海外文学 - グーテンベルク21の検索結果
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二人の女王
「ソロモン王の洞窟」の続編。アラン・クォーターメンはカーティス卿、グッド大佐、ズールー族酋長ウンスロポガスに声をかけ再び東部アフリカへ。マサイ族との戦いのあと、一行は地下河川を経て未知のズー・ヴェンディス国に達する。その国の住民たちは好戦的な白人で、双子の姉妹ニレプタとソライスによって統治されていた。姉妹はカーティス卿に魅せられ熱烈な恋心を抱くが、卿が受け入れたのはニレプタだった。ニレプタが高地の支配者ナスタを拒絶したことをきっかけに、国はニレプタ/カーティス/クォーターメン連合軍対ソライス/ナスタ軍に分かれて内戦に突入する。ニレプタは激戦に勝利を収め、司祭たちの暗殺の企てを退けてカーティスと王位に就くが、多大な犠牲も払わなければならなかった。 -
二人の若妻の手記
バルザックの小説のなかでも珍らしい書簡体の形式をそなえ、きわめて手ぎわよくまとめられた作品。その文体も若々しいみずみずしさにあふれている。この小説のモチーフをなすものは、互いに「牝鹿さん」と呼び合っている仲のよい二人の娘――金髪のルイズと栗毛のルネ――との、いちじるしいコントラストを示す結婚生活である。この二人の女性はほぼ同時にカルメル会の修道院を出て、一人はパリの社交界にはなばなしくデビューし、激しい情熱のおもむくままに恋愛結婚を選び、一人は草深いプロヴァンスの片田舎で、個性的な結婚を受け入れる。喜びや不安や、希望や落胆の交錯するそれぞれの生活を、この二人の女性はときにはあふれるばかりの誇りをもって、ときには軽い嫉妬や非難をこめて、ことこまかに書き送る……。 -
変身
「ある朝のこと、落ちつけぬまどろみの夢からさめたとき、グレゴール・ザムザは寝床のなかで一匹のばかでかい毒虫に変わった自分に気がついた。かたい甲羅(こうら)のせなかを下にした寝姿だった。ちょっと頭をもたげてみると、せりあがったアーチ型の腹部が見えた。鳶(とび)色の、固い環節(かんせつ)でいく重にも仕切られている。そのお腹(なか)のてっぺんには、掛けた布団がいまにもずり落ちそうなかっこうで、やっとこふみとどまっているしまつ」……セールスマン、グレゴール・ザムザのへんてこりんな「変身」を通じて家族に引き起こされる悲喜劇。奇才カフカの面目躍如たる短編。 -
マゼラン
私は大自然に対して最初に戦いをいどんだ、あの大航海時代の人々のことをもっとくわしく知りたいと思った。そのなかで、ただ一つだけがこの上なく私を感動させた。それは、世界探検史上、もっとも大規模な事業を果たしたと思われる男、すなわちフェルディナント・マゼランの偉業であった。彼は五隻のとるに足らぬ小帆船でセビーリャから出航し、全地球を一周した――おそらく人類史上もっともすばらしいオデュッセイアと言えるであろうが、堅い決意を抱いて出帆した265名の男たちのうち、わずか18名のみが朽ちはてた船に乗って故郷へ帰りついた。そこに彼の姿はなかったが、その船のマストには偉大な勝利の旗が高くかかげられていた。 -
魔の山
ハンブルク生まれのハンス・カストルプはアルプスの山中にあるサナトリウム「ベルクホーフ」で7年間の療養生活を強いられる。その間、ロシア婦人ショーシャに愛を寄せ、理性による文明の進歩を信ずる民主主義者のイタリア人セッテンブリーニと、独裁によって神の国を実現しようとするユダヤ人ナフタとの、決闘にまで立ち至る壮大な論争に巻き込まれる。また、精神の世界に対して感覚的な生の世界を代表するオランダ人ぺーペルコルンからもハンスは深い感銘を受けるが、ペーペルコルンは自殺し、ショーシャも山を去る。雪のなかの彷徨で感じた至福感を胸中に抱きながらも、ハンスは突如として襲ってきた大戦に勇躍参加する選択をする。トーマス・マンの代表作。 -
マハーバーラタ
