辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ
この本を読んだ感想について、正直自分の中では上手く言語化できませんでした。
それは「未知の世界の物語を見たから」ではなく、この物語が「単に嬉しいとか悲しいとかで表現できないから」だと思ってます。
それはつまりこの物語には、嬉しさや悲しさ、その他の感情が重層的に凝縮されているように思えたからです。
例えば
まず、ノリコ側として
ミライの学校で過ごしたことを楽しかったとする輝かしい思い出
シゲルへの淡い恋心
自分の思い出の地を、一様に怪しいカルト集団と差別する周囲の人間に対する不愉快な気持ち
白骨死体が、ミカじゃないことを祈る気持ち
そして、記憶の中で美化されたミカと現実のミカを比較したときの絶望感
それでもなお、現実のミカを受け入れて、手を差しのべたい。一度は放置してしまったミカともう一度向き合いたいという感情
ミカ側として
親と離ればなれに暮らす特異な環境で過ごしていたことで、愛情に飢えていたこと
麓の子ども達に対する憧れや嫉妬のような感情
シゲルへの恋心と、友達だと思っていたノリコがシゲルへ思いを寄せていると知ったときの複雑な感情
ヒサノに対する後悔
大人になって再会したノリコに対する感情
それぞれの感情が時系列ごとにものすごい勢いで脳内に流れ込んでくる感じで、掴みどころのない作品でした。
なので、結果的にはハッピーエンドですが、スッキリとした読後感ではなく、ノリコとミカ二人の濃密な人生を体験できる一種のアトラクション(?)を彷彿とさせる作品だと感じました。
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Posted by ブクログ
人は他人との対話の中で嘘をつき続け、その他人もまた嘘をつき返す。過去の嘘を隠すための嘘をまたついて、そうやって積み上がっていった歪な自分の人生はひとつの動きで総崩れを起こす…
まるでジェンガ!なるほど!
恋愛感情、現実逃避、子どもへの愛、他人の期待にこたえるため…この世の嘘がすべて悪から始まるものではないけど、ひとつ共通することは昔ついてしまった嘘をなかった事にはできないということ。
これから積み上げるもののなかに歪さがないか、まっすぐ置けてるか、はたまた…誰かのために嘘を本当にできるチャンスはないか。そんなことを考えさせてくれる本でした。
にしても最後泣かせにきたぁ!! -
Posted by ブクログ
怪談の短編集。すごく短いのもある。
・十円参り
なっちゃんが消えた。ミサキとマヤは、十円とともに名前を書いて10日間続けて神社の賽銭箱に入れると人を消せるという、十円参りを誰かがしたのではと疑う。
・手紙の主
作家に届いたファンレター。鉛筆で弱々しく書かれ、最後は薄くて読めない。他の作家にも似たものが届いていた。その話をすると、近しい作家に次々と届く。
・丘の上
・殺したもの
意味不明。
・スイッチ
電車で音楽聴いてたら、知らないゴスロリに話しかけられる。それから不思議なことが起こるように…。
・私の町の占い師
著者が産後に実家で過ごしていた時の、占いの話。
・やみあかご
夜中に起きてつかまり立ちをする赤ちゃん。
・だまだまマーク
子どもは時々、何かをじっと見ている。
・ナマハゲと私
これは怖かった!ナマハゲ文化の残る秋田の実家に大学の同級生とともに帰省する話。
・タイムリミット
『今際の国のアリス』を彷彿とさせる設定。
え、そこで終わるの?というかんじ。臨場感はあった。
・噂地図
その噂は誰から聞いたのか?を追いかけていって出どころまでを記録したもの、それが噂地図。作るときにはいくつかのルールがある。破ると罰が。
・7つのカップ
小学校への通学路にある、事故の多い横断歩道。そこにいつもいるおばさん。 -
Posted by ブクログ
これ、読んでも読んでもまだ続くんか、終わったとおもったらまだエピローグあるんか!という感じで、ちょっと飽きそうになったけど、細かく細かく語ってくれてスッキリ読み終えました。
7人それぞれの境遇がたっぷり語られ、そこからの真相もムリヤリ感がなくて、練りに練りに練られてる感じ。
舞台が進学校ということで、登場人物全員賢く物分かりがいい。常識的で優しく、なんと容姿もいい!なのでそれぞれの境遇がどんなに辛くてもどこか「へー」と思ってしまい、感情移入はしなかった。全員に心配してもらえる深月に対しては、中盤から「アンタなにやってんの」としか思えず、そうなっちゃうとこの話、もうダメですよね。いやでも、面白かった! -
Posted by ブクログ
ネタバレ悪くはなかったけれど、前作の方が好きだったというのが正直なところ。主人公が社会人になって大人の話が増えたからか、以前ほど心を動かされるような、刺さるような毒のある話は少なかった気がする。
本家のお嬢様が時おり見せる雰囲気のあるキャラクター性は良かったが、物語自体にはあまり深く関わってこなかったのも少し物足りなかった。歳をとって感じ方が変わっただけなのかもしれないけれど。
それでも印象に残ったのは、不注意で目を離した隙に娘を海で亡くしてしまった母親が、娘と再会するシーンだ。自分にも娘ができたばかりということもあり、どうしても自分自身に重ねてしまい、読んでいて苦しく、悲しい気持ちになった。
星3。前作の方が面白かったので、まずは前作から読むことをおすすめしたい。