荻上チキのレビュー一覧
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝っていけばいいのだろうか? -
Posted by ブクログ
「荻上チキ・Session」ラジオを聴いていて、特集「シリーズ・宗教2世」に興味を持ち読んだ本。
親が信者でその両親のもとに産まれた=宗教2世。
カルト2世、ではなく宗教2世なのは、もともと存在している古くからの宗教でも親の信仰と子の信仰は違うこともあるため。
この本は、チキラボでアンケートをとり、宗教2世の生の声を載せてあるところが他の本とは違うところだと思う。外から見ただけでは理解できない、壮絶な事実がアンケートから見え隠れする。
自分の家はよそと違う、おかしい、と気づき、飛び出せた人はまだましなのだ。
飛び出してもその後、フラッシュバックに悩まされたり。何度も家まで来られ勧誘されたり。
子どもに親の宗教を強制されない権利があることを、義務教育で教えてほしいと、感じた。
ラジオで聴くチキさんの優しくはっきりした意見が見えるような本だった。
本書は、信仰を持つ親や、宗教関係者にも届けたい。あなたの「教え」が、誰かを踏みつけ、苦しめることになっていやしないか、どうか見つめ直してほしい
(p.337、荻上)
世界は、どの「教え」よりも広い。 あなたは、「その場所」を離れてでも、幸福に生きていく権利がある。
荻上チキ(本書「あとがき」より)
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Posted by ブクログ
ネタバレいじめに関しては、皆がただの感想や経験則で語りがち。その中で学術的な研究結果に基づいた論説を繰り広げるこの本はとても貴重であり、評価できる。自分は「いじめは犯罪なのでどんどん警察を介入させるべし」という意見だったがそれは根本的な解決にはならないというくだりは「確かに」と唸らされた。数年後に各種データをアップデートした改訂版の発行を期待したい。
結論として生徒の親ができることは多くなく教員に委ねざるを得ないのいうのはなかなか厳しい現実だった。残念ながら本書が提案するような「ゴキゲンな教室」が政策的に実現されるのは当分先だと思うので、それまでは学校ガチャ、教員ガチャでハズレを引かないための自衛を考えるしかなさそうだ。
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ネタバレ検証 東日本大震災の流言・デマ
荻上チキ著
2011年5月20日発行
光文社新書
東日本大震災が起き、フクイチ事故に至った時、一時、石原都知事(当時)が、パチンコ屋の営業や自販機を止めれば、節電が出来ると繰り返し訴えていましたが、あれは実はネットでのデマから始まったことをご存じでしたでしょうか。
私は知らなかったが、この本に経緯が詳しくかかれています。
セ・リーグの公式戦を予定通り開催すべきかどうかの議論が起きた時、試合を強行しよとして批判を浴びたジャイアンツ。親会社の読売新聞が「東京電力管内の主な産業や施設などの電力消費量」という表を掲載したが、誰かが、その一部だけを切り取り、ランクの下の方にあったパチンコや自販機があたかも一番電力を消費しているかのように見せかけて拡散させた。そのランク表では東京ドームが最下位で、読売にとってもその拡散は都合がよかった。
それに引っかかった都知事が発言、これはいいとばかり、読売がそれをまた報道した、という図式。
さて、
この本の著者は、「シドノス」を設立し、メールマガジンなど情報発信メディアを確立しつつ、自らも発言する若手の学者系言論人、とでもいうべき人かな。肩書きは、批評家、編集者、となっています。
テレビで見るディベートの仕方はあまり好きではないけど、比較的まともな人ですね。
チキ氏が、東日本大震災で飛び交った流言・デマについて、具体的に取り上げ、なぜ起きたのか、それがどんな迷惑を及ぼしたのか、それにひっかからないためにはどうしたらいいか、などを記している本。
大災害時に流言・デマはつきもので、歴史上、一番有名なのが関東大震災時におきた「朝鮮人来襲説」。全くのデマにより、何の罪もない、そして自らも被災して苦しんでいる在日朝鮮人や朝鮮人と間違われた人がたくさん殺されました。
20年前に私も軽く被災した阪神・淡路大震災でも、こうした外国人に関するデマが関西の都市部には出回った。当時はインターネットがほとんど普及しておらず、みんな口から口への噂で伝わっていきました。
代表的なのは、神戸でカップルが電気がまだ復旧していないバーで飲んでいると、東南アジア、イラン系の男が2人(3人)入ってきて、彼女を強姦、止めに入った彼氏とバーテンはボコボコにやられて重傷。警察もマスコミもパニックを恐れて発表していない、という話。私もあちこち(飲み屋の女性からがほとんどだった)で聞いたもんです。
これについては、同時に読んでいる「うわさとは何か」という、こちらは専門家である社会心理学者が書いた本に、もとネタが説明されているので、また書きます。
さて、今回も外国人に関するデマが随分あったようです。
この本によると、
「仙台市三条中国の避難所で中国人がトマトの皮をぺっ!と吐いて汚し、ストーブ前にいた高齢者を足で払って独占。近隣の外国人留学生(7割強が中韓)が避難所用救援物資を根こそぎ運びだした」
というようなデマが出たらしい。
この避難所はその日はまだ閉鎖されていたので、真っ赤な嘘。
しかし、デマにも世相が反映されているというか。
関西の人にも関わりのある、流言・デマも出てきます。チェーンメールを受け取った皆さん、書き込みを見た皆さん、多かったでしょうけど、「関西電力に勤める友人からのお願い」と称する節電要請メールが代表例。関電も、平松市長(当時)も否定のコメントを出すに至った件です。これも個人が要請するわけがないということを考えれば、すぐにデマだと分かるのだけど。今はそういえても、みんな“ハイ”になっている時は判断を誤りますね。
そう言えば、ボランティアに入った人による不確かな情報発信、拡散についても取り上げています。「ボランティア・ハイ」の状態になると解説。・・・確かに、それはあるかも、という内容でした。
この本では、
1.注意喚起として広まる流言・デマ
2.救援を促すための流言・デマ
3.救援を誇張する流言・デマ
の三つに分けて事例紹介し、時間の経過とともに情報提供した者の書きようが変化していたった様子なども含めて分析しています。
最後の章では、どうしたらこういう情報に踊らされずにすむか、ということも考察。その一つに、NGワードに注意というのがあって、その中に「日本のマスコミが報じていない・・・」という書き出しがつくのは要注意というのがありました。
私も、マスコミは信用できなから一切見ない、読まない、と主張している人が、「マスコミが一切報道していない事実・・・」なんて書いていると、マスコミに一切目を向けない人が、なんで分かるの?と不思議に思います。それに、一切報道してないことを証明することなんて、ほとんど不可能、いわゆるブラックスワン(悪魔の証明)なのにね。
といいつつ、「マスコミであまり報道されてませんけど」とついうっかり使ってしまいがちなので、他山の石とすることにしましょう。
この本、面白い。東日本大震災時の過去の話ではなく、ネット、とくにソーシャルメディアを利用する人には必読の教科書かもしれません。
内容を書きだしたノート、かなり長いので省略します(^_^;)