インド神話の精髄「マハーバーラタ」の完訳。1998年度翻訳出版文化賞受賞。これは、クル家とパーンドゥ家の領土をめぐって争われた戦いの物語である。父王の死んだ後、パーンドゥ5人兄弟は伯父のドリタラーシュトラ王のもとに引き取られ、従兄のドゥルヨーダナたちと一緒にわが子同様に育てられた。しかし、この間に従兄弟同士のライバル意識や憎しみの感情が芽生えていった。ドリタラーシュトラ王は、5人の長兄ユディシュティラの優れた人格を認め、王位相続者として指名する。ここから両王族間の果しない憎しみと戦いの歴史が始まる。ドゥルヨーダナは、パーンドゥ一族を滅ぼそうと奸計を巡らし、賭事好きのユディシュティラをサイコロ賭博に誘い、まんまと罠にかける。一切を奪われたユディシュティラたちはカーミヤカの森に放逐された……この物語は太古の昔から綿々とつづくため、神々の系譜など煩雑なところも多く、最初はなかなかとっつきにくい。「物語のあらまし」で概要を把握してから読みすすめるのがおすすめだ。 -
マンスフィールド・パーク
作者オースティンの作品は、すべて田舎に住む紳士階級の適齢期の娘たちの身の振り方を中心とし、それを取り巻く田舎の小世界の人間関係を題材としている。本作の主人公ファニー・プライスをめぐる物語もまったく同じである。彼女は伯母の嫁ぎ先のバートラム准男爵家に引き取られる。きびしい伯母の監視の目があるなか、ファニーはバートラム家の2人の兄弟と2人の姉妹、そこに顔を出す親友知人らとのさまざまな関係のなか日々を送る。ファニーはいつしか次男エドマンドに恋心をいだくようになったが……オースティンならではの皮肉とユーモアが光る代表作のひとつ。その世界では、「金のために結婚するのは愚かなことながら、金なしで結婚するのは、なお愚かなこと」(ある批評家の言)なのである。 -
未成年
『罪と罰』『白痴』『悪霊』につづくドストエフスキーの4番目の長編小説。幼時から屈辱のうちに生い育ち、その間に自ら育んできた、ロスチャイルドになるという夢と、父ヴェルシーロフにたいする憎念と愛の渇望を抱きながら、父の招きに応じて上京した主人公アルカージイ。彼が身を投じた新しい生活環境は、さまざまな事件と陰謀と犯罪の渦巻く無秩序の世界だった。理想を見失って堕落の淵に落ちそうになりながらも懸命に踏みこたえ、一方ではカチェリーナ夫人にたいする恋と、その恋を種に企む悪党ランベルトの陰謀への加担の誘惑と闘い、異母姉アンナの、老公の財産を横領しようという企てを未然に防いで苦闘する。あげくはこれら錯綜した事件が一挙に解決したおかげで、彼はようやく押し流されようとした濁流から脱することに成功する。19世紀ロシア社会で、真の自由を求めてはげしく揺れうごく、青年アルカージイの魂の告白。 -
息子と恋人
主人公のポール、その二人の恋人たち、ポールの母親とのあいだに繰り広げられる愛憎の葛藤を描きつくしたロレンスの代表作のひとつ。母親は希望の星だった長男ウィリアムを亡くし、すべての期待と愛情をポールにそそぐ。ポールにとって母親は絶対だった。ポールの幼馴染の恋人ミリアムは読書が好きで宗教心もあついが、性については消極的だ。一方、もう一人の恋人クララは人妻で肉体的な魅力にあふれ、婦人権運動家でもあった。母親はミリアムに対して敵意さえいだき、クララに対してはむしろ寛容なところをみせる。ポールはミリアムを退けるが、母親が亡くなって絶望的な喪失感をいだく。クララはポールといさかいを起こし別居していた夫のもとに戻る。ポールはミリアムの求婚も振り切って、一人で生きていこうとする。 -
メリー・スチュアート
あるときは残忍な殺人者、または聖なる殉教者、あるときは愚かな陰謀家として、16世紀ヨーロッパの政治権力とからむ宗教的分裂の時代を背景に生きたスコットランドの女王メリー・スチュアート。生後6日にして女王に。58年にはフランス皇太子と結婚、翌年フランス王妃となり、61年には夫の早世により帰国。以後新旧両教派の争いと家臣間の内紛を極めた政治情勢の中に生き、さまざまな争いの渦中に、エリザベス女王廃位の陰謀荷担の疑いで監禁され、19年間各地に幽閉後、処刑された。ツヴァイクは豊富な資料をもとに、悲劇の女性を、対照的なリアリスト、エリザベスとの心理的対立の中に捉えて描く。「ジョゼフ・フーシェ」「マリー・アントワネット」とならびツヴァイクの三大伝記小説とされる。 -
