荻上チキのレビュー一覧
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ネタバレ特に印象に残ったのが、「道具の魔力」「自虐の落とし穴」「耐えるのではなく変える」というタイトルのエッセイ。
持ってしまうと使いたくなってしまう道具。
でも、その使い方は正しいのか、使う必要があるのか、他にその場にもっとふさわしい道具はないのか、それで人を傷つけていないか。
また、ついついやってしまう自虐。
私自身、特に20代の頃はいつも自虐していた。
自分ではできない、自分はこの場にふさわしくない、人並みになるにはどうしたらいいのだろう、心が弱いからだ、と自己否定し、自分を紹介するときは常に自虐していた。
ただ本の中でも触れられているが、自分のある部分を自虐することは、それを恥ずかしいものだ、嗤っていいのだと認めていることだという視点は心に残った。
また、相手に自虐された時にどう対応していいかわからない、席を外したくなるのも、自分も同じように思うと共感した。
そして、世の中にはびこる理不尽な校則に対して、「世の中はどうせ、こんなものだ。」と諦めるのではなく、こうできるのではないかと提案、実行していく。
世間の同調圧力があっても理不尽には対抗していくために行動を起こす。
この他にもいくつも、なるほどと思う箇所がある。
これは自分が生きていくうえで、大変有用な武器にもなり得る。
ただ、この本にも書いてあるように、それは一つの道具であり、その使い方、使う場所、使い時を誤らないようにしていこう。 -
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第一弾を何となくスルーしていたから、本作発売を受けて、慌ててまずはそっちから読んだもの。で、その第一弾が素敵内容だったから、当然その流れで、本第二弾に手が伸びる訳で。ここでも二人の作者の相乗効果が起こっていて、相変わらずの高品質。お笑い論とか、かなり首肯される部分が多くて、かつては自分も無邪気に笑っていた立場として、身につまされることしきり。何なら、具体的な放送場面まで思い浮かぶくらい。今はめっきりというか、全くテレビを見なくなったけど、その一因は間違いなく、鑑賞時の居心地の悪さだと思う。単純に飽きただけとか、集中力が落ちたせいとか思ってたけど、なるほど、こういう理由が実はあったんだな。そういう気付きにも満ちた一冊。
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Posted by ブクログ
全国不登校新聞の記者たち(元不登校経験者)達が、著名人にインタビューする。
インタビューする側もされる側も真剣に受け答えしているのがわかる。
また説教的ではなく、いろいろな考え方を尊重している記事なのが良いところ。
気になったフレーズ
・ヨシタケシンスケ
一番きつかった時期に考えていたのは、「現実の世界と空想の世界を完全に分けてしまえば、自分は楽になるはずだ」ということ。その思いを達成するために自分の頭の中だけの世界を創造しようとしたんです。だから僕はヒマさえあれば、手の平をじーっと見つめていたんです。何をしていたかというと、手の上に「自分しか見えない小人」が見えるようになるための訓練なんです。(笑)
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「こいつだけは僕のことをなんでもわかってくれる。だからつらくてもがんばろう」と思っていました。手の平を見ながら「もっと小人がはっきり見えるようになったら、自分は社会人としてやっていける」って思ってましたからね。
・R-指定
自分にコンプレックスがあったり、劣等感があったりする人こそ、なにかを表現するのに適している、と。多くのアーティストと出会いますが、みんなコンプレックスを持っています。俺も満たされていないからこそ、それを埋めるために表現をするという方法で今も自分を保っているんです。
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俺がその1年間、自分と向き合って、最終的に見つけた答えは「カッコつけてもあかんな」ということです。それまでの自分はカッコつけて、クールにラップを見せようとしていました。本当はラップに情熱があるのに、ないふりしていたんです。
・谷川俊太郎
