あらすじ
高校卒業から10年。クラス会で再会した仲間たちの話題は、人気女優となったクラスメートの「キョウコ」のこと。彼女を次のクラス会に呼び出そうと目論む常連メンバーだが、彼女に近づこうと画策することで思春期の幼く残酷だった“教室の悪意”が、まるでかさぶたを剥がすようにじわじわと甦り、次第に一人また一人と計画の舞台を降りてゆく……。28歳、大人になった男女5人の切迫した心情をそれぞれの視点から描き、深い共感を呼び起こす。圧巻の長篇心理サスペンス。
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辻村深月さんの作品はいつも序盤、そこまで集中してないのにも関らず途中から続きが気になり過ぎてものすごい速さで読み終えてしまう。
地元の同級生と仲良いと聞くと、こういう世界を想像する。
そう思ってない人も中にはいるのだろうが、、
他人からは想像もつかない感情や世界がその人にはあり、
全く違った人生を生きている、そういう事がとても細かい描写で描かれている、、
匿名
色んな視点からの話しで途中からキョウコはどっち??となりましたが、すごく奥の深い内容で自分の学生の事など思い返してしまいました。複雑だけど素晴らしい作品でした。
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挫折や屈辱、恐怖の体験があるからこそ、囚われてしまう過去。いつか見返してやりたい、そんな気持ちを原動力に前へ進んだ経験も一度や二度はあるはず。高校卒業から大学、社会人と時を経て、仕事や私生活の端々で徐々に差が顕れる20代後半。傍流に生きた過去をコンプレックスに持ち、現在まで縛られてきた聡美、島津、紗江子らが、目の前の日々に新たな価値を見出だし、クラス会メンバーを降りていく姿が印象的でした。
最も恐れるべきは、変わり行く周囲と変われない自分。成功を目の前に見せてしまったのは、自分の責任ではない、と無関心さを醸し出せるほどに今を生きるキョウコこそが真の太陽なのかもしれません。
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今まで読んだ辻村深月氏の中で、1番トリックに驚かされた。ゾワゾワとさせられた。
キョウコの同窓会は、十数年後くらい先にしたいという発言に共感した。
p246狭い教室には、狭いからこそ曲がった法や支配がまかり通ってしまう。
p384扉は私の内にこそあり、そしてまた、私の内にしかない。
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スクールカースト、序列、女王様など学生の時の立ち位置や自分の居場所、関係性などを形容する言葉はあるが、アマテラスの神話を織り交ぜこの関係を表したのは、なるほどうまいなと思いました。
太陽は信仰の対象でもあり、畏怖の対象、天上にあって強烈な光を放つ唯一の存在。スクールカーストの頂点に立つ者を表現するのに、これほどピタっとハマるのはないのではないかと思うぐらい自分の中でストンときました。
女王だった同級生を語るクラスメートは太陽神アマテラスの伝説や寓話を語る市井の人々のようで面白かった。
このまま太陽の元で蠢く人々の話で終わるのかな、と思いましたが、その太陽が…という展開はさすがでした。
最後に物語の中心となった2人が邂逅する場面は映画のワンシーンのような、絵画、ある意味宗教画のような美しい場面が想像できて好きでした。
しかし…同窓会はこだわりや、プライドや、わだかまりが消えた50代以降が俄然楽しいですよ(笑)
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辻村深月さんは、子供と大人の狭間で揺らぐ思春期の中高生を描くのが本当に上手いと感じる。
こんなドラマチックな青春を過ごしていなくても、何故かしみじみとする懐かしさとチクチクとした痛みを覚える。
大人となった今では教室という狭い世界で、なんであんなに一喜一憂していたのかと思うが、学生時代は家庭よりも大きな世界だった。