モンテ・クリスト伯
青年エドモン・ダンテスは「ファラオン号」の次期船長の有力候補として、希望に胸ふくらましてマルセーユに帰港する。そこにはフィアンセが首を長くして彼の帰りを待っていた。だが、足取りも軽く父親とフィアンセのところへと急ぐダンテスの背後には、「ファラオン号」の会計士ダングラールの食い入るような憎悪のまなざしがあった。…ダンテスが知らずして託された手紙が陰謀の引き金をひく。ダンテスは無実の罪を着せられ、死の牢獄「シャトー・ディフ」に幽閉される。囚人三十四号としての十四年の獄中生活! だがダンテスはついにチャンスをとらえて脱獄する。まず知りたいのはフィアンセのこと、父のことだ。せめて獄中で知り合ったファリア神父から聞いたスパダの秘宝を手に入れることができれば…雄大な構想で展開する波瀾万丈の物語。 全5巻。 -
良き兵士シュベイク
プラハで怪しげな犬の売買をして暮らしていたシュベイクは、オーストリア軍に召集されて前線に送られる。以前に兵役に服したときは「愚鈍」とレッテルをはられて除隊になったのだが、シュベイクははたして「愚鈍」なのか、それとも「知恵者」なのか。だが、シュベイクは上官の命令を忠実に実行することで、軍に多大な損害をあたえる。軍律の盲点をつく天才だったのだ。この長編は、第一次世界大戦時に被支配状態にあったチェコ人の一下級兵士がおこなった珍無類の抵抗と冒険をコミカルにえがき、諷刺・ユーモア文学の世界的傑作として名高い。シュベイクが常連だったことになっているプラハのレストラン兼酒場「ウ・カリハ(さかずき屋)」は、今も観光名所として知られる。 -
ラーマーヤナ
古代インドのサンスクリット語による大叙事詩。詩聖ヴァールミーキの作と伝えられる。ガンジス川の中流に位置するコーサラ国の首都アヨーディヤーを統治するダシャラタ王は3人の妃によって4人の王子を得た。長男のラーマは魔類を滅ぼすためにヴィシュヌ神が人間に化身したものであった。王は長男ラーマに王位を譲ろうとしたが、継母のカイケーイーは、自分の産んだバラタを王位につけ、ラーマを14年間追放するよう王に迫る。ラーマはそれを知ると、自ら森に入った。妻のシーターと弟のラクシュマナも彼に従った。王が亡くなると、バラタはラーマを連れ戻しに行くが、拒絶されたので、ラーマのサンダルを玉座に置いて、王国を守りつつラーマの帰国を待った。ラーマはダンダカの森において有害な羅刹(らせつ)を退治したので、羅刹の王ラーヴァナは彼を憎み、かつシーターの美貌に魅了され、彼女を略奪して、自分の王宮に幽閉した。ラーマはラクシュマナと共にシーターを救出しに出かける。この救出劇の詳細がラーマーヤナの主筋である。途中、ラーマは猿王スグリーヴァの窮地を救ったので、神猿ハヌーマンをはじめとする猿軍の支援を得て、ラーヴァナの王宮がランカー島にあることをつきとめる。ラーマは猿軍とともにランカーに渡り、激戦につぐ激戦のすえ、ついにラーヴァナとその配下の悪魔たちを殺し、シーターを救出する。1年間ラーヴァナの王宮に幽閉されていたシーターは、身の貞潔を証明するために火神を念じながら火の中に入り、火神はシーターを抱きあげてその身の潔白を証言し、ラーマに手わたす。ラーマは彼女を伴ってアヨーディヤー市に凱旋し、王位についた。「ラーマーヤナ」はヒンドゥー教の聖典とされて後代の文学と思想に多大な影響を与え、インド国外でも、ジャワ、マレー、ミャンマー、タイなどの文化に強い影響を及ぼし、中央アジアから中国や日本にも説話として伝えられた。表紙絵はタイ、バンコクの「ワット・プラケオ(エメラルド寺院)」にある大壁画の一部である。 -