詩は、小説なんかとちがって、時間軸をばっさり切っちゃって、いまこの瞬間というものを提出するわけです。悩んでいるとき、人間は、その時間をばっさり切られてちがう断面から見ると、意外になぐさめられたり、視点をコロっと変えたりすることができる。普段人間は地面にくっついて生きているんだけど、詩というのは高いところから俯瞰できるようなところがるように思います。
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僕は、繰り返しっていうのは、人間の実存の基本だと思ってます。人間は、どんな偉い人でも、どんなスターでも、基本的には、毎日の日常生活の繰り返しを生きている。それが人間の生きていく基本的なありかたですよね。
それを壊そうとして、みんな冒険だとか恋愛だとかで、一生懸命ドラマチックにもりあげようとしてがんばるんだけど、それも限界があって、基本的には毎日、平凡な日常を繰り返すことをちゃんと受け入れないと
人間はダメなんじゃないかと思う。
・庵野秀明
作家の村上龍さんは「表現とは自分の中の穴を埋める作業だ」と言っていますが、あれは確かにぴったりの言葉だと思います。自分の中に穴が空いていて、ものを作っていないと、その穴が埋まらないんですよ。
・荻上チキ
大人の社会より子供の社会のほうが、自由度が著しく低いんです。本来は子どもの方が大人よりも脆弱なので、より安全な空間として学校を設計する必要があるはずです。
たとえばその空間から離脱しやすくするとか、いろんなセーフティーネットを学校のなかに作っていく必要があります。しかし実際は、むしろより厳しいルールを子供たちに押し付けるようなことが前例になっている。 -
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秀逸なエッセイとマンガのコラボ。
日常に埋もれる色んな差別っぽさや暴力性や怖いもの。どれもこれも無自覚に自然に社会に溶け込んでいて意識すらしないもの。でもそれらは本当にそれで良くて正しくはなかったりする。それがヨシタケさんが後書きで書いてる自分にとっての「見えにくい世界」。それにチキくんのエッセイがたくさん気づかせてくれ、自分にとっての「メガネで補正しないと見えない世界」に気づかせてくれた。同じテーマで違う角度のヨシタケさんのマンガも楽しい。
角度を変えてみると、メガネをかけてみると、自分の色眼鏡を取って見ないと、見えない世界ってたくさんあるよな。それに気づいていくことって大切。
何回も読もうと思えました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「続」も、前編に劣らず非常によかった。前編と同じ編集方針となっており、全国不登校新聞社に在籍する、不登校・ひきこもりの当事者・経験者である子ども若者編集部員が、「私が話を聞きたい人に話を聞きにいく」という方針で取材を行うことにより作られている。「世のため」「人のため」ではなく、「私」が話を聞きたいというのが大原則となっている。
そのインタビュアーに答えた17名の著名人がこちら。
目次には、対談者のキーとなる一言が次のように紹介されている。確かにこれらのセンテンスがキーとなるものであるが、それ以外にも一人の読者として感動した言葉や生き方があった。
■中川翔子:ちょっとの「好き」を集めて、積み重ねていく
■ヨシタケシンスケ:遠回りしたからこそ、見えることがたくさんある
■りゅうちぇる:自分の「色」を塗り替えてもいい
■立川志の輔:他人とちがうのは、いいこと
■春名風花:いまあなたがいるそこがすべてじゃない
■あずまきよひこ:無理にでも頭を突っ込んでみると、たいがいはおもしろい
■R-指定:コンプレックスをさらけ出した方が、楽しかった
■谷川俊太郎:ミスフィットを活かす道はある
■庵野秀明:「ここ」じゃなければ、他のところに行こう
■宇多丸:自信は他人からもらおう
■田房永子:自分の「心」を大切にする
■大槻ケンヂ:「のほほん」と生きていきたい
■みうらじゅん:好きなことをいっぱいやろう
■糸井重里:できることをひとつずつ続けていく
■坂上忍:3割の共感があればいい
■椎名誠:方向が決まっている人生なんて、つまらない
■荻上チキ:人の役に立つことを生きる力にする
■対談:北斗晶×石井志昂(本書編集長) 人になんと言われようと、やりたいことをやってみる
この17人の対談者もまた、自分自身の生きづらさを乗り越えた今がある人たちであったり、生きづらさということを心で理解できる人たちであったりする。ある意味、自分なりの人生哲学をもっている凄い人たちである。
