という祝福
三軍姉を馬鹿にしていたが、姉が実はヤンキーから守ってた。好きな男子に馬鹿にされ離れる。
・サイリウム
いつも喧嘩のバンギャの姉が、弟の推しアイドルライブの有志の活動が載った新聞をそっと渡す。
・私のディアマンテ
母に反抗する娘が高校教師の子を妊娠。
・タイムカプセルの八年
憧れの小学校教師がタイムカプセルを埋めていなかった。息子の夢を守る為親父達が捜索。
・1992年の秋空
宇宙に行きたい妹。逆上がりで骨折
・孫と誕生会
竹とんぼを教える祖父のおかげで友達の誕生会へ
・タマシイム・ -
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卒業して10年、毎年恒例になった同窓会で、一見和やかな空気の中に渦巻くどろどろした思い。女優になったかつてのクラスメイトを何とか担ぎ出そうとする幹事たちや、それぞれの思惑を秘めて過ごす社会人たちの今と昔を綴った連作短編集。
辻村先生の初期作、『冷たい校舎の時は止まる』『凍りのくじら』『スロウハイツの神様』といった日常爽やかミステリ路線から趣を変えて、大人の腹黒さやしたたかさを前面に出し、決して綺麗ではない人物の内面描写を重視した、いわゆる「黒辻村」といわれる作風の一作。結末も必ずしもハッピーエンドではないが、登場人物それぞれが自分たちの過去と現実に折り合いをつけていく姿に、生々しい決意のような -
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ネタバレ政府から公式に殺人を許可された『マーダー』の1人でありながら引きこもり同然の生活を送る青年が、元カノからの意味深な電話をきっかけに彼女を探す決意をする。殺伐とした都市に生きるアウトローたちの西部劇風恋愛ライトノベル。「今を切り取る偉大なライトノベル作家」の鮮烈なデビュー作! …という体裁で、辻村先生の『スロウハイツの神様』で準主役を務めるチヨダ先生の小説を作中作的に描いたもの。
一つの作品として完結していて、意図的に崩された文体、突き抜けた世界観、過度に粗削りな展開でチヨダ・コーキの作家性を醸し出しつつ、終盤の展開は辻村作品の期待を裏切らない。煽られているほど「鮮烈」という印象はあまりしなかっ -
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