レベッカの青春
「少女レベッカ」の続編と言ってもよく、「少女レベッカ」の場合とおなじように、女性としての自覚にめざめてゆく一人の少女の心理過程が現実的なさまざまなエピソードとともに語られていく。ただ前作とちがい、それらの出来事は、レベッカ自身の手記や回想という形で描かれ、記述がいっそう内面的になっている。後半には、青春期を迎えた十八歳のレベッカが登場して、繊細な感受性をたたえた、静けさと内省を愛する一人の女性に生長していく。作者は、米国フィラデルフィアで生まれの作家で、英米の若い世代から熱狂的に迎えられ、やがてその名はひろく世界に知られるようになった。 -
レ・ミゼラブル
日雇い労働者ジャン・ヴァルジャンは、貧しさのどん底で、ある日一片のパンを盗もうとして捕えられ、重刑を科せられる。彼は不当な刑に怒りをおぼえ2回も脱獄を企てたため19年も刑に服すことになった。ようやく釈放された彼は片田舎の町ディーニュに現われたが、宿屋は前科者と知ると泊めてもくれない。あてどなくさまよった彼は、アルプスのふもとにあるミリエル老司教の家にたどりつく。司教は、暖い部屋に招き入れ銀の食器でもてなしてくれた。だが、恩を仇で返すように、彼は司教館の銀の食器を盗んで逃げる。すぐにつかまり、彼は司教館に連れもどされたが、「それはわたしがこの人にあげたのです」と司教は言う。ジャン・ヴァルジャンは奇跡を目にしたような衝撃をうけ、寒風の吹きすさぶ野を泣きながら駆け去る……ジャン・ヴァルジャンの改心と苦闘の人生がはじまる。この主人公をめぐって、売春婦ファンテーヌ、その子コゼット、その恋人マリユスらの人生がからみあい、おりからの激動する時代とともに数多くの人々が嵐のように渦巻き過ぎる。ユゴーの世界観を集大成した代表作。 -
ローエングリン
ドイツ西部のブラバント公爵領では、先代の公爵が、娘エルザと息子ゴットフリートを残して死んでまもなく騒動が。エルザと散歩に出たゴットフリートが森の中で行方不明になる。これは魔法使いオルトルートが彼を白鳥に変えてしまったためである。が、オルトルートの夫で、公爵領を手に入れる野望を抱いていたフリードリヒ伯爵は、これを好機とばかり、エルザを訴える。エルザが弟を殺して領主の地位を手に入れ、秘密の恋人を宮廷に引き入れようとたくらんだのだ、というのである。たまたま来訪したドイツ国王ハインリヒが決闘でその決着をつけることになった。フリードリヒの相手はエルザの祈りに白鳥に曳かれた小舟に乗って現われた騎士「ローエングリン」だった……。 -
ロード・ジム
コンラッドはこの作品によって、海洋冒険物語を、名誉と勇気、忠節と裏切りの深い意味をもつ物語に変えた。理想主義肌の商船の一等航海士ジムは、沈没の運命にあった「パトナ号」と船客たち八百人を見捨てることで、若き日の栄光への夢を見捨てた。法廷で「臆病」の烙印を押されたとき、ジムは極東での放浪の暮らしに活を見出そうとする。スマトラのパトサンで原住民から伝説的な名声を得たジムは理想的な統治者としてふるまうが、悪漢ブラウンの出現で…。コンラッドの『闇の奥』と同じ語り手マーロウは、社会に拒否されながら、なお償いへの欲求につかれた男の、不可思議な心のうちに探りをいれていく。ポーランド生まれの英国の作家コンラッドの「密偵」「闇の奥」と並ぶ代表作。 -
私ひとりの部屋
「論文というより、エッセーに近く、エッセー小説風の描写スタイルで、それまで暖めてきたテーマが一気に噴出した、といった強い情熱がひしひしと伝わってくる作品ではあるけれども、そこは熟達した小説家らしく、具象的で、実際的であり、ふんだんに散りばめられた辛辣なジョークに思わず笑いも誘われる。従来の男性優位思考に対する、手厳しい皮肉と嘲笑と諷刺をからめた論詰が、とぼけた表現の随所に潜んでいるので、聞き手の若い女性たちはさぞ胸のすく思いをし、会場に笑いの渦を巻き起こしたに違いない」(エッセイスト高沢英子氏のことば)…講演をもとにしたウルフの女性論。