年齢は若くとも、何も考えずに自分の不安を子供に押し付けて生きている大人や、意味なくマイノリティであることを特別視するような人たちよりも、ずっとずっと物事を考える力があり、人生を闘っているのであり、生き方の哲学を確立しているように思える。
以下、自分なりに目に留まった対談者の一言など。
■中川翔子:「いちばんひどい日」を乗り越えると「そうでもない日」が来る。「そうでもない日」が続いた先に、思いがけない「死ななくてよかった」と思える日が来るはず。
■ヨシタケシンスケ:自分の意見を持たずに大学までいった。それに対し、「学校に行かない(不登校)」を自分で決めるということは凄いこと。
■りゅうちぇる:意見の違う人にあったら、その人の背景を考えるようにしている。
■立川志の輔:人生いろいろなことが起こる。学校に行かないということが、なぜそんなに大きなことなのか。大騒ぎしているのは大人。
■春名風花:いじめの加害者にフォーカスする。送信機をどうにかするしかない。ただし、「加害者が悪い」と単純化してしまうのは嫌。
■あずまきよひこ:何もできないと思われているうちに、失敗しておいたほうがいい。
■R-指定:学校の外の世界の人たちと出会えて、「俺はすごく狭い世界にいたんやな」と思った。
■谷川俊太郎:自分が詩を書いて生活するなんて考えなかったし、詩人になりたいとも思っていなかった。「なぜ詩を選んだのか?」-私が詩を選んだのではない、詩が私を選んだのだ。
■庵野秀明:(学校の)勉強は、受験のためのもの。テクニック学んでいるだけ。そのテクニックを身に着けることが社会に出たときに役立つというのは方便だ。
■宇多丸:最初の一歩は、わかならいけどやっちゃってた。最初の一歩に「理不尽なジャンプ」がある。
■田房永子:親は子どもにとって権力者で支配者で独裁者でハラスメントの加害者。子どもに過干渉にならないようにするためには自分の人生を楽しむこと。
■大槻ケンヂ:世の中で善と呼ばれているものが悪であったり、悪と呼ばれているものが善であったり、価値観というものは時代、民族、国家によって変わるものであって、ゼッタイの基準はない、
■みうらじゅん:不安は今でもあるが、なんとかなっている。常識が分かった上でやる非常識が、エンターテインメント。
■糸井重里:自分たちが何ができるかって言ったら、残念ながら、今のところ、努力することだったり勉強することだったりする。
■坂上忍:何かを成し遂げようとするとき必ず孤独になる。
■椎名誠:不登校しているのは、自分に忠実な素直な人
■荻上チキ:「逃げてもいい」というが、不整備な状況では、不登校は自己責任化されてしまう。学校には、セーフティネットが必要なのに、厳しいルールを押し付けている、 -
Posted by ブクログ
自分の読んでる新聞がだいぶ偏っててだんだん思想が染まってきたと自覚してたので、読んでみました。
データベースからの中立的な分析で、各紙の個性がよく見えてきました。
わかったのは、偏りのないメディアは存在しないということ、もちろん自分の中にもバイアスがあって、「真実」なんてないこと。偏りをなくしたいと思って読んだのだけど、結局、自分が心地よいと感じる言説だけ集めて、自説を強化して、「自分こそは偏っていない」という選民思想に繋がる。著者は、各紙のクセを認識しつつ、うまく付き合うように言いたいのだと思いました。
著者のメディアへの提言は、なるほどなと思うことばかり。署名記事のタグ化とか。もしかして言いたいことってこれで、その根拠と説得力を持たせるために、これだけのことを語ったのかな。
時々ちょっとユニークな部分もあっておもしろく読めました。 -
Posted by ブクログ
社会問題をどう解決するかということを平易な言葉でコンパクトにまとめている良書だと思う。
著者の荻上チキさんがパーソナリティを務めるTBSラジオのsession22というニュース番組をよく聴いていたが、荻上さんがどのような考えを持つ人なのかに興味をもって読んでみた。
・みんなが今よりもっとキリッとすればいいのだと考える「心でっかち」
・個人の問題ではなく、社会の側の構造を、多様な個人が困らない形で設計することで、障害を取り除こうとする「社会モデル」
その他、有意義な概念、ツールが紹介される。
「脱経済成長」を掲げることがなぜ危険なのか等、なるほどと思う指摘もたくさん出てくる。