あらすじ
「いじめ問題」を解決するために必要な知識とは何か。連日のように悲惨なニュースが報じられ、そのたびに多くの議論が交わされるが、その中には具体的な根拠に欠ける当てずっぽうな「俗流いじめ論」も少なくないと著者はいう。一方で、メディアには取り上げられずとも、いじめが社会問題化して以来30年以上にわたり、日本でも世界でも数々の研究が行なわれ、多くの社会理論が磨かれてきた。本書では、そうした数多くの研究データを一挙に紹介しつつ、本当に有効ないじめ対策とは何かを議論する。いじめ議論を一歩先に進めるために、必読の一冊。 〈目次〉●はじめに ●第1章 これでいいのか、日本のいじめ議論 ●第2章 データで読み解くいじめの傾向 ●第3章 大津市の大規模調査からわかったこと ●第4章 「不機嫌な教室」と「ご機嫌な教室」 ●第5章 理論で読み解くいじめの構造 ●第6章 「ブラック校則」調査から見えたこと ●第7章 ハイリスク層へのサポート ●第8章 メディアが飛びつくネットいじめ ●第9章 教員の課題と「いじめ防止法」 ●第10章 大人に求められること ●おわりに
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Posted by ブクログ
いじめに関しては、皆がただの感想や経験則で語りがち。その中で学術的な研究結果に基づいた論説を繰り広げるこの本はとても貴重であり、評価できる。自分は「いじめは犯罪なのでどんどん警察を介入させるべし」という意見だったがそれは根本的な解決にはならないというくだりは「確かに」と唸らされた。数年後に各種データをアップデートした改訂版の発行を期待したい。
結論として生徒の親ができることは多くなく教員に委ねざるを得ないのいうのはなかなか厳しい現実だった。残念ながら本書が提案するような「ゴキゲンな教室」が政策的に実現されるのは当分先だと思うので、それまでは学校ガチャ、教員ガチャでハズレを引かないための自衛を考えるしかなさそうだ。
Posted by ブクログ
いじめを感情論で話し合うのはもうやめよう。データに基づいてひとつひとつ有効な施策を試していこう。
やっぱりいじめ問題ってのは、加害者の問題なんだよ。どうして加害者が不適切行為に走ったのか、それを解決しないとダメなんだよね。
いじめという形の八つ当たり、ストレス発散で他者が傷つくのをふせぐ世の中を作ろう。
そしてみんな理解しなきゃいけないのは「人間は他人を傷つけるのが楽しいと感じる生き物」だという事実。
自分の中にもその他人を傷つけて快楽を得る思考回路が備わっていて、うまくそれをコントロールできているだけなんだということ。攻撃は簡単に自己有用性を感じられて、それに依存してしまうのだ。
いじめはDVに近いものだということを覚えておこう。
まぁそんなことまでは書いてなかったけど、考える材料としてとてもよかった。データが豊富だから、色々考えられる。