【感想・ネタバレ】いじめを生む教室 子どもを守るために知っておきたいデータと知識のレビュー

あらすじ

「いじめ問題」を解決するために必要な知識とは何か。連日のように悲惨なニュースが報じられ、そのたびに多くの議論が交わされるが、その中には具体的な根拠に欠ける当てずっぽうな「俗流いじめ論」も少なくないと著者はいう。一方で、メディアには取り上げられずとも、いじめが社会問題化して以来30年以上にわたり、日本でも世界でも数々の研究が行なわれ、多くの社会理論が磨かれてきた。本書では、そうした数多くの研究データを一挙に紹介しつつ、本当に有効ないじめ対策とは何かを議論する。いじめ議論を一歩先に進めるために、必読の一冊。 〈目次〉●はじめに ●第1章 これでいいのか、日本のいじめ議論 ●第2章 データで読み解くいじめの傾向 ●第3章 大津市の大規模調査からわかったこと ●第4章 「不機嫌な教室」と「ご機嫌な教室」 ●第5章 理論で読み解くいじめの構造 ●第6章 「ブラック校則」調査から見えたこと ●第7章 ハイリスク層へのサポート ●第8章 メディアが飛びつくネットいじめ ●第9章 教員の課題と「いじめ防止法」 ●第10章 大人に求められること ●おわりに

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

読みやすくてとても実践的な本。いじめについてまず一番に読んで間違いない。

俺はいじめはなくならない。とほとんど諦めていたが、なくなりはしなくても、重篤化、深刻化しないようにすることは可能だし、その取組が大事なのだとわかった。

その具体的な方法も書かれていて、できることからやれそうである。

苦悩モードから解決モードへのスイッチが重要。

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2018年09月24日

Posted by ブクログ

様々な視点から「いじめ」を分析している。分析だけで終わらずに「教師として」「大人として」どう対応していくのか、考えさせてくれる。

「2+α制度」「ご機嫌な教室、不機嫌な教室」など、賛同することが多い。僕が学んできたことが、別の方向からも同じ視点で書かれていた。

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2018年08月03日

Posted by ブクログ

評論家として、いつも冷静な落ち着いて意見を述べる人だが、いじめに関しても造詣が深く、ストップいじめナビというNPOの代表もつとめている。いじめに関しては精神論や、被害者側の問題など、根拠に基づかない意見が散見されるが、本書は国内外の研究の成果を根拠を持って説明され、説得力がある。個々人の問題より環境的な問題もあり、国家が教育費に金をかけない、教師の滅私奉公も要因として考えられる。文科省も多少は根拠を持った対応に努力はされているのだろうが、まだまだ道半ばなのだろう

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

いじめの本質と対策についての名書。
うちの子の小学校でひどい事案が発生したのに保護者に全く情報共有されず、結果一年後にさらに悪化して隠しきれなくなったという出来事がありました。
本書を読んで、その隠蔽体質がさらに事態を悪化させたと思ってたのが間違いではなかったと実感しました。
この本で言うところの不機嫌な教室であったと思います。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

現状の教員の労働環境はあまりにも劣悪で、それがイジメの遠因になっているのだとよくわかった。

教室を担任の独裁環境にしないこと、子どもたちそれぞれに個別に向き合えるようにすること。

給特法は直ちに廃止して欲しい…そして教育にかかる政府支出を先進国並みに増やしてほしい…

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2022年05月04日

Posted by ブクログ

これは講演会で同内容のお話を伺ったことがあったんですが、書籍で改めて読んで腹に落とし込みました。
重要なポイントは、たとえば地方自治体でいじめについて議論する委員会みたいなのを立ち上げても、そこで議論されているのはいじめが起こったときの対処の話がほとんどだったりするわけです。
しかし著者が強調するのは、いかにいじめを生まない環境を整えるかという話で、それをエビデンス、データを用いながら考えているのが本書です。
だから教育に関心がある、とりわけ教員にはがんがん勧めてるし、いじめを考える最適な一冊だと思います。

