辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026.05.04
ホラーアンソロジーはなかなか満足できるものがないんだけど、作家さんたちが錚々たるメンバーだったので久しぶりに購入してみた。
いつもそう思って購入して期待外れだけど、このアンソロジーは読み応えがあって総じて大満足。
小野不由美の短編は名作すぎて覚えていたけれど、読んだはずの常川光太郎と岩井志麻子はまったく忘れていた。小林泰三はこういうアンソロジーでしか読んだことがないけれど、一度も面白いと感じたことがない。正直、小池真理子と小林泰三がアンソロジーに入ってると、その話は「捨て」だなと思ってしまう。
澤村伊智「シュマシラ」
UMAや妖怪に絡むテーマは面白いかったし読んでる途中はどう話が展開するのかワクワクしたけどオチが弱いと感じてしまった。
岩井志麻子「あまぞわい」
地元に伝わる恐ろしい洞窟の言い伝えを子守唄代わりに方言で語る爺と婆の語り口がとても雰囲気があり、この先どうしようもない2人はどうなる?と読む手が止まらなかった。かなり大昔に「ぼっけえ、きょうてえ」を読んだはずなのに全く覚えていなかったけど名作。 -
Posted by ブクログ
母親とは、親友とは、女とは、結婚とは、を考えさせらる20代後半に刺さる本だと思いました。
田舎の閉鎖的な人間関係や考え方の傾向を複数の登場人物の視点から表現されていて、高校とか大学とかでて数年経つだけであーこうなっちゃうよなあと思った。
人は人を相手がどのレベルの人間か、どのカーストか、ラベル付けして見ているんだというのを思い知らされる。
第一章を読んでいて、チエミの印象から自分の友人を思い浮かべた。いつまでも母親から世話を焼かれてご飯も作れない、流行りに敏感ででも無駄遣いはしない、保守的で人と違うことを恐れる、必要以上に人を誉めて自虐が常、心配性で視野が狭い、どうしようどうしようという癖にただ共感して欲しいだけで頑固で人の意見を吸収できない。目標とかそんなの人生で1度もないんじゃないかと思うくらい自立心がない、気概がない私の友人。チエミと似ていると思った。
でも私はそんなところと含めて友人だと思うしみずほもそうなんじゃないかなと第二章を読んで理解した。幼い頃からの付き合いというのもあるが、チエミの幼さや純粋さは何よりの魅力でもあるのだと思う。律儀でマメ、真面目で従順、人と違わないようにという面では根性があり、頑固さを発揮できる。平和主義だし、基本的に人を陥れるようなことはしないしできない。意志を持って突き進むみずほような人にもできないことを持っている側面に惹かれる部分があるんだろうな。
適齢期に結婚して出産したいという社会一般的な幸せを目指すチエミが、はじめて普通から逸脱してしまったところでのあんな出会いは物語だからだけど、相手の弱さと人間性、お互いの事情や問題を共有しない関係の不安定な安心感、感謝、罪悪感は、ほとんどが希薄な関係にしかならなかったチエミにとって新しい価値観になるはず。
なんだかんだチエミみたいな人は強いと思う、なんか根性ある感じする。