社会に出てからの人生に比べて、一瞬で過ぎゆく学生生活は、いつまでも心にこびりついて離れない。
大人になってからも引きずって、あの教室から一歩も進めない人も少なからずいるのだろう。
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どうしてこうも 辻村さんの本は
痛いところを的確に何パターンも用意して、見ないようにしてた気持ちを引っ張りだしてくるのだろう。
憧れや嫉妬やずるさはもちろん、 自分を嫌いになってしまう滑稽さも、自分に自信を持てる客観性も 辻村さんの本では 全てを許してもらえるような感覚になれる。
物心ついた幼少期から今までの自分に優しくしてあげれる素敵な本。葛藤と諦めを繰り返し、自分の限界に打ちひしがれたことも感謝できそう。ありがとう辻村先生
Posted by ブクログ
昔の自分を見てるようだった。
昔の同級生が何をしているかネットで探してみた自分と。
本の内容ではなく、自分のことだが、、だけど、もう囚われないと決めている。人と比べても悲しくなるだけだから。今を楽しみたいと思ってSNSはやめた。
本の話に戻ると、自分を強く、良く見せようとするキャラクターたちは自分にもそんな事あったなと思い出す。一つ一つの話は、ちょっとずつキャラクター達の勘違いからボタンが掛け違えていくようだった。
個人的には、佐栄子と貴恵の話が良かった。大人しく、子どもを連れて電車に乗るのは周りに迷惑だからと言ってた友人が、自分と浮気をした男を殴り、夜中に子どもを乳母車に乗せて化粧もせず、心配して駆けつける。自分を見下していると思った友人が、正しい所が好きだったから一緒にいた、自分もそうなりたかった、と言う最後のシーン。私もそんな風に思える人に会いたいし、人を大事に出来る人になりたい。
過去は嬉しかったこと、悲しかったこととか色々あるけど、囚われすぎない。未來に向かって進んでいきたいと思える作品でした。
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名前に完全に騙された。もう一度読みたい。
学校の教室の中で登場人物それぞれ矜持を持ち考えて戦っていたのだなと思った。自分の当時の学生生活はこの本のように事件性もなければ自分の中の誇りを持って生きていたわけではなかったけど、苦しみを感じたので、こういう目に見えない立場とかざわざわした感情はいつも覚えているものだなと思う。
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あるページのある一文を読んだ瞬間、それまで頭で描いていた風景がガラリと変わり、冒頭から読み直したくなる小説。こういう類の小説はいくつかあるが、今回は思いがけないところでその一文が出てきたので驚きとともに「やられた!」という気持ちにさせられた。
それにしても、登場人物の誰とも共感できず、「みんな、小物だ」と思った。そんな私も小物。
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辻村さんの作品の登場人物(特に女性)に共感できない、だがそこが面白いといった事を何度か書いたように思いますが、本作は"その共感できない度合い"がちょっと突き抜けていたように思います。特に貴恵さん、怖いです。男も一人は論外ですが、もう一人はただのいい人。でも彼の大人になりきれない感じが、ある意味この話の根底なのかも知れません。
青春って素晴らしいけど、いつまでも固執するわけにもいかない。昔の歌詞じゃ無いけど、大人の階段昇るシンデレラ達の夢から覚めていく瞬間。そこを「一人ずつ連絡を絶つ」というミステリ仕立てにした構成は素晴らしいと思います。
ただ、登場人物の心の揺れ動きとトリックそのものには、やや親和性が薄かったようにも思えます。ただのハートウォームな話で終わらしてもよかった気もしますが、それでは盛り上がりに欠けたでしょうか。