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2020年08月25日

Posted by ブクログ

感情論ではなくデータに基づいて著者の意見も織り込みつつ冷静に、いじめの実態、様々な取り組みが記述されている。

子育てをする親は一度読んでおくべき本と思う。自分の子どもがいじめの被害者、加害者にもなり得る中で、親として知識を持ち、どう導いてあげることができるか、考えさせられる1冊であった。
また学校の先生が持つ役割や責任が重いのも事実である。親としても学校の取り組みに関心を持ち、子どもを通してだけでなく、自ら状況を把握することが大切なのではと思った。

子どもの環境が変わった際には、親としても読み返し続けたい本である。

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2019年11月06日

Posted by ブクログ

教師目線で読ませてもらった。やはり教師の力量ももちろん必要だが、それ以上にマンパワーが必要であることが明らかである。教師自身がストレスにさらされているこの頃では、普通ならきつく言わないこともつい声を荒げてしまうこともあるだろう。そこにもう一人いれば、自制心も余裕も生まれる。教室環境が良くなるためには、人が必要なのだ。

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2019年09月09日

Posted by ブクログ

豊富な研究成果とデータをもとに、いじめが「(加害者であり被害者である)児童、生徒のストレスを溜める環境」に起因するとする。シンプルだが説得力のある論説。
個人は勿論、いじめがもたらす社会的な損失にも触れ、では、どうするのか?まで示されているが、これは参考にしつつ、考えることをやめてはいけないテーマ。

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2018年12月03日

Posted by ブクログ

いじめについてかなり冷静にたくさんの統計を用いて分析。誠実な本。

ー学校の教室というのは、他人に時間を管理されている環境なのでなかなか自分好みのストレス発散ができません。一方、いじめというのは「それなりに面白いゲーム」なのでそういうかたちでストレスが発露してしまうのです。
マウンティングとラベリング。もともとマウンティングは動物の行動において使われる言葉。自慢したりダメだししたり、人間関係上どちらが優位なのかを探りあいながら立場の安定性を確保していくのが目的なのでしょう。
ラベリングは「この人はいじめられていい存在である」「この人は他の人よりも劣っている」とラベルを貼る行為。子供たちがラベリングをしているときに先生が助長するような冗談をいうこともある。(太っている子に「今日も良く食べるな!」など)

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2019年01月29日

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ネタバレ

いじめに関しては、皆がただの感想や経験則で語りがち。その中で学術的な研究結果に基づいた論説を繰り広げるこの本はとても貴重であり、評価できる。自分は「いじめは犯罪なのでどんどん警察を介入させるべし」という意見だったがそれは根本的な解決にはならないというくだりは「確かに」と唸らされた。数年後に各種データをアップデートした改訂版の発行を期待したい。

結論として生徒の親ができることは多くなく教員に委ねざるを得ないのいうのはなかなか厳しい現実だった。残念ながら本書が提案するような「ゴキゲンな教室」が政策的に実現されるのは当分先だと思うので、それまでは学校ガチャ、教員ガチャでハズレを引かないための自衛を考えるしかなさそうだ。

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2022年08月16日

Posted by ブクログ

データで語るいじめについての話。
徹頭徹尾、データやいじめ対策の歴史などを参照していじめを論じた、いじめに関する基本がわかる本でした。

いじめが起こりにくい「ご機嫌な教室」を作るために教師がするべきこと、いじめの早期介入がなぜ大切なのか、ネットいじめと教室でのいじめの違い、子供の成長に伴ういじめ方の変化、命を語る道徳でいじめが減るのか……など、いじめに関する疑問についてはこの本を読めば一通りは理解できるのではないでしょうか。これらの話がさまざまなデータに基づいて展開されているので、説得力が違います。

