辻村深月のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最近、直木賞受賞作を選んで読んでいる。
辻村深月さんはこの作品で受賞したのね。
登場するのは盗癖のある女、婚期に焦る女、DVや育児に追い詰められる女など、どこにでもいそうな普通の人々ばかりだ。
作中で描かれる彼女たちの行動は、一見すると「なぜそこで踏みとどまれないのか」と思える愚行に見えるかもしれない。
しかし、その根底にあるプライドや葛藤は、決して他人事として切り捨てられない生々しさを持っている。
育児の息苦しさや日常の違和感など、胸に迫る細部の描写力も実に巧みだ。
「イヤミス」という一言では片付けられない、心に消えないシミを残すような物語を作る辻村さんの手腕には脱帽するしかない。
-
-
Posted by ブクログ
やっぱり辻村さんは上手いなぁ。
3編収録された短編集です。どの話も「嘘」がキーワードになっています。
『2020年のロマンス詐欺』
コロナ禍、進学した大学の授業が始まらず親からの仕送りも減額されてしまう中、バイトを始めた大学生のお話。リストの中の人物にメールを送るだけ、という簡単なバイトのはずが──
『五年目の受験詐欺』
息子の中学受験で、親の情報共有のためにとある紹介制の塾に入った主婦。その塾の経営者から、裏口入学を紹介されお金を払ってしまうが、実はそれが詐欺だったのだと知らされる──
『あの人のサロン詐欺』
人気マンガ原作者のふりをしてオンラインサロンを運営する主人公。オフ会では、会 -
Posted by ブクログ
主人公・理帆子のキャラクターがよくわからなくて、物語に入っていくのに時間がかかりました。
優等生っぽいけどチャラチャラしてて、ドライだけどジメジメしてて、ドラえもん好き。周りの人との関わりも達観して割り切って、結果居場所がない感じ…理帆子の「少し・不在」ってコレなの!?と私なりに腑に落ちてからは、グングン進みました。
どの登場人物も印象的なのですが、特に気になるのは理帆子の高校の先輩・別所と元彼・若尾。
別所のとこは読み直しちゃった。そして若尾は、モデルがいるかのような細かい描写にずっとゾワゾワ。
それからやっぱりくじらとドラえもん。どちらもこの物語に出てくる大事なモチーフなのですが、あま -
Posted by ブクログ
亡くなった人と再会できるという設定に惹かれて読み始めた作品。感動だけを描く物語ではなく、再会を望む人、それをためらう人、それぞれの立場や後悔、伝えられなかった思いが丁寧に描かれていて、短編集でありながら一つ一つの話に引き込まれた。
もし自分なら誰に会いたいだろうか、そして本当に会うことがその人のためにも自分のためにもなるのだろうかと考えさせられる場面が多かった。大切なのは亡くなってから思いを伝えることではなく、生きている今のうちに伝えられることは伝えておくことなのだと感じた。人との別れは突然訪れるかもしれないからこそ、日々の時間やつながりを大切にしたいと思える一冊だった。 -
Posted by ブクログ
誰かに存在を承認されたいというのではなく、執着されたい、選ばれたいという飢え。他の誰よりもある一点で優れていたい、それを皆に認めさせたい。喉元から欲しがる友情という名の執着と特権的地位を、歪んだ視点で描写していて普通に引いてしまった。学生時代特有の何かしらの差別が、愛や執着への飢えを発生させてるのか。それでも愛を受けてこなかった、愛されないと思いながらも誰かに愛を与えられるべきだというルリエの無自覚な傲慢さを持つその矛盾が人間臭くてこの作品の1番の魅力でもあり気持ち悪いところだと思う。客観的でかつ平均的な美波のセリフが痛々しいほどに友情パートは盲目というより半分解釈を超えて妄想も入っているよう
-
-
Posted by ブクログ
死んでしまったあの人に会いたいと願う生者のために、死者を一晩だけ呼び出す使者(ツナグ)のお話。
章ごとに視点人物が異なり、最後の章だけはツナグ視点。
映画とかドラマにしやすそうな設定だなー、と感じました。
読みやすいし、堅苦しくないし、映像が浮かびやすいから中高生にはおすすめしやすい小説かな。
ただ個人的にはうーん、、
やっぱり死を描くって難しいなと。
死者と、それに関わる生者の関係って、こんなにキレイではないよねと思ってしまう。
割り切れない何かがあるからこそ死は文学のテーマとして最重要だと思う。
その割り切れない何かを、この物語の死者や生者たちからは感じられなかった。 -
Posted by ブクログ
「私だけの所有者」:自我を持つロボットが語る物語としてはこれで3作目になるが、ストーリーが最もシンプルだったため、肩の力を抜いて最後まで楽しむことができた。Lee Baconの『Interview with the Robot』では、主人公のロボットがほぼ最後まで自分を人間だと思い込んでいたため、終盤に差し掛かると胸が締め付けられるような思いをした記憶がある。また、石黒カズオの『Klara and the Sun』では、伴侶ロボットが最後まで誰にも選ばれず、販売所から廃棄場に至る過程が彼女の視点から語られており、衝撃的なほど斬新で、かつ重い読後感があった。これら二作と比べると、本作は機械知能の