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辻村深月さんの『太陽の座る場所』を読みました。自分の居場所やプライドなど、多くの人が学生時代に経験したであろう感情や言動を、複数の登場人物の外面、内面から見せていく内容です。ただ1回目に読んだときにはクライマックスに近づくにつれ「あれっ??」と、内容をしっかり理解できませんでした。理由は、響子と今日子、キョウコ、りんちゃんなど。名前が同じ人物が複数登場するに加え、あだ名で呼ばれていたりするからです。ただ、もう一度読むと特段難しくなく。今日子と響子という2人のヒロインを軸に、先述した青春時代ならびに社会人になってからの葛藤や気づき、立ち直りまでを描いた作品であることが、さらりと腹落ちしました。いい、悪いにしろ、自分をしっかりと持っている。太陽のように輝いている人は、人への影響が大きいこと。天照大神が洞窟に隠れた神話に重ねているあたりも、小説家の人の想像力や発想はすごいと、改めて感じました。映画化もされているようなので、見てみようと思います。
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✩3.6
クラスメートの一人の視点で話が進んだあとに、また別の人の視点、また別の、また別の…
話が進んでいくと、1人目の話で思ってたこと、考えてたこととあれ?なんか違うな?と思い、そのまた次で違うな?と思いの繰り返し
それぞれの視点でそれぞれの人生
実際に私も学生時代に勘違いしていてあとから言われて気づいたことだってある。
些細なことやけど、喧嘩してちょっとの間口聞かない時期だってあった。もったいない…
逆にみんな自分に本気で向き合ってるからこそ、相手との関係に差がうまれてしまうんやろか…
Posted by ブクログ
青春の歴史を追いながら、ミスリードにかかってしまいました。
辻村深月さんは、どうしてこんなにも心理描写を描くことができるのか不思議でならない。
とても楽しめました。
高校卒業から10年。クラス会で再会した仲間たちの話題は、人気女優となったクラスメートの「キョウコ」のこと。彼女を次のクラス会に呼び出そうと目論む常連メンバーだが、彼女に近づこうと画策することで思春期の幼く残酷だった“教室の悪意”が、まるでかさぶたを剥がすようにじわじわと甦り、次第に一人また一人と計画の舞台を降りてゆく……。28歳、大人になった男女5人の切迫した心情をそれぞれの視点から描き、深い共感を呼び起こす。圧巻の長篇心理サスペンス。
Posted by ブクログ
辻村深月3冊目なんだけど、ここにきてこの人のスタイルがなんとなくわかってきて、これは辻村深月が書いてるなっていうのをよくよく感じる本だった。登場人物の作り方が上手なのかな。小説の中の住人っていうよりは、実際こういう人いるよね、が近い。かがみの孤城大人バージョンみたいに感じた。
Posted by ブクログ
最初なんか難しいかもって思ったけど読み進めてくうちに人間関係の構図が見えてきて、読めば読むほど面白かった。
さすが辻村深月さんって感じの人間の感情とかヒエラルキーとか心のうちで考えてる暗い部分とかの表現が綿密ですごく引き込まれた。
響子とキョウコが同一人物じゃないとわかった時の衝撃と倫子でリンちゃんかと思ってたのになんか謎の違和感があって、実際違う人物だったのもすごすぎて面白かった、、
前に読んだ食堂かたつむりの主人公が倫子でりんこ読みだったからめちゃくちゃ騙された(笑)
フリガナがなくてともこなのかりんこなのかと思ってたけどみつこっていう読み方もあるんだと初めて知った。
Posted by ブクログ
登場人物が多く、特に前半は難しかった。
再読必須。
登場人物をすべて理解してからの再読により一回目と全く違う見え方となる。辻村深月得意の名前を使ったミスリードがかなり綿密に組み込まれている。上手い。
Posted by ブクログ
まんまとやられました。
解説に、思春期の姿に覚えがありすぎて、でも実体験としての覚えはなく…という所に共感。
はて、どうだったかな?