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2020年07月26日

Posted by ブクログ

いじめを生むのは「心」ではなく、「教室」(環境)だという指摘。
いじめを減らすにはどうしたらいいかわからなくても、どうしたらいじめを増やせるかを考え、その要素を減らすという発想はわかりやすい。
徹底的にデータを基にした、いじめへの対応策の数々。討論するより、まずは研究結果について勉強した方が良さそうだ。

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2020年01月21日

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いじめ関連の本は、独りよがりのものや、やたら難解な理論を構築したものなどが多い中で、この本はデータに基づいた冷静で分かりやすい分析ができている。いじめを被害者と加害者の個人間の問題ではなく、教室の環境(雰囲気)の問題だと捉えるのが重要で、これはほんとうに広く知ってほしいところだ。

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2018年12月19日

Posted by ブクログ

荻上チキのラジオ聴くようになって、本書購入。
確かなデータから感情論ではなく具体的な論調に進めていくまとまり方。
いじめは個人的な要因よりも環境的な要因から生まれ、外的なポジションの先生や保護者がストレッサーになって加害者にいじめを誘発させている。
中学、高校生の時は学校さらに限定したら教室が世の中の大半を占めてしまう。そこから弾かれたり、疎外感を感じてしまったらほんと暮らしにくい毎日だよ。個人的に本書で定義されたいじめらしいことはちょくちょくあったけど、個人間じゃ解決できないよな。先生、教育委員会、保護者が介入するべきだし、ヘルプを出してもいいんだよという認識を子供に持ってもらうよう教育が必要なんだろうな。

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2018年09月04日

Posted by ブクログ

親としてはとても気になるテーマ。

感情に訴える方法ではなく、数々の調査データをもとに、どんな条件が重なるといじめが発生するのかを考察している点に期待をもてる。

データからは、いじめは誰にでも起こりうる、ということが再認識させられる。
では大人はその前提のもと、何をしておくべきかの提案もあるので、身近な子どものためにも読んで備えておきたい1冊だろう。

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2018年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いじめを感情論で話し合うのはもうやめよう。データに基づいてひとつひとつ有効な施策を試していこう。

 やっぱりいじめ問題ってのは、加害者の問題なんだよ。どうして加害者が不適切行為に走ったのか、それを解決しないとダメなんだよね。

 いじめという形の八つ当たり、ストレス発散で他者が傷つくのをふせぐ世の中を作ろう。

 そしてみんな理解しなきゃいけないのは「人間は他人を傷つけるのが楽しいと感じる生き物」だという事実。
 自分の中にもその他人を傷つけて快楽を得る思考回路が備わっていて、うまくそれをコントロールできているだけなんだということ。攻撃は簡単に自己有用性を感じられて、それに依存してしまうのだ。
 いじめはDVに近いものだということを覚えておこう。

 まぁそんなことまでは書いてなかったけど、考える材料としてとてもよかった。データが豊富だから、色々考えられる。

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2018年08月13日

Posted by ブクログ

いじめの報道から、ロールモデル、アティテュードモデルまで、様々な知識が得られる。環境の問題も含めて、読んでおいていい一冊だと思う。

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2025年06月26日

Posted by ブクログ

信を置く著者の手になる、興味深い分野の著書、となると、これはもう読んどかないと。気になった点を列挙すると。
・環境からのアプローチで行動変容を促す
・抑圧的な態度の教師の教室ではいじめが多い
・子どもと大人のフレーム外し
といったところ。まとめると、子ども目線に立てる教師・教室、っていう感じか。何だか月並みになっちゃったけど、結局、月並み・当たり前のことが当たり前にできてない、ってところにいじめ教室の宿痾があるってことだな。

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2023年04月18日

Posted by ブクログ

十二分なデータがないながらも、感情論ではなく根拠をもって話そうとしている印象。

「ご機嫌な教室」の条件が分かりやすい。
母校もご機嫌だったんだなぁ。

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2018年12月25日

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