狭い世界から、外に出て、大人になって、何者にもなれなかったり、極一部の人がなったりする。
あの子もその子も、もしかしたらクラスにいたかもしれない。
Posted by ブクログ
相変わらず登場人物の心理描写がリアルで怖い。
空気を読み合い、その場での自分の立ち位置を客観的に捉えて適切な言動をしようとする学生ならではの空気感が痛いほど伝わってきた。
楽しかった学生生活を振り返ってみても、純粋に楽しめていたときも、必死に周りに合わせようとしていたときもあり、自分に重なる部分もあった。
Posted by ブクログ
高校を卒業して10年、毎年続けていたクラス会もメンバーが固定化している。女優になったキョウコと、昔女王様として振る舞っていた響子、それを取り巻く人たちが語り手となって進む。みんな表と裏があるのが現実で。ただ、語り手となった人が次々と退場していくことに何か意味があるのかと思ったが、最後まで明示はされなかったのが不完全燃焼感。
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読み進めていくうちに、あ!!となる箇所がある。
ミスリードにすっかり騙された。
人の怖い部分がじとっと書かれていて、うまいなーと感心しながら読んだ。
Posted by ブクログ
卒業して10年、毎年恒例になった同窓会で、一見和やかな空気の中に渦巻くどろどろした思い。女優になったかつてのクラスメイトを何とか担ぎ出そうとする幹事たちや、それぞれの思惑を秘めて過ごす社会人たちの今と昔を綴った連作短編集。
辻村先生の初期作、『冷たい校舎の時は止まる』『凍りのくじら』『スロウハイツの神様』といった日常爽やかミステリ路線から趣を変えて、大人の腹黒さやしたたかさを前面に出し、決して綺麗ではない人物の内面描写を重視した、いわゆる「黒辻村」といわれる作風の一作。結末も必ずしもハッピーエンドではないが、登場人物それぞれが自分たちの過去と現実に折り合いをつけていく姿に、生々しい決意のようなものを感じた。ミステリ作家らしいトリックもあるにはあるがそこまで話の中心に影響する伏線ではなく、むしろこれは蛇足なのではとすら感じる。
Posted by ブクログ
辻村作品をデビュー作から読んでいたけど、講談社以外から出版されたのはここからなのか。
今までと雰囲気が変わった。
ほのかにあったファンタジー色が無くなったし、過去作とのつながりも無い。
無理につなげようとすれば、「売れっ子脚本家ってまさか…」とは思うけど。
陽キャの闇が溢れ出てくる。
自分とは関わりのない人たち。一見脳天気に見えたけど、みんなそれなりの傷はあるんだろうか。
Posted by ブクログ
久しぶりに読んだ辻村深月、だまされたーーって感じ
学生時代、確かにあったカースト、周りからの見え方、一軍、どうでもいいけど、本人たちにはすごく重要な問題、くだらないと一部では思いつつも、今も手放せないまま、計算ばかり
Posted by ブクログ
これは再読必至です。
どんなお話しなのかはなんとなくわかっていたのでだまされないぞ!と神経張り巡らせながら読んでいたつもりでしたが、まんまと辻村先生にやられました!
思い込み、ダメ、絶対(笑)
辻村先生は女性の狡賢いところ、感情の裏表、生々しさの表現…もう、本当にすごい。こんな言い方していいのか??ですが、読み手を嫌な気分にさせる天才?!
そして今まで読んだ作品、共感できる女性がほぼいない。本作も然り。
いろいろあった人間模様だったけど最後は日本神話の天照大御神が出てきたときのように太陽に照らされて暗闇に光が射し込んだ。
Posted by ブクログ
やられた!
ってかんじの、辻村さんらしい仕掛けがあるお話。
ネタバレわかった上で、最初から読み直したくなります。
「光待つ場所へ」の中の「チハラトーコの物語」に出てくるオーディションのエピソードがこの話に出てきて、世界線が繋がってることがわかる。
これも辻村ワールドあるある。
Posted by ブクログ
辻村深月らしさ満載の作品でした。
ストーリーへの引き込み方がエグい。登場人物を敢えて各章の見出しにせず、出席番号で惑わせていく。わかりづらいなと思っていたら、後々になって色んな面白みが出てくる。ただ、最後はダレるかな。
学生時代のカースト、当時の人気者、有名になったあいつ、同窓会の鬱陶しさなどなど、自分の周りにいる人物に置き換えたりしながら読んでたら、何だか笑けてきました。ゲスゲスしてて良かったです笑
Posted by ブクログ
途中までは面白かったが、後半下降気味というか。スクールカーストのない学校だったから、なぜにそこまで足の引っ張り合いをするのか意味がわからず…でした
Posted by ブクログ
おもしろかったんだけど、期待値が高かったことと、朝井リョウさんの桐島を読んだ後だったので、ちょっと構成が似てる感じがして、インパクトが薄かったです。
全体的に、コンプレックスを隠し、外面良く生きている人ばかりで、それぞれ共感も出来るし、面白いんだけど、やっぱり、その中に変化や、意外性があって欲しかった。読み終わったときに、この人の話が良かったなーみたいな感じがあまりなく、結構きつい話ばかりだったなーと感じた。辻村さんらしい最後のどんでん返しは、読んでいて納得でした。
映画化で、水川あさみさんが主演ということで、是非見てみたいと思います。ただ、二人のキョウコをどう映画で見せるんでしょうか?